美容師になったなら、いつかは持ちたい自分の美容室。
美容師として働きながら独立資金をしっかり貯めている方も多いと思います。
独立資金はいったいどのくらい用意すればいいのでしょうか。
今回は独立資金について解説します。
Contents
美容室の独立資金はどのくらい必要?
美容室の開業費用は店舗の場所や広さによっても大きく変わりますが、1,000万~1,500万円ほどかかるといわれています。
でもほとんどの美容師がそれだけの独立資金を貯めたから開業しているかというとそうではありません。
自己資金で足りない分は、融資を受けています。
では独立するためにはどのくらいの自己資金が必要でしょうか。
独立資金として自己資金は最低でも開業費用の1/4準備しよう
自分の美容室を持つための独立資金として、自己資産は最低でも開業費用の1/4が必要です。
融資を受ける場合、自己資金の3倍までの金額を融資枠として設定している金融機関がほとんどです。
例えば300万円の自己資金があると、3倍の900万円融資を受けられます。
合計1,200万円が独立資金として美容室の開業に使えます。
最低でも自己資金は1/4準備することが大切です。
独立資金が足りない場合には日本政策金融公庫の融資がおすすめ
自己資金で足りない分については、融資を受ける必要があります。
融資というと銀行を思い浮かべる人が多いかと思いますが、開業時は、営業や融資の実績がないため、銀行では審査が通りにくいことが多いです。
美容室の独立資金の融資は、日本政策金融公庫がおすすめです。
日本政策金融公庫は、政策金融機関として日本経済の発展や地域活性化に貢献する金融機関です。
その一環で中小企業の創業サポートとして事業資金の融資をおこなっています。
「新規開業資金」や、女性や35歳未満の若者、また55歳以上のシニアを応援する「女性、若者/シニア起業家支援資金」など、無担保、保証人不要で、低金利での融資があります。
融資を受ける際には、まず日本政策金融公庫に相談をしてみましょう。
▼日本政策金融公庫
美容室の開業費用の内訳について
では、美容室の開業費用はどのくらいかかるのか項目ごとに見ていきましょう。
内訳をしっかり把握することで不要なところはカットできて開業費用を抑えることができます。
・物件取得費
物件取得費は、店舗物件の賃貸契約をするための費用です。
開業費用全体の2~3割ぐらいを占めるといわれています。
物件取得費の内訳は下記の4項目が一般的です。
・店舗保証金(敷金) 賃料の約10か月分
・礼金 賃料の1~2か月分
・仲介手数料 賃料の1か月分
・前払いの賃料 賃料の1~2か月分
賃料が15万円とすると、合計で225万円です。
物件取得費は賃料によって大きく左右されます。
また、物件取得費だけではなくその後の固定費としても継続するので、賃料をいくらに設定するかはとても重要です。
首都圏や駅近の物件は基本的に賃料が高めで設定されています。
ただし、駅近や首都圏は競争率が激しいというデメリットもあります。
どのくらいの広さで毎日どの程度の客数が見込めてどのくらいの利益を出せるのか、しっかり計算した上で毎月の賃料を設定しましょう。
・内装工事費
美容室の内装費用は、1坪あたり30万~50万円が平均です。
20坪ぐらいの美容室で内装費用が1坪あたり40万円とすると、800万円が内装工事費としてかかります。
なお、この内装費用の平均はスケルトン物件の場合です。
居抜き物件の場合、造作譲渡料が発生しますがこの金額よりも低くなる傾向にあります。
できるだけ内装工事費を抑えたい場合には、居抜き物件がおすすめです。
・設備費
シャンプー台やセット椅子、ヘアスチーマーなど施術に必要なものから、ワゴンやスツール、バックルームの洗濯機や冷蔵庫なども含まれます。
他にもレジ台やパソコン、施術中に電子書籍をお客様に提供するためのiPadなども必要になります。
その他スケルトン物件の場合には、空調設備や水道設備、ガス設備などを新たに引かなくてはいけません。
その場合、200万~300万円ほどかかります。
・材料費
施術に使うハサミやドライヤー、ブラシ、シャンプーやトリートメント、カラー剤など開業前にすべて揃える必要があります。
ディーラーやサロン専用のサイトから購入する、メーカーから直接仕入れるなどの方法があります。
おおよそ30万~100万円見積もっておきましょう。
・広告宣伝費
いよいよ自分の美容室で独立するためには、開業前の宣伝がとても重要です。
美容室の公式サイトの作成、ショップカードやチラシ、ネット広告の掲載費などの宣伝費がかかってきます。
・運転資金
新規開店したところで、すぐに経営が軌道に乗るとは限りません。
日本政策金融公庫の調査結果によると、美容室開業後7割の経営者が、経営が軌道に乗るまで半年以上かかったと回答しています。
運転資金が底をついてしまえば廃業せざるを得ません。
最低でも3か月分の運転資金は必ず用意しましょう。
美容室の独立 4つのスタイル
美容室の独立には、「オリジナルサロン」、「のれん分けサロン」、「フランチャイズ」、「パートナーシップサロン」の4つのスタイルがあります。
どのスタイルを選ぶかによって必要な独立資金が変わってきます。
それぞれのスタイルによって特徴があるので、自分の経営方針にあったスタイルを選択しましょう。
・オリジナルサロン
美容室の独立となると、このオリジナルサロンのイメージが1番強いかと思います。
店舗選びから内装、コンセプトなど美容室に関する経営すべて自分自身が決定権を持っています。
物件取得費から内装費用など独立資金はすべて自分で用意しなければならず、経営がうまくいかないときなども全て自己責任ですが、自分の好きなように経営ができることが何よりも魅力です。
オリジナルサロンは、宣伝なども自分自身でおこなうため、軌道に乗るまで時間がかかることが大半です。
一般的にオリジナルサロンが軌道に乗るまで半年~1年かかるといわれています。
そのためオリジナルサロンを経営する場合には、その期間耐えられる充分な運転資金をも含めた独立資金を用意することが大切です。
・のれん分けサロン
のれん分けサロンは、これまで働いていた美容室と契約を結んで、その美容室の経営手法やブランド力を生かして新しい美容室を開業するスタイルです。
ノウハウを使用する代わりに、開業者はその美容室にロイヤリティを支払う義務が発生します。
のれん分けの場合、物件取得費や内装費などの開業費用はほとんど開業者が負担します。
そのため開業費用はオリジナルサロンを開業するのとそれほど大差がありません。
独立資金はすべて自費ですが、すでにあるお店の名前を利用できるため開業時からお客様の信頼度が高く集客もしやすいので、開業してから短時間で軌道に乗せられることがメリットです。
勤務していた美容室の人たちとの人間関係を継続しつつ美容室を開業したい人や、いきなり1人で完全独立するには自信がない人におすすめです。
・フランチャイズ
フランチャイズものれん分けとほぼ同様に、すでにあるサロンのノウハウやブランド力を使って開業する方法です。
のれん分けと大きく違うのは、のれん分けは勤務していたサロンと契約を結びますが、フランチャイズは今まで勤務経験のないサロンと契約を結ぶことを指します。
フランチャイズ展開している美容室はほとんどが全国展開している大手です。
そのため、大手美容室の集客力やノウハウを利用でき、開業までだけではなく開業してからも手厚いサポートを受けることができます。
フランチャイズしている美容室はすでに数店舗を抱えている大手のため、知名度も高くそのブランド力を集客に利用できるのがメリットです。
また、フランチャイズでの開店の場合、内装などはすべて本部から決められた全店統一のものを使用することが多いので、自分自身で内装を決めるよりもスピーディーかつ低コストです。
仕入れなども他のフランチャイズ店と同様の仕入れ先となるため、大口顧客として通常よりも安い値段で材料を仕入れることができます。
フランチャイズのデメリットは、内装から経営方針まですべて本部の支持に従わなければなりません。
そのため、自分のオリジナリティで勝負をしたい人には不向きといえるでしょう。
・パートナーシップサロン
ここ最近増加傾向にあるのが、このパートナーシップサロンです。
パートナーシップサロンとは、開業費用の出資やサポートをおこなう投資家と、実際の美容室の実務を担う開業者とでパートナー関係を結び営業していく美容室です。
開業費用などはパートナーが出資してくれるため、開業者は開業や経営に専念することができます。
その代わり利益はパートナーと分配します。
パートナーシップサロンは、開業者が資金の負担がほとんどないことが1番のメリットです。
ただし、開業者の経営手腕に信頼がないとなかなかパートナーがつきません。
また、利益の分配方法や契約満了条件などをしっかり契約前に明確にしておかないと後々トラブルになることもあるので注意しましょう。
投資家と経営者がしっかり信頼関係を築けることが大切です。
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美容室の独立資金について まとめ
美容師にとっては憧れの自分の美容室。
独立資金が豊富にあれば問題ないですが、美容師の平均の年収が約321万円といわれている中で大きな金額を用意するのは難しいかと思います。
まず開業をしてみたい、と思ったらフランチャイズ展開を利用する、投資家を募ってパートナーシップを結べると独立資金が少なくても開業への近道となります。
ただし、フランチャイズやパートナーシップにもメリットデメリットがあります。
他にも身近に独立している美容師さんに話を聞いてみるのもおすすめです。
独立資金をどうやって集めたか、独立する際に苦労したことなど聞いてみましょう。
開業して後悔することのないように、どんな美容室を作りたいのか独立後のイメージをしっかり描くことが大切です。