近年、さまざまな理由でリフォーム工事需要が増してきていると言われています。
そこで、この記事では、このリフォーム業での独立について詳しく解説していきます。
目次
リフォーム業の収入
リフォーム業といっても、「内装仕上工事」、「塗装工事」などどこに専門分野をおくかどうかで業種の区分は異なります。
そのため、ひとまとめにリフォーム業の収入相場を判断するのは難しいのです。
しかし、一般的には正社員であれば年収約400~440万と言われています。
また、リフォーム業で独立した場合の年収ですが、国土交通省が令和元年から始めている建設キャリアアップシステム(CCUS)「各職種における賃金目安(年収)」によると、約560~840万となっています。
建設キャリアアップシステムとは、実績や所有資格をもとに技術者の能力評価基準を策定したもので、建設業界の技術者のキャリアをよりわかりやすくする目的で設けられたものです。
登録する事で、キャリアアップカードが交付され、取引先へのPR、技術レベルの証明などに利用することができます。
会社勤めであれば所属している事業所が登録、独立後であれば、ご自身でCCUSへ事業所登録することでサービスを利用することができます。
以下は、レベルごとの年収目安です。
【内装仕上技能者の年収目安】
- レベル4 (高度なマネジメント能力を有する)840万円
- レベル3 (職長として現場に従事)700万円
- レベル2(中堅技能所有者) 560万円
リフォーム業の独立に必要な資格
リフォーム業で独立、開業する場合にはどのような資格が必要なのでしょうか。
実は、条件によっては、資格や業務許可なく開業できてしまいます。
条件とは、業務の規模や種類です。
「軽微な工事(建築一式工事ではない。請負金額が500万円未満の工事)」であれば、資格保有、許可申請義務はありません。
しかし、軽微な工事以外も含めて業務を行うのであれば、建設業法第3条に基づく業務許可の取得、すべての営業所への専任技術者設置が必要となります。
専任技術者の基準は、以下の通りです。
- 国土交通省令で定める学科の高等学校、または中等教育学校を卒業して、5年以上実務の経験がある。または同様の大学を卒業した後3年以上実務の経験がある。
- 10年以上実務経験がある。
- 国土交通大臣が①または②と同等以上の知識及び技術又は技能があると認定した人物。
3の「同等以上の知識及び技術又は技能」と認められるには、以下のような資格が必要になります。
- 1級建築施工管理技士(または1級補)
- 2級建築施工管理技士(仕上げ)
- 1級建築士
- 2級建築士
リフォーム会社での独立がおすすめの理由
リフォーム業での独立がおすすめと言われる理由は、以下の5つです。
- リフォーム業は起業しやすい
- 新型コロナウイルスによる影響
- 空家問題
- 建設キャリアアップシステム(CCUS)
- 少子高齢化
リフォーム業は起業しやすい
リフォーム業は、建設業の中でも非常に新規参入しやすい業種と言われています。
理由としては、軽微な工事であれば、特定の資格、業務許可が不要だからです。
また、同じ建設工事の中でも少ない初期投資で始められるという点が挙げられます。
さらに、リフォーム業でのフランチャイズが多く展開されており、自分で営業ができなくても収益をあげられることが多いです。
そのほかにも、業務用品、機器の在庫管理不要、店舗すら用意せず独立することもできます。
こういった、独立の容易さ、業務範囲の広さがリフォーム業が独立に向いている理由と言えるでしょう。
新型コロナウイルスによる影響
住宅リフォーム市場は、新型コロナウイルスの影響で一旦下がったものの、その後は増加傾向にあると言われています。
理由として、在宅勤務の増加やおうち時間を充実させるためにリフォームを検討する顧客が増加したことが挙げられ、今後も緩やかではあるが増加傾向にあるだろうと予想されているのです。
リフォームを検討する顧客が増え続けるということは、当然、リフォーム業の仕事も増え続けるでしょう。
需要が安定している今こそ、リフォーム業で独立するチャンスと言えます。
空家問題
少子高齢化の促進によって、中古住宅の空家問題が深刻化しています。
そのため、政府は、空き家となっている中古住宅の活用を後押しするように活動しており、国や地方自治体で助成金などの補助制度を設けています。
例えば、国土交通省の「長期優良住宅化リフォーム推進事業」では、補助対象内のリフォーム工事であれば助成金を受け取ることができます。
リフォーム後の活用方法としては、賃貸、子育て世代へ貸し出しでの地域向上、サテライトオフィス、シェアオフィス、民泊、アトリエ、工房などもあるでしょう。
このような、空家問題対策としてのリフォーム工事増加もリフォーム業の需要を安定させている理由です。
建設キャリアアップシステム(CCUS)
国土交通省が令和元年から開始している「建設キャリアアップシステム(CCUS)」もリフォーム業での独立をおすすめする理由です。
今まで、リフォーム業を含む建設業界の技術者は、技術やキャリアの判断が難しく、成果に基づいた評価や処遇がされにくいという問題を抱えていました。
この問題を解決するために開始されたのが、建設キャリアアップシステムです。
会社勤めの技術者を正しく評価する為のシステムのように聞こえますが、もちろん独立後も大いに活用できます。
専用カードに経験(就業日数)、知識・技能(保有資格)、マネジメント能力(職長や班長としての就業日数 など)が細かく登録される為、発注側へのPRや信頼構築に利用できるでしょう。
また、雇っている従業員を高レベルで揃えれば、会社としても評価され、発注の増加や規模拡大も期待できます。
独立して最も心配なのは、「実績も技術力もあるのに受注が増えない」ということでしょう。
しかし、建設キャリアアップシステムによる正当な評価によって、この大きな心配をなくすことができます。
リフォーム業で独立する方法
リフォーム業で独立する方法は、以下の2つです。
- フランチャイズで独立
- 自分で独立
フランチャイズで独立
リフォーム業の需要が高まるにつれ、リフォーム関連会社以外の他業種からもリフォーム業に関するフランチャイズ募集が多くなってきています。
フランチャイズの場合、加盟金やロイヤリティを支払う必要はありますが、メリット、ノウハウ、人脈、集客をサポートしてくれるので始めやすいのが特徴です。
実務経験として認められる工種種別・工事内容等に該当する仕事で経験を積めば、監理技術者又は主任技術者となる国家資格の受験資格も取得できます。
独立はしたいが、「開始資金が少ない」、「独立はしたいが不安なのでサポートしてほしい」という方は、まずは、フランチャイズで実績を積んでみるのもいいでしょう。
自分で独立
既に、リフォーム関連の職歴があり、ノウハウ、ある程度の実績、人脈を持っている方は、自分で独立することがおすすめです。
はじめは、軽微な工事以内の小規模な工事から始め、実績年数を積んで監理技術者又は主任技術者となる国家資格の受験資格を獲得して資格を取得します。
その後、営業所への専任技術者設置が可能な状態にして、業務許可申請を登録すればより大規模な工事の受注も行うことができます。
また、経営サポートプラスアルファではリフォーム業での独立を法定費用のみでサポートさせていただいております。
ぜひ一度ご相談ください。
リフォーム業として独立する際の注意点
ここでは、リフォーム業で独立する際の注意点は、以下の3つです。
- 独立前に建設キャリアアップシステムレベル2以上する
- どの業種で登録するかを決めておく
- 請負金額が500万円以上でも必ず、業務許可が必要なわけではない。
独立前に建設キャリアアップシステムのレベルを2以上する
リフォーム業には資格、業務許可が不要であると記載しました。
しかし、その分、資格を保有して、建設キャリアアップシステムレベルを上げておけば、他社との差別化を計ることができます。
発注先にも安心されますので、是非2以上を保有してから独立準備を始めてください。
内装仕上技能者のレベル基準は以下のようになっています。
レベル | 適用 | 就業日数 / 保有資格 |
---|---|---|
レベル4 | 就業日数 | 10年(2150日)または、職長として3年(645日) |
保有資格(どれか一つ) | ・登録内装仕上工事基幹技能者 ・優秀施工者国土交通大臣顕彰(建設マスター) ・安全優良職長厚生労働大臣顕彰 ・1級建築施工管理技士 ・レベル2、3の基準に示す保有資格 | |
レベル3 | 就業日数 | 就業日数 5年(1075日)または職長・班長として3年(645日) |
保有資格(どれか一つ) | ・1級技能士(内装仕上げ施工職種または表装職種) ・青年優秀施工土地 ・建設産業局長顕彰 ・2級建築施工管理技士 ・レベル2の基準に示す保有資格 | |
レベル2 | 就業日数 | 3年 |
保有資格(どれか一つ) | ・2級技能士(内装仕上げ施工職種または表装職種) ・足場の組立等作業従事者特別教育 ・自由研削といしの取替え等の業務特別教育 ・有機溶剤作業主任者技能講習 ・丸のこ等取扱作業者安全教育 ・玉掛け技能講習 | |
レベル1 | 建設キャリアアップシステムに技能者登録されているが、 レベル2から4までの判定を受けていない技能 |
また、勤務中の会社が既に建設キャリアアップシステムに登録している場合は、退社前にキャリアアップカードを受け取り、変更申請をすれば独立後も継続利用が可能です。
どの業種で登録するかを決めておく
大規模な工事を取り扱わないのであれば、業務許可の必要がありませんが、どの業種として進めていくのかという位置づけをした方が顧客集客も行いやすいですし、いざ許可申請が必要になった場合にもスムーズに手続きに進むことができます。
リフォーム業は、「内装仕上工事」、「塗装工事」、「大工工事」、「電気工事」など多くの業種で許可申請を行うことができます。
複数登録できるのであればそうしたいところですが、なかなか難しい為、塗装に特化するのであれば「塗装工事」、リフォーム全般で行いたいという場合は「内装仕上工事」を選択するといいでしょう。
会社設立の流れ
会社設立には、綿密な準備が必要です。充分にシミュレーションし滞りなく、独立会社設立を行いましょう。
1.リフォーム関連会社に就職
2.職場で実績を積みながら、資格取得と人脈構築を進める。
3.開業資金を貯め、事務所を検討。 開業のための手続き(開業届、税務署、青色申告、国民年金、都道府県各市町村への届け出など
※フランチャイズ希望の場合は、フランチャイズ先を探し、必要書類など準備を始める)を確認。
4.独立開始。開業届、など開業に関する手続きを行う(会社が建築キャリアアップシステムに加入している場合は、退社前にキャリアアップカードを受け取って変更手続きを行って下さい)。
まとめ
開業しやすいと言われるリフォーム業ですが、誰もが新規参入しやすいジャンルだからこそ、しっかり準備をした状態で独立する方がいいでしょう。
準備を万端にすればするほど、効率よくスタートダッシュを切ることができ、成功に近づきやすいです。
また、リフォーム業で実際に会社を立ち上げするとなると手続きに苦労する場面がたくさんあるでしょう。
そのようなケースで役に立つのが経営サポートプラスアルファです。
経営サポートプラスアルファであれば、会社立ち上げの最初から最後までしっかりとサポートできます。
リフォーム業で会社の立ち上げを検討している人は、ぜひとも経営サポートプラスアルファにご相談ください。