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【税理士が解説】NPO法人設立のメリットやデメリットを解説|設立フローについても紹介

NPO法人(特定非営利活動法人)は、利益を追求する企業とは異なり、社会貢献を目的とする団体です。しかし、設立手続きや運営方法には独自の要件があり、一般的な会社設立とは異なるプロセスが必要です。

本記事では、NPO法人を設立するための手順や、設立のメリット・デメリットについて詳しく解説します。

NPO法人とは?

1. NPO法人の基本概念

NPO法人とは、特定非営利活動を目的とする法人のことで、社会貢献活動を行うために設立されます。これには、医療、福祉、環境保全、文化振興など、多岐にわたる分野が含まれます。NPO法人は、利益を目的としないため、得た収益はすべてその活動に再投資されます。

2. NGOとの違い

NPO法人とNGO(非政府組織)はよく混同されますが、活動範囲に違いがあります。NPO法人は主に国内での活動を行うのに対し、NGOは国際的な活動を主としています。また、NPO法人は日本国内で法的に認められた法人格を持つのに対し、NGOは国際的な枠組みの中で活動します。

NPO法人設立の手順

1. 設立準備

NPO法人を設立するには、まず設立のための基本的な準備が必要です。これには、団体の目的、活動内容、会員構成、資金計画の策定が含まれます。また、定款の作成も重要なステップであり、これがNPO法人の運営を規定する基本文書となります。

2. 定款の作成と認証

定款は、NPO法人の設立において最も重要な文書です。これには、法人の名称、目的、所在地、役員の構成、資金の扱いなどが記載されます。定款は所轄庁(都道府県や政令指定都市)に提出して認証を受ける必要があります。

3. 所轄庁への設立申請

定款が認証された後、所轄庁に対して設立申請を行います。この際、申請書類には、設立趣意書、事業計画書、収支予算書、役員名簿などが含まれます。所轄庁は、これらの書類を審査し、問題がなければ設立が認められます。

4. 設立総会の開催

所轄庁から設立が認められた後、設立総会を開催します。設立総会では、定款の承認、役員の選任、事業計画や収支予算の承認が行われます。この総会は、NPO法人の活動をスタートさせるための重要なイベントです。

5. 法人登記の完了

設立総会での決議内容に基づき、法務局で法人登記を行います。この登記が完了することで、NPO法人は正式に設立され、法人格を取得します。法人格を取得したNPO法人は、銀行口座の開設や契約の締結が可能になります。

NPO法人設立のメリット

1. 社会的信用度の向上

NPO法人は、公益性の高い活動を行うため、社会的な信用度が高いです。法人格を取得することで、企業や行政機関との連携がしやすくなり、支援を受ける機会が増えます。

2. 税制上の優遇措置

NPO法人は、法人税や消費税の優遇措置を受けることができます。特に、収益事業を行わない場合には、法人税が免除されることがあります。また、寄付金を受け取った場合、その寄付金は課税対象とならず、NPO法人の活動資金として利用できます。

3. 資金調達のしやすさ

NPO法人は、補助金や助成金を受け取りやすく、資金調達の面でも有利です。また、クラウドファンディングや会費、寄付金などの形で、社会からの支援を受けやすいというメリットもあります。

4. 社会貢献意義の向上

NPO法人は、利益を追求せず、社会的な問題解決に焦点を当てた活動を行うため、経営者やスタッフは高い社会貢献意識を持ちやすいです。このため、やりがいや満足感を得られる機会が多く、働くモチベーションを維持しやすくなります。

5. 設立費用の低さ

NPO法人は、株式会社や合同会社と比較して、設立費用が低いです。たとえば、設立時の登録免許税が不要であるため、数万円程度で設立することが可能です。これにより、資本金が少ない場合でも法人設立が容易になります。

NPO法人設立のデメリット

1. 設立までの時間が長い

NPO法人の設立には、通常数ヶ月を要します。所轄庁での審査期間や定款の認証、設立総会の開催など、複数のステップを経る必要があるため、即時設立が難しいというデメリットがあります。

2. 社員数や役員構成の要件が厳しい

NPO法人の設立には、最低10人の社員が必要です。また、理事3名以上、監事1名以上の役員を選任する必要があります。このため、設立時に人員を確保するのが難しい場合があります。

3. 決算手続きが複雑

NPO法人は、事業年度終了後に、所轄庁へ事業報告書や活動計算書、財産目録などの提出が義務付けられています。これらの書類を適切に管理し、期限内に提出しなければならないため、決算業務が重い負担となることがあります。

4. 事業内容の制限

NPO法人は、法律で定められた20の特定非営利活動分野に限定して事業を行う必要があります。このため、自由に事業内容を選定できないという制約があります。事業の多様化を図るのが難しい点がデメリットとして挙げられます。

5. 資金繰りの難しさ

NPO法人は、営利目的で活動を行わないため、安定した収益源を確保するのが難しい場合があります。特に、寄付金や助成金に依存している場合、資金繰りが不安定になることが考えられます。資金計画をしっかりと立て、持続可能な運営を目指すことが求められます。

NPO法人設立のための資金調達方法

1. 会費とクラウドファンディング

NPO法人は、会員からの会費やクラウドファンディングを通じて資金を調達することが一般的です。会費を集めることで、安定した資金源を確保できるほか、クラウドファンディングを利用して新たなプロジェクトの資金を募ることも可能です。

2. 助成金・補助金の活用

NPO法人は、行政機関や民間団体が提供する助成金や補助金を活用することで、運営資金を確保することができます。助成金や補助金は、特定の事業目的や活動内容に対して支給されるため、活動計画をしっかりと立てることが必要です。

まとめ

この記事では、NPO法人を設立する際のメリット・デメリットや、資金調達の方法をまとめておきました。

最後に内容を簡単にまとめておくので、ぜひ参考にして下さい。

ポイント

・NPO法人とは?
特定非営利活動法人と呼ばれ、利益を上げることが目的として活動をしない法人格

・NPO法人のメリット
資金調達や税制面での優遇や、社会的意義や信用が強い

・NPO法人のデメリット
設立に時間が必要で、社員数や決算の際の要件が厳しい

・NPO法人の資金調達方法
クラウドファンディングや会費などで資金確保を行いながら、補助金や助成金で足りない部分を補う。

NPO法人を設立する際には、経営サポートプラスアルファにご相談ください。

記事監修者の情報

税理士法人
経営サポートプラスアルファ

代表税理士 高井亮成

保有資格:税理士・行政書士

税理士の専門学校を卒業後、会計事務所に入社。
その後、税理士法人に転職をして上場企業や売上高数十億円~数百億円規模の会計税務に携わる。

現在は税理士法人の代表税理士として起業・会社設立をする方の起業相談からその後の会計、決算、確定申告のサポートを行っている。