• HOME
  • いきなり法人化しても大丈夫?個人事業主を経由しないで法人化する際の注意点とは?

いきなり法人化しても大丈夫?個人事業主を経由しないで法人化する際の注意点とは?

いきなり法人化しても大丈夫?個人事業主を経由しないで法人化する際の注意点とは?

2019年4月より施行された「働き方改革」の影響もあり、企業に勤める会社員だけでなく、フリーランスとして働く人は年々増えています。

実際にクラウドソーシングサービスを提供するランサーズで行った調査をまとめた「【ランサーズ】フリーランス実態調査2021」によると、日本のフリーランス人口は2018年から2021年にかけて500万人以上増加しています。

そこで、この記事では法人化する際の注意点や、個人事業主と法人のメリットとデメリットについて紹介します。

いきなり法人化はできる?

個人事業主として働く場合より準備する書類や費用は多くかかりますが、きちんと手続きを行うことができれば、いきなり法人を設立することは可能です。

現在新設可能な法人は、株式会社と持分会社のどちらかで、株式会社は株主と言われる出資者と経営者が異なり、持分会社は出資者と経営者は同じになります。

持分会社にも様々な種類はありますが、まず1人で会社を始めようとされている場合は、責任の範囲が出資した額までと決められている有限責任の形が取れる合同会社がおすすめです。

いきなり法人化する際の注意点

ここからは、これから個人でお仕事を始めようとされている方が法人を設立する際に注意するべきことについてお伝えします。

もちろん注意点は3つだけではありませんが、あらかじめ理解しておくと良いことをまとめていますので、ぜひ参考にしてください。

役員報酬を適切に決める必要がある

1人または家族の協力を得て会社を設立する場合にも、自分の給与にあたる役員報酬を決めることになります。

法人化してすぐはなかなか自分に高い役員報酬を設定するのは勇気がいることだと思いますが、だからといって役員報酬を少なめに設定したり、よく考えずに設定したりすると税金が高くなってしまうケースも多いです。

国税庁の「No.5211 役員に対する給与(平成29年4月1日以後支給決議分)」からも分かる通り、大企業などでない限りは、事業年度開始から3ヶ月以内以外変更できない定期同額給与として、毎月決めた額の報酬を支給し、それ以外の賞与を支給する場合には事前確定届出給与として事前に届け出を出すことで、損金として計算されます。

個人事業主から法人化する場合は、ある程度利益の見込みがついていることが多いです。

しかし、いきなり法人を設立するとなるとどのくらい利益が上げられるか分かりません。

役員報酬額を決める段階でつまずいてしまわないためにも、個人事業主を経ずに法人設立をするのは、ある程度利益の見込みが立っている場合に限った方が良いと言えるでしょう。

融資が通りにくいことがある

基本的に銀行からの融資は、会社を設立後2期分の決算を終えていないと受けることができません。

そのため一般的な融資は通らないと考えた方が良いでしょう。

しかし、日本政策金融公庫の、「新創業融資制度」を利用すれば新たに事業を始める場合や事業を始めたばかりでも、無担保・無保証人で融資を受けることができることが多いです。

ただ事業計画の内容など様々な理由で融資が通らないこともあります。

融資が通らない理由には、以下のようなものがあるでしょう。

代表者個人の信用情報に問題がある場合
代表者の実績が不足している場合
計画性に乏しい場合

代表者個人の信用情報に問題がある場合

まず最も大事になってくるのが、法人を設立しようとしている代表者の信用情報です。

クレジットカードの滞納や税金の未払い、また軽視しがちですが携帯電話会社の支払いの滞納なども、信用情報として登録されています。

そのため、支払い関連がルーズだと管理能力がないと判断されて融資を受けるのは難しいでしょう。

もし自分の信用情報に問題がある場合は、自分以外の家族を代表者として立てることをおすすめします。

代表者の実績が不足している場合

次に個人事業主を経ずに法人を設立する場合、ネックになるのが代表者の実績です。

すでに個人事業主として同じ業界・業種で経験がある場合は問題ありません。

しかし、いきなり法人化する場合はそういった実績を提示するのが難しいため、融資が通りにくくなってしまいます。

そのため、これまで会社員として同じ業界・業種で経験が十分にある場合や、その経験や実績が明確に提示できる場合に限って、融資を受けていきなり法人化することができると考えた方が良いでしょう。

計画性に乏しい場合

また事業計画が明確でない、返済が見込めそうな計画でない、自己資金の調達に計画性が見られないなど、計画性に乏しいと判断された場合にも融資が通りにくくなります。

いきなり法人化をする場合にも準備は十分にしておく必要があり、事業計画や資金に関する計画も綿密に立てる必要があります。

ここまでの内容を総合しても、代表者としての管理能力と計画性が重要なため、個人事業主を経ずに法人を設立することはできるとはいえ、会社員として関連の事業での実績がないと難しいと言えるでしょう。

赤字でも税金を支払う必要がある

法人を設立後、事業がうまくいかずに赤字になってしまったとしても、払わなければならない税金はあります。

法人税は法人の利益に応じて課税されるため、赤字であれば納付する必要はありません。

しかし、法人が事業所を置いている地方自治体に「法人住民税」を納付するは必要ないです。

法人住民税には法人税割と均等割があり、法人税割は法人税額に応じた費用を求められ、均等割は資本金の額と従業員数に応じて定額で負担が求められます。

そのため、法人税額の均等割は法人の利益に関係なく納める必要があるのです。

法人税は所得税よりも税率が低いため、個人事業主よりも納める税金が少なくなると思われがちですが、赤字になってしまった場合にも税金がかかってしまいます。

個人事業主と法人のメリットを徹底比較

それではここからは、新たに事業を始める際に個人事業主として事業を行うことと、法人を設立して事業を行うことのメリットについてお伝えします。

それぞれのメリットを見ていくことで、ご自身に合う方法を見つける手がかりにしてください。

個人事業主のメリット

まずは個人事業主のメリットについてご紹介いたします。

個人事業主は始めようと考えたついたときにすぐに始められるので、まずは自分にできそうな業務から副業にチャレンジしてみようという方や、隙間時間にお仕事をしてみたいという方にはおすすめです。

開業までの手続きが少ない

1つめは、開業までの手続きが少なくて済むことです。

法人化する場合は、法人登記の手続きだけでなく書類や会社印なども必要になりますし、資本金も必要になります。

先にお伝えしたように融資を通す場合には事業計画などの準備も必要です。

一方で個人事業主として事業を始める場合は、税務署に開業届を提出するだけになります。

細かい手続きなく、まずは事業を始めてみたいという方に合っていると言えるでしょう。

赤字で支払う税金がない

法人化するとたとえ事業がうまくいかなくなり赤字になったとしても、法人住民税の均等割は納付しなければなりません。

しかし、個人事業主で支払うべき所得税や個人住民税などは、利益に応じて税額が決められるため、利益が出なければ支払わなくて済みます。

そのため実績などがなく、どのくらいの利益が出せるか明確に分からない場合は、個人事業主として始めてみる方が安心でしょう。

自分で確定申告できる

個人事業主でも法人を設立しても、必ず会計処理は必要になります。

法人の場合は法人決算書などが必要で、細かな会計処理をするために税理士に頼まなければならないことがほとんどです。

一方、個人事業主の場合は個人の確定申告のみで会計処理を終えることができます。

税理士に頼むにはお金もかかるため、そこまで資金的に余裕がなさそうな場合や、副業などにチャレンジしてみようと考えている場合は、個人事業主として始めてみてください。

法人のメリット

次に法人化するメリットについてお伝えしていきます。

これまでお話してきたように、同じ業界や業種で経験が豊富にあり、明確な実績が提示できるような場合には法人を設立するメリットがあると言えます。

法人税の税率が低い

よく法人化した方が税金が少なくて済むと言われていますが、実際の税率は具体的にどのくらいなのでしょうか。

国税庁の「No.5759 法人税の税率」によると、法人税の税率は最大でも23.4%です。

一方で個人事業主の場合の所得税の税率は、課税される所得の金額によって決められ、最大45%で、所得税は900万円以上になると税率が33%になります。

引用元:国税庁  No.2260 所得税の税率

そのため、法人税の税率の方が所得税の税率より低くなります。

個人事業主としての所得が900万円以上ある場合や、法人としての利益が900万円以上と見込まれる場合には法人を設立した方が節税になると言えるでしょう。

損金にできる項目が多い

役員報酬に関してのご説明をした際にもお伝えした通り、損金はいわゆる経費にあたります。

個人事業主の場合、事業で得た収入は所得税の課税対象になります。

一方で法人化した場合、役員報酬や賞与も損金に含まれるので、事業で得た利益がそのまま課税対象になるということはありません。

もちろん損金として扱うには毎月の役員報酬が定期同額給与であることと、賞与は事前確定届出給与として事前に届け出る必要があるので、注意が必要です。

それ以外にも損金にできる項目が多い分、課税対象になる金額は少なくなるので、これは法人を設立するメリットと言えるでしょう。

社会的な信用の高さ

ここまで税金に関する内容が多くなりましたが、事業をしていく上で社会的な信用も大事になってきます。

例えば、テナントを借りる場合や融資を受ける際に、個人事業主だと審査が通りにくくなります。

また、個人とは取引をしないという会社も多くあるのが現状です。

そのため、個人事業主として事業が順調で、より取引先を増やしていきたいと考えているような場合には、法人化する方が良いでしょう。

いきなり法人から個人事業主に戻るには?

法人として赤字が続いてしまった、法人としての利益が少なく、所得税として納付した方が節税になるなど、法人である必要性がなくなった場合には、法人をたたんで個人事業主として事業を行おうと考えるのではないでしょうか。

そうしたときに法人を解散させるには、手続きが必要です。

  • 債務や債権の清算を行う
  • 解散の手続きを行う
  • 個人事業主として開業届を提出する
  • 資産や権利を個人に移す

解散の手続きにはお金もかかります。

法人化するのに多くの手続きが必要なように、解散させるにも手続きが必要になるため、法人の設立は計画的に行うことをおすすめします。

まとめ

ここまで、個人事業主と法人のメリットとデメリットについて、また法人化する際の注意点についてご紹介してきました。

法人化した方が社会的信用も得られ、納める税金が少なくなることもありますが、その一方で設立するにも解散するにもお金と手続きが必要になります。

経営サポートプラスアルファでは、個人でも法人でも独立を少しでも考えている人のご相談に乗らさせていただいております。

相談は何度でも無料なので、お気軽にご相談ください。