飲食店を開業したい!と思ったらお店のコンセプト決めや場所探し、メニュー開発など準備する期間が必要です。
準備する期間が短いとどこかに抜けが出てしまうし、長過ぎると間延びしてなぁなぁになってしまいがちです。
一般的に開業まで1年~1年半が準備期間とされています。
開業の準備を万全にするためにも、グランドオープン日を決めてしっかりと開業までのステップを進めていきましょう。
Contents
飲食店を開業するまでの流れ ステップ10
飲食店の開業は、だいたいオープンまで1年間ほど準備が必要です。
開業までの流れを10のステップにわけて説明します。
【オープンまであと1年】
1. お店のコンセプト作り
飲食店を開業するのに、お店のコンセプトを決めなければこの先を進めることができません。
開業にあたり、1番のベースとなる大事なステップです。
このコンセプトをもとにメニューや店舗の内装などを決めていくので、具体的に決めることが大切です。
明確なコンセプトを決めるために「5W1H」を使うことが一般的です。
Why(なぜ)…なぜ飲食店を開業するのか、開業の目的
Who(だれ)…どのようなお客様をターゲット層とするのか(年齢や性別、家族構成など具体的に)
What…(なに)…飲食店で何を提供するのか、洋食や和食などカテゴリーとメニュー内容、単価など
Where(どこ)…どこで営業するか、物件や立地
When(いつ)…いつ頃開業するか、営業時間はどうするか
How(どうやって)…どうやって営業していくのか(フランチャイズなのか、ビュッフェスタイルなのかなど)営業方法や、どうやって利益をあげるかなどの経営方法
この5W1Hをしっかりと定めるためにも、なるべく多くの飲食店に足を運んで調査しましょう。
お店のコンセプトが伝わる内装にしているか、メニューの価格や品数、スタッフの人数やテーブルなどの配置など経営者目線で見てみると、今までとは違って見えてくるはずです。
いいと思った飲食店はぜひ参考にしてください。
2. 店舗の物件探し
コンセプトが決まったら、その1つ「Where」を元に物件探しを始めましょう。
飲食店の物件には、骨組みだけのスケルトン物件と前の飲食店の設備や内装がそのまま残された居抜き物件と2種類あります。
スケルトン物件は、コンクリート打ちっぱなしの骨組みだけ残された状態なので、自由にデザインできるのが1番のメリットです。
そのため内装にとことんこだわりたいオーナーにおすすめです。
しかし、設備工事もすべて1から必要なので、内装費用が高くなる傾向にあります。
居抜き物件は、設備や内装がそのまま残されているため、残された設備を利用すればかなり内装費用を抑えることができます。
ただ、業種が違う居抜き物件を利用してしまうと、逆に不要な設備の撤去費用、必要な設備投資などが別途必要となり、スケルトン物件を利用するよりも内装費用が高額になってしまうケースもあるので注意してください。
また優良な居抜き物件は、すぐに契約が決まってしまうため、居抜き物件を狙う場合、早くから物件探しをおこなう方が有利です。
【オープンまであと10ヶ月】
3. 事業計画書を作成
事業計画書とは、開業にあたり飲食店のコンセプトや経営方針、必要な資金や営業の見通しなどを書面化して、金融機関等に融資を促すための書類です。
飲食店の開業費用は、1,000万円以上かかるともいわれています。
全額自己資金でまなかえる人は少なく、多くの経営者がこの事業計画書を作成後、金融機関から融資を受けます。
この事業計画書の雛形は、日本政策金融公庫のホームページで配布されています。
また、洋風居酒屋の事業計画書の記入例もあるので、参考にしてみてください。
【オープンまであと6ヶ月】
4. 開業資金の調達
事業計画書を作成したら、開業資金の調達を始めましょう。
さまざまな金融機関が融資をおこなっていますが、1番最初に検討すべきなのは、日本政策金融公庫がおこなっている「新創業融資制度」です。
この「新創業融資制度」は、原則無担保、無保証人で最大3,000万円(うち運転資金は1,500万円)の融資が受けられます。また、過去の実績なども不問です。ただ、融資を受けるためにはしっかりとした根拠のある事業計画書が求められます。
自治体によっては助成金制度があります。近くの区役所や市役所などに足を運んで確認しましょう。
【オープンまであと4ヶ月】
5. メニューの開発
メニュー開発も、飲食店のコンセプトがしっかりしていればスムーズに決まっていきます。
まずはメニューのカテゴリーわけが必要です。
前菜、スープ、サラダ、魚料理、肉料理、野菜料理、麺類、ご飯系、デザート、ドリンクなどカテゴリーを決めて、それぞれのカテゴリーを何品用意するかを決めましょう。
次に価格設定も重要です。
一般的には、原価率30%が目安と言われています。
ただ、すべてのメニューを原価率30%にするのではなく、原価率20%以下でも提供できるもの、原価率40%を超えてもお客様の満足度を優先させるものなど、組み合わせて全体的に30%近辺にするのがベストです。
また、SNSの浸透によって、飲食店の料理の写真などを気軽にネット上にUPできるようになっている今、盛り付けもお客様を呼びこむための集客の1つです。
SNS映えを意識した盛り付けのメニューも数品用意するのもおすすめです。
6. 店舗の内装・外装の設計及び工事施工
内装によって、人気店になれるかどうかが決まると言っても過言ではないくらい、飲食店にとって内装は重要です。
内装もお店のコンセプトをしっかりと反映して他店との差別化をはかりましょう。
内装や外装を依頼する業者選びも大切です。業者を選ぶ時には、必ず複数の業者から相見積もりをとって、値段だけではなく接客態度も比較して、信頼できる業者に依頼しましょう。
【オープンまであと1ヶ月】
7.各種届け出や手続き
開業1ヶ月前に迫ったら、諸官庁へ届け出が必要です。
必要な手続きは主に下記となります。
・税務署への手続き
・開業届
・所得税の青色申告承認申請書
・給与支払い事務所の開設届
・保健所への手続き
・飲食店営業許可を届け出て、「営業許可証」をもらう
また、居酒屋などを開業する際に、午前0時以降の深夜営業を行う場合には警察署へ「深夜酒類提供飲食店営業開始届」の届け出も必須です。
飲食店を経営するには、「食品衛生責任者」の資格も取得しなければいけません。
これは、食品衛生協会が開催している講習を受ければ取得できます。
だいたい6時間ほどの講習で費用は1~2万円程度かかります。
あまりにも直前だと席が埋まってしまうこともあるため、早めに申し込みましょう。
8.求人募集、スタッフの研修
スタッフを雇う場合、開業1~2ヶ月前くらいから求人募集を出すことを忘れないようにしましょう。
オープニングスタッフの場合、オープン前に1~2週間程度研修も必要です。
スタッフの対応を均一化するためにも、対応マニュアルも作成しましょう。
実は、求人募集の広告はお店の宣伝効果も兼ねています。
周辺の住民は、求人広告を見て「ここに新しいお店が出るんだ」とチェックしている人もいます。
そのため、求人広告にもお店の場所や開店時間、どんなお店かコンセプトや写真などを掲載するとより目を引く広告になるでしょう。
9. 告知、宣伝
飲食店をオープンするのに、宣伝は必須です。
新聞の折込チラシを作成したり、インターネットを活用したり、今はいろいろな宣伝手段があります。
また、地元情報誌やフリーマガジンなどがあれば、積極的に広告を出しましょう。
フリーマガジンや地元の情報誌は、掲載費が良心的なのでおすすめです。
人員が確保できれば、最寄りの駅でビラをまく、チラシを近隣にポストインするのも一定の効果が得られます。
チラシに「ドリンク1杯無料」などのクーポンをつけると、より初回の来店客数を増やすことができます。
宣伝は、チラシの印刷代や掲載費などで5~10万円ほど見積もっておきましょう。
10. プレオープン、グランドオープン
飲食店のオープンは、プレオープンとグランドオープンと2回にわけておこなうのが一般的です。
プレオープンは、グランドオープンのための最終調整です。
スタッフの動線、料理を提供するまでのオペレーション、オーダーから提供までの時間など営業のオペレーションがしっかり回るか、問題点がないかチェックするのが目的です。
なるべく満員に近いお客様を呼ぶようにしましょう。
また、プレオープンには宣伝効果もあります。
プレオープンに来店したお客様に気に入ってもらえると、SNSにあげたり知人や友人に広めてもらえたり、リピーターになってくれることが期待できます。
宣伝してもらえるような工夫をプレオープンに取り入れてみるのもおすすめです。
また、来店してくれたお客様にアンケートを取ることも忘れないようにしましょう。
プレオープンの反省をグランドオープンに活かすために、プレオープンはグランドオープンの1週間~3日前までにおこなうのがベストです。
グランドオープンまでに、プレオープンの反省点やお客様からいただいたアンケートを基に改善できるところはしっかりと改善してグランドオープンを迎えましょう。
飲食店開業までの流れ まとめ
以上、開業までの10ステップについて解説しました。
開業まではやることが多く忙しい日々が続きますが、しっかりとスケジュールを立てて余裕を持って取り組みましょう。
グランドオープンはあくまでもスタート地点に過ぎません。
せっかく飲食店を開業しても、なんと開店してから2年以内で50%の店舗が閉店に追い込まれています。
5年以内に閉店する店舗は70%にも及び、いかに飲食店の経営が難しいかを物語っています。
飲食店は、料理がおいしいことは必須ですが、それだけでは繁盛店にならない飲食店も多々あります。
あくまでもグランドオープンはスタート地点に過ぎません。
お店の経営者は、料理の味だけではなく、お店をPRする広報力、他店調査やお客様のターゲットなどを分析して経営に生かすマーケティング力など経営者として努力し続けることが、繁盛店への近道です。