一人親方をしていると税務調査を受ける可能性があるのか不安になる人は多いでしょう。
どんな点に注意するべきなのか気になるのではないでしょうか。
そこで、一人親方が税務調査を受けることがあるのか、どんな点に注意しなければいけないのか説明します。
目次
一人親方でも税務調査を受ける
一人親方でも当然税務調査を受けるケースはあります。
この点について説明しましょう。
どんな事業者でも税務調査を受ける可能性がある
基本的にどのような業界の事業者であっても税務調査を受ける可能性はあります。
税務調査は収入を得ているすべての事業者を対象とするからです。
申告内容に誤りがないのか細かくチェックをして、誤りが見つかれば修正申告を促して罰金を含めて税金を徴収します。
土木・建設業界は申告漏れが多く税務調査されやすい
特に土木・建設業界は申告漏れが多いとされていて税務調査されやすい傾向があります。
国税局が発表している申告漏れの多い職種の中にも建設業関連の職種がたくさん含まれているのです。
そのため、税務調査の際には土木・建設関連の職種は重点的に狙われやすく、一人親方は税務調査を受けやすいといえます。
土木・建設業界は売上の繰り延べが多いとされていて売上計上漏れが起きやすいです。
また、受注謝礼金の受け渡しが多く、科目仮装などの指摘を受けて重加算税が課せられることもよくあります。
人の出入りが激しい業界であり、日払い雇用も珍しくないため、外注費について指摘を受けることも多いのです。
現金で取引している場合は要注意
一人親方は現金のやり取りをするケースが多いです。
たとえば、作業員を雇い現金で給与を支給するケースは少なくありません。
このときに、きちんと領収書などを用意しておかないと後で外注費を経費にすることが難しくなり、税務調査でも指摘されます。
また、過去に従業員へ給与を支払ったと見せかけて架空人件費を計上する悪質なケースも多いため注意しましょう。
税務調査の対象を選ぶ際の基準は公開されていない
税務調査の対象を選ぶ際の基準は公開されていません。
したがって、自分がいつ税務調査を受ける可能性があるのかを知ることは不可能です。
一人親方は常に税務調査の対象になる可能性があると考えておきましょう。
いつ税務調査を受けても問題のない対応ができるように準備を進めてください。
一人親方が税務調査で指摘されやすい点
一人親方が税務調査を受ける際によく指摘される点について解説しましょう。
売上をきちんと計上していない
売上をきちんと計上していなければ税務調査で指摘されます。
収入を誤魔化していると判断されるからです。
売上を計上するタイミングにも注意しましょう。
請け負った業務を引き渡した日、あるいはすべての業務を完了した日が計上するタイミングです。
本来計上する年度と異なる年度で計上される期ずれが生じることもよくあります。
売上は発生主義で計上するのが基本です。納品した段階で計上しましょう。
期ずれが起きると法人税が当該年度に正しく支払われないため税務調査で問題にされやすいです。
売上を調整して消費税を逃れようとしている
売上の金額を調整しているケースがあります。
これは税務調査で指摘されやすい点であり、消費税を逃れようとしていると判断されるでしょう。
売上が一定額を超えると課税事業者になるため、それを避けるために売上調整するケースは多いです。
売上調整は税金を逃れようとする不正行為であり悪質であると判断されます。
バレれば罰則があるため注意しましょう。
経費の取り扱いが誤っている
経費の取り扱いを誤っている場合も税務調査で指摘されます。
所得を減らすために事業と関連のないものを経費に計上してはいけません。
経費にプライベートの支出まで含めるケースはよくあるため気をつけましょう。
誰かに仕事を依頼したときの給与と外注費の区分けに問題がある
一人親方は第三者に仕事を外注するケースがよくあります。
その際に給与と外注費の区分けに注意しなければいけません。
雇用契約であれば給与、請負契約であれば外注費として計上します。
本来は給与として扱わなければいけないのに外注費として計上すると税務調査で指摘を受けるでしょう。
プライベートな支出を交際費として計上している
一人親方は比較的交際費が高い業種とされています。
得意先を接待する目的であれば交際費になるのですが、プライベートな支出まで交際費として計上するケースは多いです。
この点は必ず税務調査で問題視されるため注意しましょう。
自宅を事務所として利用している際の事業が割合が実態と異なる
一人親方は自宅を事務所として活用するケースが多いです。
その際には事業で利用している割合とプライベート部分をしっかり区分けする必要があります。
自宅を事務所として利用しているからといって、家賃や光熱費をすべて経費にできるわけではありません。
あくまでも事業として利用している割合のみ経費にできます。
一人親方が誤った申告をしていた場合のペナルティ
一人親方が過去の申告内容を誤っていた場合のペナルティについて解説します。
期限内に申告しなければ無申告加算税が発生する
一人親方が確定申告の期限までに申告していなければ、無申告として扱われて無申告加算税が課せられます。
税務調査の結果として無申告が発覚すれば、修正申告をして納付することになった税額の15%(納税額が50万円以上の部分には20%)の無申告加算税が課せられます。
期限内に申告しなかったことへのペナルティです。
期限までに支払うべき税金が納められていないと延滞税が課せられる
申告していても、所得税などを期限までに納付できなければ延滞税が課せられます。
延滞税は法定納期限の翌日から数えて完納する日までの日数に応じて増えていく罰金です。
延滞期間が長くなるほど延滞税の負担が大きくなるため注意しましょう。
申告額が過小である場合は過少申告加算税が課税される
税務調査で申告額が過小であると判明すると過少申告加算税が課税されます。
本来納めるべき税額よりも低い税金しか納めていなかったことに対する罰金です。
本来の税額との差額を納める際にその金額の10%に相当する額が過少申告加算税として課税されます。
事実の隠蔽や仮装などの疑いがあると重加算税が課せられる
単なるミスで申告漏れが発覚しただけではそれほど重い罪に問われません。
一方、故意に事実の隠蔽や仮装を行った場合は罪が重くなります。
この場合は重加算税が課せられるのです。
重加算税は過少申告加算税や不納付加算税の場合は35%、無申告加算税の場合は40%の税率で加算されます。
過少申告加算税などの罰金の税率が重加算税の場合は加重されるのです。
一人親方が税務調査を受ける前に対策しておくべきこと
これから一人親方が税務調査を受ける際に対策しておきたい点について解説します。
過去数年分の申告内容をすべてチェックし直す
税務調査を受ける前に過去数年分について申告内容をすべてチェックし直してみましょう。
特に税理士へ依頼せず自分で申告している人は注意してください。
専門家に頼らずに申告すると必ずどこかにミスが生じてしまうものです。
税理士に依頼して申告していた場合でも、念のため申告内容のチェックをおすすめします。
ミスが発覚したならば、自主的に申告内容の修正をしましょう。
税務調査でミスが発覚するよりも、自主的に修正した方が罰金の負担は小さくなるからです。
経費として計上する支出の領収書やレシートをすべて揃えておく
税務調査では経費について細かく追求されます。
その経費の根拠について詳しい説明を求められるため、領収書や請求書、レシートなどが必要です。
経費の詳細を証明できる書類を必ず用意しておきましょう。
もし、過去の経費について領収書やレシートなどの書類が見つからない場合は、請求書の再発行を依頼したり、メールや明細など別の書類を探したりすると良いです。
取引内容と日付、金額、相手の会社などの詳細を客観的に証明することができれば経費として認められます。
経費が否認されることがないようにできる限りの対策を取ることが大切です。
無申告なら税務調査が来る前に自主申告しておく
一人親方をしていて無申告の人は意外とたくさんいます。
そもそも税金の知識がほとんどなく、申告が必要であると認識していない人もいるのです。
無申告の状態で税務調査を受けると大きな罰則を課せられる恐れがあります。
できるだけ早く自分から申告を済ませましょう。
自主的に申告することで加算税率も低くなります。
専門家に相談をして万全の準備を整えておく
一人親方が税務調査を受ければ、さまざまな点について徹底的に追求されます。
あらかじめ指摘されやすい部分について申告内容の誤りがないのか確認しましょう。
また、調査官からどんな質問をされても正確に対応できるように準備することが大切です。
万全の状態で税務調査を受けたいならば、専門家への相談をおすすめします。
特に税理士であれば、申告内容の誤りを指摘して税務調査への対策について提案してくれるでしょう。
税理士に税務調査への立ち会いを依頼することもできます。
税務調査を受ける前に信頼できる専門家を探しておきましょう。
一人親方は税務調査について専門家に相談しておこう
一人親方は申告漏れの多い業種のため、税務調査で厳しく追求されることが多いです。
経費や交際費の取り扱いなどには十分に注意しましょう。
税務調査を受ける前にしっかりと申告内容の見直しをして、必要があれば修正申告をすることが大切です。
過去の領収書やレシートなどを用意して、税務調査に対応するための準備を進めましょう。
一人親方が自分ひとりで税務調査に対応するのはリスクがあります。
そこで、税理士など専門家に相談すると良いでしょう。
税理士に依頼すれば、税務調査の対策をサポートしてくれるため安心できます。
<関連記事>