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【税理士が解説】不動産を個人から法人へ売却する際のポイントとは?メリット・デメリットも紹介

不動産業で法人成りする必要はある?リスクは?必要な手続きや節税のポイントなどを解説!

不動産を個人名義で保有し、事業を展開してきた方が、税務上のメリットやリスク管理の観点から法人化を検討するケースが増えています。不動産を個人から法人へ売却することで、節税効果や相続対策などのメリットが期待できますが、一方で手続きの煩雑さや法的リスクが伴います。

本記事では、不動産を個人から法人へ売却する際の具体的な手順や注意点について詳しく解説します。

不動産を法人へ売却するメリット

1. 節税効果

法人に不動産を売却することで、所得税の累進課税率から法人税のフラットな税率に移行するため、所得が高い場合には大きな節税効果が期待できます。特に、役員報酬や退職金の形で報酬を受け取ることで、個人所得税を抑えつつ法人税の適用を受けることができます。また、法人では経費として認められる範囲が広くなるため、さらに節税効果を得ることが可能です。

2. 相続対策

不動産を法人名義にすることで、相続時の負担が軽減されます。個人で不動産を所有している場合、相続税の負担が大きくなることがありますが、法人化により、不動産は法人の所有物として扱われるため、相続税の課税対象となりません。これにより、法人の株式を相続する形で、不動産を次世代に引き継ぐことができます。

3. 資産と負債の分離

法人に不動産を売却することで、個人の資産と法人の資産を分離することができます。これにより、個人の財産が不動産投資のリスクに晒されることを避けることができ、リスク管理の観点からも法人化が有効です。また、法人としての信用力を利用して、融資を受けやすくすることも可能です。

不動産を法人へ売却する際のデメリット

1. 設立および維持費用

法人を設立する際には、登記費用や登録免許税など、一定の初期費用が発生します。さらに、法人を維持するためのランニングコストがかかり、税理士や会計士への報酬、社会保険料の負担など、個人事業よりも経費がかさむ傾向があります。また、赤字であっても法人住民税(均等割)が課されるため、収益性を十分に検討する必要があります。

2. 法的リスクと会計処理の複雑さ

不動産を法人へ売却する際には、会計処理が複雑になるため、税務署からの監査リスクが高まります。特に、不動産の譲渡価格を適正に評価しないと、税務署から指摘を受ける可能性があり、結果として多額の追徴課税が発生するリスクがあります。さらに、法人税の申告や決算処理には専門知識が必要であり、税理士のサポートを受けることが望ましいです。

3. 不動産のローン引き継ぎの難しさ

個人で不動産を購入する際に借り入れたローンを、法人に引き継ぐことは容易ではありません。法人は個人とは別の法的存在であるため、個人で借りたローンをそのまま法人に移行することはできず、再審査が必要となります。場合によっては、法人へのローンの移行が認められず、個人名義でのローン返済が求められることもあります。

不動産を法人へ売却する際の手続き

1. 不動産の評価と売却契約の締結

まず、不動産を法人へ売却するためには、適正な評価を行い、売却価格を決定します。この際、時価を基準とするのが原則ですが、時価が不明確な場合は、簿価を基準にすることも可能です。売却契約書を作成し、個人と法人の間で売却手続きを進めます。この契約が成立すると、法人は購入代金を支払い、個人はその金額を受け取ります。

2. 不動産の名義変更手続き

売却後、不動産の名義を法人名義に変更するためには、法務局で登記手続きを行う必要があります。この手続きには、不動産登記申請書や売買契約書、法人の印鑑証明書などが必要です。名義変更には手数料がかかり、書類に不備がある場合は再提出が求められるため、事前にしっかりと準備しておくことが重要です。

3. 税務処理と申告

不動産を法人へ売却した際の所得について、適切な税務処理を行います。個人側では、売却益に対して譲渡所得税が課され、法人側では受贈益として課税されます。これらの税務処理を正確に行うためには、税理士の助言を受けることが望ましく、申告期限を守ることが重要です。

不動産を法人へ売却する際の注意点

1. 税務リスクの管理

不動産を法人へ売却する際には、税務リスクの管理が重要です。特に、売却価格が時価よりも著しく低い場合、税務署から指摘を受ける可能性が高くなります。適正な価格での取引を行い、税務リスクを回避するために、事前に税理士と十分に相談しておくことが大切です。

2. ローンの扱いに注意

前述のように、個人で借りたローンを法人に引き継ぐことは難しいため、ローンの扱いについても事前に検討が必要です。法人で新たにローンを組む場合には、法人の信用力や資産状況を確認し、適切なローン契約を結ぶようにしましょう。

3. 法人化のタイミング

法人化のタイミングも重要です。不動産の売却を法人化後に行うことで、節税効果が高まる場合もありますが、逆に法人化前に売却を済ませたほうが有利なケースもあります。個々の状況に応じて、最適なタイミングを見極めることが必要です。

不動産業の法人成りについて専門家に相談しよう

不動産を個人から法人へ売却することは、節税効果や相続対策として非常に有効な手段ですが、同時に手続きの煩雑さや税務リスクを伴います。法人化を検討する際には、専門家の助言を受けながら、慎重に計画を立てることが成功の鍵となります。

法人化のメリットを最大限に活かすためには、適切なタイミングでの法人化と、正確な税務処理が重要です。

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記事監修者の情報

税理士法人
経営サポートプラスアルファ

代表税理士 高井亮成

保有資格:税理士・行政書士

税理士の専門学校を卒業後、会計事務所に入社。
その後、税理士法人に転職をして上場企業や売上高数十億円~数百億円規模の会計税務に携わる。

現在は税理士法人の代表税理士として起業・会社設立をする方の起業相談からその後の会計、決算、確定申告のサポートを行っている。