目次
会社設立の必要書類は?
会社設立後(法人の設立登記完了後)には、税金・社会保険・労働保険などに関する、さまざまな手続きを行わなければなりません。
代表的なものを挙げると、以下についての届け出が必要になります。
税務に関しての税務署に届け出
- 【必要な書類】
- 法人設立届書
- 青色申告の承認申請書
- 給与支払事務所等の開設届書
- 源泉所得税の納金の特例の承認に関する申請書
- 【任意で提出する書類3つ】
- 棚卸資産の評価方法の届出書
- 減価償却資産の償却方法の届出書
法人設立届書
- 届出期日:会社設立から2ヶ月以内
- 提出管轄:税務署・都道府県税事務所・市町村役場
各都道府県税事務所の「法人事業税課(住民税課)」と、市町村役場の法人住民税課法人設立届書は、会社を設立した旨を税務署に知らせるための書類です。
設立から2ヶ月以内に提出する必要があります。
設立届には、登記事項証明書、定款(コピーで可) 、株主(合同会社は社員)名簿、設立時の貸借対照表などを添付書類として求められます。
法人設立届出書に添付する書類は下記の4つになります。
- 登記事項証明書
- 定款のコピー
- 株主名簿
- 設立時の貸借対照表
※法人設立時に公証人役場にて受け取っている定款のコピーで問題ありません。
※決まった書式はありません。
タイトルに、《㈱〇〇〇〇〇 株主名簿》、株主氏名・住所・株数・金額・役職及び他の株主との関係を分かり易い形で記します。
※こちらも特に決まった書式はありません。
複式簿記による資本金の仕訳を記します。
タイトルに、《設立時貸借対照表》、資産の部に普通預金、金額及び負債の部に資本金、金額を記します。
法人設立届出書と添付書類を合わせておきましょう。
法人設立届書、定款のコピー、登記事項証明書、株主名簿、設立時の貸借対照表の順番で揃えておくと良いでしょう。
青色申告の承認申請書
- 届出期限:会社設立から3ヶ月以内
- 提出管轄:税務署
青色申告制度の適用を受けるための申請書です。
青色申告とは、1年間に生じた所得金額を複式簿記による会計処理を行う代わりに税務上のメリットが与えられる制度です。
青色申告書は設立した会社が青色申告で法人税を納めるために必要なものなのです。
しかし、注意しなければならないのが会社を設立して3ヶ月以内に提出しなければいけません。
期限が過ぎてしまうと税務上のメリットが受けられなくなってしまいます。
※1日でも過ぎてしまった場合は、白色申告となります。
メリット①:欠損金の繰越控除
青色申告法人になると、その年の赤字(欠損金)を最大10年間にわたって繰り越すことができます。
欠損金とは税務上の赤字のことです。
青色申告法人は、その欠損金を繰越して翌年以降の課税所得から差し引けます。
つまり、ある年の赤字を将来の黒字と相殺できるのです。
例として、初年度に50万円の赤字が発生してしまいました。
2期75万円の黒字は発生したとすると、その年の所得金額を25万円にすることができます。
このように、課税所得が通常なら75万円だったのが、25万円となり最大10年間にわたり繰越していくことが出来るのです。
更に、欠損金は過去の事業年度の古い年度から計算されていくのです。
この制度は中小企業をサポートするためのものなのです。
しかし、この制度を活用するにあたり条件があります。
- 欠損金が生じた事業年度において、青色申告書を提出している
- その後の事業年度も連続して、法人税申告書(白色でも可)を提出している
- 帳簿書類一式を保存している法人
その他、欠損金の繰戻還付、中小企業者等の少額減価償却資産の特例、推計課税の制限などなど、中小企業をサポートする為の制度もあります。
メリット②:青色申告特別控除を受けられる。
事業を開始した際に「開業届」「所得税の青色申告承認申請書」を提出することにより、その年の所得に対して、青色申告特別控除が受けられるようになります。
提出期限は事業開始後、2ヶ月以内となります。
豆知識:平成28年度税制改正により、平成30年4月1日以降に開始する事業年度において生ずる欠損金額の繰越期間が10年となったのです。
平成13年4月1日以前は欠損金額の繰越期間は5年でした。
デメリットとしては手間が掛かることです。
複式簿記を使って記帳し、損益計算書・貸借対照表の提出が必要なります。
簿記には「単式」と「複式」があり、少し複雑になってきますので、税理士・会計士に頼むのがおすすめです。
給与支払事務所等の開設届書
- 届出期限:会社設立から1ヶ月以内
- 提出管轄:税務署
給料を支払うときは、個人事業主が従業員の所得税を天引き(源泉徴収)して、従業員の代わりに税務署へ納めることになります。
その旨を伝えるのがこの給与支払事務所等の開設届書になるのです。
この届書を提出することにより、税務署より源泉徴収した所得税を納付する為の用紙が送られてきますので、納税することになります。
届出書を提出しなかった場合は、ペナルティが科せられて税金をより多く支払うことになってしまいますので注意が必要です。
源泉徴収の納期の特例の承認に関する申請書
- 届出期限:特に定められていない
- 提出管轄:税務署
※原則として、提出した日の翌月に支払う給料等から適用されます。
原則として、従業員から源泉徴収をした源泉所得税は、徴収した日の翌月10日までに納付する必要があります。
しかし、毎月税務署で手続きをするのは事業主側にも負担が掛かってしまいます。
そこで、この納付手続きをすることにより、毎月納付が年2回の納付になり、事業主側の事務手続きが大幅に緩和されることになるのです。
源泉所得税の納期の特例制度の手続きをすると
・1月~6月分は、7月10日が納付期限
・7月~12月分は、翌年1月20日
※納付期限日が土日祝日の場合にはその翌日となります。
このように事業主側の手続きが緩和されるのです。
※ただし、この制度を利用できる条件があります
- [源泉所得税の納期の特例の対象となる支払]
- 給与(手当・賞与、非居住者に対するものも含まれる)
- 退職金(非居住者に対するものを含まれる)
- 士業に対する報酬
- …弁護士・司法書士・土地家屋調査士、公認会計士、税理士、社会保険労務士などに対する報酬
- [源泉所得税の納期の特例を受けるための要件]
-
法人・個人に共通する要件として、給与を支払う人数が常時10人未満であること
※常時雇用している人であり、臨時的に雇った人員などは含まれません。
- [源泉所得税の納期の特例の適用開始時期]
- 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書を提出した月の「翌月」に支払う給与や報酬に係る源泉所得税から適用されます。
例として~月に「源泉所得税の納期の特例の承認の申請書を提出」した場合
-
4月に支払った給与・報酬の源泉所得税
>> 5月10日が納付期限 → 原則 -
5月~6月に支払った給与・報酬の源泉所得税
>> 7月10日が納付期限 → 特例の適用 - 7月~12月に支払った給与・報酬の源泉所得税
>> 翌年1月20日が納付期限 → 特例の適用
この制度のメリットは、毎月ではなく、支払をまとめることが出来るので支払う回数が減り、事務負担が軽減されます。
しかし、デメリットもあります。
半年分をまとめて納税することとなる為、一度の資金負担が大きくなります。
本来、給与・報酬から毎月天引きしているので、会社の口座に天引きした源泉所得税分が残ってなければなりませんが、運転資金と混同しないようにキチンと管理をしなければ、資金不足に陥ることも考えられます。
その要因として、1年を通じて、1月・7月は繁忙期と重なったり、賞与や労働保険料の支払いなど、会社の支出が多くなるタイミングになります。
よって、「源泉所得税の納期の特例を受けない」という選択も可能なのです。
- 源泉所得税の納期の特例を取りやめる
- 納期の特例の条件を満たしていても、なにかしらの理由で辞めることが出来ます。
- 給与・報酬の支払いを受ける人数が、常時10人を超えた場合などは、納期の特例の適用要件をみたさないこととなりますので、取りやめをしなければなりません。
納期の特例の適用を取りやめる場合には、「源泉所得税の納期の特例の要件に該当しなくなったことの届書」を提出します。
提出すると、提出した日の期間の納期の特例から適用できなります。
棚卸資産の評価方法の届書
ここからは任意で提出する書類です。
- 届出期限:会社設立後、最初の確定申告の提出期限
- 提出管轄:税務署
棚卸資産とは在庫商品や材料を数量とその合計金額を算出します。
棚卸は決算書に反映してくるので、税務上外せないのです。
棚卸資産の評価方法にはいくつかの種類があり、企業ごとに異なりますので、税理士に相談することをおススメします。
提出をしない場合:実際のところ、中小企業においては「棚卸資産の評価方法の届出書」を提出しないでいると、「最終仕入原価法による原価法」として選択した形になってしまいます。
こちらは実務上の評価計上に関するメリット・デメリットになりますので、詳しくは税理士にご相談ください。
減価償却資産の償却方法の届書
- 届出期限:設立最初の確定申告書の提出期限
- 提出管轄:税務署
事業を行う上で必要な減価対象物(自動車・パソコン・コピー機)など減価として経費計上することが出来ます。
減価の算出方法は定額法・定率法の2種類が主にありますので、自分の会社に合った計算方法を税理士に相談することをおススメします。
また、任意ですので届書を提出しなければ、定率法が適用されます。
算出方法が定率法の場合は提出する必要はありません。
社会保険について年金事務所へ届け出をする
会社設立をしたら特例を除き、社会保険に加入しなければなりません。
個人事業主だった場合は国民健康保険と国民年金加入されているかと思います。
会社設立をしたら切り替える手続きをしましょう。
社会保険には健康保険・厚生年金があります。
厚生年金は提出期限が法人登記から5日以内と定められておりますのでご注意ください。
必要書類は3つほどです。
- 健康保険・厚生年金保険新規適用届
- 健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届
- 健康保険被扶養者届
※登記事項証明書が必要になります。
また年金事務所により住民票など住居の確認の出る書類が必要になってくることがありますので、直接確認することをおススメします。
会社設立して従業員を雇用する場合は労働保険の手続きも必要になります。
雇った日より10日以内に行います。
労働基準監督署
- 労働保険 保険関係成立届
- 労働保険 概算保険料申告書
ハローワーク(公共職業安定所)
- 雇用保険 適用事業所設置届
- 雇用保険 被保険者資格取得届
まとめ
会社を設立出来たと思ったら、書類を税務署や都道府県、市区町村に提出しなければなりません。
事業をやるためにもっとたくさんのやらなくてはならないものがあるなんて大変ですよね。
もちろん、調べて自分で申請することも出来るのですが、私達は、企業様の成長を一緒にしていく為に、㈱経営サポートプラスアルファでは財務会計を筆頭に税の相談から、資金の相談、そして従業員の育成を一貫してお客様のサポートをさせていただいており、さらに、プラスアルファを提供させていただきます。
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