溶接会社で働いている人の中には、将来的には溶接会社を立ち上げて独立したいと思っている人も多いのではないでしょうか。
そこで、この記事では溶接会社を立ち上げる方法や、溶接会社を立ち上げたときの想定年収について紹介します。
目次
溶接会社を立ち上げるには?
溶接会社を立ち上げるには、溶接会社での経験が必要不可欠です。
溶接会社は、他の業界とは違い未経験でもいきなり独立できる業界ではありません。
溶接会社を立ち上げるには、溶接会社で最低でも10年、一般的には20年から30年程度の経験を積んで、独り立ちしても問題ないというレベルになってから溶接会社を立ち上げることが多いです。
また、溶接会社を立ち上げる際には、請け負う業務によっても立ち上げ方法が異なります。
例えば、配管溶接を中心に受ける場合は、大規模な工場が必要なく初期費用は大幅に抑えることが可能です。
しかし、製品溶接を中心にした溶接会社を立ち上げる際には、工場が必要になり工場の敷地確保や工場新設費用などで、数億円単位のお金が初期費用として必要になることもあるでしょう。
また、溶接会社を立ち上げる際に重要になるのが立地です。
一般的に、溶接会社は大手造船会社や大手企業などから直接案件を受けられる一次請けになるほどもらえる報酬が高くなり、下請けに行けば行くほど報酬は低くなります。
そのため、いかに上流工程で仕事を受注できるかがポイントです。
そして、上流工程で仕事を受注するためには、仕事の腕があるのはもちろんのこと、上流工程の仕事を発注してくれる会社が周辺にあることが必要になってきます。
溶接会社の立ち上げ費用
溶接会社の立ち上げ費用は、どのような形態で働くかによって異なります。
例えば、溶接会社を立ち上げても、自分一人だけが社員でフリーランスのような形で働いている場合は、立ち上げ費用は100万円以内に抑えることも可能でしょう。
これは、必要になる機材を購入すればいいだけだからです。
また、一人でやっている溶接会社の場合は、大規模な製品溶接などを行うことがなく、配管溶接など一人でもできる範囲の業務を受けることになると思います。
そのため、必要な道具も少なく済むのが特徴です。
一方で、社員を複数人雇い、製品溶接などを中心に扱う溶接会社を立ち上げる場合は、工場立ち上げ費用や従業員を雇う費用が必要なので、初期費用として数千万円から数億円必要になるでしょう。
溶接会社を立ち上げるなら取得しておきたい資格
溶接会社を立ち上げる時に、取得しておいた方がいい資格は以下の4つです。
- 1.アーク溶接作業者
- 2.ガス溶接技能者
- 3.溶接管理技術者
- 4.溶接作業指導者
アーク溶接作業者
アーク溶接作業者とは、アーク溶接をする際に必要な資格になります。
アーク溶接とは、金属に対する溶接のことで、多くの金属溶接で使われる技術です。
そのため、アーク溶接ができないと独立しても仕事を獲得することはできません。
また、独立をしなくても溶接会社で働く中でも必要になる資格なので、将来的に独立をすることを考えているなら取得しておくといいでしょう。
アーク溶接作業者は、3日間の講習を受けることで取得することができ、受講料は1万円〜2万円程度です。
ガス溶接技能者
ガス溶接技能者とは、溶接のなかでも可燃性ガスを使った溶接を行うために必要な資格です。
ガス溶接は、アーク溶接と比較して細かい調整が効きやすいことから、薄い金属の溶接などで使われることが多くなっています。
ガス溶接技能者の資格は、13時間の講習を受けたあとに試験に合格したら、資格を取得することが可能です。
また、学科試験には正答率が6割以上で合格という基準が明確に設けられています。
溶接管理技術者
溶接管理技術者とは、溶接の管理ができる資格能力を持っていることを証明する資格で、1級と2級があります。
溶接管理技術者になることで、施工基準の決定、監督指導、現場管理、施工計画、技術管理などをすることが可能です。
また、溶接管理技術者は溶接管理の資格としては最高峰のものになり、大規模な造船会社や建設現場では溶接管理技術者の資格がないと、溶接ができないという独自基準を設けていることがあります。
特に、建設現場では溶接管理技術者の資格があることで、仕事を獲得できる場合も多いので、現場に行って溶接作業をする会社を立ち上げたいと思っている場合は、溶接管理技術者を取得しておくといいでしょう。
工場を設立して製品溶接を中心に行う場合でも、溶接管理技術者の資格を持っておくことで、技術の証明にもなりクライアントから仕事を受けやすくなるというメリットがあります。
溶接管理技術者は、口頭試験と筆記試験の2種類があります。
2級では筆記試験で60%以上、1級では筆記試験で70%の正答率で合格です。
2級の合格率は50%で、1級の合格率は30%程度になります。
溶接作業指導者
溶接作業指導者は、日本溶接協会が行う溶接作業の実力を証明するための資格です。
溶接作業指導者の資格を持っていなくても、部下や従業員に対して溶接作業を教えることはできます。
しかし、溶接作業指導者の資格を持っていることで、より効果的にそして効率的に溶接作業を指導することが可能です。
溶接会社を立ち上げる際に、溶接作業指導者の資格を持っていることで、クライアントにもアピールになります。
特に、フリーランスの形式で溶接会社を立ち上げたいと思っている人の場合、自分がどのくらいのスキルを持っているのかを客観的に証明するのは難しいのが現状です。
そのため、溶接作業主任者の資格などを取得しておくことで、どのくらいのスキルを持っていて、どのくらいの作業ができるのかを大まかにクライアントに示すことができます。
溶接作業指導者の資格は、三日間の講習を受けた上で試験に合格すれば取得可能です。
ただし、試験は合格率が100%近くなので講習を受講した上で試験を受ければ、実質落ちることはないと思っても大丈夫でしょう。
溶接会社を立ち上げる時の3つのポイント
溶接会社を立ち上げる時のポイントは以下の3つです。
- 1.実務経験を詰んだ上で独立する
- 2.できることを多くする
- 3.地域での取引先を多くする
実務経験を積んだ上で独立する
溶接会社を立ち上げる時には、実務経験がないと確実に仕事を獲得することができません。
一方で、クライアントワークを苦手としていても、技術さえあれば仕事を獲得できるのが溶接の魅力でもあります。
そのため、溶接会社を立ち上げる人のなかには、60歳で定年になった後に立ち上げる人や技能コンテストで優秀賞を受賞したなど、客観的に見える成果等を持った上で独立する人が多いのが特徴です。
できることを多くする
溶接作業といってもこのように様々な分野があります。
- ◆アーク溶接
- ◆半自動溶接
- ◆ティグ溶接
- ◆ガス溶断
また、溶接するものに関してもこのように様々です。
- ◆ステンレスアルミ
- ◆厚物
- ◆薄物
- ◆板金
- ◆組み立て
- ◆うらなみ
そのため、溶接会社を設立するためには様々な溶接技術を学んだうえで、様々なものに対して溶接ができるようにすることが必要不可欠でしょう。
ただし、一つの技術に特化して、その技術でトップレベルの実績を誇る場合は、その技術のみで独立することも可能です。
地域での取引先を多くする
溶接会社は、全国的に取引先を拡大することは少なく、基本的には地域の会社や関連会社などと取引をすることが多く、そこから取引先を徐々に地域を中心に伸ばしていくというのが一般的です。
そのため、地域での取引先を多くすると良いでしょう。
独立溶接会社の想定年収
雇われの溶接工の年収は350万円程度です。
そして、溶接会社として独立した場合の年収は、想定では500万円から600万円程度になると思われます。
溶接の仕事自体は年中通してあり、地域の会社と関係を持ち継続的に仕事を受注できる関係になることで、経営を安定させることも可能です。
溶接の技術さえあれば製品溶接のみではなく、現場に入って配管溶接を行ったり、派遣として大きな造船会社で溶接作業を行うこともあります。
このように溶接会社として独立して、さらに技術さえあれば年収を高めていけるのが大きなポイントです。
また、溶接会社として独立する時に工場を設立して大規模な会社として独立して、社長になることで売り上げが多くなると必然的に年収が上がります。
もちろん、工場が大きくなるとそのぶん経費や人件費などが必要になりますが、それと比例して売上も大きくなるので結果的には、手残りが多くなるケースが多いです。
溶接会社を立ち上げるメリット
溶接会社を立ち上げるメリットは、技術さえあれば年齢に関係なく働けることです。
溶接会社で必要になるのは、コミュニケーションスキルや事務処理の技術だけではなく、溶接技術そのものも必要になります。
そして、溶接会社として仕事を受注するためには、溶接の確かな技術があり、それをクライアントに評価されなければいけません。
一方で、技術さえあれば何歳になっても働けるのが溶接会社を立ち上げるメリットです。
実際に、溶接会社を立ち上げる人のなかには、70歳でも現役で現場に出て作業をする人もいます。
特に、最近は人生100年時代と言われていて、60歳で定年退職した後にも仕事をしなくてはいけない場合が多いです。
このような時代において、溶接会社のように年齢に関係なく、技術のみで稼ぐことができるのは大きなメリットでしょう。
まとめ
溶接会社を立ち上げるには、技術を取得することが必要なので、最低でも10年程度かかることが多いです。
しかし、溶接会社は技術さえあれば稼げるので、年齢を重ねても稼げるのは大きな魅力でしょう。
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