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株式会社の設立に向いている人とは?メリットとデメリットを解説

会社を設立するときは、まず会社の形態を選ばなければなりません。

現在日本で設立できる会社形態は、株式会社・合同会社・合名会社・合資会社の4つです。

  • 株式会社…株式を発行できるため資金調達の幅が広い形態。有限責任。
  • 合同会社…運営工数や費用がかかりにくく、株式会社に次いで人気の形態。有限責任。
  • 合名会社…無限責任社員のみから構成される形態。人的結合が強い。
  • 合資会社…無限責任と有限責任、双方の出資者が必要となる形態。

このうち最も設立されているのが株式会社です。

会社法の改正後に合同会社の設立が増えているために、株式会社の全体における割合は少し減ってきてはいますが、それでも設立する会社の8割以上が株式会社です。

設立件数の推移

年度設立数設定全体の占有率
2009年95,363社94%
2010年86,222社94.1%
2011年80,535社91.8%
2012年80,244社89.9%
2013年81,889社84.9%
2014年86,639社81.4%
2015年88,803社80%
2016年90,459社79.2%

引用:政府統計の総合窓口e-Stat

そこで、今回の記事は、株式会社のメリット・デメリットを紹介しながら、どのような人が株式会社の設立に向いているのかを説明していきます。

株式会社とは

株式会社とは、文字通り株式を発行して資金を調達する会社形態のことです。

有限責任の出資者(株主)から資金を調達し、株主から選ばれた経営者が事業を行う形で会社を運営します。

出資者が経営者と同一とは限らない「所有と経営の分離」が見られる点が特徴です。

株式会社のメリット

株式会社は現在一番設立されている会社形態ですが、一体どのようなメリットがあるのでしょうか。

社会的な信用力が高い

株式会社を設立するためには、煩雑な手続きが必要です。

また、設立後も決算公告や取締役会、株主総会など煩雑な運営プロセスを踏まなければいけません。

その分、社会的な信用力は非常に高いのがメリットになります。

個人事業主や合同会社相手には取引を渋る企業や金融機関も多く存在するため、株式会社という形態で事業を運営するだけで、営業活動や借入がしやすくなると言っても過言ではないでしょう。

また、社会的な信用というのは企業以外にも通用します。

採用活動においても、他の会社形態よりも、見慣れた株式会社という形態の方が人を集めやすくなります。

出資者が有限責任である

合同会社にも共通しますが、出資者が有限責任であるというのも株式会社を設立する大きなメリットです。

無限責任を負う合名会社・合資会社では万が一事業が破綻した際、巨額の借金を負うリスクがあります。

一方で有限責任の株式会社・合同会社では事業が破綻していても出資額の範囲でしか責任を負わずに済むのが特徴です。

ただし、金融機関から融資を受ける際は、会社の代表が連帯保証人になるケースが多いので、融資分に関しては出資額以上の責任を負うことになるので注意が必要です。

資金調達の幅が大きい

設立したばかりの会社では、通常信用が低いため銀行から融資を受けることが困難です。

しかし、株式を発行する株式会社であれば、一般の投資家から出資を受けることができます。

急激な成長を志向するスタートアップであれば、ベンチャーキャピタルから巨額の出資を受けることも期待できます。

株式会社を設立するメリットまとめ

・社会的な信用力が高い。
・出資者が有限責任である。
・資金調達の幅が大きい。

株式会社のデメリット

設立費用が高い

会社設立に必要となる費用は大きく分けて登録免許税と定款の収入印紙代の2つです。

定款の収入印紙代はどの会社形態でも同額ですが、登録免許税に違いがあります。

合同会社・合資会社・合名会社では登録免許税が「6万円または資本金額の0.7パーセントのうち大きい方」に設定されているのに対し、株式会社の登録免許税は「15万円または資本金額の0.7パーセントのうち大きい方」となっており、約9万円の違いがあります。

また、株式会社は別途定款の認証手数料5万円を支払う必要があるため、他の会社形態よりも15万円近く設立費用が高額です。

組織運営に規定が多い

株式会社の場合、株主総会や取締役会の設置、運営が必要となり、これに当たって様々な法的規制が定められています。

このため、他の会社形態よりも意思決定に手間がかかってしまい、迅速な経営決定が出来ない可能性があります。

ランニングコストが高い

設立費用が高いことは株式会社のデメリットの一つですが、ランニングコストも他の会社形態と比べて高額になります。

決算公告の必要性

株式会社では、決算期ごとに貸借対照表を公表する事が義務付けられています。

方法としては、国の発行する「官報」に決算書類を掲載することになります。

しかし、この掲載料として、最低でも約6万円の費用がかかります。

合同会社や合資・合名会社には決算公告義務がないため、株式会社だけが毎年6万円を別途払わなければならないということになります。

役員の任期がある

株式会社の役員には、取締役が2年、監査役が4年という風に、任期が定められています。

つまり、実際の役員に変更がなくても、数年に一回は役員の再登記を行う必要があるということです。

役員の変更手続きには印紙代が1万円必要となる上、専門家に登記を依頼すれば別途依頼料が発生します。

役員変更を怠ってしまうと、数十万円規模の罰金が課せられる可能性があります。

株式会社を設立するデメリットまとめ

・設立費用が高い。
・組織運営に規制が多い。
・ランニングコストが高い。

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株式会社設立が向いている人

自己資金に余裕がある

株式会社のメリットは、社会的信用が高く資金調達もしやすいため、ビジネスがスムーズに拡大しやすいという点です。

よって、設立費用や毎年のランニングコストなどを十分に支払えるレベルの資本金を用意できる人であれば、最初から株式会社を設立するのがよいでしょう。

スタートアップ・ベンチャー企業を作りたい人

巨額の投資を行いイノベーションを起こす「スタートアップ企業」を設立したい場合には、資金調達の幅が広い株式会社がオススメです。

ベンチャーキャピタルや投資家から巨額の出資を得られる可能性が高まるからです。

BtoCサービスを起業したい人

株式会社の一番のメリットは、何と言ってもその信用力です。

実際に現在日本で設立されている会社の8割は株式会社です。

特に、ビジネスと無縁の一般人は、株式会社以外の会社形態を知らない場合が多いです。

このため、BtoCサービスの起業を考えている場合は、株式会社を設立した方が顧客からの信用を得やすくなります。

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記事監修者の情報

税理士法人
経営サポートプラスアルファ

代表税理士 高井亮成

保有資格:税理士・行政書士

税理士の専門学校を卒業後、会計事務所に入社。
その後、税理士法人に転職をして上場企業や売上高数十億円~数百億円規模の会計税務に携わる。

現在は税理士法人の代表税理士として起業・会社設立をする方の起業相談からその後の会計、決算、確定申告のサポートを行っている。