厨房設備や空調設備など、店舗を運営するには設備投資が必要です。
設備投資には高額の費用がかかるため設備資金の融資を視野にいれる必要があります。
融資を受けるには、事業計画書が必要です。
この事業計画書の作成に必ず記載しなければいけないのが「運転資金」と「設備資金」です。
Contents
運転資金について
運転資金は、企業が事業をおこなうために継続的に必要な資金です。
- ・商品や材料の仕入れ
- ・外注費
- ・広告費用
- ・人件費
- ・販売管理費
- ・光熱費
- ・通信費、交際費
- ・福利厚生費や税金
- ・消耗品費
- ・店舗の賃貸料
このような短期的だけれど継続して支払うものが運転資金に含まれます。
運転資金が足りなければ、従業員にお給料を支払うことができなくなる、仕入れができなくなる、家賃が払えなくなるなど、お店の営業に大きく影響を及ぼします。
設備資金について
設備資金は、店舗の改装や設備機器などを購入するための資金です。
- ・土地や建物の購入
- ・車やトラックなどの購入
- ・機械の購入
- ・無形資産の設置に関わる資金(自社ホームページ、固定電話やFAXの設置料金)
- ・店舗の改修や改装にかかる費用
- ・賃貸物件の入居資金
- ・パソコンやデスク、チェアなどの購入費用
設備資金は上記のように、長期的に会社で使用する設備や備品を購入するための資金です。
なので、メモ帳や筆記用具などの日常品は運転資金ですが、パソコンやデスクは設備資金になります。
設備資金の融資について
設備資金の融資と運転資金の融資の違い
居酒屋を開業するときに、すべて自己資金でまかなうのはなかなか困難です。
そのため、ほとんどの経営者が開業するときや設備を増強、改修や改装時に融資を受けることになります。
運転資金か設備資金かどちらで融資を申請するのかによって、申請方法や審査方法、融資の方法が異なるので注意してください。
基本的に設備資金の融資の返済期間は5年~20年、対して運転資金の融資の返済期間は1~7年と圧倒的に設備資金の融資の返済期間の方が長く設定されています。
設備資金は金額が高額になりがちで、また設備投資の回収には時間がかかるという認識のもと、返済期間を長めにとっています。
設備資金の融資を申請するには
設備資金は、設備や土地などを購入するための資金なので融資を申請する際に何を購入するのかの見積書、また購入後の領収書が必要です。
その他にもその設備を購入することで収益性がアップする、コストが削減できるなど具体的な説明や設備投資の回収期間を記載した事業計画書を提出しなければいけません。
何を購入するために使うのか、それを購入することでどんな効果が得られるのかをしっかりと明示することが、運転資金の融資を受けるには非常に重要です。
なお、設備資金の融資のため、設備購入以外で使用することは許されません。
万が一設備資金の融資を受けたのにそれ以外で使用した場合には、使用義務違反で銀行との取引が中止となり大きく信頼を損ねてしまいます。
運転資金の融資を申請するには
対して運転資金の融資の申し込みには、見積もりや事業計画書は不要で申請することができます。
使用用途も自由なことが多く、領収書の提出を求めないところがほとんどです。
運転資金での融資を設備資金に使っても特に問題はありません。
設備資金の融資はどこで受けられる?
設備資金の融資をおこなっているのは、大きくわけて
- ・公的金融機関
- ・都市銀行や信用金庫などの一般の金融機関
- ・ノンバンク
のいずれかになります。
それぞれの特徴を確認してみましょう。
公的金融機関から融資を受ける場合
開業費用の融資を受けられる公的金融機関の代表的なものは、
・日本政策金融公庫
・商工組合中央金庫
が挙げられます。
中でも日本政策金融公庫は、100%政府が運営する金融機関のため信頼が高くまた低金利の融資です。
また、法人・個人事業問わずほとんどの人が利用でき、無担保・無保証人とハードルも低くなっています。
まず融資を考えた時には、日本政策金融公庫に申請を考えましょう。
特に開業費用のための融資は、日本政策金融公庫がおこなっている「新創業融資制度」がおすすめです。
これは新たに事業を始める人向けの融資制度で、担保や保証人は原則不要、融資限度額は最大3,000万円(うち運転資金は1,500万円まで)です。
また他にも自治体が融資をおこなっている場合があるので、所在の自治体に確認してみましょう。
銀行など一般の金融機関から融資を受ける場合
銀行や信用金庫などから直接融資を受けることもできます。
ただ、開業費用については店舗実績がないため審査が厳しめであると思ってください。
審査を通りやすくするには、担保や保証人をつける、もしくは信用保証協会に保証を依頼して審査に通るなどする方法もあります。
また、信用金庫や地方銀行によっては、地域応援の意味も込めて地元の店舗開業融資を行っている場合もあります。
まずは相談してみるのが1番です。
ノンバンクから融資を受ける場合
ノンバンクから融資を受ける場合には、審査が通りやすい反面、金利が高いことがデメリットです。
また、ノンバンクでの融資履歴があると今後公的金融機関や民間の金融機関での融資が通りにくくなる可能性もあります。
また、開業資金の融資は金額が高いため返済に長期間かかることがほとんどです。
金利が高いとトータルの支払い額も予想以上に高くなってしまいその後の営業に影響がでるので、ノンバンクでの融資は慎重にした方がいいでしょう。
設備資金の融資に必須!事業計画書の書き方
設備資金の融資を受けるには、事業計画書の作成が必要になります。
この事業計画書によって審査が通るかが決まるといっても過言ではありません。
ここでは審査に通る事業計画書の書き方を説明します。
融資を受けるための事業計画書の重要性
事業計画書とは、開業してからどのように利益をあげていくのか、どうやって経営していくのか、経営者の経営方針を文章にして表すものです。
返済能力がない経営者に金融機関は融資をしたくはありません。
そのために、事業計画書を見て返済能力があるかチェックするのです。
融資を受けたければ、根拠のある数字で説得力がある事業計画書を作成しなければいけません。
事業計画書はどうやって作成すればいい?
飲食店の開業が初めての場合、事業計画書自体見たことがない人の方が多いかと思います。
事業計画書は、日本政策金融公庫でフォーマットがダウンロードできるので、それを利用しましょう。
▼事業計画書ダウンロード 日本政策金融公庫
※「創業計画書」と記載のあるものが事業計画書にあたります。
また、サイト上には洋風居酒屋を開業する場合の記入例もダウンロードできます。
ぜひダウンロードしていただき一読してください。
どうやって作成すればいいのかヒントになります。
融資が通りやすい事業計画書の書き方
融資が通りやすい事業計画書のポイントは
- ・わかりやすい
- ・正確である
- ・根拠を持った数字で計画されている
- ・説得力がある
の4つです。
この4つを意識して作成しましょう。
事業計画書には必ず以下の8項目の記入が求められます。
1. 創業の動機
ここでは創業に至ったきっかけから事業のコンセプトもここに記載します。
金融機関はコンセプトも重視しているのでしっかりと書きましょう。
またきっかけには仕入れ業者やお客様の見込みなど事業の見通しが立ったことを具体的に書くとなおよいでしょう。
2. 経営者の略歴等
ここには、経営者自身の職歴、また事業のサービス内容、ターゲット層、セールスポイントなどを記入します。
自分のこれまでのスキルをアピールできる場所なので、これからおこなう事業に役立つことはすべて記入しましょう。
3. 取扱商品、サービス
事業内容はここでしっかりアピールする必要があります。
・ターゲット(Who)
・取り扱い商品(What)
・提供方法(How)
を意識してわかりやすく伝えることが大切です。
ここで記入するターゲット層や取り扱い商品は店舗の経営において核となる部分です。
また、他店との区別がしっかりついていないと繁盛店になりません。
自分のお店の強み、他店とどう違うのかを伝えることが融資を受けやすくするポイントにつながります。
4. 取引先、取引関係等
商品を販売するには、商品の調達方法もとても重要です。
ここが決まっていないと先の見通しが建たないとみなされてしまいます。
仕入れ先はきちんと記入しましょう。
5.従業員
従業員を雇う予定であれば、人数を記入します。
雇う従業員がいるということは、その分の給料の支払い能力があるかどうかもチェックの対象となります。
6. お借入れの状況
経営者本人の借り入れについて記入します。正直に記入しましょう。
7. 必要な資金と調達方法
ここでは運転資金と設備資金にわけて記入します。
運転資金は日常的に必要な資金で、設備資金は厨房設備や土地など支払いは一時的ですが長い期間使用するものの資金です。
ここで具合的にいくら融資を受けたいか金額を記入します。
そのため、ここが1番重要な部分です。
自己資金がいくらあるか、何に使うからいくら不足しているのか、しっかりと数字でアピールしましょう。
8. 事業の見通し
毎月の事業の見通し、そして1年後の見通しの2つ記入が必須です。
いくらぐらい売上が見込めて、1年後にはどのくらいの利益を出せるか、ここがまさに返済計画にもあたります。
金融機関はここを見て返済能力があるか判断するため、説得力のある具体的な数字で表しましょう。
できた事業計画書は第三者にチェックを受けよう
自分では完璧と思っても他者目線でみるとわかりづらい点というのは必ずあります。
出来上がった事業計画書は提出前に他の人に見てもらいましょう。
できればすでに経営がうまくいっている経営者や経営サポートの専門家にお願いできればベストです。
また2人以上に見てもらいましょう。
指摘をされた部分を直したら提出しましょう。
まとめ
設備資金の融資を受けるには、わかりやすい事業計画書が必須です。
これで融資が決まるといっても過言ではありません。
そのためにも、今一度開業の目的やお店のコンセプト、開業後の運営などしっかりと見直すことが必要です。
具体的な数字、説得力のある内容が融資を受けられるキーとなります。