飲食店を開業する場合、どのような設備が必要になるのでしょうか?
この記事では、飲食店で必要となる設備やできるだけ初期費用を抑えて揃える方法もまとめています。
飲食店に必要な設備とは?
飲食店に必要な設備は、どのような飲食店なのかお店の規模はどれくらいなのかという点で必要な設備は多少異なりますが、ここでは必ず必要となる設備について紹介していきます。
厨房関連設備
厨房関連設備は、厨房に設置する設備です。
厨房の広さに合わせて、スムーズに作業が行えるように設置しなければいけません。
冷凍冷蔵庫
冷凍冷蔵庫は、食材を管理するために必ず必要になります。
食材をしっかり管理していくために、温度計のついているものを選ぶようにしましょう。
温度計がついていない場合、適正な温度で管理できていないと食材が傷んでしまう可能性があります。
食材の出し入れがしやすくなっているか、省エネタイプになっているか、寸法は適正かという点を確認して選んでください。
作業台(コールドテーブル)
作業台に冷凍庫や冷蔵庫が一体化しているものをコールドテーブルと呼びます。
作業台の下に冷蔵庫や冷凍庫がついていることで、省スペースで食材を保存しておくことができます。
スペースが狭い厨房でも、食材管理しやすくなるので1台あると便利です。
また、作業台の下に食材を入れていることで、すぐに取り出せるので作業もスムーズになります。
コールドテーブルを選ぶ際は、寸法と容量、温度管理機能、省エネ機能を確認しましょう。
ガスコンロ(ガスレンジ)
ガスコンロは、どのような料理を提供するのか、どれくらいの数のメニューを用意するのかで選ぶようにしましょう。
火力が強いほうが素早く料理を完成させることができます。
加熱に時間のかかる食材を扱う場合は、火力が強いものを選びましょう。
五徳のサイズが大きいほうが作業効率はあがりますが、厨房が狭い場合はかえって効率が悪くなることもあります。
炊飯器
炊飯器はガス炊飯器と電気炊飯器があります。
ガス炊飯器は強い火力で炊飯できるので、ご飯が炊けるまでの時間が短くて済みます。
飲食店では何度もご飯を炊かなければいけないこともあるので、そのような場合は便利です。
そして電気代も電気炊飯器と比べると安いのが特徴。
安全面や細かな温度管理、保温などを考えると電気炊飯器のほうが便利です。
電気炊飯器は、コンセントの差込口があればどこでも設置できるので、置き場所にも困りにくいでしょう。
お店のメニューでご飯ものが多いかどうかにより大きさや種類を決めてください。
製氷機
製氷機を選ぶ際は、どのような飲み物に氷を使うのかで選ぶことが必要です。
業務用製氷機では、キューブアイス、チップアイス、フレークアイス、ビッグアイス、ブロックアイスなど作れる氷の種類が異なります。
一般的な家庭で作られる氷は、キューブアイス、ファーストフード店で提供されているドリンクに入っているのはチップアイス、お酒を提供する際はビッグアイスが使われています。
用途に合わせて最適な氷が作れる製氷機を選びましょう。
手洗い器
手洗い器は、調理する前や調理途中などで手を洗う際に必要です。
手洗い器の周辺には、石鹸や消毒液、使い捨て手袋なども置く必要があるため、十分な広さを確保するようにしましょう。
汚れやすい場所なので、お手入れのしやすさも重要です。
シンク(2層)
シンクを選ぶ際は、保健所の規定を守らなければいけません。
通常厨房に設置するシンクは、食材を洗う場所と食器を洗う場所を別々にする2層式以上とされています。
シンクには、バックガードがついているほうが良いでしょう。
作業の際に水はねを防ぐことができるためバックガードがついているほうが壁や床の汚れを防げます。
また、シンクを選ぶ際にはお手入れしやすいステンレス素材を選んでください。
戸が付いた食器棚
飲食店では、料理を盛り付けする食器を並べて置く食器棚が必要です。
食器棚も保健所の規定があるため、事前に確認しておくようにしてください。
食器棚では、戸がついていることも重要です。
食器を清潔に保たなければいけないため、扉は必ず必要となります。
この他、掃除がしやすいかどうか、取り出しやすいかどうかなども選ぶ際のポイントになるでしょう。
お客様から見える位置に食器棚がある場合は、外観も気にしてください。
換気扇
防虫・防塵・厨房内換気のために必要です。
シャッターがついている換気扇を選んでください。
内装関連設備
内装関連の設備は、お店のコンセプトやイメージに合ったものを選ばなければいけません。
飲食店は料理の味やメニューの内容だけでなく、内装設備でも、リピーターを獲得できるかどうかに影響があります。
調理道具
調理道具は、使いやすさやお手入れのしやすさ、丈夫さを重視して選びましょう。
料理をスムーズに提供することができるように、使いやすい調理道具を揃えてください。
食器
食器は、使用頻度や用途に合わせて数を決めなければいけません。
コップやメインのお料理を提供する際の食器、お茶碗は、座席数の倍は用意するようにしましょう。
これは、ピークの時に洗い物が間に合わないという場合があるからです。
どの食器も客席と同数にしてしまうと、お料理を提供することができなくなってしまうので注意してください。
食器は、お料理が美味しそうに見えるかどうか、お店の雰囲気に合っているかという点も注意しましょう。
テーブル・イス
テーブルやイスは、お客様が心地良く過ごせるかどうかという点を重視してください。
高すぎるテーブル、座り心地が悪いイスでは、せっかくお料理が美味しくても、居心地が悪くなってしまいます。
お店の雰囲気に合うデザインであることだけでなく、心地よく使えるかどうかという点を重視してください。
また、店内が広い場合は、フロアを区切って椅子や机を数種類並べるのもおしゃれです。
ソファー席とテーブル席、お座敷などで雰囲気を変えるのも良いでしょう。
レジ
レジはお会計をスムーズにできるようなものを選んでください。
最近は、アプリと連携させたお支払い、お財布ケータイなど様々な支払い方法があるので、それらに対応できるシステムを取り入れるようにしましょう。
電話機
電話機は子機やファックスがついているものが望ましいです。
お店にかかってきた電話にすぐに出ることができるように設置場所にも気を配りましょう。
パソコン
パソコンはノートパソコンがおすすめです。
作業の合間で時間ができたら、予約を確認したり、ホームページを更新する、SNSを更新するなども行えます。
トイレ
トイレは清潔感を重視してください。
場所に余裕がある場合は、男女別のお手洗いが設置できると良いでしょう。
女性のお手洗いには、メイク直し用のコットンや綿棒などもあると、サービスが良いお店という雰囲気になります。
おしゃれなカフェやレストランでは、このような気遣いがされていることが多いです。
防犯設備
閉店後や定休日などは、飲食店は無人となってしまいます。
そのため、防犯カメラや監視カメラの設置も検討してください。
冷暖房設備
冷暖房設備は、お客様に快適に過ごしてもらうために欠かせません。
店内の場所で温度が極端に変わってしまうことが無いように必要な台数を設置してください。
外の気候に合わせてこまめに室温を調整しましょう。
音響設備
音響設備は、飲食店の雰囲気づくりで欠かせません。
お店の雰囲気に合う音楽を流しましょう。
店舗で音楽を流す場合は、著作権料が発生する点に気をつけましょう。
USENで契約する場合は、契約の費用に含まれていますが自分でBGMを用意するという場合は、JASRACへ申請しておかなければいけません。
保健所が見ているところとは?
飲食店を開業する際は、保健所から営業許可を得なければいけません。
審査に通らなければ開業できないので、保健所がチェックしているポイントはおさえておく必要があるでしょう。
営業スペースが明確であるか
自宅で開業している場合、営業スペースと住居スペースがきちんと分けられているかどうかという点がチェックされています。
ホールとキッチンの区切りもあいまいになっていると営業許可を得ることができません。
営業スペースは明確にしておきましょう。
手洗い設備の有無
従業員が手洗いできるスペースが確保されているかという点は必ずチェックされます。
十分なスペースが確保されているだけでなく、お湯が出るかどうか、消毒液が設置されているかどうかという点も重要です。
ゴミ箱の衛生状態
調理場やホールのゴミ箱は常に清潔にしておかなければいけません。
すぐにゴミが溢れてしまうような大きさではいけないので、十分な大きさを用意しましょう。
また、外にゴミを集積する場所がある場合は、その周辺の衛生管理もしっかりと行っておく必要があります。店内にネズミやゴキブリなどが侵入しないように対策を取りましょう。
トイレの有無と場所
店内にトイレがあるかどうか、トイレの場所や衛生面がチェックされます。
従業員数に応じたトイレの数が必要です。手洗い設備も確認されます。
また、トイレが厨房と隣接していると保健所の営業許可はおりません。
更衣室の場所
従業員が着替える更衣室がきちんと設けられているかどうか確認されます。
更衣室と調理場が同じ場所にある場合はNGです。
害虫侵入対策の有無
ネズミやゴキブリなどの害虫対策ができていることが重要です。
店内に侵入してくることがないように、シャッター付きの換気扇を設置する、網戸を設置するなどが求められます。
100ルクス以上の明るさがあるか
飲食店は、店内の明るさも確認されます。
自然光が入ってくることだけでなく、100ルクス以上の明るさがなければいけません。
飲食店に必要な資格
飲食店を開業するためには、必要となる資格があります。
保健所の検査を受ける前にこれらの資格を取得しておかなければいけません。
食品衛生責任者
食品衛生責任者は、飲食店を開業する際に必ず必要です。
店舗に常駐しているスタッフの中に1名いなければいけません。
食品衛生管理を行えることを証明する資格で、食中毒が発生したりしないようにスタッフに指導し店舗を運営します。
防火管理者
不特定多数の人が利用する施設において防火管理者の設置が義務づけられています。
店舗の防火体制を管理し、お客様や従業員の命を守る役割です。
調理師免許(調理をする場合)
調理を行う場合は調理師免許が必要です。
調理師免許を持つスタッフを採用する場合は、オーナーが調理師免許を持っていなければいけないということはありません。
飲食店に必要な設備の初期費用を抑える3つのポイント
飲食店に必要な設備の初期費用を抑えるにはどのようにすれば良いのでしょうか。
居抜き物件を利用する
前テナントが利用していた設備がそのまま残っているのが居抜き物件です。
飲食店の場合、同系統のお店を出店するなら、居抜き物件にすることで必要な設備が揃っているので開業資金を抑えることができますし、スムーズな開業が可能になります。
リサイクル商品を利用する
厨房機器は、中古品の販売を専門にしている企業もあるので、リサイクル品を活用することで安くそろえることができます。
リサイクル品を購入する際は、どれくらい使われたものなのかという点をしっかり確認してください。
リース契約で設備を導入する
厨房機器はリース契約することも可能です。
リース契約することで、初期費用を抑えて開業できます。
ただし、毎月固定費が発生するので運転資金に計上することを忘れないようにしてください。
まとめ
飲食店の開業に必要な設備や、設備を揃える際に費用を抑える方法についてご説明しました。
これから飲食店の開業を検討されている方は、費用を抑える方法も参考にして必要となる設備を揃えてください。