サラリーマンで副業を行い、年20万円以上の収入を得ている方や、フリーランスとして独立して仕事をしている方は、確定申告をする必要があります。
この際、企業で働いていた方は「会社の決算月はバラバラだったけど、個人の確定申告もバラバラで問題ないのか?」という疑問を抱く方も多いかもしれません。
また、これ以外にも確定申告には、複雑な決まりがあります。
この記事では、個人事業主の決算月や、確定申告に必要な書類、確定申告の流れついて解説します。
目次
個人義業主の決算月は決まっている?
会社の決算とは異なり、個人事業主の決算月、すなわち確定申告の確定日は12月と決まっています。
個人事業主は、税法にて1月1日から12月31日までが事業年度であると定められているため、これを自由に変えることはできません。
企業は自由に決算月を選ぶことができるため、この点が個人事業主と企業の違いです。
ただし、企業も取引先の決算月に合わせたりすることも多く、12月、3月などに決算月が固まっている傾向にあります。
・企業の決算月は自由に選ぶことができる一方で、個人事業主の決算月は選ぶことができない。
・個人事業主の事業年度は、1月1日〜12月31日と税法で決められている。
個人事業主の決算時に必要な青色申告と白色申告
個人事業主の決算、すなわち確定申告時においては、申告方法が2つあり、青色申告と白色申告です。
青色申告は、準備が面倒な一方で税制的な優遇を受けられるというメリットがあり、一方で白色申告は準備が簡単であるがゆえに税制的な優遇を受けられない、というデメリットがあります。
それぞれの詳細を以下で解説します。
青色申告のメリット・デメリット
まずは、青色申告のメリット・デメリットを紹介します。
青色申告のメリット
青色申告のメリットは、細かく分けて以下の5つです。
1. 家事関連費を必要経費にできる
家事関連費とは、電気代等の家事上の経費となるものです。
これらの家事関連費は、白色申告の場合、「関連費の主たる部分」が業務で使用されていない限りは、経費として落とすことはできません。
一方で、青色申告の場合では、主たる部分が業務で使用されていない場合であっても、経費として落とすことが可能です。
2. 棚卸資産の低価法による選択
棚卸資産の金額を評価する際、通常は「最終仕入原価×個数」で計算するのが一般的です。
しかし、青色申告であれば、最終仕入原価と時価の安い方を選択できるため、棚卸資産の評価額を小さくすることが可能です。
3. 減価償却の特例
通常、固定資産は減価償却するのが一般的です。
例えば、取得金額が100万円で耐用年数が10年の場合、初年度経費計上される金額は10万円です。
一方で、青色申告の特例を使えば、取得金額が30万円未満の固定資産に限り、取得した年に一括して経費計上することが可能です。
4. 貸倒引当金の設定
売掛金が不能になるリスクを考慮して、所得を低く見積もる制度が貸倒引当金です。
青色申告では、この貸倒引当金を考慮して所得を申請することができます。
ただ、当然無事代金を回収した際は、貸倒引当金の戻入処理を行う必要があります。
ただ、貸し倒れが確実な場合でしか貸倒引当金を設定できない白色申告と比べると、自由に貸倒引当金を設定してリスクを減らせる青色申告が有利であるといえるでしょう。
5. 青色申告特別控除
青色申告特別控除は、最もわかりやすい青色申告のメリットです。
2020年以降は、所得から55万円の控除を受けることが可能です。
また、e-taxを用いてオンライン上で確定申告を行った場合は、65万円の控除を受けることが可能です
青色申告のデメリット
青色申告のデメリットは、手続きが面倒なことです。
青色申告をするためには、その年の初めに青色申告申請書を出さなければなりません。
また、青色申告はやや複雑な申請形式であるため、簿記の知識がないと記入に苦戦するケースも多いです。
このため、副業所得が年数十万円程度の場合の確定申告では、メリットもそこまで多くないため、青色申告を行わなくても問題ないでしょう。
白色申告のメリット・デメリット
続いて、白色申告のメリット・デメリットを紹介します。
白色申告のメリット
白色申告のメリットは、青色申告のように複雑な申請等を行う必要がない点です。
特に申請等をせず確定申告をすれば、自動的に白色申告としてみなされます。
このため、確定申告の初心者にとっては、比較的取り組みやすいのが白色申告です。
白色申告のデメリット
白色申告は、面倒な手続き等がない代わりに青色申告のように特別控除がなく、経費計上できる項目も少ないのがデメリットです。
・青色申告は面倒だが、控除額や経費計上できる項目が多い。
・白色申告は簡単だが、控除額や経費計上できる項目が少ない。
・所得がまだ少なく、確定申告も慣れていない人には白色申告がおすすめである。
・所得が十分にあり、確定申告に慣れてきた人は青色申告で節税をするのがおすすめである。
個人事業主が決算月に自分で作成できる書類
個人事業主が、決算月に自分で作成することができる書類は以下の4つです。
損益計算書
損益計算書とは、収入と経費を記載し、1年間の利益額を明らかにする書類です。
青色申告の場合は、この損益計算書の記載が必要です。
貸借対照表
貸借対照表とは、利益ではなく、個人の財政状況を把握するための書類です。
資産、純資産、負債から構成されています。
青色申告で65万円の控除を受けるために必要な書類です。
収支内訳書
収支内訳書は、「損益計算書」をシンプルにしたものであり、事業の収入と支出を全て記載します。
青色申告では損益計算書を記載しますが、白色申告の場合はこの収支内訳書を記載します。
確定申告書
確定申告書とは、上記の損益計算書、貸借対照表、収支内訳書などを元にして、個人の所得税を算出するために必要な書類です。
最終的にこちらの確定申告書を元に、税額が確定することになります。
・個人事業主が作成する書類は、損益計算書、貸借対照表、収支内訳書、確定申告書である。
・青色申告の場合は損益計算書を作成し、白色申告の場合は収支内訳書を作成する。
・確定申告書にて、最終的な税額を確定する。
個人事業主の決算から確定申告までの流れ
ここでは、個人事業主の年間の流れと確定申告の方法について説明します。
棚卸表の作成、帳簿付け
確定申告の際には、1年間の収支を計算しなければなりません。
確定申告の時期になって初めて収支の計算を行うと、間に合わないケースも多いです。
常日頃から取引を記録したり、棚卸資産のチェックを行ったりして、確定申告をスムーズに行うことができるような工夫をすることが大切です。
確定申告
決算月が締まったら、確定申告の準備のため、損益計算書、貸借対照表、収支内訳書、確定申告書などを作成します。
確定申告期間は、決算月の翌年2月16日〜3月15日が一般的です。
2020年、2021年に関しては、新型コロナウイルスの影響で税務署に人が殺到することを防ぐため、4月15日まで延長されました。
税金の納付
確定申告を終えた後は、それぞれの税金の納付時期に従って税金を納めます。
税金によって納付時期が違うため、注意が必要です。
それぞれの税金の納付時期は以下の通りです。
- 所得税:3月15日まで(その年の確定申告期限日まで)
- 消費税:3月31日まで(免税事業者は納税の必要なし)
- 住民税:6月、8月、10月、翌年1月
- 個人事業税:8月、11月(所得290万円以下の場合は納税の必要なし)
・確定申告をスムーズにするために、普段からこまめに帳簿付け等をすることが大切である。
・確定申告の時期は、2月16日〜3月15日である。
・税金は種類によって納付時期が異なるため、注意が必要である。
個人事業主の決算に困った場合は
個人事業主になった場合、確定申告は行わなくてはなりません。
しかし、税務の知識がない個人事業主にとっては、非常に複雑な手続きです。
ただ、青色申告が複雑だからといって、白色申告にすると、税金を余計に払う必要が出てくる場合もあります。
このような時は、税務の専門家に相談すると良いでしょう。
経営サポートプラスアルファでは、個人事業主の確定申告や節税対策のサポートを行っています。
ご興味のある方は、ぜひ一度お気軽にお問い合わせください。