配送業で独立をしたいと思っている人も多く、実際に最近では個人事業主として配送業を副業にする人も多いです。
そこで、この記事では配送業で独立する方法やメリット・デメリットについて紹介します。
配送業の種類
配送業には、大きく分けて以下の2つがあります。
- 1.一般貨物自動車運送事業
- 2.貨物軽自動車運送事業
一般貨物自動車運送事業
一般貨物自動車運送事業とは、大規模な配送業者のことを指し、開業するための条件はこのようになっています。
- ◆5人以上の免許取得者
- ◆配送業務を行わない運行管理者の設置
- ◆整備管理者の設置
この条件からわかるように、一般貨物自動車運送事業として独立するためには大きなハードルがあり、個人事業主として一人で独立することは不可能です。
また、一般貨物自動車運送事業として独立することで、必要になる資格も多くなり、その分採用する人数も多くなります。
そのため、一般貨物自動車運送事業は最初から会社設立して独立したいと思っている人向けの事業区分です。
貨物軽自動車運送事業
貨物軽自動車運送事業は、大型トラックなどを使わず軽トラックやバイクなどを使って、配送業を行う人に対しての事業区分です。
貨物軽自動車運送事業は、個人事業主でも行うことができ、免許も一人だけ取得していれば問題ないです。
貨物軽自動車運送事業の条件はこのようになっています。
- ◆1人以上の免許取得者
- ◆運行管理者の設置義務なし
- ◆車両が10台以上の場合は整備管理者の設置
貨物軽自動車運送事業の条件からもわかるように、個人事業主として行う人や副業として配送業を行いたい人が必要な届出です。
また、配送業を行う際には無届けで行うことはできず、お金をもらって配送を請け負う場合は、貨物軽自動車運送事業もしくは一般貨物自動車運送事業の届出が必要になります。
配送業で必要な資格
配送業で独立する時に必要な資格は以下の3つです。
- 1.運行管理者資格
- 2.整備管理者
- 3.運送業許可
運行管理者資格
運行管理者資格は、一般貨物自動車運送事業で運行管理を行うための資格で、運行管理者資格の取得方法は2種類あります。
1つ目が試験を受けて取得する方法です。
運行管理者基礎講習を自動車教習所などの指定された場所で受講した上で、運行管理者試験を受け合格するというものです。
この方法で運行管理者資格を取得すると、運行管理者試験に合格すればすぐに運行管理者資格が取得できるので、一般的にはこの方法で運行管理者資格を取得します。
2つ目が運行管理者基礎講習を1回受けて、運行管理者一般講習を4回受けるものです。
この方法は講習を5回受けるだけで、運行管理者資格を取得できます。しかし、年に1回しか講習を受けることができず、最低でも5年しないと運行管理者資格を取得できません。
すでに、一般貨物自動車運送事業者として必要な運行管理者は確保できていて、ほかにも運行管理者をおきたい場合には、この方法で運行管理者資格を取得するのもいいでしょう。
整備管理者
整備管理者になるためには、以下の資格を取得する必要があります。
- ◆1級自動車整備士
- ◆2級自動車整備士
- ◆3級自動車整備士
これらの自動車整備士の資格を取得していない場合でも、配送業の実務経験もしくは自動車整備工場での実務経験が2年以上ある場合は、実務経験を証明した上で整備管理者になることが可能です。
一般貨物自動車運送事業者の数に対して、自動車整備士の資格を持っている人の人数が少ないので、整備管理者は自動車整備士の資格を持っている人ではなく、実務経験をもとに整備管理者として認められた人を置くケースが多くなっています。
運送業許可
一般貨物自動車運送事業者として、開業する場合には運送業許可が必要です。
運送業許可の取得条件は以下のようになっています。
- ◆法令試験に合格する
- ◆1年以上の懲役または禁錮以上の刑を受けてから5年経過している
- ◆一般貨物自動車運送事業または特定貨物自動車運送事業の許可取消しから5年経過している
- ◆許可申請者の密接関係者(親会社・子会社・グループ会社等)が一般貨物自動車運送事業又は特定貨物自動車運送事業の許可取消しから5年経過している
- ◆一般貨物自動車運送事業または特定貨物自動車運送事業の許可取消しの処分逃れのため自主廃業した場合、その届出の日から5年を経過している
- ◆5人以上の運転者がいる
- ◆運行管理者がいる
- ◆整備管理者がいる
- ◆農地法、都市計画法、建築基準法などに適合している
- ◆使用権原がある
- ◆適切な広さがある
- ◆車庫と離れすぎていない
- ◆休憩・睡眠施設がある
- ◆車両間、車両と車庫間に50cm以上隙間がある
- ◆対人賠償額:無制限に加入
- ◆対物賠償額:200万円以上の保険に加入
運送業許可は、一般貨物自動車運送事業者として配送業を行うなかでの指針となるもので、運輸局に申請すると取得できます。
配送業での独立方法
配送業で独立する方法には、以下の3つがあります。
- 1.個人事業主として独立
- 2.FCで独立
- 3.自己ブランドで独立
詳しく見て行きましょう。
個人事業主として独立
配送業として独立する際は、個人事業主として独立する人が多いです。
特に、最近では「Amazon Flex」などを利用して、個人事業主でもAmazonから直接仕事を受けられるなど、個人事業主であっても仕事が工面できる状況があります。
このような背景から、個人事業主として軽貨物の利用して開業する人が多いです。
個人事業主として開業することで、初期費用を大幅に抑えることができるだけではなく、従業員を雇う必要もないので経営リスクを小さくすることもできます。
FCで独立
配送業として独立する際には、フランチャイズとして独立することもあります。
フランチャイズとして独立するメリットは、経営の経験や知識がなくてもフランチャイズ本部の助けを受けながら組織を大きくできることです。
一方で、大手のフランチャイズ本部に所属する場合は、一般貨物自動車運送事業者として必要な条件のほかにも、フランチャイズ本部のなかでさらに厳しい条件が設定されていることもあります。
また、個人事業主であっても「スーパーカーゴ」や「赤帽」のように、個人事業主で貨物軽自動車運送事業者を対象にしたフランチャイズも多いです。
自己ブランドで独立
自分のブランドで独立するのも一つの手段です。
一般貨物自動車運送事業者として独立する人の多くは、一般貨物自動車運送事業を行う会社で配送業に従事した経験がある人で、知識や経験が0の状態で一般貨物自動車運送事業者として独立することは少なくなっています。
そのため、一般貨物自動車運送事業者として独立する場合は、フランチャイズなどに加盟することなく、自己ブランドとして独立することも多いです。
しかし、自己ブランドとして独立をすると、周囲の人との関係性がない場合は仕事を受けることができなかったり、経営に対しての助言を受けられないこともあります。
配送業で独立するメリット
配送業で独立するメリットは、以下のものす。
- ◆初期費用が安い
- ◆仕事の心配がない
初期費用が安い
配送業で独立するメリットは、初期費用が安いことです。
貨物軽自動車運送事業者として独立する場合は、軽貨物もしくはバイクを自分で購入すれば、貨物軽自動車運送事業者として独立することができます。
初期費用は、数百万円で抑えることができるでしょう。
また、個人事業主として独立する場合は、自分以外の従業員がいないので固定費もそこまで多くなく、利益として残る金額も多いです。
仕事の心配がない
現在、配送業はコロナの影響やECサイトの普及によって、配送量自体が多くなっています。
そのため、配送業の仕事については心配がないと言われることが多いです。
ただ、今後自動運転のトラックなどが出てきて、トラックでの配送の仕事自体が少なくなる可能性も否定はできません。
配送業で独立する3つのデメリット
配送業で独立するデメリットは、以下の3つです。
- 1.人材確保が難しい
- 2.低価格・重労働になりやすい
- 3.経営リスクが高い
人材確保が難しい
配送業者は、どこも人材確保が難しいというデメリットがあります。
配送業者の場合、トラック一台につき1人の人材が必要です。
一方で、若者を中心に配送業に対してブラックで重労働というイメージもあるでしょう。
そのため、配送業では若い人の確保が難しいのが現状です。
若い人を確保するためには、採用マーケティングを行う必要があったり、給料を高くするなどの抜本的な改革が必要になる可能性もあります。
このように、人材確保と利益の調整という面でも難しくなるのが、デメリットになるでしょう。
低価格・重労働になりやすい
低価格・重労働になりやすいのがデメリットです。
配送業者は、多くありますが、大口のクライアントから直接配送業務を請け負える一次請けの会社は数社しかありません。
多くの会社は、下請け・孫請けのような立ち位置で仕事をすることになります。
このような業界構造があり、下に行けば行くほど低価格・重労働になりやすいのはデメリットでしょう。
経営リスクが高い
一般貨物自動車運送事業者として開業する場合は、経営リスクが高いのもデメリットです。
一般貨物自動車運送事業者として開業する際には、運転免許証を取得している人が5人以上、またトラックも必要になります。
トラックは安いものであっても、1台500万円、新車で購入すると数千万円になることもあります。
そのほかに、事故のリスクもあります。
事故で全国的に会社の名前が出てしまったら、その会社は廃業もしくは、仕事が来なくなる可能性が非常に高いでしょう。
実際に、過去には従業員が児童を死傷する事故を起こしたことで、トラックに記載された会社名が全国的にニュースで報道され、会社が廃業に追い込まれたという話もあります。
このように、開業するためには初期費用が高くなってしまうだけではなく、従業員教育もしっかりしないと倒産に至るような経営リスクが高くなってしまうのも事実です。
まとめ
配送業は、許可さえ取得すれば独立するハードルが低いです。
また、仕事自体も豊富にあるので案件がなくなってしまう可能性は小さいでしょう。
今後、配送業として独立したい人は、ぜひこの記事を参考にしてください。