働き方改革の影響もあり、空いた時間で副業したいというサラリーマンの方も増えてきたのではないでしょうか。
これから副業をしようと考えている方にとって、
- 個人事業主になった方が良いのか
- 個人事業主としてやるならどういった手続きをとればよいのか
という点は気になるのではないでしょうか。
今回は副業で個人事業主になる手続きやメリットについて解説していきます。
個人事業主とは?どうやってなるの?
個人事業主の法的な定義
個人事業主とは個人で事業を行っている人のことを言います。
「自営業」「自由業」「フリーランス」と呼ばれる人は原則として個人事業主として開業しています。
- 自営業
- 自由業
- フリーランス
個人事業主になるために必要な手続き
個人事業主になるための必要手続きは下記のとおりです。
- 税務署に開業届を提出する
- 税務署に所得税の青色申告承認申請書を提出する
- 会計ソフトで帳簿を作成する
具体的に見ていきましょう。
開業届を提出する
個人事業主になるためには税務署に開業届を提出する必要があります。
開業届は事業を始めた1ヶ月以内です。
開業届の用紙は税務署にもありますし、また国税庁のホームページでダウンロードできます。
特段審査などはなく、開業届を提出すると税務署の受付印が押され、開業が認められます。
受付印が押された開業届は銀行口座の開設や銀行融資の際に利用することがあるので、保管しておきましょう。
職業欄はどうする?
開業届の職業欄は事業によって税率が異なるので実は重要な項目となっています。
詳細の税率は下記のとおりです。
- 鍼灸・マッサージ・その他の医療系の事業・・3%
- 畜産業・水産業・薪炭製造業・・4%
- その他サービス業など・・5%
また事業所得が年間290万円以下の場合や文筆業や漫画家・画家、通訳業・翻訳業、日本国外での所得の場合は非課税になります。
職業欄には特別決まりがありませんので、一般に広く認知されている職業を書けば大丈夫です。
悩む場合は総務省の職業分類を参考にしてみてください。
税務署に青色申告承認申請書を提出
開業から2ヶ月以内に税務署に青色申告承認申請書を提出することで、最大65万円の所得控除を受けることができます。
個人事業主は「白色申告」「青色申告」という2つの申告方法を選択できます。
白色申告の場合は簡易的な帳簿作成でよい代わりに、10万円の控除しか受けることができません。
そのため、特に理由がないときは青色申告にすることをおすすめします。
帳簿作成はクラウド会計システムを利用することで、会計知識がない方でも簡単に作成することができます。
会計ソフトで帳簿を作成する
帳簿はクラウド会計システムで作成することをおすすめします。
クレジットカードや銀行口座と自動連携することができ、簡単に帳簿を作成できるためです。
副業で個人事業主になるメリットは?
副業で個人事業主になるメリットは下記の3つです。
- 青色申告で65万円の特別控除を受けることができる
- 本業と損益通算できる
- 赤字を最大3年間繰り越すことができる
具体的に見ていきましょう。
青色申告で65万円の特別控除を受けることができる
青色申告の開業届をだすことで、65万円の特別控除を受けることができます。
特別控除とは所得から一定金額を差し引くことができ、減税できる制度です。
例えば年収が700万円での人が65万円の給与で収入を上げた場合、社会保険料・所得税・住民税などが差し引かれ、手取りは42万円前後になります。
一方で、年収700万円の人が65万円の副業で収入を上げた場合、65万円の特別控除がありますので、65万円がそのまま手取りになります。
つまり本業で年収を上げるよりも副業で年収を上げた方が手取り収入は増えるということです。
青色申告書にして、適切な記帳をするだけで受けられる控除なので、必ず利用することをおすすめします。
本業と損益通算できる
サラリーマンの場合、本業の給与所得と損益通算することで所得税・住民税を節税できるというメリットがあります。
損益通算というのは得た収入を他の所得と合算できる制度のことをいいます。
例えば本業での年収が550万円の場合で、副業で50万円の赤字が出た場合、所得税・住民税で6~10万円程度の節税効果があります。
赤字を最大3年間繰り越すことができる
事業所得で大きく赤字が出て、給与所得を下回った場合でも、赤字を3年間繰り越すことができます。
例えば年収が500万円で給与所得の課税所得が250万円の方が事業所得で300万円の赤字となった場合、課税所得が△50万円となります。
この△50万円を3年間に渡り、繰り越すことができます。
そのため、次年度の年収が同じように500万円で給与所得の課税所得が250万円で、控除後の事業所得が50万円だった場合、通常の場合は300万円に対して、所得税・住民税が課税されます。
しかしながら、△50万円を繰り越しているので、課税されるのは250万円となり、所得税・住民税で約10万円の節税効果があります。
個人事業主のデメリットは?
副業で個人事業主になることは失業保険が受けられないことがあるというデメリットもあります。
詳しく説明していきます。
失業保険が受けられないことがある
個人事業主として開業届を出した場合、失業保険が受けられない可能性があります。
失業保険を受け取ることができる条件は下記のとおりです。
- 雇用保険に加入している
- 雇用保険に加入していた期間が、退職前の2年間で12ヶ月以上ある
- 失業状態にある
個人事業主が失業保険を受けることができないのは「失業状態にある」という条件に当てはまらないためです。
原則として副業で開業届を出してしまった場合、どれだけ副業の収入が少なくても失業保険を受け取ることができません。
そのため、失業する可能性のある人で、今後副業を考えている人は中途半端に開業しない方が良いでしょう。
そして、失業しそうになった場合には、裏技として、会社を辞める前に副業の廃業届をだすことをおすすめします。
会社を辞める前に廃業届を出すことによって、失業保険を受給することができるのです。
会社を辞める後に廃業届をだした場合、最後に辞めたのが個人事業主となるので、失業保険は受給できません。
廃業届を出すタイミングには気を付けるだけで失業保険を受けることができるので、事前に確認しておきましょう。
まとめ
今回は副業するには個人事業主になった方が良いのかという点と手続きやメリットについて解説してきました。
記事のポイントを最後にまとめておきますので、確認してみてください。
・個人事業主とは個人で事業を行っている人で、サラリーマンでもなれる。税務署に開業届を出すだけですぐになることができるため、副業をする際は届け出を出して開業するべき。
・給与と損益通算ができるため、副業で個人事業主になることは節税になることも。
・仕事を辞めた場合、失業保険は受け取れないため、そこには注意する必要がある。
結論として、サラリーマンが副業をやる場合は個人事業主になった方が良いと言えるでしょう。
特に青色申告の場合は税制上のメリットが大きく、手取り収入が増えるためです。
これから副業をしようと考えている方は青色申告で個人事業主となることをおすすめします。
しかし、収入が増えてきてしまうと、個人事業主だと反って損してしまう可能性もあります。
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