無申告は、税務署が集めている支払調書などの資料や税務調査をきっかけに、把握されることがあります。
期限を過ぎていても、調査の通知前に自分から申告すれば、無申告加算税は5%に抑えられます。
事業で所得がある人は、原則として毎年の確定申告が必要です。
記帳や申告の手間から、申告をしないままにしてしまう人もいるかもしれません。
しかし、無申告のままにしておくと、後から本来の税金に加えて加算税や延滞税を納めることになります。
正当な理由なく申告しない場合は、罰則の対象になることもあります。
本記事では、無申告が分かる主な理由と、分かった場合の負担、期限後申告の手順を見ていきましょう。
目次
確定申告が必要な人と「無申告」
個人事業主・フリーランスの場合
所得の合計額が所得控除の合計額を超え、その超える額に税額が出る人は、確定申告が必要です。
所得が控除の範囲に収まり、税額が出ない場合は、申告が不要なこともあります。
申告の期間は、原則として翌年2月16日から3月15日までです。
必要な申告をこの期限までにしていない状態が、いわゆる「無申告」です。
会社員が副業をしている場合
給与を1か所から受けていて年末調整を受けている人は、多くの場合、確定申告は不要です。
ただし、給与以外の所得の合計が20万円を超える場合は、確定申告が必要になります。
給与の収入が2,000万円を超える人や、給与を2か所以上から受けている人も、申告が必要になる場合があります。
(出典:国税庁「No.2020 確定申告」、国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」)
法人の場合
法人は、事業年度が終わった日の翌日から2か月以内に、法人税の確定申告書を出す必要があります。
赤字の年でも、申告は必要です。
期限までに申告書を出さないと、税務署長は青色申告の承認を取り消すことができます(法人税法127条)。
青色申告が取り消されると、その年度以後に生じた欠損金は、原則として繰り越せなくなります。
(出典:e-Gov法令検索「法人税法」)
消費税の申告が必要な場合
基準期間(個人は前々年)の課税売上高が1,000万円を超える事業者は、消費税の申告も必要です。
インボイス発行事業者の登録をしている場合は、売上高にかかわらず消費税の申告が必要になります。
消費税の申告をしなかった場合も、所得税と同じように無申告加算税の対象です。
(出典:国税庁「No.6501 納税義務の免除」)
無申告がバレるのはなぜ?
税務署は、確定申告書だけでなく、さまざまな資料から収入の情報を集めています。
支払調書などの資料から把握される
一定の支払をした会社などは、法律で定められた「法定調書」を税務署に提出します。
法定調書は、報酬・料金の支払調書や不動産の使用料等の支払調書など、63種類です。
取引先が支払調書を出していれば、本人が申告しなくても、税務署は収入があることを把握できます。
(出典:国税庁「No.7401 法定調書の種類」)
開業届提出後、数年にわたり確定申告がない
開業届は税務署に提出します。
所得が少なく、申告が不要な年が続く場合もあるでしょう。
しかし、開業届を出したまま何年も申告がないと、税務署が事業の状況を確かめることがあります。
開業届と確定申告書は、どちらも税務署に提出される書類です。
第三者の通報による
第三者から税務署に寄せられる情報が、調査のきっかけになることもあります。
「あのお店は帳簿をつけていない」「あのお店はプライベートなものを経費で落としている」
無申告を周囲に話していると、その話が税務署に伝わるおそれもあります。
ネット上の口コミ
インターネット上の口コミや評判から、事業の規模が推測されることもあります。
売上がありそうなのに申告がなければ、調査の対象になることがあるでしょう。
取引先から発覚する
取引先が税務調査を受けたときに、取引の記録から事業の情報が分かることもあります。
税務署の職員は、調査に必要なときは、お金を支払う側の取引先にも質問や帳簿の確認ができます(国税通則法74条の2)。
その結果、過去に申告がないことが分かれば、無申告が把握されるでしょう。
無申告でいると、どこからそのことが発覚し、税務署に連絡が行くかわかりません。
早めに申告しておけば、こうした心配を抱え続けずに済みます。
(出典:e-Gov法令検索「国税通則法」)
税務署から連絡が来たときの対応
税務署が自宅や事業所で調査をする場合は、原則として事前に通知があります(国税通則法74条の9)。
通知では、調査を始める日時や場所、対象となる税目や期間などが伝えられます。
連絡を無視しても、無申告の状態は解消されません。
通知が来る前に申告すれば無申告加算税は5%で済むため、気づいた時点で申告を進めることが大切です。
(出典:e-Gov法令検索「国税通則法」)
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無申告がバレるとどうなる?
無申告が分かると、税務署の調査を受けることがあります。
その場合は、過去の年分にさかのぼって申告し、税金を納めなければなりません。
本来の税金に加えて、無申告加算税や延滞税がかかります。
主な負担は次のとおりです。
無申告加算税
無申告加算税は、期限までに申告しなかったことに対して課される税金です。
割合は、申告した時期と納める税額によって、次のように変わります。
| 申告の時期 | 50万円までの部分 | 50万円超300万円までの部分 | 300万円超の部分 |
|---|---|---|---|
| 調査の事前通知の前に自主的に申告 | 5% | 5% | 5% |
| 事前通知の後、調査による決定を予知する前に申告 | 10% | 15% | 25% |
| 調査を受けた後に申告、または税務署が決定 | 15% | 20% | 30% |
この割合は、2023年分(令和5年分)以後の所得税に当てはまるものです。
事前通知の後の申告で、前年・前々年に無申告加算税などを課されているときは、さらに10%が加算されます。
調査で帳簿を提示しなかった場合なども、5%または10%が加算されます。
なお、法定申告期限から1か月以内の自主的な申告で、一定の要件を満たせば、無申告加算税はかかりません。
延滞税
延滞税は、納付が遅れた日数に応じてかかる、利息に相当する税金です。
期限後申告の場合は、法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じて計算されます。
2026年(令和8年)の割合は次のとおりです。
| 期間 | 原則の割合 | 2026年(令和8年)の割合 |
|---|---|---|
| 納期限の翌日から2か月を経過する日まで | 年7.3% | 年2.8% |
| 納期限の翌日から2か月を経過した日以後 | 年14.6% | 年9.1% |
期限後申告では、申告書を出した日が納期限になります。
納付が遅れるほど、延滞税は増えていきます。
なお、延滞税は本税だけにかかり、加算税にはかかりません。
(出典:国税庁「No.9205 延滞税について」)
重加算税
売上を隠すなどの仮装・隠蔽をして申告しなかった場合は、無申告加算税に代えて重加算税が課されます。
割合は、基礎となる税額の40%です(国税通則法68条2項)。
延滞税もあわせてかかるため、負担は大きくなります。
(出典:e-Gov法令検索「国税通則法」)
刑事罰の対象になることもある
悪質な場合は、刑事罰の対象になることもあります。
所得税法は、正当な理由なく期限までに申告書を出さない行為に罰則を定めています。
罰則は、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です(所得税法241条)。
申告しないことで所得税を免れた場合は、5年以下の拘禁刑か500万円以下の罰金、またはその両方です(同法238条3項)。
(出典:e-Gov法令検索「所得税法」)
納付しないと財産を差し押さえられることもある
税金を納めないままにしていると、督促を受けます。
督促状が出された日から10日を経過しても完納しない場合は、財産が差し押さえられます(国税徴収法47条)。
この差押えを行うのは、税務署の徴収職員です。
一度に納めることが難しい場合は、税務署に換価の猶予を申請できる制度もあります。
申請の期限は、納める国税の納期限から6か月以内です。
(出典:e-Gov法令検索「国税徴収法」、国税庁「G-9 換価の猶予の申請手続」)
無申告によるペナルティが遡及するのは何年?
税務署が無申告の税額を決定できる期間は、原則として法定申告期限から5年です。
つまり、法定申告期限から5年を過ぎた年分は、原則として決定の対象になりません。
ただし、偽りその他不正の行為があれば、この期間は7年になります。
(出典:e-Gov法令検索「国税通則法」)
また、決定などで確定した税金を徴収する権利の時効は、督促で更新されます。
申告を促す連絡が届いても、税務署が決定できる期間そのものは延びません。
期限を待つのではなく、早めに申告して負担を抑えることが大切です。
無申告を謝罪し訂正したい。あとからの申告は可能か?
期限を過ぎていても、確定申告書を出すことはできます。
期限後に出す申告が「期限後申告」です。
調査の事前通知が来る前に申告すると、無申告加算税は5%で済みます。
期限後申告の手順
期限後申告は、次の流れで進めます。
- 年分ごとに、売上や経費の資料(請求書・領収書・通帳など)を集める
- 所得と税額を計算し、確定申告書を作成する
- e-Taxで送信するか、税務署に郵送・持参で提出する
- 申告書を出した日に、本税と延滞税を納める
- 後日、無申告加算税の賦課決定通知書が届いたら、発せられた日の翌日から1か月以内に納める
国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を使えば、画面の案内に従って申告書を作成できます。
期限後申告では申告書を出した日が納期限になるため、納付の準備もあわせて進めましょう。
税理士に相談したほうがよい場合
複数の年分をまとめて申告する場合は、税理士に相談しながら進めると安心です。
帳簿や資料がそろっていない場合も、残っている記録から所得を計算する方法を相談できます。
期限後申告に誤りがあると、修正申告が必要になり、手間と負担が増えます。
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よくある質問
Q. 無申告は何年さかのぼって調べられますか?
税務署が税額を決定できる期間は、原則として法定申告期限から5年です。
偽りその他不正の行為があった場合は、7年になります。
Q. 期限後に申告すると無申告加算税はいくらですか?
調査の事前通知の前に自主的に申告すれば、納める税額の5%です。
事前通知の後は10〜25%、調査を受けた後は15〜30%と、時期と税額によって割合が上がります。
Q. 申告期限を少し過ぎただけでも加算税はかかりますか?
法定申告期限から1か月以内に自主的に申告し、一定の要件を満たせば、無申告加算税はかかりません。
要件は、期限内に税金を全額納めていることや、過去5年以内に無申告加算税などを課されていないことです。
Q. 延滞税はどのくらいかかりますか?
2026年(令和8年)の割合は、納期限の翌日から2か月までが年2.8%、その後は年9.1%です。
期限後申告では申告書を出した日が納期限になるため、その日に納めれば低い割合で済みます。
Q. 会社員の副業でも確定申告は必要ですか?
給与を1か所から受けていて、給与以外の所得の合計が20万円を超える場合は、原則として確定申告が必要です。
所得税の申告が不要な場合でも、住民税の申告が必要になることがあります。
Q. 無申告を続けると罰則はありますか?
正当な理由なく期限までに申告書を出さない場合は、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象です。
申告しないことで所得税を免れた場合は、さらに重い罰則が定められています。
無申告の状況を改め、期限後申告で少しでもリスクを減らすには「経営サポートプラスアルファ」に相談を!
申告が必要な所得がある場合は、期限を過ぎていても申告することが大切です。
所得税の申告が不要な場合でも、住民税の申告が必要になることがあります。
事業をしているのに申告していない年分があれば、早めにさかのぼって申告しましょう。
自分だけで進めるのが難しい場合は、税理士など専門家の力を借りる方法もあります。
「経営サポートプラスアルファ」では、無申告の方の期限後申告の相談も可能です。
詳しい税理士やコンサルタントがアドバイスし、申告についても税理士印を付けて代行します。
「経営サポートプラスアルファ」では土日祝日夜間も対応します。
また、遠隔地にお住まいの方には、LINEやZOOM、チャットワークなどでの対応も可能です。
無申告の状態を改めるのは、早いほど負担を抑えやすいでしょう。
そのため、ぜひ「経営サポートプラスアルファ」にご相談ください。

