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フリーランスの税金処理とは?税金の控除項目や節税についても紹介

フリーランスの税金処理とは?税金の控除項目や節税についても紹介

最近は「フリーランスで働く」という言い方をよく耳にすることも多いのではないでしょうか?

個人事業主もフリーランスも実質的な違いはなく、税法上は同じ扱いになります。

したがって、確定申告が必要であり、自ら税務署に届け出て納税する必要があります。

ここでは、フリーランス・個人事業主の上手な節税のコツを中心に解説します。

フリーランスと個人事業主の違い

会社に所属せず、個人で自由にクライアントと契約して仕事をする人のことをフリーランスといいます。

ただし、フリーランスに法的な定義はないので、自らフリーランスと名のればフリーランスです。

個人事業主との違いは「その事業を法人ではなく個人で行う者として税務署に開業届を提出」しているかどうか。

税法上は、フリーランスも個人事業主の扱いです。

フリーランスの例

フリーランスとされる職種は、たとえば以下のような仕事です。

ライター

個人や会社と契約を交わして文章の執筆を請け負う仕事をライターと言います。

最近はクラウドソーシングの発達によって、Webに特化したライターも多いです。

記事の執筆・インタビュー・ルポライター・シナリオライター・ブックライター・コピーライターなど、ライターの仕事はさまざまです。

デザイナー

ライター同様に、個人で個人や会社のクライアントと契約を交わし、報酬を得ます。

クラウドソーシングを通じたWebデザイナーも増えています。

イラストレーター

イラストレーターもライターやデザイナーと同様です。

また、自分の絵を広く売ったりするイラストレーターも存在します。

フリーランスの納付すべき税金は4種類

フリーランスと個人事業主に、税法上の取り扱いの違いは存在しません。

フリーランスの場合も納めるべき税金の種類は同じです。

つまり、所得税、住民税、個人事業税、消費税の4つです。

フリーランスの場合、特に意識しておきたいのは所得税です。

所得税が主になる

所得税は、申告納税方式の国税で、毎年1月1日から12月31日までの1年間に事業を通じて得た所得に対して課せられます。

給与所得者(会社員)の場合は源泉徴収されますが、個人事業主の場合には自分で計算して確定申告をすることが必要です。

住民税は確定申告をもとにして税額が決められ、納付書が届きます。

したがって、個人として働いている場合や小規模の事業の場合は、所得税の確定申告が中心です。

フリーランスでもできる節税術

「節税」は「脱税」とは違って正当な手続きです。

まず、必要経費、所得控除、税額控除をきちんと理解し普段から確定申告に備えて領収書等をきちんと整理して取っておくことが大切です。

またその他にも、税法上の特典を得られる方法もあります。

ここでは、フリーランスでもできる節税術をいくつかご紹介します。

制度をうまく使って、税金を払いすぎないようにしましょう。

小規模企業共済に加入する

国の制度として、小規模企業共済等掛金控除があります。

1年間に支払った掛金の全額が所得から控除でき、控除額に上限はありません。

対象になるのは、次の4つです。

  • 1.小規模企業共済制度の掛金
  • 2.個人型確定拠出年金(iDeCo)
  • 3.企業型確定拠出年金(企業型DC)の掛金
  • 4.心身障害者扶養共済制度の掛金

そのなかで、とくにフリーランス・個人事業主にかかわってくるのは、小規模企業共済制度の掛金と個人型確定拠出年金(iDeCo)でしょう。

まずここでは小規模企業共済制度についてご説明します。

小規模企業共済制度は、国が全額出資する中小企業基盤整備機構が運営する制度です。

「事業主のための退職金制度」といわれるように、個人事業主や小規模企業の会社役員を対象にして、廃業・退職時に共済金が支払われます。

2021年3月現在で、約153万人が加入しており、掛金は月額1,000円~7万円(500円単位)で、年額でいうと1.2~84.0万円です。

掛金の変更は手続きをすればいつでもできます。

また、受取り時の共済金に関しても、退職所得または公的年金等の雑所得扱いとなり、控除を受けることが可能です。

家族への給与を経費にする

通常は、家族に支払った給与は必要経費に算入できませんが、青色申告者の場合は、青色事業専従者(青色申告者と生計を一にする親族で事業に専従している人)に支払った給与のうち、適正な金額を必要経費に算入することができます。

青色事業専従者給与に関する届け出」を提出し、そこに記載した給与額の範囲内で可能となります。

いうまでもなく、不相当な対価額の場合は認められません。

青色確定申告をする

青色申告とは、複式簿記にもとづいて取引を帳簿に記録し、それをもとに所得税を計算して申告することをいいます。

なお、青色申告以外の申告を白色申告といいます。

青色申告者となるためには、青色申告をしようとする年の3月15日まで(1月16日以降に開業する人は、開業日から2ヵ月以内)に「青色申告承認申請書」を税務署に提出しなければなりません。

青色申告をすると、税法上の特典が受けられます。

正規の簿記の原則に基づいて作成された、賃借対照表と損益計算書を添付して期限内に申告書を提出した場合は、所得金額から55万円の控除を受けることが可能です。

さらに、e‐Taxを利用した場合は10万円も控除され、最大で65万円の控除額となります。

期限を過ぎてから申告した場合は、10万円の控除です。

また、青色申告者の場合には、純損失(赤字)が出た場合に、その純損失を翌年以降3年間にわたって各年の所得から控除することができます。

前年も青色申告をしているならば、損失額を前年の所得から控除して、前年分の所得税の還付を受けることも可能です

家事按分で経費計上する

自宅を事務所や店舗として使用している場合には、生活のための費用と事業のための費用について家事按分して、事業のための費用を必要経費とすることができます。

家賃、水道光熱費、電話代、インターネット代、固定資産税、駐車場代などが対象です。

家賃の場合

床面積で割合を計算します。

持ち家の場合

床面積にもとづく建物の減価償却費、固定資産税、住宅ローンの金利、火災保険料を按分できます。

水道光熱費

正確な数字を出すことは難しいですが、合理的な割合で算出します。

通信費

客観的に納得できる範囲で按分します。

自動車関連

車両本体の購入代金・ガソリン代・駐車場代・高速代・車両保険料・自動車税・車検費用などを按分することができます。

国民年金前納割引制度や年金の追納で控除額を増やす

国民年金保険料の前納割引制度を活用して納付額を減らしたり、また年金の追納を行うことで税額を抑えることも可能です。

国民年金前納割引制度は、以下のようになります。

割引額は、年率4%で複利計算した額、年平均では、1.8%の割引です。

これを金額で示します。

現金払いの場合は、

  1. 6カ月分前納で「810円」の割引(99,660円―810円=98,850円)
  2. 1年分の前納で「3,540円」の割引(199,320円―3,540円=195,780円)
  3. 2年分の前納で「14,590円」の割引(398,400円―14,590円=383,810円)

口座振替の場合は、

  1. 6か月分の前納で「1,130円」の割引(99,660円―1,130円=98,530円)
  2. ◆1年分の前納で「4,180円」の割引(199,320円―4,180円=195,140円)
  3. ◆2年分の前納で「15,850円」の割引(398,400円―15,850円=382550円)

なお、現金払いで「2年前納」の場合には事前の申し込みが必要です。

毎年2月1日から申出書の受付が始まり、年金事務所に申し出ます。

また、口座振替で「2年前納」「1年前納」「6か月前納」の申込みの締切は2月末日なので、注意してください。

口座を持っている金融機関か、年金事務所へ「国民年金保険料口座振替納付(変更)届出書」を提出します。

もし、国民年金保険料の免除または猶予を受けたことがある場合には、過去10年以内であれば後からその分の保険料を支払うこと(追納)が可能です。

国民年金保険料は所得控除(社会保険料控除)の対象となるため、所得が多かった年にうまく追納することで、所得金額を抑え、節税効果を得ることができます。

なお、追納ができるのは以下の免除や猶予などを受けている場合です。

  1. 申請免除:経済的な理由(失業など)で保険料を納付することが困難な場合に受けられる免除
  2. ◆納付猶予:50歳未満の第1号被保険者で本人および配偶者の所得が一定以下の人が受けられる猶予
  3. ◆学生納付特例:第1号被保険者で、本人の所得が一定以下の学生

iDecoに加入する

iDeCo(個人型確定拠出年金)とは、自分で決めた額(掛金)を積み立てて運用し、60歳以降に受け取る年金のことです。

公的年金にプラスできる「もうひとつの年金」と言えるでしょう。

掛金額が全額所得控除できるので、大きな節税効果があります。

受取り時も、年金として受給する場合は公的年金等控除、一時金として受け取る場合は退職金控除が受けられます。

少額減価償却資産の特例

長期にわたって事業で使用する固定資産は、使用しているうちに年々価値が減少していきます。

その価値の減少分を見積もって、費用計上する手続きを減価償却といいます。

また、少額減価償却資産(取得金額が10万円未満のもの)については、減価償却を行わず、取得金額を全額、その年の必要経費とすることができます。

さらに、青色申告者に関しては、取得金額が30万円未満のものについては、取得価額の年間合計額が300万円に達するまで、全額をその年の必要経費とすることが可能です

この特例を黒字の年にうまく活用すると、大きな節税効果があります。

まとめ

このように、フリーランス・個人事業主は、確定申告において正しく申告することに加えて、さまざまな節税の方法を利用することによって、税金を払いすぎるのを防ぐことができます。

記事監修者の情報

税理士法人
経営サポートプラスアルファ

代表税理士 高井亮成

保有資格:税理士・行政書士

税理士の専門学校を卒業後、会計事務所に入社。
その後、税理士法人に転職をして上場企業や売上高数十億円~数百億円規模の会計税務に携わる。

現在は税理士法人の代表税理士として起業・会社設立をする方の起業相談からその後の会計、決算、確定申告のサポートを行っている。