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派遣業許可を取得するのに必要な資本金とは?開業要件についても徹底紹介

派遣業許可を取得するのに必要な資本金とは?開業要件についても徹底紹介

副業やパラレルワークなどが流行するにつれて、人材派遣業の需要も伸びていくでしょう。

しかし、派遣業許可を取得するためには要件が定められています。

そこで、この記事では派遣業許可を取得するために必要な資本金の金額を紹介します。

派遣業許可取得の資本金要件

派遣業許可取得では、資産要件を満たす資本金でなくてはいけません。

派遣業許可取得の資産要件は、以下のようになっております。

  • 基準資産額が2,000万円以上
  • 資産のうち1,500万円以上が現金もしくは預金
  • 基準資産額が負債の7分の1以上

資本金と基準資産額の違いは、固定された金額であるかどうかです。

資本金は、法人を設立する際に振り込む金額のことで、基本的には経営とは分離して考えられます。

一方で、基準資産額とは基準日における会社の純資産のことです。

基準資産額は、会社の総資産から繰延資産と営業権を差し引いた金額を指します。

このように、基準資産額と資本金については扱いが異なるので注意しましょう。

派遣業許可に基準資産額の最低金額が決められている理由

派遣業許可に基準資産額の最低金額が決められている理由は、以下の3つです。

  • 派遣労働者に給与を支払う必要がある
  • 事業の安定化が必要なため
  • 社会的な影響の大きさ

派遣労働者に給与を支払う必要がある

派遣業で基準資産額が定められているのは、派遣労働者に給与を支払う必要があるからです。

派遣業のビジネスモデルは、派遣先の企業から派遣料という形でお金を頂き、そのお金を派遣労働者に支払うという形になります。

つまり、派遣労働者は受け入れ先の企業から直接給料をもらうのではなく、派遣業者から給料をもらうことになります。

このような背景から、派遣会社が派遣労働者に対してお金を支払わないという可能性を排除するために、一定の資産が会社にあることを証明することが必要です。

事業の安定化が必要なため

派遣業許可を取得する際に、基準資産額が定められているのは事業の安定化という目的があります。

派遣業の場合、派遣労働者に対して報酬を支払うタイミングと、派遣先の企業から派遣業者に対して支払われる報酬のタイミングが異なることも多いです。

そのような場合に、派遣業者に資産がないと派遣労働者に対して給料を支払うことができません。

また、給与の支払いが遅延してしまうと、労働基準監督署などからの監査が入る可能性もあるでしょう。

このように、会社に資産がなく派遣労働者に対しての支払いが遅れてしまうと、事業を安定的に継続させていくことが難しいという側面もあります。

また、給料の支払いが遅れることで派遣労働者の間には、当該の派遣業者に対して不信感を抱くものも多く、その結果派遣労働者が集まらないという事態にもなりかねません。

このようになってしまうと派遣業者は、派遣労働者を集めることができないので企業と契約することができず、結果的に収入が減ってしまいます。

社会的な影響の大きさ

社会的な影響の大きさも派遣業許可に基準資産額が設けられている一つの理由でしょう。

派遣業者が倒産した場合、派遣労働者の多くが給料未払いのままになってしまいます。

また、これらの出来事がきっかけで派遣労働者の間に不安や混乱が生じる可能性もあるでしょう。

その他にも、ニュースなどで取り上げられて派遣業、派遣労働に対してのイメージが悪くなってしまう可能性もあります。

このように、派遣業者が倒産することで生じる社会的な影響の大きさが、派遣業許可を取得する際に基準資産額を設けた上で、一定の経営の安定性を確保する理由でしょう。 

派遣業許可の取得要件

派遣業許可の資産要件以外の取得要件は、以下のようになっています。

  • 人員要件
  • 事業所要件
  • 個人情報要件

人員要件

派遣業許可を取得するには、以下の2つを満たす派遣元責任者を設置することが必要です。

◆成年に達した後、3年以上の雇用管理の経験を有する者この場合において、「雇用管理の経験」とは、人事又は労務の担当者(事業主(法人の場合はその役員)、支店長、工場長その他事業所の長等労働基準法第41条第2号の「監督若しくは管理の地位にある者」を含む。)であったと評価できること、又は労働者派遣事業における派遣労働者若しくは登録者等の労務の担当者であったことをいう。

◆成年に達した後、職業安定行政又は労働基準行政に3年以上の経験を有する者

◆成年に達した後、民営職業紹介事業の従事者として3年以上の経験を有する

◆成年に達した後、労働者供給事業の従事者として3年以上の経験を有する者

(引用:厚生労働省

事業所要件

派遣業許可を取得するには、以下の事務所要件を満たすことが必要です。

  • 風俗営業が密集する地域ではない
  • 事務所が20㎡以上ある
  • 事務所用途であること
  • 事務所部分が独立していること
  • 周囲からのプライバシーを確保できる空間であること

個人情報要件

派遣業許可を取得するには、以下の個人情報要件を満たすことが必要です。

◆派遣労働者となろうとする者及び派遣労働者(ハにおいて「派遣労働者等」という。)の個人情報を適正に管理するための事業運営体制が整備されていること。

◆派遣元事業主は、個人情報を収集する際には、本人から直接収集し、又は本人の同意の下で本人以外の者から収集する等適法かつ公正な手段によらなければならないものとする

◆派遣元事業主は、高等学校若しくは中等教育学校又は中学校若しくは義務教育学校の新規卒業予定者である派遣労働者となろうとする者から応募書類の提出を求めるときは、職業安定局長の定める書類(全国高等学校統一応募用紙又は職業相談票(乙))により提出を求めるものとする。

◆個人情報の保管又は使用は、収集目的の範囲に限られる。なお、派遣労働者として雇用し労働者派遣を行う際には、労働者派遣事業制度の性質上、派遣元事業主が派遣先に提供することができる派遣労働者の個人情報は、法第35条第1項の規定により派遣先に通知すべき事項のほか、当該派遣労働者の業務遂行能力に関する情報に限られるものであるものとする。ただし、他の保管又は使用の目的を示して本人の同意を得た場合又は他の法律に定めのある場合は、この限りではない。

(引用:厚生労働省

派遣業許可は資本金が2000万円未満でも取得できる?

派遣業許可は、資本金の金額とは関係ないので資本金の金額が2000万円未満でも開業できる可能性はあるでしょう。

これは、派遣業許可で必要な基準資産額では繰越利益余剰金なども総資産の一部に含むことができるためです。

そのため、派遣業許可を取得する際の資本金の金額は2000万円未満であっても大丈夫でしょう。

派遣業で開業するメリット

派遣業で開業するメリットは、以下の2つです。

  • 個人事業主でも開業できる
  • 運営コストが低い

個人事業主でも開業できる

派遣業許可は、個人事業主であっても取得することができます。

ただし、個人事業主であっても法人と同じように、派遣業許可を取得する為の要件を満たさなくてはいけません。

また、小規模派遣元事業主への暫定的な配慮措置を使うことで基準資産額が1千万円以上に緩和されるなどメリットもあります。

ただし、この制度は新規開業者には適用されないので気をつけましょう。

運営コストが低い

派遣業は、運営コストが低いことでも知られています。

派遣業のビジネスモデルは、派遣労働者を企業に派遣をして、派遣労働者に支払う金額と派遣した会社からもらう報酬の差額を利益とするものです。

このようなビジネスモデルの背景から在庫を抱えることもなく、派遣先の企業が決まってから派遣労働者を集めれば十分なことも多いでしょう。

また、サブスクリプションモデルとしても知られており、毎月定期的に収入を得られるので経営リスクも低いと言われています。

派遣業で開業する3つのデメリット

派遣業で開業するデメリットは、以下の3つです。

  • 開業のハードルが高い
  • 人材に左右される
  • ライバルとの差別化が必要

開業のハードルが高い

派遣業で開業するデメリットは、開業までのハードルが高いことです。

派遣業許可を取得するためには、財産要件として基準資産額が2千万円以上必要になるだけではなく、事務所を設置した上で事務所の面積や立地なども決められています。

その他にも、個人情報保護の観点から適切な処理が求められます。

このように、開業までのハードルが高く、また許可が得られるまでに時間がかかるのも事実です。

このような背景から派遣業許可を新規で取得して、派遣業を開始していくのは難しいと言えるでしょう。

人材に左右される

派遣業の場合、人材に左右される事が多いです。

特に、企業へ派遣をしてオフィス勤務を想定している場合、能力が高い人の方が重宝される傾向があります。

一方で、能力が高い人に対しては、それなりの給料を支払わないといけないのも事実でしょう。

このような背景から人材に左右されやすいといえます。

その他にも、派遣先の企業に対して能力が低い人材を派遣してしまうと、結果的に派遣業者の評判が悪くなってしまい、継続的に人材を派遣できなくなってしまうことも多いです。

このように人材によって派遣業者の評判が上がることもある一方で、派遣する人材によって派遣業者の評判が下がってしまうこともあります。

ライバルとの差別化が必要

派遣業者の数は、一般社団法人日本人材派遣協会によると3万件あります。

このような背景からライバルとの差別化が必要になってくるでしょう。

特に、派遣業の場合、派遣労働者を集めた上で企業に対して派遣をするというビジネスモデルには変わりありません。

そのため、差をつけるためには多くの派遣労働者を集めることができる、もしくは優秀な派遣労働者を集めるためのツテを持っていることが必要になってくるでしょう。

そのためには、WEBマーケティングにお金を使ったり、広告に対してお金を使うことも必要です。

このような過程の中でお金がかかってくるのは事実で、ライバルとの差別化を図るために大きな金額が必要になってくるというのが現代の派遣業の特徴の一つでもあります。

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まとめ

派遣業許可を取得するにあたって基準資産額の要件があり、満たすのは難しいとも言えます。

そのため、派遣業許可を取得して、派遣業を開業したい場合は事前に準備をするようにしましょう。

経営サポートプラスアルファでは、個人でも法人でも独立を少しでも考えている人のご相談に乗らさせていただいております。

相談は何度でも無料なので、お気軽にご相談ください。

記事監修者の情報

税理士法人
経営サポートプラスアルファ

代表税理士 高井亮成

保有資格:税理士・行政書士

税理士の専門学校を卒業後、会計事務所に入社。
その後、税理士法人に転職をして上場企業や売上高数十億円~数百億円規模の会計税務に携わる。

現在は税理士法人の代表税理士として起業・会社設立をする方の起業相談からその後の会計、決算、確定申告のサポートを行っている。