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取締役の適正な人数|取締役1人でも会社設立は可能?

会社を設立する際には、取締役や代表取締役を決定しなければなりません。

取締役や代表取締役の人数をどうするかは、多くの起業家が悩むところです。

今回は、取締役や代表取締役の適正な人数設定について紹介します。

取締役の適正な人数は何人?

取締役の人数の決定に関しては基本的には自由な部分が多いですが、いくつか規定が存在します。

株式譲渡制限会社は取締役1人でも会社設立が可能

旧会社法では、株式会社を設置する場合は最低でも3人の取締役が必要でした。

しかし、平成18年に施行された新会社法により、株式譲渡制限会社では取締役1人以上で起業できるようになりました。

株式譲渡制限会社とは、自社株式を第三者に譲渡する際に株主総会や代表取締役の承認が必要となる会社のことです。

株式譲渡制限会社では、株主が取締役となり、業務に携わるケースが多いため、取締役会の設置が義務付けられていません。

また、監査役も必要ありません。

このため、株式譲渡制限会社では取締役、代表取締役、株主総会の3つだけを設置すれば良いことになります。

株主総会は株主の会議のことを指すため、事実上必要なポジションは取締役・代表取締役のみです。

さらに代表取締役は取締役が兼ねることができるため、取締役は1人でも問題ありません。

つまり、個人事業主として活動している方は一人でも法人化が可能であるということです。

(引用)
第326条 株式会社には、1人又は2人以上の取締役を置かなければならない。

公開会社では取締役3人以上が必要

公開会社とは、株式譲渡制限会社とは反対に、株式を自由に売買することが認められている会社のことです。

必ずしも上場企業とイコールではなく、未上場企業であっても株式譲渡制限が設けられていなければ公開会社と呼ばれます。

株式を自由に売買できる公開会社では株主が経営に参画することが少なく、取締役による会社運営の重要度が高いため、取締役会の設置が義務付けられています。

取締役会を設置する場合には、最低でも3人の取締役会が必要です。

よって、公開会社を運営する際には必ず3人以上の取締役を決める必要があります。

(引用)
第327条 次に掲げる株式会社は、取締役会を置かなければならない。

一 公開会社

第331条 取締役会設置会社においては、取締役は、三人以上でなければならない。

取締役の人数に制限はあるのか?

取締役の人数は、株式譲渡制限会社で最低1人、公開会社で最低3人必要です。

一方で、上限人数に関しては特に決まりがありません

実際に、取締役が百名を超える会社も存在します。

しかし、決して何名でも良いというわけではありません。

取締役多すぎると意思決定が難しい

取締役があまりにも多すぎると、会議が難航し意思決定のスピードが停滞するリスクが高まります。

実際に、上場企業であっても取締役の数は1ケタであることが多いです。

設立したての企業の場合は、1〜3人程度が適正人数であると言えます。

取締役の人数が許認可の条件になることがある

会社を設立して事業を営む際、業種によっては認可を受ける必要があります。

この時、資本金の額や取締役の数が認可を受ける条件になることがあります。

このため、許認可が必要な業種で会社を立ち上げる場合には注意が必要です。

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代表取締役は2人以上でも良いのか?

取締役の中の代表となる人物が、代表取締役です。

代表取締役の人数や設置の際の注意点を解説します。

代表取締役とは?

会社法によると、代表取締役とは、株式会社を代表する権限を有する取締役のことです。

取締役会を設置している会社の場合は、必ず取締役の中から代表取締役を選出する必要があります。

取締役が1名の会社の場合は、その人物が自動的に代表取締役になります。

代表取締役は2名以上でも可能

一般的に会社の代表取締役は1名であることが多いですが、2名以上を代表取締役に選出することも可能です。

「友人同士で起業するため、全員同列の立場で働きたい」というような場合には代表取締役を複数設置するのも一つの手です。

代表取締役が複数人いる場合の注意点

代表取締役は複数人設置することもできますが、複数人にした場合何点か注意すべき事項が存在します。

会社の実印は共有できない

会社実印とは、会社の代表としての役割を果たす最も重要な印鑑です。

この代表印は代表取締役個人と紐づいているため、複数人の代表取締役の間で共有することはできません

この場合、一人の代表取締役のみが代表印を管理するか、それぞれの代表取締役が複数の会社実印を作成することになります。

共同代表とは異なる

代表取締役が複数人いるというのは、共同代表とは異なります。

共同代表の場合、共同代表が全員揃って初めて代表としての意思決定を行うことができます。

一方で代表取締役の場合は、一人一人が会社の代表としての権限を有しているのが特徴です。

定款を変更する必要がある

会社の定款をつくるとき、代表取締役を複数名設置できるように記載を変更しておく必要があります。

定款には「代表取締役1名を設置する」と記載するのが一般的ですが、これを「代表取締役1名以上を設置する」という風に変更しておく必要があります。

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取締役の人数に関しては、明確な決まりはありません。

株式譲渡制限会社であれば最低1名、最大何名でも設置することができます。

しかし、業種によっては許認可の条件に取締役の人数が定められている場合があるため注意が必要です。

また、代表取締役の人数に関しても厳しい決まりはありませんが、複数人設置する場合は定款の記載内容などに注意する必要があります。

このように、会社設立の際の決定事項は、自由に決められるものが多いですが、その分自社の組織設計に合わせて慎重に設定する必要があります。

しかし、初めて会社設立をする方には難しく感じてしまうのも事実です。

そこでオススメなのが専門家への相談です。

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記事監修者の情報

税理士法人
経営サポートプラスアルファ

代表税理士 高井亮成

保有資格:税理士・行政書士

税理士の専門学校を卒業後、会計事務所に入社。
その後、税理士法人に転職をして上場企業や売上高数十億円~数百億円規模の会計税務に携わる。

現在は税理士法人の代表税理士として起業・会社設立をする方の起業相談からその後の会計、決算、確定申告のサポートを行っている。