トレーダーとして、利益を確保できるようになったならば法人化をおすすめします。
これは、経費にできる項目が増えるなどのメリットがあるからです。
しかし、トレーダーが法人化する際には注意点もあります。
そこで、この記事ではトレーダーが法人化するメリットや注意点を紹介します。
トレーダーが法人化するメリット
トレーダーが法人化するメリットは、以下の3つです。
- 経費にできる範囲が広くなる
- 法人と個人で口座を開設できる
- 相続しやすくなる
経費にできる範囲が広くなる
法人化することで、経費として計上できる範囲が広くなります。
例えば、家族への給料が経費として認められます。
役員報酬には上限はありません。
したがって経費にできる金額も上限がないということになります。
しかし不当に高い金額は、税務署に疑われる可能性が高まりますので注意してください。
法人と個人で口座を開設できる
法人化することで法人口座を持つことができるのもメリットのひとつです。
証券会社では、個人の口座と法人の口座をそれぞれ別で持つことができる場合もあります。
また、複数の証券会社で同時に口座を持つことも可能です。
このような背景から、個人的にトレーディングを行っている場合は、証券会社ごとに一口座しか作成できなかったものが、法人化することで個人名義の口座と法人名義の口座をそれぞれ一つずつ各証券会社に持つことができます。
このように、各証券会社に複数の口座を持つメリットは、IPOの当選確率が上がることです。
IPOの場合、上場後に株価が上昇する可能性も高く、IPOに当選して購入できるだけでも大きな利益を出せることが多いでしょう。
そのため、IPOに当選する確率が高くなるのはメリットの一つです。
相続しやすくなる
法人化することで相続しやすくなります。
特に、運用額が大きく数億円単位で運用している場合、本人が死んだあと家族などが相続する際に莫大な相続税がかかってしまう可能性があるでしょう。
一方で、法人化することで相続税を抑えることができます。
大前提に、法人を引き継ぎ継続的に事業を行う際には、相続税などは発生せずに、経営者の交代という形になります。
これは、個人と法人は別のものであり同一人格ではないとされるためです。
トレーダーが法人化するデメリット
トレーダーが法人化するデメリットは、以下の5つです。
- 会社の設立費用がかかる
- 継続的に利益をあげる必要がある
- 事務処理が多くなる
- 個人では法人設立がめんどくさい
- 特定口座が利用できない
会社の設立費用がかかる
法人を設立するために、設立費用がかかります。
株式会社の場合は、定款作成・定款認証・登録免許税などで20万円前後かかります。
合同会社の場合は、定款認証が必要なく、登録免許税が6万円なので6万円程度で法人を設立することが可能です。
また、これらの費用は法定費用と言われ値引きすることや払わないということはできません。
それ以外にも、法人として利益をあげた際には決算を行う必要があります。
決算は、自分で行うことも可能ですが、一般的には税理士などと顧問契約を結んで代行してもらうことが多いです。
これは、自分で決算処理をすると決算でのミスや、意図しない不正などが発生してしまうこともあるためです。
また、トレーディングに使うことができる時間を決算処理に使ってしまうと、結果的に本業の利益を小さくしてしまうことにもなるでしょう。
継続的に利益をあげる必要がある
法人を設立して維持するためには、継続的に利益を上げる必要があります。
法人の場合、赤字であっても法人税を支払わなくてはいけません。これが、法人住民税と言われるもので、均等割が適用されて、赤字であっても必ず支払わなくてはいけない税金のひとつです。
その他にも、法人を維持するためには税理士と顧問契約を結んだりすることも多いでしょう。
顧問契約でも月に数万円程度のお金がかかります。
それ以外にも、備品購入費用や事務所を構えられる場合には、事務所の賃貸費用、その他にも事業を運営していく中で経費が必要になるでしょう。
そして、それらの経費で賄うだけの利益をあげてないと法人として維持できないので、結果的に法人として独立する際には継続的に利益を上げられるようになっておくことが必要です。
事務処理が多くなる
法人を設立すると、事務処理が多くなります。
法人を設立する際の定款作成や登記費用、その他にも税務署への申請や従業員を雇う場合は年金事務所とのやり取り、社会保険への加入なども必要になってくるでしょう。
これらの事務処理は代行業者や秘書などを利用することで、軽減できることが多いです。
しかし、完全に事務処理なしで法人を設立することは不可能に近いので、この点はデメリットになるでしょう。
自分で法人設立するのはめんどくさい
自分自身で法人設立の手続きを行うことは可能です。
ただし、専門的かつ煩雑なので、現実的には専門家に任せる人がほとんどです。
会社設立代行会社に依頼することで一括して行ってもらうこともできます。
弊社、経営サポートプラスアルファは、法人設立をサポートしています。
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特定口座が利用できない
証券会社に、法人口座を開設する際には特定口座は開設できません。
特定口座の場合は、住民税や所得税などがあらかじめ引かれた上で、自分で納税をする必要がないので楽な部分も多かったです。
しかし、法人の場合は決算の時期が12月にはないことも多く、それ以外にも自社で決算を出せないといけないこともあり特定口座の利用は認められていません。
そのため、特定口座を利用して個人的にトレーディングを行っている人の場合、株式取引による利益の納税作業という新しい仕事が増えます。
特に、スキャルピングなどを行っている場合は一つ一つの取引の明細を出すととんでもないことになってしまい、利益の計算処理が難しくなってしまう可能性もあるでしょう。
そのような背景から、トレーディング方法によっては法人ではなく、個人口座でトレーディングを特定口座で納税までできた方が楽なことも多いです。
トレーダーが法人化する際の注意点
トレーダーが法人化する際の注意点は、以下の2つです。
- 個人事業主と同じ業種では法人化できない
- 会社の資産と個人の資産を混同しない
個人事業主と同じ業種では法人化できない
個人事業主としてトレーディングを行っている人が、法人を設立してトレーディングを行う際には、個人事業者を廃業しなくてはいけません。
現在、日本では個人事業主と法人で同一事業では開業することができないとされています。
これは、税金の支払いなどでトラブルが起きやすく、特に脱税行為が容易になってしまうためです。
会社の資産と個人の資産を混同しない
個人でトレーディングを行っている人の場合、トレーディングで得た利益をもとに生活費を支出することも多いと思います。
しかし法人の場合、個人の資産と法人の資産を分けて考える必要があります。
そのため、法人でいくら稼いだからといって、最初に決めた報酬以上に自分に対して報酬を支払うことはできません。
また、会社の金を自分のお金と混同して使う事もNGとされています。
これは、法人運営のためという前提に基づいて法人税率が決められているので、個人でも利用してしまうとそこの概念が崩れてしまうことになりかねないからです。
ただし、所定の手続きを踏めば法人のお金を個人口座に移して、個人的に使うことも可能です。
しかし、一般論として法人のお金と個人のお金は分けて考える必要があり、法人化していない個人投資家の方のように、自分の稼いだお金をすぐに自分のために使えるということは少ないことを意識しておきましょう。
トレーダーが法人化を検討するのはいつ?
株取引の場合、税率が20%程度と安く抑えられているので、法人化をしなくてもいいという場合も多いです。
そのため、トレーディングで法人化をするのは、株取引以外の利益や経費が多くなっている場合にするといいでしょう。
例えば、株取引の手法などを本で出版してその印税が入ってくる場合などは、法人を設立してその法人に対して印税を振り込んでもらった方が、法人税率の適用になるので支払う税金を抑えることが可能です。
トレーダーの場合は、特定口座を利用できるので個人事業主として開業した上で、トレーディングで得た利益を個人事業主として確定申告をします。
そして、トレーディング以外で得た利益を新たに作成した法人で決算報告をすると言うことも多いです。
まとめ
株式トレーディングの場合、特定口座を利用することで自分で住民税や所得税を納めることなく、納税をすることができます。
このような簡潔さから、法人化しないで個人的に株式投資をして、利益を上げていく人も多いのが事実です。
ただし、株式投資以外にも利益を上げられるポイントがあり、それらの収入は累進課税がかかってしまうので、法人を設立して法人税率のもとで決算報告をするということもあります。
トレーダーで法人設立を検討する場合は、本当に法人を設立する必要があるのかなどを検討した上で、メリット・デメリットをまとめてみると良いでしょう。
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相談は何度でも無料なので、お気軽にご相談ください。