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最低限の広さが必要
美容室を開業するためには最低限の広さが必要です。
東京都福祉保健局によると東京都内の市町村区域(八王子市及び町田市を除く)での美容所解説は以下としています。
◆床面積
・美容の業務を行う1作業室の床面積は、13平方メートル以上であること。
〔面積は内法(うちのり)により算定する。〕
◆いすの台数
・1作業室に置くことができる美容いすの数は、1作業室の床面積が13平方メートルの場合は6台までとし、6台を超えて置く場合の床面積は、13平方メートルに美容いす1台を増すごとに3平方メートルを加えた面積以上とすること。
また、個室のシャンプールームを設置する場合には、その場所だけで13㎡確保する必要があります。
作業室にはトイレやバッグルームは含まれません。
客待ちや消毒室は地域によって作業室に含まれる場合もあるため、詳しくは物件を所管する保健所に確認しましょう。
上記のルールを踏まえて、10坪以下でも美容室は開業可能ですが、個室のシャンプールームの設置やカットやセットを行う椅子、中待ちを複数設置するのは難しいでしょう。
美容室の広さに合わせた空間使いが求められます。
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1坪の大きさとは
1坪は約3.3㎡で約2畳分の広さです。一般的に坪単価は以下の式で表します。
坪単価=建物の本体価格÷坪数
坪数では広さが分かりにくいという人も少なくありません。
以下が10坪・15坪・20坪を㎡の単位に直した面積です。
・10坪=約33㎡・15坪=約49.5㎡・20坪=約66㎡
美容室の平均坪単価
内装工事費用は狭いほど安く作ってもらえると考えがちですが、実際には狭いほど坪単価が高くなります。
それは10坪でも15坪・20坪でも必要となる設備工事や施工する職人の手配料はほぼ変わらないためです。
10坪でも15坪でも職人がひとりで作業する場合に手配料が3万円だったとします。
10坪の場合は30,000円÷10坪=3,000円(一坪あたり)
15坪の場合は30,000円÷15坪=2,000円(一坪あたり)
狭いと坪単価が割高になることは覚えておきましょう。
内装工事費用の目安
美容室での内装工事は広さやこだわりの度合によって坪単価の相場は変わります。一般的には以下の通りです。
特徴 | 坪単価の相場 |
---|---|
安さ重視 | 20~40万円 |
こだわりが強い | 40から60万円 |
ここからは坪数ごとの美容室の内装工事相場と設備設置例をご紹介します。
10坪の美容室の場合
10坪の美容室は15坪や20坪と比べて坪単価は割高のため、約50万円は見ておくと安心です。
狭い空間でもパーティションや鏡などをうまく利用すれば、セット3面シャンプー台2台などの配置が可能。
余計な柱や壁を省くことで視線を交わしつつ、広い空間に仕上がります。
15坪の美容室の場合
坪単価は約30~60万円が一般的です。
セット面4台シャンプー台2台でもゆったりとした空間が作れるでしょう。
物件の形やバックルームや消毒室を小スペースにすれば、中待ちを作るほか、セット面5台シャンプー台3台の設置が可能な場合もあります。
20坪の美容室の場合
約20坪の美容室の場合の坪単価は約20〜40万が相場です。
内装にこだわりたいなら約40~60万円が必要になるでしょう。
セット面6台シャンプー台3台に中待ち3席作っても消毒室やバックルームに余裕を持たせられるほどスペースに余裕があります。
また、セット面やシャンプー台の台数を抑えれば中待ちやマツエクの施術スペースも確保可能です。
ただし、いくら広さに余裕があったとしても壁や柱が多く、圧迫感のある内装にすると狭く感じられるので気を付けましょう。
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物件の種類
美容室を開業する際の内装は、物件が居抜きかスケルトンかによっても大きく変わります。
場合によっては同じ広さでも内装工事が倍近く変わることもあるため、それぞれの特徴をしっかりと把握しておくと「こんなはずではなかった」と後悔することも避けられるでしょう。
以下に居抜き物件とスケルトン物件の特徴を詳しく解説します。
居抜き物件
居抜き物件とは、前の借主が使っていた設備や内装がそのままの状態で残っている物件です。
シャンプー台やエアコン、トイレなどの水道設備など残された設備や内装の状態によってはそのまま使えるため、内装工事費が安く収まり、工期も早いのがメリットと言えます。
一方で、設備や内装がそのまま残っていることで、すべての内装に一つひとつこだわりたい場合には実現しにくいのも特徴です。
また、設備が古くそのまま使えない場合は撤去費が別途かかるため、安いからと安易に決めずに設備や内装の状態も確認しましょう。
居抜き物件の場合の坪単価は約12~20万円程です。
スケルトン物件の場合、レイアウトを考える際に図面設計費が発生しますが、居抜き物件では必要ないため、その分コスト削減できます。
前が美容院なら設備を利用できますが、以前は事務所だったテナントの場合は電気容量が足りずに幹線工事が追加で必要になり工事費が高額になりがちです。
美容室を開業する場合は電気容量も重要な要素のため、物件を決める前に不動産屋さんに確認しておきましょう。
20坪の美容室なら以下が目安です。
・60~75A(アンペア)・14~20kw(キロワット)
スケルトン物件
スケルトン物件とは前に使用されていた設備や内装がすべて取り除かれていわば箱の状態の物件です。
内装から設備まですべて一から揃える必要があるため、思い描く理想の美容室を作りやすいのがメリットと言えます。
また、そもそも内装や設備が残っていないため、撤去費用もかかりません。
一方で、すべて自分で設備を用意し、内装も隅々まで工事をお願いすることになるため、コストがかかり、工期も長くなります。
スケルトン物件の坪単価は約25万から50万円が一般的です。
スケルトン物件ではこだわりの強さによっては坪単価が高くなるでしょう。
改装の内装費
美容室をすでに開業しており、改装する場合の坪単価は大きく手を加えなければ改装坪単価15~30万が一般的です。
ただし、トイレやシャンプー台などの位置を変更するなどの大掛かりな場合は、前述したような新装の内装工事と変わらない費用がかかります。
内装工事のコストを抑えたい場合には、水回りの位置を変えない方法で行うのがポイントです。
選ぶものによって価格が大きく異なるため、相場をあらかじめ調べておき、予算を組んでおくことをおすすめします。
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空間をうまく使うポイント
限られた空間をいかに快適に活かすかは、空間の使い方にかかってきます。
壁が多いと圧迫感が出てしまい、お客さんも居心地の良さを感じてもらえません。
しかし、お客さん同士が視界に入ってしまうほどオープンなのも気まずいですよね。
例えばパーティションや鏡を使ってうまくお客さん同士の視界を遮るよう工夫すると、お客さんは視線が気にならず快適な時間を過ごしてもらえるでしょう。
また、
・セットやカットをする際に座る椅子は、場所をとらない普通の椅子にする
・天井をあえてスケルトンのままにして高さを出す
なども限られた空間を広く見せるコツです。
工事費を抑えるポイント
まとまった内装工事費を捻出するのは大変です。
そのため、内装工事費をなるべく抑えたいという人も少なくありません。
ここでは、かさみがちな内装工事費を抑えるポイントをいくつかご紹介します。
工事費用を抑える
内装デザインを行う業者は、以下の2種類があります。
・デザインと施工を一括で行う ・デザインか施工どちらかを行う |
内装デザインと施工を別の業者に依頼すると、まず内装デザイン業者に設計を発注。
完成したら施工業者に依頼するという手順を踏む必要があるため、内装工事を終えるまでに時間がかかります。
また、一括で請け負う業者の場合、設計から施工までを自社で行うため、コスト削減にも効果的です。
こだわりたい場所を絞る
内装デザインを決める場合、ついどれもこだわりのデザインや材質を使いたくなりますが、すべてにこだわるとコストがかかります。
例えば、お客さんの目に入るエントランスや受付にはコンセプトに合わせて使いたい材質を使用。
一方シャンプー台周辺はお客さんからは目につきにくいため、リーズナブルなビニルクロスなどを利用するとコストを抑えてこだわりも感じられる内装が可能です。
中古品も利用
美容室を開業する際には、せっかくだからと、こだわりの家具や設備を整えたくなります。
しかし、今は大型量販店でもおしゃれな家具が手に入ります。
また、設備に関しても中古のものをうまく活用すればコストを抑えられます。
業者にすすめられるがままオーダーメイドにするだけでなく、ネットショップなどを活用して自分で必要な設備や家具を探せば理想的な一品を見つけられるかもしれません。
複数の業者に見積りを出す
内装を依頼する際は、近場の一社だけでは相場が分かりにくいため、複数の業者に見積りを依頼することが大切です。
適正価格がどのくらいなのかを確認するだけでなく、施工事例の多さも安心材料になるため、チェックしておきましょう。
まとめ
美容室は比較的狭いスペースでも開業できますが、狭いほど坪単価は高くなります。
また、居抜きやスケルトンなど、物件の選び方によってもかかる費用が変わるため、内装工事をする際は、コストと内装デザインなど重視したいポイントを抑えて、適した業者を選ぶことが大切。
「内装工事にまとまったお金がかかるのは厳しい」と感じるオーナーさんは内装工事リースという方法で手元に資金がなくても内装工事が可能です。
面談のほか、電話やLINE、Chatworkでも気軽に相談できるため、まずは問い合わせてみてはい かがでしょう。