会社設立には専門的な知識が必要となることから、先を見据えて税理士に相談できます。
ただ、その相談タイミングや内容、活用方法がイメージできない人も多いでしょう。
今回は、会社設立やその前後で税理士がどのように支援してくれるかを解説します。
目次
会社設立を税理士に依頼をするタイミング
会社設立に関する手続きなどで税理士へ作業を依頼するタイミングは主に3つあります。
それぞれのタイミングで会社設立手続きを税理士へ依頼すると、どのような支援を受けられるのでしょうか。
会社設立時に依頼
会社設立時に税理士に依頼をすると、会社設立に必要な手続きを税理士に代行してもらえます。
- 定款作成支援
- 各種届出書類の作成支援
- 各種社会保険申請の支援 など
基本的には、起業する本人が会社設立に必要な手続きを進めなければなりません。
一方、税理士に会社設立に必要な手続きを依頼すればこれらを代行してもらえるのです。
結果、手間が省ける、スムーズに手続きできるなどのメリットを生み出してくれます。
また、会社設立時に税理士に依頼すると、会社設立に関する手続きだけでなく税務顧問契約を依頼することも可能です。
将来を見据えて、会社設立の前段階で税理士に相談しておくことが望ましいといえます。
会社設立後に依頼
すでに会社を設立し経営しているタイミングで税理士に依頼することも可能です。
起業後の1期目に売り上げが上がり、決算期の税務や財務のために税理士を依頼する、というケースが多いでしょう。
会社設立後に税理士に依頼すると、以下の依頼が可能です。
- 経理や税金に関する相談
- 決算書の作成や税務申告書の作成、提出
- 資金調達に関する相談
ただし、税理士に依頼するまでの経理や税金に関するデータは起業した本人がまとめなければいけません。
また、依頼するタイミングによっては決算直前でも1年分の顧問料を請求されてしまう可能性があります。
個人事業主が起業する際に依頼
個人事業主は確定申告をはじめ、自分で税務や財務に関する処理をおこないます。
ただし、個人事業主でも2年前の事業売り上げが1,000万円を超えると課税事業者として税金を納める必要があるため、法人成りを検討する個人事業主が多いです。
個人事業主が法人成りのために起業するときも、税理士に依頼するタイミングになります。
個人事業主が法人成りのタイミングで税理士に依頼すれば、以下の依頼が可能です。
- 法人成りの手続きのサポート
- 税務管理や経理の相談
- 経営のアドバイス
- 資金調達の相談
起業するときと同じく、法人成りのための手続きサポートが受けられるのでスムーズで確実な手続きができます。
また、売り上げが上がったことにより大変になる税務や財務の処理を依頼したり、経営に関する相談を受けたりも可能です。
会社設立を税理士に相談するメリット
会社設立を税理士に相談するメリットは多々あるため、それらを紹介します。
税金に影響しやすい部分アドバイスを受けられる
会社設立の段階で、税理士に相談しておくことによって、税金に影響が受けやすい事項のアドバイスを受けられます。
どのような内容で会社を設立するかは、節税効果を生み出すかどうかなどを左右するため、非常に大きなメリットです。
例えば、株式会社の場合、資本金の金額や株主構成、そして決算月が納税などに大きく影響します。
どのように設定すれば、節税効果を大きくできるかや、安定した経営を実現できるのか、税理士からアドバイスを受けられるのです。
また、個人の税金に関わりやすい役員報酬の金額設定などについてもアドバイスを受けられます。
加えて、個人事業主から法人化したい場合には、現在が適切なタイミングであるかなどを税金の面から判断してもらうことが可能です。
個人と法人では、税金の仕組みが大きく異なるため、本当に法人化した方が良いのか判断できない場合の相談もできます。
会社設立の手続きをスムーズに進められる
会社設立にあたっては、専門的な書類などを作成しなければなりません。
これらを自分で作成することは難しく、一般的には専門家へ依頼して作成してもらいます。
このような依頼先を探すときに、事前に税理士へ相談しておけば、内部で連携して、サポートしてもらえる可能性があるのです。
例えば、税理士は税のスペシャリストではありますが、司法書士の領域である登記、行政書士の領域である認可申請は担当できません。
しかし、顧客の様々なニーズに対応するために連携している士業も珍しいものではなくなり、税理士法人内で複数の士業を抱えることも多い時代です。
税理士に相談することで、信頼できる司法書士や行政書士を紹介してもらえる可能性が高まります。
節税のアドバイスで利益を伸ばせる
税理士は税のスペシャリストなので、節税に関しても正しい節税によって利益を伸ばせます。
独自解釈の節税の場合、ともすれば節税として認められない可能性もあります。
場合によっては税務調査を受けて追徴課税を受けることにもなりかねません。
しかし、税理士であれば正しい税に関する知識を持っての節税を行いますので、安心して利益を伸ばせるでしょう。
顧問税理士の場合税務調査でメリットがある
税務調査を受けることになった場合、顧問税理士がいる場合、税理士が対応してくれるので安心です。
また、書面添付制度を利用する場合、税理士への意見聴取のみで終わるケースもあります。
税務調査を受けるとなれば、心理的な面でのプレッシャーも大きいものです。
決して悪いことをしているからではなく、あくまでも調査でしかないのですが、受けている側とすれば疑心暗鬼になることでしょう。
その点税理士がいれば、税務調査も問題なく対応してもらえますし、実際に税務調査を受ける際の立ち合いも税理士が行いますので、調査を受けている間、時間を無駄にすることもありません。
会社設立を税理士に相談するデメリット
税理士への相談のメリットは多々ありますが、デメリットもあるため紹介します。
設立後に顧問契約を結ぶことになってしまう可能性がある
会社設立を税理士に依頼した場合、後の顧問契約がセットになっている場合がほとんどです。
会社設立の際は税理士を必要としていたが、顧問契約が開始されてからは思ったほど税理士を必要としないケースもありえます。
そのため、結果的に費用対効果が悪いと感じてしまうリスクが潜在することはデメリットです。
司法書士への外注費用がかる
税理士は税に関するスペシャリストではありますが、登記を代行することはできません。
そのため、場合によっては別途司法書士に依頼する必要があり、費用が発生します。
ただ、昨今はこの点を踏まえ、司法書士と連携していたり、あるいは法人内で司法書士や行政書士資格を確保しているケースが増えてきました。
そのため、依頼する税理士事務所や法人によっては、このデメリットを意識する必要がないでしょう。
お金がかかる
税理士に相談・依頼するとなればお金がかかります。
専門的な知識を持つ税理士からのアドバイスは、金銭を支払う価値のあるものではありますが、会社設立直後などまだまだあまり経済状況的に余裕が無い時には、いくら税理士への相談ではあっても抵抗感がある場合も珍しくないでしょう。
税理士に依頼するメリットは多々ありますが、自ら行えばお金がかからないという考えもあります。
「お金をかけなくてもできる」との考えであれば、お金のかかる税理士への相談は、デメリットだと感じてしまうケースもあるでしょう。
事業の成長と共に金銭的な対価と手間・作業の負担のバランスが変化するものですが、会社設立当初となれば、やはりまだまだお金がかかる点をデメリットに感じてしまうのも仕方ない部分ではあります。
会社設立を税理士に依頼する際の費用相場
実際に会社設立を税理士に依頼する際に発生する費用の相場は、税理士はもちろん会社の経営体系によっても異なります。
株式会社、合同会社別の会社設立を税理士に依頼する場合の費用相場をそれぞれ見てみましょう。
株式会社の場合
株式会社を設立する際に税理士に依頼する場合の相場は、20~30万円で、費用の内訳は以下のとおりです。
- 定款印紙代:4万円(電子定款の場合:0円)
- 定款認証代:5万円
- 登録免許税:約15万円(資本金により変動あり)
- 謄本交付手数料:約2,000円(ページ数により変動あり)
- 税理士報酬:0~5万円
- 司法書士報酬:0~5万円
会社設立のための定款などの書類作成は、ページ数が多くなれば多くなるほど費用が高くなる傾向にあります。
合同会社の場合
合同会社を設立する際に税理士に依頼する場合の相場は、6~16万円で、費用の内訳は以下のとおりです。
- 登録免許税:約15万円(資本金により変動あり)
- 謄本交付手数料:約2,000円(ページ数により変動あり)
- 税理士報酬:0~5万円
- 司法書士報酬:0~5万円
合同会社の場合、株式会社のように定款を提出する必要がありません。
書類作成の費用がない分、合同会社設立時の相場の方が安くなっています。
会社設立に向けた税理士の探し方
税理士の人数は多く、どのように探せばよいか悩んでしまうため、税理士の探し方を覚えておきましょう。
税理士の探し方として、大きく分けるとインターネットを活用する方法と友人・知人から紹介してもらうかになります。
インターネット
インターネットで税理士を探すメリットは下記が考えられます。
- いつでも気軽に探すことが可能
- 探すだけであれば無料
- 税理士のホームページや口コミなど豊富な情報がある
一方で、下記のようなデメリットもあります。
- 情報が多いのでどれが本当の情報なのか分からない
- メールでのやり取りでは好印象だったものの、会ってみたら印象が悪いケースも
税理士や税理士法人の多くはWebサイトを開設し、自らの事務所の強み・実績等の情報を発信しています。
実際に税理士事務所にお世話になった人たちの口コミもありますので、税理士側からだけではなく、利用者の声を知ることで、より客観的な判断を下すことも可能でしょう。
仕事が終わってから、寝る前、仕事の合間、通勤時、あるいは空き時間などいつでも調べられる点がメリットとして挙げられる一方で、それらの情報の信ぴょう性が分からない点がデメリットに挙げられます。
知人からの紹介
知人からの紹介の場合、「知人のお墨付き」というメリットがありますが、必ずしも自分に合うか分からない点がデメリットです。
知人にとっては「素晴らしい税理士」だとしても、自分にとって素晴らしい税理士になるとは限りません。
また、もしもですが知人から紹介された税理士が自分に合わず、正式な依頼を見送った場合、知人の顔に泥を塗ってしまうことにもなりかねません。
場合によっては知人との人間関係に影響が出る可能性もデメリットです。
会社設立で良い税理士を見つけるためのポイント
最後にこれから会社設立を考えている人へ向けてどのような税理士を選べばよいのか、ポイントを解説します。
料金やサービス内容
最初に確認しなければならないことは、必要な料金とそのときのサービス内容です。
会社設立や会社設立後のサポートを提供する税理士はいくつもあるため、料金を比較してみましょう。
極端に安いところや、極端に高いところは何かしらの理由があるかもしれません。
料金には大まかな相場が存在するため、それを踏まえて検討することが重要です。
また、料金を比較する際には、会社設立後に顧問契約が必要かどうかなども確認しておくと、トラブルを回避しやすくなります。
税理士の得意分野
職業としては税理士とまとめられていますが、それぞれの税理士が持つ得意分野には大きな違いがあります。
今回求めているように、会社設立や法人税などの分野を得意とする人もいれば、相続など、会社設立とは全く別の分野を得意とする場合もあるのです。
今回は、会社設立を目的として税理士を探すため、この分野に強い人材を見つけるようにしましょう。
あるいは会社設立を全般的に支援している税理士法人などへ依頼することをおすすめします。
また、会社設立に限って述べるならば、創業期の支援に強いかどうかも重要です。
コミュニケーション方法や回数制限
どのような手法で、どの程度のコミュニケーションが取れるのかの確認が重要です。
現在は、企業用LINEなどチャット利用して相談できる税理士法人などがあるため、利便性を考えるならばこれらをおすすめします。
また、契約範囲でどの程度の相談ができるのかも確認しておきましょう。
例えば回数が決まっていることもあれば、相談する時間が決まっている場合があります。
制約がある場合は、思うように税理士を活用できない可能性があるため注意が必要です。
他の士業の在籍有無
税理士の他にも士業が在籍しているかどうかを確認しておきましょう。
例えば、司法書士や行政書士が在籍していれば、ひとつの依先で幅広い業務に対応してもらいます。
税理士では、許認可の申請代行業務に従事できませんが、事務所内やグループに他の士業が在籍していればこれらもカバーしてもらえるのです。
特に会社設立で許認可が必要な事業を営む場合は、税理士以外の支援も必要となります。
このときに別の依頼先を探すが、税理士から関係者を紹介してもらえるかどうかは大きな違いだと考えるべきです。
資金調達の知見
会社設立でお世話になる場合、やはり資金調達に関するノウハウは重要です。
どれだけ資金調達に強い税理士なのかによって、設立後の会社の命運が左右されるといっても過言ではありません。
もし、資金調達に弱い税理士を選んでしまうと、資金調達に関する相談では力になってもらえないでしょう。
場合によっては、資金調達に関して新しくコンサルタントを探すなどの手間やコストが必要です。
これを避けるために、会社設立の際に頼る税理士は、資金調達面でも頼れる存在である方が好ましいと考えられます。
自身の業界に精通しているか
自身・自社の業界に関して精通していればしているほど、より深い税務のアドバイスがもらえます。
個別案件に対して、より具体的な答えも持っていることも多いでしょう。
いわばコンサルタント的な存在として、税務に関することはもちろんですが、包括的に様々な点で頼れる存在となってくれるのです。
まとめ
会社設立に必要な諸業務で、税理士に依頼したいが悩んでいる方も多いでしょう。
基本的には、会社設立の前段階から税理士に依頼して、全面的に支援してもらうことをおすすめします。
もし、税理士や関連するサービスの依頼先に悩んでいるならば、、当社の会社設立代行をご検討ください。
当社の強みは、電子定款使用することで費用が安くなり、さらに、資金調達や融資、助成金のサポートもできることです。
会社創業時には、事業のことでお悩みが多く、会社代行に必要な諸業務を怠ったり、見落としがちな助成金を申請していなかったりする例が多く見受けられます。
ぜひ当社税理士を活用し、会社設立にお役立てください。