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公務員が副業で会社設立するのは問題ない?規定や注意点についても解説

近年、「副業」というキーワードが大きく流行しており、公務員の方で副業を始めたいという方もいるのではないでしょうか。

しかし、公務員はあくまでも国に勤める業種であることから、副業に関するハードルが高いのも事実です。

今回は、公務員の副業について、禁止されている理由や注意点を解説します。

副業をする人が増えてきている理由

そもそも、なぜ副業をする人、副業を始めたいと考えている人が増えてきているのでしょうか。

将来的な経済の不安

バブル崩壊以降、日本は長期的な不景気になり、世界的な競争力が低下しつつあります。

これに伴い、日本型の終身雇用を約束できる企業も少なくなり、徐々に能力主義へと移行しています。

つまり、「会社に一生勤めていれば安泰」という時代は終わり、スキルを身につけ市場価値を高めなければビジネスマンとして生き残れない時代が到来し始めているのです。

こうした波を受けて、目先の収入の安定のため、またはビジネスマンとしての経験・スキルの幅を広げるため、副業を始める人が増えてきています

企業側の意識の変化

終身雇用制度に対する不安を抱えているのは会社員だけではありません。

企業側も終身雇用制度を担保できない不安から、社員に自立してもらうべく、副業を解禁する企業が増えてきています。

コロナ禍の影響

不景気による中長期的な副業需要の増加に拍車をかけているのが、コロナ禍の影響です。

具体的には、以下のような点が挙げられます。

働き方の変化

コロナ禍により、リモートワーク・テレワークが浸透したことも、副業のトレンドが加速している一因になっていると考えられます。

リモートワークが進展していれば、会社の場所にとらわれずzoomなどのビデオツールを活用して副業ができます。

つまり、リモートワークの浸透によって副業の選択肢が大きく広がったと言えるでしょう。

収入の減少

コロナの影響により、飲食店を始めとする一部の業種は大きな打撃を受けています。

こうした業界に勤める会社員の中には、思うように収入が上がらない場合や、逆に下がってしまう場合もあります。

こうした収入の減少・停滞に危機感を覚えた人々が副業を始めようとするトレンドをさらに加速させているでしょう。

時間に余裕ができた

リモートワークの浸透により、出社時間が節約できたり、飲食店等の休業・時短などの自粛ムードにより娯楽が減少したりしたことで、時間に余裕ができた人が増えたことも、副業のトレンドを加速させている一因です。

ポイント

・終身雇用の崩壊に伴って、副業のニーズは高まってきている。
・リモートワークの浸透により、会社の場所を選ばず働けるため副業がしやすい。
収入の減少や時間的余裕の増加も副業のトレンドを加速させている。

公務員は副業をしても問題はない?

結論から言いますと、公務員は副業をしても問題ありませんが、かなり選択肢は絞られてしまうというのが現状です。

公務員は基本的には「営利団体に関わってはいけない」というルールがあるため、利益を追求する一般企業に関わる副業をすることは原則不可です。

このため、公務員ができる副業は、NPO法人であったり、地域振興を目的とした活動といった非営利的で公益性がある職業のみです。

また、家業の手伝いといったものであれば問題ないでしょう。

つまり、自由に副業をすることは基本的には難しいです。

また、その副業規制の厳しさも自治体によって違いがあるため、事実上副業がほとんどできない自治体も存在するでしょう。

とはいえ、上記の話はあくまで2021年現在の話です。

世の中のトレンドは「副業の解禁・促進」であり、その波は公務員にも押し寄せています。

実際、奈良県生駒市など一部の地方自治体では副業ができる職種や活動の範囲を大幅に拡大する取り組みを始めています。

つまり、数年後には公務員は今よりも自由に副業をできるようになる可能性もあるということです。

ポイント

公益性のある事業でなければ、公務員の副業は難しい。
・副業解禁の波は公務員にも押し寄せており、今後はより規制が緩くなる可能性もある。

公務員の副業禁止の規定について

公務員の副業を禁止・制限する規定には、具体的にどのようなものがあるのでしょうか。

国家公務員と地方公務員に分けて紹介します。

国家公務員

国家公務員の副業を規制する法律は、下記の2つです。

国家公務員法 第103条

国家公務員法第103条では、営利を目的とする一般企業を経営してはならないという旨が明確に定められています。

このため、公務員が本業の傍に一般企業を設立するのは極めて困難です。

✔︎国家公務員法 第103条
職員は、営利を目的とする私企業(以下営利企業という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員等の職を兼ね、又は自ら営利企業を営んではならない。

国家公務員法 第104条

国家公務員法第104条では、公務員は内閣総理大臣や所轄省庁の長官の許可がなければ、兼業を禁止する旨が記載されています。

✔︎国家公務員法 第104条
内閣総理大臣及び所轄庁の長の許可がない限り兼業してはならない。

地方公務員

地方公務員は、以下の法律で副業に関する規定が記載されています。

地方公務員法 第38条

国家公務員法と同様、営利企業を営む旨が禁止されています。

また、第38条2には、公務員の副業を制限する理由となる条文も記載されています。

✔︎地方公務員法第38条
1 職員は、任命権者の許可を受けなければ、営利を目的とする私企業を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則(人事委員会を置かない地方公共団体においては、地方公共団体の規則)で定める地位を兼ね、若しくは自ら営利を目的とする私企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない。

2 人事委員会は、人事委員会規則により前項の場合における任命権者の許可の基準を定めることができる。

(1)他の仕事をすることで、肉体的や精神的に本業に集中できず、仕事に支障が出ることを防ぐため(職務専念)
(2)本業の秘密を、副業の際に利用、流出されないため(秘密保持)
(3)世間的にイメージの良くない副業につくことにより、勤務先の社会的な信用を損なわせないため(信用確保)

公務員の副業が禁止されている理由

上記のような国家公務員法、地方公務員法から、公務員の副業が禁止・制限されている理由は大きく3つに分けて考えることが可能です。

信用を失わないため

公務員が副業を自由に行ってしまった場合、社会的にイメージの良くない副業をやってしまうことにより、世間一般からの国・公務員の信頼が低下するリスクがあります。

職務における秘密を漏らさないため

公務員は、他の職業よりも個人情報を扱う場合が多く、かつその情報も重大なものが多いです。

意図的にせよ意図的でないにせよ、公務員が副業を行うことでこうした情報が流出してしまうリスクがあります。

職務に専念するため

例えば公務員が不祥事やミスを起こした場合、その公務員が副業をやっていたとしたら、「職務に専念していなかったからではないか」と言われてしまいます。

このように職務に専念していないとみなされるリスクをなくすためにも、公務員の副業は制限されています。

ポイント

・国家公務員も、地方公務員も営利企業の役員になることはできない
・公務員が副業をする場合には、所轄省庁や人事の許可をとる必要がある。
・公務員の副業が制限されている理由は、国の社会的信用を守るためである。

公務員が副業で会社設立をする際の注意点

公務員が副業で会社を設立することは、基本的には困難です。

かつ以下のようなデメリットもあります。

本人が役員になることができない

国家公務員法・地方公務員法で定められている通り、基本的には公務員本人が営利企業を設立し、役員になることは不可能です。

ルールを破って会社を設立し、これが判明した場合には、免職や停職になるリスクがあります。

設立に費用がかかる

営利企業ではなく、公益性のある事業を営むNPO法人等であれば、会社を設立することが可能です。

会社を設立するのも無料ではなく、数十万円程度の初期費用がかかります。

このように、「会社設立に関する知識」を持っておかないと、想定外の費用がかかってしまう可能性があります。

また、会社設立においては手続きも非常に複雑であるため、専門家に相談するのが賢明です。

ポイント

・公務員が営利企業の役員になることは原則不可である。
・NPO法人等公益性が高いものであれば会社設立は可能である。
会社設立は複雑な手続きが多いため、専門家に相談するのが良い。

まとめ

一般企業に勤める会社員と異なり、公務員が副業をしたり、会社を設立したりするにあたっては厳しい規制があります。

こうした規制を顧みずに会社を設立して事業を行ってしまうと、最悪の場合、免職や停職になることがあります。

このため、会社を設立したい場合には、専門家に相談して、事前にリスクを潰しておくことが大切です。

会社設立の専門家である経営サポートプラスアルファであれば、こうした会社設立のリスクに関する相談や実際の設立の代行まで、ワンストップでサポートを受けることが可能です。

ご興味のある方は、ぜひ一度お問い合わせください。