個人事業主は税務調査が来ない?調査が入りやすい時期や確率について
現在、個人事業主として独立している方もいるのではないでしょうか。
個人事業主は、自分で税務申告を行う必要があり、正しく行うことができていないと、税務調査に入られる可能性があります。
この記事では、税務調査の基本的情報や税務調査が入りやすい時期について、解説します。
税務調査とは?
税務調査とは、納税者が適切に納税しているかを国が調査する制度です。
日本は納税者が納税額を計算して納税する申告課税方式を取っているため、故意の脱税はもちろん、うっかりミスなどで申告漏れがないかどうかもチェックするために税務調査が行われているのです。
税務調査には、任意調査と強制調査があります。
任意調査は納税者が税務調査の質問に答える方式で、強制力は強制調査よりは低いです。
一方で強制調査は悪質な脱税に対して行われます。
テレビなどで報道される、住居に立ち入っての税務調査やマルサと呼ばれる調査は、強制調査です。
・税務調査とは納税者が適切に納税しているか、税務署が調査する制度のことである。
・申告課税方式の日本では、申告漏れがないように税務調査が行われている。
・税務調査には任意調査と強制調査の2種類に分けられる。
個人事業主は税務調査が来ない?
結論、個人事業主でも、税務調査が入るケースは多くあります。
個人を対象とした税務調査は一般的に任意調査のため、しっかり質問に応えられれば問題ありません。
とはいえ、いきなり税務調査が入ると、慌てる人も多いでしょう。
個人に税務調査が入る場合や、どんな人が対象になりやすいかについて解説します。
税務調査が入りやすいケース
個人に税務調査が入る3つのケースについて解説します。
多額のお金が動いた場合
個人で多額のお金が動いた場合、そのお金に対する税金を適切に納めているかどうかをチェックするために税務調査対象となります。
多額のお金が動いたケースとは、主に以下のものがあります。
- 不動産の売買をした
- ネット取引で多額の収入を得た
- 相続をした など
特に相続性の税務調査は、相続性申告を行った人のうち30%の割合で行われているとも言われています。
売上が前年より極端に増えた場合
個人事業主やフリーランスも税務調査の対象となります。
個人事業主やフリーランスでとくに税務調査対象となるのが、売上が前年よりも極端に増えた場合です。
売り上げに対して適切に納税額が計算されているか、納税されているかを確認するために行います。
利益率が上がっているケース
個人事業主やフリーランスで、利益率が上がっている場合も税務調査の対象になりやすいです。
ほかにも、取引の証拠が残りにくい現金での取引をする商売や、過去税務調査対象となり多くの修正申告や追徴課税をした場合にも、税務調査対象となることが多くなっています。
追徴課税をした場合
追徴課税をした場合も、税務調査が入りやすいケースの1つです。
追徴課税とは、税額を実際よりも少なく申告している人や申告をしていない人に課される罰金制度のことです。
あらかじめ申告を正しく行うことができている方は、追徴課税が理由で税務調査が入る可能性は少ないです。
追徴課税の通知がきた場合は、提示されている期限までに納めるようにしましょう。
対象になりやすい個人事業主は?
税務調査の対象となるのは、どんな人が多いのかを解説します。
インターネット上での取引など
国税庁は、インターネット取引を行っている個人に対して、「あらゆる資料情報を収集・分析するなどして、積極的に調査を実施する」という姿勢です。
ネットトレードやコンテンツ配信、ネットオークション、ネット広告などのインターネット取引は、1件当たりの申告漏れ所得金額が多いため、税務調査対象になりやすくなっています。
申告漏れ所得の多い職種
個人事業主の税務調査で、1件当たりの申告漏れ所得金額がもっとも多いのは風俗業です。
続いてキャバレー、プログラマー、畜産農業(肉用牛)、防水工事の順になっています。
これらの職種は、1件当たりの申告漏れ所得金額が数千万になることも多いです。
これらの申告漏れ所得の多い職種の場合は、税務調査対象となる可能性も高いでしょう。
・法人だけでなく個人事業主でも税務調査が入るケースがある。
・多額のお金が動いた、売上が前年より極端に増えたなどの場合、税務調査に入られやすい。
・インターネット取引を行っている個人事業主は調査の対象になりやすい。
個人事業主に税務調査が入りやすい時期は?
税務調査はどの時期に入ることが多いのでしょうか。
ここでは、個人事業主に税務調査が入りやすい時期をご紹介します。
個人事業主によって変わる
個人事業主によって税務調査が入りやすい時期は異なります。
売上や事業規模、確定申告の時期等が異なるため、税務調査が入りやすい時期を予想することが難しいです。
ただ、7月から6月30までのサイクルで税務行政が行われているため、処理が完了した9月以降に来ることが多い傾向にあります。
個人事業主に税務調査が入る確率は?
個人事業主の場合、3年で税務調査くることもあれば、10年間、1度も調査が行われないこともあります。
国税庁の調査によると、平成28年時点の個人事業主に対する税務調査の実施率は1.1%ということが明らかになりました。
数字から見て分かる通り、税務調査は高い確率で行われていないことがあります。
ただし、調査が行われやすい業種があるので、自分が運営している事業が該当するか確認しておきましょう。
参照:税務行政の現状と課題
・個人事業主によって税務調査が入りやすい時期が異なる。
・税務行政が行われるサイクルから考えると、税務調査は9月以降に来る傾向にある。
・10年間、1度も税務調査が行われないこともある。
個人事業主の税務調査への対策とは?
個人事業主に税務調査が入る場合、一般的には電話で連絡が入ります。
飲食店などの店舗を経営している場合には、現金残高を見るために調査員が突然来店したり、客を装った内定調査をしたりすることもあります。
税務調査が入ると分かったら、個人事業主としてやるべき3つのことを解説します。
冷静に対応する
まず、税務調査が入ると分かったら冷静に対応するようにしましょう。
税務調査は、脱税をしている人だけでなく、正しく納税している人や収入が0に近い人も対象にして行われています。
また、確定申告などの添付書類不足や計算ミスがあり、確認で行われる場合もあるのです。
税務調査というだけで、自分は疑われているかもしれないと不快に思う人もいるかもしれません。
かといって、税務署からの連絡を受けなかったり、居留守を使ったりするとかえって怪しまれる可能性が高いです。
税務調査を必要以上に怖がらず、冷静に対応するようにしましょう。
書類はまとめておく
帳簿書類は7年間(種類によっては5年間)の保管が義務付けられています。
領収書をはじめとした帳簿書類はすぐに取り出せるようにまとめておきましょう。
なお、電子帳簿保存法により、帳簿をデータにして保存しておく場合は、あらかじめ税務署への申請書提出が必要です。
税理士に相談する
やましいことはないけれども税務調査に対して不安がある場合には、税理士への相談が有効です。
税理士は、税務調査に立ち会うことができます。
また、個人事業主の場合は税務調査のみを税理士に依頼することも可能です。
どんな書類を用意しておくか、調査当日どのように対応するかのアドバイスももらうことができます。
・一般的には電話で連絡が入るため、冷静に対応するように心がける。
・帳簿書類は、7年間の保管が義務付けられているので注意が必要である。
・不安な場合は、税理士へ相談することも有効である。
税務調査への対策をするなら
税務調査とは、納税者が適切に納税しているか、税務署が調査する制度のことです。
多額のお金が動いた場合や、売上が前年より極端に増えた場合などに税務調査が入る可能性があります。
このため、税務調査に関して不安をお持ちの方は、税理士に相談するようにしましょう。
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