会社設立にあたっては自己資金だけで賄う人は多くいます。
ただ、逆に金融機関などから融資を受けて会社設立する人も多いのです。
今回は会社設立の際に重要となる融資について解説します。
目次
会社設立で融資を利用する人が増えている
従来は「資金が貯まってから起業する」という考え方が一般的でした。
しかし現在では、以下のような制度を活用して、融資を受ける人が増えています。
- 日本政策金融公庫の創業融資
- 自治体の制度融資
- 信用金庫の創業支援枠
実際、日本政策金融公庫の公開情報を参照すると、65.2%もの人が会社設立時に融資を受けています。
会社設立で融資を活用するメリット
まずは、会社設立にあたって融資を活用するメリットを解説します。
① 開業資金を十分に確保できる
融資を受けることで、会社設立時に必要となる備品購入費や登記費用などの初期費用を確保できます。
自己資金だけでは不足しやすい部分を補え、資金面の不安を軽減できるのです。
十分に資金を確保できれば、開業準備を計画的に進められ、焦らずに事業をスタートできます。
② 運転資金に余裕ができる
事業が軌道に乗るまでには一定の時間が必要です。
その間にかかる家賃や光熱費、広告費などを運転資金として確保しなければなりません。
余裕をもたせることで、資金ショートのリスクを避け安くなります。
また、日々の支払いで悩む必要がなくなるため、安心して事業に集中できるでしょう。
③ チャンスを逃さず投資できる
十分な資金があることで、事業成長の機会に積極的に投資できます。
たとえば、効果的な広告の実施や新たな商品の導入などです。
資金不足から成長のチャンスを逃すことなく、事業を拡大できる可能性が高まります。
資金面での柔軟性は大きな強みとなりえるのです。
④ 信用力の向上につながる
金融機関からの融資に通過できたという実績は、意外にも重要な要素です。
一般的に審査は厳しく、通過できることで「その事業が一定の信頼性を持っていると判断される」からです。
取引先や顧客からの信用にもつながり、ビジネスが進めやすくなるでしょう。
信用力が高いと証明できることで、新たなビジネスチャンスが広がります。
⑤ 現金を残しながら事業を進められる
自己資金のみで進める場合、手元にある現金が大きく減ってしまいかねません。
しかし、融資を利用すれば一定の余力を残した状態で経営できます。
現金に余裕があることで精神的な安心感も得られ、長期的な視点で事業に取り組みやすくなるのです。
会社設立で融資を活用するデメリット
続いて、会社設立にあたって融資を活用するデメリットも解説します。
① 返済がキャッシュフローを圧迫する
融資は資金を確保できる反面、毎月の返済義務が発生します。
売上が計画通りに伸びなかった場合や想定外の支出が発生した場合、返済負担がキャッシュフローを圧迫しかねません。
創業初期の資金計画は、慎重に設計しなければ倒産する危険性があります。
② 利息コストが累積し負担となる
融資を受ける場合、元金だけでなく利息も支払い対象となります。
たとえ低金利であっても、長期間の返済では支払総額が大きくなるでしょう。
なお、融資条件によって返済負担が大きく変わり、経営にも大きな影響を与えます。
会社設立で融資を受ける際は、金融機関の商品を比較したり利率を確認したりする作業が必須です。
③ 審査に時間と手間がかかる
融資を受けるには、事業計画書や財務資料、個人情報の提出など多くの準備が必要です。
また、審査には時間がかかり、一度で通らないこともあります。
会社設立の忙しい時期に作業が増え、一連の負担が大きなデメリットになるかもしれません。
④ 経営の自由度が減る可能性がある
融資を受けた場合、金融機関から経営指導やチェックを受けることがあります。
場合によっては自由な意思決定がしづらくなるかもしれません。
特に返済が滞りそうな場合、経営面を管理されることもあります。
計画通りに経営が進んでいる場合、細かく指導を受けることは少ないでしょう。
会社設立の際に融資が必要となる理由
前述した通り、自己資金だけで会社設立をする人も多くいます。
しかし、反対に融資を必要とするケースもあるのです。
ここでは、融資が必要となる主な理由を紹介します。
開業資金に余裕を持たせる
融資を必要とする大きな理由は、開業資金に余裕を持たせることです。
会社設立の際には、各種手続き費用や設備費、備品購入費など、さまざまな支出が発生します。
これらの支払いに備えるため、現金を十分に確保しなければなりません。
また、会社を設立しても利益が安定するまでには時間がかかることが一般的です。
開業直後の数か月〜半年程度は、資金に余裕を持たせておくことが事業継続のリスク回避になります。
運転資金の確保
融資は開業資金だけでなく、運転資金としての役割もあります。
事業内容によっては、会社設立後すぐに事業が軌道に乗ることは多くありません。
一定期間は赤字が続いたり、広告や宣伝にまとまった費用が必要になったりするケースがあります。
このような期間を乗り切れないと、資金が枯渇し、最悪の場合は倒産することも考えられるでしょう。
そのため、開業資金がある場合でも、運転資金を考慮して早めに融資を受けるケースは考えられます。
会社設立の際に利用できる融資制度
融資といえば銀行から受けるイメージを持たれがちです。しかし、実際には様々な制度があるため、代表的なものを紹介します。
日本政策金融公庫
日本政策金融公庫は政府系金融機関です。
創業者向けの制度融資として 「新創業融資」「スタートアップ支援資金」 などが利用できます。
- 最大2,700万円の融資が可能
- 無担保・無保証人での申し込みが可能なケースあり
- 返済期間が長めで、創業時の返済負担が軽い
- 審査において事業計画書の内容が重視される
事業開始後、おおむね7年以内の事業者が利用できる制度です。
また、融資限度額は最大2,700万円と高額である点も注目しましょう。
返済期間が長めに設定されているため、少ない負担で返済しやすくなっています。
会社設立での融資を検討するならば、最初に詳細を確認して申し込むべきです。
地方自治体の融資制度
日本政策金融公庫だけでなく、都道府県や市町村などが提供する融資制度もあります。
地元の金融機関や信用金庫などが提携して実施されていることが特徴です。
- 金利が低く設定されるケースが多い
- 若者支援・女性起業家支援・地域産業振興など、対象が幅広い
- 審査において地域経済への貢献度が評価されやすい
一般的な金融機関よりも金利が低く設定されていて、会社設立時に利用しやすい制度です。
地域密着型が多く、地元での創業・地域事業展開を検討する方におすすめできる制度です。
都市銀行や地方銀行
メガバンクなどの都市銀行や地方銀行などへ直接融資を申し込む方法です。
ただ、直接申し込む場合は国や地方自治体のサポートがなく、銀行の判断だけで融資の可否が決定されます。
銀行は大きなリスクを背負うことになりかねず、会社設立の際には審査に通過できないかもしれません。
設立後数年が経ち、事業が軌道に乗ってから申し込みがおすすめです。
会社設立で融資を受けるまでの基本的な流れ
会社設立時の融資は段階的に進めることが重要です。
以下の流れを理解することで、申請がスムーズに進みます。
事業計画書を作成する
融資担当者が確認する最も重要な書類が事業計画書です。
事業の目的・市場分析・売上見込みなどを盛り込み、事業の実現可能性を具体的に示します。
また、悲観的なケースも踏まえた支出シミュレーションや返済計画を記載しましょう。
マイナスな側面を盛り込むことで、金融機関に信用してもらいやすくなります。
必要書類を準備する
開業届、印鑑証明、財務資料など申請に必要な書類を揃えます。
必要となる書類は金融機関や制度によって異なるため、前もって確認することが大切です。
書類に不足があると審査が遅れる原因になってしまいます。
チェックリスト化して確実に準備しておきましょう。
事前相談を済ませる
金融機関や自治体の窓口で事前に相談しておきましょう。
相談することで必要な融資額、適した融資制度、審査のポイントなどを把握できます。
初めての融資申請で不安がある場合でも、専門家や担当者からアドバイスを得られると融資を受けやすいでしょう。
また、準備不足によるトラブルも回避しやすくなるのです。
融資の申し込み
準備が整ったならば、融資の申込みを済ませましょう。
複数の金融機関や制度を検討している場合でも、1ヶ所に絞って申し込みします。
同時に、多くの融資を申し込みすることはおすすめできません。
面談を受ける
書類審査の後、面談が実施される場合があります。
事業内容や起業への意欲、返済意識について質問されるのです。
緊張せず正直かつ丁寧に説明することを心がけましょう。
会社設立の際に融資を受けるためのポイント
どのような融資でも事前に審査があります。
これをクリアできなければ資金調達ができないため、失敗しないためのポイントを解説します。
現実的な事業計画を立てる
どの融資を申し込む際も、事業計画の提出が必要です。
このとき、楽観的なものではなく、実現性のあるものにしましょう。
以下の観点から、現実的な事業計画を立てておきます。
- 売上予測の根拠
- 市場分析や競合分析
- 顧客獲得方法
- リスクとその対策
- キャッシュフロー計画
- 創業者の経歴や強み
楽観的な売上見込みではなく、慎重な予測に基づいた計画であることが必須です。
金融機関は「返済できる事業モデルか」を見ています。
過度に楽観的な計画は信用性が低く、審査を通過できない原因となりかねません。
税理士や中小企業診断士など、有資格者にアドバイスをもらうことが理想的です
事前の相談制度などを活用する
融資を受ける前に利用できる相談制度が設けられています。
会社設立にあたって融資を受けたい場合、まずは相談しておくと良いでしょう。
- 日本政策金融公庫の創業相談
- 各自治体の創業支援窓口
- 商工会議所・よろず支援拠点
- 創業支援専門の税理士相談
どの程度の資金が必要で、どれだけ融資を受ければ事業が成り立つかなど、一緒に検討してもらえます。
特に初めて会社設立する際は、分からないことが多いでしょう。
何となくで進めるのではなく、相談して専門家のアドバイスを得ることが賢明です。
面談の練習に力を入れる
融資では書類審査とは別に、面談での審査も発生しがちです。
この対策も十分に準備しておきましょう。
文章だけでは分からない人柄や考え方を確認されます。
適切な受け答えができないと、面談で融資を拒否されることもあり得るのです。
まとめ
会社設立にあたっては、半分以上が融資を活用しています。
そのため、会社設立を考えるならば、融資の利用を前提としても良いでしょう。
必ずしも、自己資金だけで会社設立することにこだわる必要はありません。
なお、会社設立では融資が必要かどうか含めて不明点が多いはずです。
その際は、お気軽に経営サポートプラスアルファへご相談ください。
会社設立に向けた事前準備、資金調達など、多角的にサポートいたします。

