さまざまな理由からグループ会社の設立を目指すケースがあります。
しかし、グループ会社の設立にはリスクもあるため、しっかりとポイントを理解しておくことが大切です。
そこで、グループ会社を設立する理由から方法、注意点まで詳しくみていきましょう。
グループ会社の設立に興味を持っている人は参考にしてください。
目次
そもそもグループ会社とは?
グループ会社とはそもそも何なのか基本的な点について解説しましょう。
グループ会社は子会社や関連会社などの総称
グループ会社とは子会社や関連会社などを総称したものです。
グループ会社について明確な定義が行われているわけではありません。
一般的には親会社があり、それに順属する形で子会社や関連会社が存在している場合、それらを総称してグループ会社と呼んでいるのです。
日本にはグループ会社を形成している大企業がたくさんあります。
◯◯グループと称されているケースが多いです。
親会社が子会社などの株式を保有している
グループ会社は親会社が子会社や関連会社の株式を保有しています。
株式を保有することで親会社が議決権を有することができ、支配力を発揮できるのです。
基本的には親会社が株式を所有して議決権の過半数を有して支配している法人のことを子会社と呼びます。
会社法によって厳密に子会社の定義が定められているのです。
仮に議決権を過半数有していなかったとしても、親会社の意思に従って議決権を行使する特定の者を含めて議決権の過半数を超えていれば、この場合でも子会社として扱われます。
親会社は子会社や関連会社を実質的に支配している
子会社は親会社に実質的に支配されています。
基本的に親会社の意向に逆らうことはできないのです。
親会社に完全に従属する存在とされています。
一方、関連会社は、親会社によって重要な影響を与えられている会社のことです。
たとえば、議決権の20%以上を親会社が所有する関係にある場合は関連会社と呼ばれます。
したがって、関連会社は親会社に完全に支配されているわけではありません。
それでも、親会社が20%から50%もの株式を所有しているため、関連会社は親会社から多大な影響を受けます。
関連会社が株式をさらに取得して子会社化するケースもよくあります。
グループ会社を設立する理由
どうしてグループ会社が設立されるのか理由を説明しましょう。
節税対策のため
節税対策のためにグループ会社を作るケースがあります。
子会社に利益を分散させることで軽減税率の恩恵を受けやすくなり節税できるのです。
資本金1億円未満の企業は課税所得ごとに税率が異なるため、子会社を作りそれぞれの会社の所得を抑えることができれば節税できます。
また、親会社から子会社へと役員や従業員を転籍させる際に退職金を費用として計上して節税することも可能です。
さまざまな方法で節税ができるため、グループ会社が設立するメリットがあるのです。
意思決定の効率化を図るため
グループ会社を作ることで意思決定の効率化を図るケースがあります。
グループ傘下の企業に事業を任せて、親会社がグループ全体の意思決定に注力するのです。
個々の事業の細かな意思決定は子会社に任せて、親会社はグループ全体を管理するという役割分担をすることで意思決定の効率化を図ります。
リスクヘッジをするため
子会社を作ることでリスクヘッジが図れます。
親会社と子会社のどちらかに問題が起きたとしても、片方の会社で事業を継続できるのです。
たとえば、業務停止を命じられる事態が起きたとしても、グループ会社であれば他の会社が事業を継続することでカバーできます。
親会社と子会社で社名がまったく異なっていれば、グループ内の会社で不祥事が起きたとしても他の会社が受ける影響を抑えることも可能です。
組織の活性化を図るため
組織が大きくなると管理が難しくなります。
さまざまな問題点を見過ごしてしまい組織が機能不全になるケースは多いです。
そこで、グループ会社を作り、各事業を子会社に分散させます。
そうすれば、それぞれが小さな組織になり、各組織の管理を効率よく行えるようになり、さまざまな問題点を改善することができるようになるのです。
現場の意見もきちんと把握できるようになり、適切な改善策を実施して現場のモチベーションアップが図れます。
部門ごとの損益を明確にするため
グループ会社では各事業ごとに損益管理をできるようになります。
その結果、それぞれの部門ごとの損益を把握しやすくなるのがメリットです。
たとえば、特定の部門に経費がかかりすぎているといった問題点が明確になります。
後継者を育成するため
後継者を育成するにはグループ会社の体制は都合が良いです。
後継者候補に子会社や関連会社の経営を任せることができます。
そこで、実際に経営の経験や知識、センスを現場で身につけさせられるのです。
また、後継者の資質チェックが行えるため、後継者候補の選別にも役立ちます。
グループ会社設立には問題点もあるため注意!
次にグループ会社設立にどのような問題点があるのか説明しましょう。
子会社が問題を起こすとグループ全体のイメージダウンになる
もし子会社が問題を起こすと親会社や他の子会社などのイメージダウンにつながります。
特にグループ会社間で似たような会社名をつけている場合は注意しましょう。
子会社の不祥事に対して親会社としてどのような対応を取るのかも大切です。
親会社の対応にも問題があれば、グループ全体で信頼が失墜します。
コストがかかる
グループ会社を形成するためにはコストがかかります。
子会社を設立する場合も他社を買収する場合も、いずれにしてもお金はかかるからです。
また、グループ傘下の企業が増えていくとランニングコストも余計にかかります。
法人は赤字でも住民税の均等割が発生するため、この点も負担になるでしょう。
グループ内の情報を把握するのが難しい
グループ会社を形成すると、各事業を分散して子会社に任せることになります。
その結果、グループ傘下の各企業の状況を把握するのが難しくなります。
各子会社の状況を正確に把握できなければ、グループ全体の経営数値を把握するのも困難になるのです。
グループ内の情報を正確に把握できなければ将来的に問題が起きるでしょう。
グループ全体の舵取りが上手くいかなくなるからです。
親会社と子会社の損益通算は基本的にできない
たとえ親会社と子会社という関係であっても、基本的に損益通算はできないため注意しましょう。
損益通算できるのは、子会社の株式を親会社が100%保有している関係の場合のみです。
この場合は実質的に親会社と子会社が一体化しているとみなせるためひとつの法人とみなして連結納税しなければいけません。
それ以外のケースでは、親会社と子会社は別々の法人とみなされるため、損益通算はできず、それぞれの法人ごとに課税されます。
グループ会社を設立する方法
実際にグループ会社を設立するための方法を解説します。
子会社を設立する
グループ会社を設立したいならば、子会社を作ると良いでしょう。
子会社を新規設立すれば、グループ会社の体制を整えられます。
子会社の新規設立の方法は、一般的な会社設立と同じ流れです。
ただし、親会社が発起人になる点だけは異なります。
親会社が発起人になる際の注意点として、事業目的に関連性を持たせなければいけません。
親会社と子会社で事業目的として、1つは共通性を持たせましょう。
これは親会社が子会社を設立するのが、親会社の事業目的の範囲に含まれる必要があるからです。
会社分割をして事業を切り離す
親会社の事業を切り離して分割することで子会社を設立することができます。
この場合、新たに法人化した会社に事業の権利義務を与える方法と、既存の会社に事業を分割して渡す方法の2つがあります。
事業の権利義務を与える際には対価として株式を受け取ります。
その結果、親会社と子会社の関係が生まれるのです。
他社を買収して子会社化する
他社の株式を取得して子会社化する方法があります。
相手企業の株式の50%以上を取得すれば子会社にできるのです。
事前に相手会社と面談をして友好的な関係を築いてから買収をするのが一般的です。
一方、相手会社からの合意を得ないまま強引に買収して子会社化する場合は敵対的買収と呼ばれます。
グループ会社設立で注意しておきたいポイント
グループ会社を設立する際に注意しておきたいポイントについて解説します。
従業員を転籍させるならしっかりとフォローしておく
グループ会社を作る際には子会社や関連会社に従業員を転籍させるケースがあります。
この場合はしっかりとフォローをすることが大切です。
転籍で新しい環境に馴染むまで負担がかかりストレスを与えます。
転籍そのものに不満を覚えるケースもあるでしょう。
必要に応じてフォローアップを行い、しっかりと従業員をケアすることが大事です。
税務調査で調査されるポイントを理解しておく
グループ会社を設立すると税務調査で厳しくチェックされます。
グループ内の企業の取引には恣意性が介入する可能性があるからです。
たとえば、相手が子会社だからといって商品や資産の売買で時価とかけ離れた価格にしてはいけません。
時価との差額については寄付と扱われて損金不算入の適用を受けるケースがあります。
また、グループ会社内でお金の貸し借りをする際には、無利息で融資を行うと寄付と扱われて税制上不利になるケースがあります。
子会社や関係会社といっても法的には別の法人のため、第三者と行うような取引を心がけることが大切です。
グループ内の経営管理のシステムを整える
グループ会社の経営ではいかにして管理を行うのかが大切です。
グループ全体の管理をきちんと行うことでグループ全体の活性化を実現できます。
そのためには、経営管理のシステムを整えると良いです。
経営管理システムの導入方法には市販のシステムを利用する、システム開発を外注する、自前でシステムを開発して運用するといった選択肢があります。
予算なども考慮して導入の方法を決めましょう。
あらかじめ専門家に相談しておく
グループ会社の設立はさまざまな事態を想定して準備を進めることが大切です。
そのためには専門家に相談をすることをおすすめします。
専門家であればグループ会社の設立や経営におけるリスクを把握しており、適切な対策方法を提案できるからです。
専門家のアドバイスを参考にしながらグループ会社を設立しましょう。
グループ会社設立の専門家をお探しならば経営サポートプラスアルファにご相談ください。
会社設立のプロである経営サポートプラスアルファはグループ会社設立にも対応可能です。
まずは経営サポートプラスアルファまでお気軽にお問い合わせください。
グループ会社の設立について専門家に相談しよう
子会社や関連会社を傘下に置くのがグループ会社です。
グループ会社の体制であれば、節税や組織の効率化、リスクヘッジといったメリットがあります。
ただし、グループ会社のリスクもあるため、専門家の意見を聞きながら準備を進めましょう。
グループ会社について悩んだときは経営サポートプラスアルファにご相談ください。
グループ会社設立に関するアドバイスを行い、手続きから設立後の顧問契約まで対応できます。
経営サポートプラスアルファは無料相談も行っているため、お気軽にお問い合わせください。