整体院の開業に必要な手続きは?初期費用や集客についても解説します

整体院の開業に必要な手続きは?初期費用や集客についても解説します

整体院開業の完全ガイド|資格・費用・手続き・集客・失敗しないポイントを解説

整体院の開業は、国家資格がなくても始めやすい独立方法の一つです。
自宅の一室や小規模テナントから始められるため、飲食店や美容室に比べると初期費用を抑えやすい点も魅力です。
一方で、参入しやすい分だけ競合も多く、技術だけでなく、コンセプト設計、集客、資金管理、法令上の表現ルールまで準備できているかが成功を左右します。
この記事では、整体院開業に必要な資格・届出、開業費用、年収の目安、開業までの手順、集客方法、失敗しないための注意点をまとめて解説します。

整体院の開業に資格は必要か

整体院の開業そのものに、整体師という国家資格は必要ありません。
一般的な整体、ボディケア、リラクゼーションを目的とした施術であれば、資格がなくても個人事業として開業できます。
ただし、資格が不要ということは、どのような施術や表現でも自由にできるという意味ではありません。
あん摩マッサージ指圧、はり、きゅう、柔道整復など、法律で国家資格者の業務とされている領域に踏み込む場合は注意が必要です。

施術内容・サービス 必要な資格・注意点
一般的な整体・ボディケア 国家資格は不要
リラクゼーション・もみほぐし 国家資格は不要だが表現に注意
あん摩・マッサージ・指圧 あん摩マッサージ指圧師が必要
はり・きゅう はり師・きゅう師が必要
骨折・脱臼・打撲などへの施術 柔道整復師が必要

特に注意したいのが「マッサージ」という表現です。
無資格者が、あん摩マッサージ指圧師の業務と誤認されるような施術名、屋号、広告表現を使うと、法令上のトラブルにつながるおそれがあります。
整体院として開業する場合は、「整体」「ボディケア」「リラクゼーション」「もみほぐし」「姿勢調整」「骨盤ケア」など、実際のサービス内容に合った表現を選びましょう。
また、痛みの「治療」「治す」「診断」といった医療行為を連想させる表現も避け、身体の不調改善をサポートする民間サービスとして説明することが大切です。

整体院開業に必要な届出・手続き

一般的な整体院として開業する場合、基本となる手続きは税務署への開業届です。
個人事業主として開業するなら、「個人事業の開業・廃業等届出書」を納税地の所轄税務署へ提出します。
青色申告を利用したい場合は、「所得税の青色申告承認申請書」もあわせて提出しておくとよいでしょう。
青色申告を選ぶと、一定の要件を満たすことで青色申告特別控除などの節税メリットを受けられます。

開業届の提出期限は、所得税法第229条により「事業を開始した日から1か月以内」と定められています。
青色申告承認申請書は、原則としてその年の3月15日までに提出します。
1月16日以後に新たに開業した場合は、開業日から2か月以内が提出期限です。

保健所への届出は、整体やリラクゼーションのみを行う場合は原則不要です。
ただし、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師として施術所を開設する場合は、開設後10日以内に施術所開設届を保健所などへ提出する必要があります。
「整体院」と名乗っていても、国家資格に基づく施術を行う場合は届出の扱いが変わるため、開業前に自治体や保健所へ確認しておくと安心です。

整体院の開業費用の目安

整体院の開業費用は、自宅開業かテナント開業かで大きく変わります。
自宅の一室を使う場合は、物件取得費や大規模な内装費を抑えられるため、50万〜100万円程度で始められるケースがあります。
一方、駅前や商業エリアのテナントを借りる場合は、以下の費用が必要になり、200万〜500万円程度を見込むのが現実的です。

  • 敷金・礼金
  • 内装工事
  • 看板
  • 設備
  • 広告費
    本格的な内装や複数ベッド、スタッフ採用まで行う場合は、さらに費用が増える可能性があります。
費用項目 目安
物件取得費 0万〜150万円
内装工事・看板 50万〜250万円
施術ベッド・備品 10万〜50万円
タオル・シーツ・消耗品 5万〜15万円
受付用PC・予約システム 5万〜30万円
ホームページ・写真撮影 10万〜50万円
初期広告費 10万〜30万円
運転資金 50万〜150万円

開業時に見落としやすいのが運転資金です。
内装や設備に資金を使い切ると、集客が安定するまでの以下の支出をまかなえなくなります。

  • 家賃
  • 広告費
  • 通信費
  • 生活費
    開業直後から予約が埋まるとは限らないため、最低でも3か月、できれば6か月分の固定費と生活費を別枠で確保しておきましょう。
    資金が不足する場合は、日本政策金融公庫の創業融資などを検討し、以下の数字を説明できる事業計画書を準備することが重要です。

  • 売上計画

  • 客単価
  • 来院数
  • リピート率

整体院を開業した場合の年収目安

整体師として独立した場合の年収は、以下の要因によって大きく変わります。

  • 立地
  • 客単価
  • 稼働日数
  • リピート率
  • スタッフの有無
    自宅開業の1人経営なら年収200万〜600万円、テナントの1人経営なら年収300万〜800万円程度が一つの目安です。
    スタッフを雇用して複数ベッドで運営できれば、年収1,000万円以上を目指せる可能性もあります。
    ただし、売上がそのまま手取りになるわけではありません。
    以下を差し引いた利益で判断する必要があります。

  • 家賃

  • 広告費
  • 消耗品費
  • 予約システム費
  • 税金
  • 社会保険料

安定した収入を作るには、低単価で多くの人数をこなすよりも、明確な専門性を打ち出し、適正単価でリピーターを増やす方が現実的です。
たとえば、1回4,000円で新規客中心に集めるモデルは集客コストが膨らみやすく、施術者の体力も消耗します。
一方で、1回8,000円〜12,000円の高単価でも、腰痛専門、産後ケア専門、姿勢改善専門などの価値が伝われば、少ない来院数でも収益を安定させやすくなります。

整体院開業までの手順

最初に行うべきことは、コンセプトとターゲットの設定です。
「誰の、どの悩みを、どのように改善へ導く整体院なのか」を明確にします。
たとえば以下のようにターゲットを絞るほど、集客メッセージは作りやすくなります。

  • 腰痛に悩む30〜50代の会社員
  • 産後の骨盤ケアを求める女性
  • スポーツを続けたい社会人
  • 高齢者の身体メンテナンス

次に、競合調査と収支計画を行います。
出店候補エリアで「地域名+整体」「駅名+整体」「地域名+腰痛」などを検索し、競合の価格、口コミ、強み、予約導線を確認します。
そのうえで、家賃、広告費、客単価、月間来院数、リピート率をもとに、黒字化に必要な売上を計算します。

物件を選ぶ際は、家賃の安さだけで決めないことが大切です。
以下の点も確認しましょう。

  • 駅からの距離
  • 視認性
  • 周辺人口
  • ターゲット層との相性
  • 看板設置の可否
  • 住居兼用の可否
  • 騒音や導線
    物件が決まったら、以下のスペースと導線を整えます。

  • 施術スペース

  • 待合
  • 着替えスペース
  • 収納
  • 清掃動線
    豪華な内装よりも、以下を優先しましょう。

  • 清潔感

  • 安心感
  • 予約しやすさ
  • 施術に集中できる環境

開業準備と並行して、以下を整備します。

  • ホームページ
  • Googleビジネスプロフィール
  • 予約導線
  • SNS
  • チラシ
  • 口コミ導線
    オープンしてから集客を始めるのではなく、開業前から認知を作っておくことが、初月の予約数に直結します。

整体院の集客方法

整体院の集客で最も重要なのは、地域検索への対応です。
「整体院 〇〇市」「〇〇駅 整体」「〇〇市 腰痛 整体」のような検索で見つけてもらうために、ホームページとGoogleビジネスプロフィールを整備します。
Googleビジネスプロフィールでは、以下の情報を最新状態に保つことが重要です。

  • 営業時間
  • 住所
  • 電話番号
  • 写真
  • メニュー
  • 口コミへの返信
    院内写真、施術者写真、外観、アクセス案内を掲載すると、初めての人でも来院前の不安を減らせます。

ホームページでは、トップページだけでなく、以下のページを用意します。

  • 症状別ページ
  • 料金ページ
  • 施術の流れ
  • よくある質問
  • プロフィール
  • お客様の声
    SEOでは「地域名+整体」だけでなく、「地域名+腰痛」「地域名+肩こり」「地域名+産後骨盤矯正」など、悩み別の検索キーワードを意識しましょう。
    ホットペッパービューティー、エキテン、EPARKなどのポータルサイトは、開業初期の認知拡大に役立ちます。
    ただし、掲載費や手数料に依存しすぎると利益が圧迫されるため、LINE公式アカウントや自社予約ページへつなげ、リピート客を自院で管理できる仕組みを作ることが大切です。

SNSでは、施術ビフォーアフターだけに頼らず、姿勢改善の考え方、セルフケア、院の雰囲気、施術者の人柄を発信します。
チラシやポスティングは、40代以上や近隣住民への認知に有効です。
集客施策は単発で終わらせず、以下を組み合わせて継続来院につなげましょう。

  • 検索
  • 口コミ
  • 紹介
  • LINEフォロー

整体院開業で失敗しないための注意点

整体院開業で多い失敗は、技術だけを磨いて集客を後回しにすることです。
良い施術をすれば自然に口コミが広がると考えがちですが、開業初期はそもそも存在を知られていません。
開業前から以下を準備し、初回体験からリピート提案までの流れを設計しましょう。

  • ホームページ
  • Googleマップ(Googleビジネスプロフィール)
  • SNS
  • 口コミ導線

次に多い失敗は、初期費用をかけすぎて運転資金が不足することです。
内装や設備にこだわることは大切ですが、売上が安定する前に固定費を増やしすぎると、広告を打つ余力がなくなります。
最初は必要最低限の設備で始め、予約数とリピート率を確認しながら追加投資する方が安全です。

また、ターゲットが曖昧な整体院は、競合との差別化が難しくなります。
「何でも対応できます」よりも、「腰痛専門」「産後ケア専門」「デスクワークの肩こり専門」のように悩みを絞った方が、検索でも選ばれやすくなります。
法令面では、マッサージ、治療、診断などの表現を安易に使わないことも重要です。
さらに、「腰痛専門」「産後骨盤矯正」などのキャッチコピーを使用する場合は、あはき法と合わせて景品表示法(優良誤認)にも注意が必要です。「たった1回で歪みが治る」「根本改善率98%」のような科学的根拠のない誇大表現は、消費者庁や自治体から措置命令・課徴金の対象となるリスクがあります。客観的な事実に基づいた表現に留め、広告やホームページの表現は開業前に専門家や行政窓口へ確認しておくと安心です。

まとめ

整体院は、国家資格がなくても始められる一方で、資格者の業務領域や広告表現には注意が必要な事業です。
開業費用は自宅開業で50万〜100万円、テナント開業で200万〜500万円程度が目安ですが、内装費だけでなく運転資金を確保することが欠かせません。
成功のポイントは、以下を開業前から整えることです。

  • ターゲットを絞ったコンセプト
  • 無理のない資金計画
  • 地域検索に強いホームページとGoogleビジネスプロフィール
  • 口コミとリピートを増やす仕組み
    整体院開業を目指すなら、以下の4つを同時に準備し、長く続けられる経営基盤を作りましょう。

  • 技術

  • 集客
  • 資金管理
  • 法令確認

よくある質問

整体院の開業に国家資格は必要ですか?

整体院の開業そのものに国家資格は必要ありません。
ただし、あん摩マッサージ指圧、はり、きゅう、柔道整復など、国家資格者の業務に該当する施術を行う場合は資格と届出が必要です。

整体院で「マッサージ」という言葉は使えますか?

無資格で「マッサージ」を施術名や広告の中心に使うことは避けるべきです。
あん摩・マッサージ・指圧は国家資格者の業務であるため、整体院では「整体」「ボディケア」「もみほぐし」「リラクゼーション」など、実態に合った表現を使いましょう。

整体院の開業費用はいくら必要ですか?

自宅開業なら50万〜100万円、テナント開業なら200万〜500万円程度が目安です。
ただし、家賃や広告費を支払うための運転資金も必要なため、初期設備費とは別に3〜6か月分の資金を確保しておくと安心です。

整体師として独立した場合の年収はどのくらいですか?

自宅開業の1人経営で年収200万〜600万円、テナントの1人経営で年収300万〜800万円程度が目安です。
高単価メニューとリピーターを安定して確保できれば、年収1,000万円以上を目指せる可能性もあります。

整体院の集客は何から始めるべきですか?

まずはGoogleビジネスプロフィールとホームページを整備し、「地域名+整体」「地域名+悩み名」で見つかる状態を作ることが重要です。
そのうえで、口コミ、LINE公式アカウント、SNS、ポータルサイトを組み合わせると、新規集客とリピート化の両方を強化できます。

リピーターを増やすための施術・接客の仕組み

整体院の安定経営において最も重要なのは、新規集客よりもリピーターの確保です。
新規客を1人獲得するコストは、既存客をリピートさせるコストの5倍以上かかるといわれており、広告費を抑えながら売上を安定させるにはリピート率の向上が不可欠です。
リピーターを増やすためには、施術の品質だけでなく、次回来院につながる仕組みを整えることが大切です。
施術後に、症状の経過報告や次回の施術目安、セルフケアのアドバイスを伝えることで、次回予約の動機を自然に作れます。
LINE公式アカウントを活用し、施術後のフォローメッセージ、セルフケア動画の配信、予約リマインドを送ることも効果的です。
複数回のコース料金を設定すると、次回来院の約束を事前に取り付けやすくなります。
ただし、効果を断言したり、必要以上に長期コースを押しつけたりすることは顧客の信頼を損なうため避けましょう。
お客様のお名前や来院歴、お悩みの変化を記録するカルテ管理を徹底し、「前回よりどう変わったか」を丁寧に確認する接客が、長期的な信頼関係につながります。
口コミを増やすには、Googleビジネスプロフィールのレビュー依頼を自然な形で行うことが有効です。
施術後の満足度が高いタイミングで「よろしければGoogleの口コミを書いていただけると助かります」と伝えるだけで、積み重ねると大きな差が生まれます。

整体院の開業資金を調達する方法

整体院の開業費用を全額自己資金でまかなえない場合は、公的な融資制度を活用することを検討しましょう。
日本政策金融公庫の「新規開業資金(無担保・無保証人の特例)」は、開業前または開業後間もない事業者でも申請できる融資制度です。2024年の制度改定により「新創業融資制度」は廃止・統合され、現在は主要な創業融資において一律で原則無担保・無保証人のルールが適用されており、以前より利用しやすくなっています。300万〜1,000万円程度の融資を受けられるケースがあります。
申請には、事業計画書、収支計画書、自己資金の証明書類などが必要です。
事業計画書には、以下を具体的に記載することが審査通過のポイントになります。

  • ターゲット客層
  • 想定客単価
  • 月間来院数の目標
  • 黒字化までのスケジュール
    地方自治体や商工会議所が実施する創業支援制度や補助金も、費用の一部を補填できる可能性があります。
    各都道府県の制度は毎年変わるため、開業前に地域の商工会議所や中小企業支援センターへ相談しておくと、使える支援策を見落とさずに済みます。
    開業後に売上が安定するまでの数か月間は、融資で確保した資金を家賃・広告費・通信費の支払いに充て、自己資金は緊急の設備修繕や追加広告費のために温存しておく考え方が、資金繰りを安定させるうえで有効です。

記事監修者の情報

税理士法人
経営サポートプラスアルファ

代表税理士 高井亮成

保有資格:税理士・行政書士

税理士の専門学校を卒業後、会計事務所に入社。
その後、税理士法人に転職をして上場企業や売上高数十億円~数百億円規模の会計税務に携わる。

現在は税理士法人の代表税理士として起業・会社設立をする方の起業相談からその後の会計、決算、確定申告のサポートを行っている。