IT企業やECショップ運営、小売、サービス業など世の中にはさまざまな会社が存在します。
この記事を読んでいる方の中には、自分の会社を設立しようと準備を進めている方も多いかもしれません。
しかし、会社を設立するには具体的にはどのような手続きを行えばよいのでしょうか。
法務局で登記の申請をすればいいと耳にしますが、登記申請に関する手続きや必要な書類について調べるのはかなり大変です。
そこで今回は、株式会社の設立を行う場合の法務局への手続きについて詳しくご説明したいと思います。
株式会社設立の際に法務局で行うことは?
それでは、まず株式会社設立の際に法務局で行うことについてご説明します。
- 会社設立登記申請
- 会社印の登録
会社設立登記申請
株式会社設立において、法務局で行う最も重要な手続きが会社設立登記申請(以下登記申請)です。
会社を設立するには、会社本店所在地を管轄する法務局へ法的に会社の存在を証明するための登録をする必要があり、その手続きが登記申請と呼ばれています。
会社設立における登記申請は会社法第49条で定められており、必ず必要となる手続きです。
登記申請を行うと、国が管理する「登記簿」に会社の情報が登録され、「登記事項証明書」の交付が可能となります。
会社の情報、取引の安全性を証明する為にも登記申請は重要な手続きなのです。
会社印の登録
会社の実印となる印鑑を登録します。
印鑑届書に押印し、法務局側で作成された印影が、会社の印鑑証明書に登録されます。
会社印は、社内外のあらゆる手続きで必要となります。いわば会社の顔となる会社印を証明するための、重要な手続きです。
法務局で行う手続きの流れ
続いて、会社設立の際に法務局で行う手続きの流れを見ていきましょう。
- ①登記基本事項決定
- ②印鑑作成
- ③定款作成・認証
- ④資本金支払い
- ⑤登記に関する必要書類の用意・記入
- ⑥登記申請
- ⑦印鑑カード、印鑑証明書、登記事項証明書(登記簿)の取得
①登記基本事項決定
設立する会社に関する基本事項を決定します。
必須項目には、商号(会社名)、本店所在地、事業目的、資本金額、発行株式数、事業年度と決算月、役員の任期などがあります。
②印鑑作成
会社名の印鑑を用意します。印鑑のサイズは、印影が一辺が1cm〜3cmの正方形に納まるものという規定がありますので、サイズにあう印鑑を用意してください。
③定款作成・認証
定款とは、会社の憲法のようなものです。会社の概要、決まり事などを決め、公証役場で認証されると定款が完成します。
流れとしては、まず電話で定款を作成する旨を公証役場に伝え、メール、FAXなどで内容を添削してもらい問題がなければ調印日が決められます。
調印日に、発起人立ち合いで定款認証が行われ手続きが完了。
登記申請時に必要な資料の一つである定款謄本の入手が可能となります。なお、定款認証はオンライン上で行うこともでき、電子認証であれば収入印紙代4万円が不要となります。
認証には発起人の実印、印鑑証明書(発行して3か月以内のもの発起人が複数の場合は全員分)が必要となります。
④資本金支払い
定款で定めた額の資本金を発起人自信の口座に振り込みます。登記申請時に通帳の写しが必要となりますので通帳の表紙、表紙裏、開いて支店名が記載されている部分、振込内容のコピーを取っておきましょう。
登記申請の期限は資本金支払い後、2週間となっています。
⑤登記に関する必要書類の準備
登記申請に必要な資料を準備します。株式会社設立の場合は、③で入手した「定款謄本2通(電子なら1通)」、④の資本金支払い通帳の写しを張り付けて作る「資本金支払い証明書」を含めて9種類です。詳しくは後ほど(「法務局で提出する書類・資料は9種類」)ご説明します。
⑥登記申請(法務局へ申請)
資本金支払い後、2週間以内に会社の代表者が会社本店所在地を管轄する法務局で登記申請手続きを行います。
法務局へ直接申請する方法がスタンダードですが、オンライン、郵送での申請も可能です。
オンラインの場合は平日21時まで手続き可能、手数料も安くなるというメリットがあります。
提出後、1週間〜10日で登記が完了し、申請日が会社設立日となります。内容に不備があれば、法務局から電話での連絡があり、補正を行うことになります。
当日補正できないような大きな不備や書類不足がある場合は、登記申請の取り下げを行い手続きをやり直す運びとなります。
【登記申請にかかる費用】
法務局窓口での申請 | オンラインでの申請 |
---|---|
・定款認証:5万円 ・定款の収入印紙代:4万円 ・登録免許税:15万円~ ・登記証明書:1通600円 ・印鑑証明書:1通450円 ・計 約24万円 | ・定款認証:5万円 ・定款の収入印紙代:0円 ・登録免許税:15万円~ ・登記証明書:1通600円 ・印鑑証明書:1通450円 ・計 約20万円 |
⑦印鑑カード、印鑑証明書、登記事項証明書(登記簿)の取得
印鑑カード、印鑑証明書、登記事項証明書の取得は、会社設立の為の必須事項ではありませんが、会社設立後の各機関への届け出や各種契約などに必要となります。
印鑑カードは、印鑑カード交付申請書を法務局へ提出することで交付されます。
さらに、印鑑証明書交付申請書を提出することで印鑑証明書(1通450円)、登記事項証明書交付申請書を提出することで登記事項証明書(登記簿)が交付されます(1通600円)。
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法務局で提出する書類・資料は9種類
ここまでで、会社設立のために法務局で行うことや流れについてご説明しました。
全体的な流れが分かっていただけたのではないでしょうか。
ここからは、法務局での手続きに必要な書類・資料9種類を1つずつご説明していきたいと思います。
- 登記申請書
- 定款(謄本)
- 資本金支払い証明書
- 登録免許税納付用台紙
- 発起人決定書
- 登記事項を保存した磁気ディスク
- 取締役就任承諾書・代表取締役承諾書
- 代表取締役印鑑証明書
- 印鑑届出書
登記申請書
会社名(商号)や本店所在地、登記すべき事由、課税標準金額、登録免許税などを記載します。定款、資本金支払い証明書など必要な書類を添付して法務局に提出します。
定款(謄本)
定款認証後に交付される定款が2部必要です。一部は法務局へ提出し、一部は会社で保管するためのものです。オンラインでの登記申請であれば1部で問題ありません。
資本金支払い証明書
定款で定めた額の資本金が、発起人によって支払われたかどうかを証明する為の書類です。
発起人自信の口座に資本金を振り込み、通帳のコピーを取って(通帳の表紙、表紙裏、振り込み内容が分かるもの)とセットで提出します。
登録免許税納付用台紙
登記を行ったものが支払うよう義務付けられている税金が登録免許税です。
資本金額の1000分の7の額が支払わなければならない登録免許税となります。15万円に満たない場合は15万円が支払い額です。収入印紙を台紙に張り付けて提出してください。
発起人決定書
発起人の名前、住所を記載し押印します。
発起人が複数人いる場合は、全員が個人実印で押印する必要です。
登記事項を保存した磁気ディスク
「登記すべき事項」を保存した磁気ディスクです。磁気ディスクのタイプや記録の方法は法務省のHPで詳細が記載されていますのでご確認ください。
法務省(登録すべき事項を記録した電磁的記録媒体の提出について)
法務省:商業・法人登記申請における登記すべき事項を記録した電磁的記録媒体の提出について (moj.go.jp)
取締役就任承諾書・代表取締役承諾書
代表取締役、取締役となることを承諾したことを表す書類です。取締役が1人の場合は、自動的に代表取締役となりますので代表取締役承諾書は不要です。
また、取締役会をもうけるなどで監査役を儲けている場合は監査役就任承諾書が必要となります。
代表取締役印鑑証明書
取締役会を置いているのであれば代表取締役のみ、置いていない場合は取締役全員の印鑑証明書の提出が必要です。
印鑑届出書
会社実印となる印鑑を登録します。ここで登録する印鑑で作った印影が印鑑証明書に表示されます。
1辺の長さが1㎝〜3㎝の正方形に収まる印鑑を用いて記載してください。
会社設立手続きの注意点
会社設立には、法務局への手続き以外にもたくさんの手続きがあり、事前準備も必要です。
- 法務局の営業時間・管轄
- 登記申請で補正・取り下げが必要な場合がある
- 登録免許税納付用台紙は消印してはいけない
法務局・営業時間や管轄
法務局の営業時間は、平日の午前8時30分〜午後5時15分のみです。土日祝日と年末年始は営業していませんので、注意してください。
また、本店の管轄外では受け付けできませんので管轄の法務局かどうかもしっかり確認してください(オンライン申請は平日の午前8時30分〜午後21時00分まで申請可能)。
登記申請で補正・取り下げが必要な場合がある
法務局への手続きで不備や書類不足がある場合、補正または取り下げが必要となります。
万が一の時にスムーズに取り下げができるように方法を確認しておきましょう。
法務省(商業・法人登記の郵送申請について)
法務省:商業・法人登記の郵送申請について (moj.go.jp)
登録免許税納付用台紙は消印してはいけない
登記申請に必要な書類の一つに登録免許納税付用台紙があります。
登録免許税法第25条に基づき、収入印紙への消印は登記機関(法務局)によって行われなければならないとされています。消印はせずに提出してください。
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まとめ
株式会社の登記では、法務局で行うべきことが多いです。
そして、個人で行うのは難しいのも事実でしょう。
そこで、登記の専門家に依頼するというのも一つの方法です。負担が多すぎて業務に影響がでるようであれば、無理せず専門家に相談することをおすすめします。
経営サポートプラスアルファでは、個人でも法人でも株式会社の設立を少しでも考えている人のご相談に乗らせていただいております。
相談は何度でも無料なので、お気軽にご相談ください。