別会社設立を検討している方は取締役について悩むかも知れません。
取締役をどのように選ぶべきか、兼務することができるのか気になるでしょう。
そこで、別会社設立で取締役を選ぶ際のポイントや注意点について解説します。
目次
別会社を設立する理由
なぜ別会社を設立するのか理由を説明します。
意思決定の効率化を図るため
会社の規模が大きくなると株主や取締役の数が多くなります。
そうなると株主総会や取締役会を開いて承認を得るのは大変です。
スムーズな意思決定が妨げられます。
それでは経営上の問題が生じやすいため、意思決定の効率化を図るために別会社を設立するのです。
株主や取締役の数を減らすことができ、すぐに意思決定の承認を得られてスムーズな経営判断を実現できます。
リスクを分散するため
別会社を設立して経営上のさまざまなリスクを分散するという考え方があります。
各事業ごとに会社を分割して別会社を設立すると、1つの事業の損失が他の事業に影響を及ぼすのを避けられるでしょう。
事業によっては大きな損失が生じる可能性のある分野もあります。
別会社を設立しておけば、事業が危うくなるほどの大きな損害が発生しても、本社が生き残ることは可能です。
場合によっては、保有している株式を手放すことで別会社を切り離すこともできます。
また、別会社が不祥事や営業停止処分を受けたとしても、本社を守ることが可能です。
別会社と本社の社名が異なっていれば、本社のイメージダウンも回避できるでしょう。
後継者を育成するため
後継者の育成のために別会社を設立するケースがあります。
後継者候補にいきなり本社の経営を任せるのではなく、別会社の経営に携わらせるのです。
そこで経営者としての経験を積むことができ、後継者としての資質を判断することもできます。
後継者を決めることができたならば、そのまま別会社の経営を任せておけば良いのです。
現在の経営者が現役を退く場合は、既存の会社と別会社を統合させることもできます。
節税するため
節税目的で別会社を設立する場合があります。
たとえば、会社を分けて売上を分散させることができれば、消費税の免税を維持できるでしょう。
別会社と共同で資産を購入して経費にするという方法もあります。
少額減価償却資産により30万円未満の資産は全額が経費になります。
そして、2社で共同で減価償却資産を購入した場合は、60万円未満の資産を全額経費にできるのです。
別会社設立をして、そちらに役員や従業員を転籍させる際に退職金を計上する方法もあります。
高額な退職金を計上すれば大きな節税効果を得られるのです。
ただし、これらの節税対策については、税務調査で厳しく追求される場合もあります。
その場合には、合理性のある行為であることを論理的に説明しなければいけません。
事前に税理士に相談をして対策を立てておきましょう。
別会社設立で取締役を兼務できるのか?
別会社設立で取締役を兼ねることができるのか説明します。
法的には取締役の兼務を禁止する規定はない
法律で取締役の兼務を禁止するような規定はありません。
実際に複数の会社の役員を兼務しているケースはたくさんあります。
ただし、取締役を兼務することが法的に問題になる場合もあるため注意しましょう。
商法では取締役に忠実義務を負わせている
商法では取締役には忠実義務を負わせています。
自分が取締役を務めている会社の職務を遂行する義務があるのです。
取締役を兼務する場合は、忠実義務違反に注意しましょう。
独占禁止法上の制約がある
別会社の取締役を兼務する場合は独占禁止法上の問題を問われることがあります。
独占禁止法では、別会社の競争を実質的に制限するようになる場合は、取締役の兼務をしてはいけないと規定があるからです。
また、自社と競合関係にある他社に取締役の兼務を強制的に受け入れさせる行為も禁止されています。
別会社設立で取締役を兼務する際には、上記のような独占禁止法上の制約に違反しないように注意しましょう。
取締役の兼務は忠実義務違反を問われるケースがある
もし2つの会社が競合同業者であり、取締役を兼務する場合は、2つの会社で平等に業務を遂行しなければいけません。
片方の会社の業務に集中して別の会社の業務を怠ると忠実義務に違反しているとみなされるからです。
取締役を兼務することで損害が生じれば責任を問われる
取締役を兼務したことでどちらかの会社に損害が生じると責任を問われます。
たとえば、片方の会社が不利になるような取引をするなどです。
この場合、損害が生じた会社の株主や取引先から問題視されます。
既存の会社と別会社の事業が競合する場合は注意する
既存の会社とこれから設立する別会社の事業が競合するケースで注意するべきことを説明します。
取締役を兼務すると不正競争防止法に抵触するケースがある
取締役を兼務したことで不正競争防止法に抵触するケースがあります。
不正競争防止法とは適正な競争を確保するための法律です。
公平な競争を阻害するような行為を禁止しています。
たとえば、片方の会社の秘密情報を別会社に持ち出すようなケースは不正競争防止法違反になる恐れがあるのです。
たとえ親子会社だとしても、それぞれの会社は別法人として扱われており、個人情報などの取り扱いは特に注意しなければいけません。
取締役が同じだからといって許されるわけではないのです。
取締役の兼務は競業避止義務違反にも注意するべき
取締役には競業避止義務があります。
これは競合取引の規制のことです。
自己あるいは第三者のために取引をする際には、事前に株主総会や取締役会の承認を受ける必要があると会社法で規定されています。
取締役には大きな権限が与えられており、重要な情報も多く扱っています。
そのような立場の取締役が競合取引するのを規制するのが競業避止義務なのです。
取締役という立場を利用して株主総会などの承認を得ずに競業取引をすれば損害賠償責任を負います。
事業が競合する場合は取引をする際に事前に別会社の承認を得る必要がある
2つの事業が競合する場合には、競合取引とみなされないような工夫が必要です。
たとえ2つの会社で取締役をしていたとしても、勝手に取引を決定してはいけません。
競合取引とみなされる可能性のある取引については、事前に別会社の承認を得ましょう。
単に株主総会や取締役会で承認を得るだけではなく、取引の後には報告をする必要があります。
競合する別会社で取締役になる際には議事にはかり承認を得ないとトラブルになる
既存の会社の取締役が競合する別会社の取締役になるならば、あらかじめ取締役会で承認を得る必要があります。
その際には競合する別会社の取締役になることについて納得してもらわなければいけません。
実際には承認を得ずに別会社の取締役になることは可能であり、その点に違法性はないです。
しかし、きちんと承認を得ないと後でトラブルの元になるため注意しましょう。
まったく別の事業を行うならば特に問題視されない
取締役の兼務で問題になるのは、事業が競合していて一方の会社に損害が生じる恐れがあるからです。
もし、まったく異なる事業を行う別会社の取締役を兼務する場合はトラブルの可能性は低いです。
競合取引とみなされる可能性は低いため、わざわざ承認を得る必要もなくなります。
競合しない場合は法的な規制の対象にはならないからです。
別会社設立で取締役を決める際の注意点
別会社設立で取締役を決めるときの注意点について説明します。
取締役を兼務する場合は社会保険の取り扱いに注意する
社会保険への加入は要件を満たすかどうかで判断されます。
複数の会社で取締役をしている場合は、それぞれの会社において社会保険の要件を満たすかどうかで判断されるのです。
取締役には出勤日数や出勤時間といった概念がありません。
そのため、通常はすべての取締役が社会保険に加入しますが、非常勤取締役の場合と役員報酬が0円の場合には、社会保険に加入しなくても良いです。
ただし、定期的に役員会に出席して、法人業務へも定期的に関与していることが認められる場合は常勤とみなされます。
また、代表取締役になっている場合は非常勤という考え方はありません。
2つの会社で取締役を兼務していて社会保険の加入要件を満たすならば、それぞれの会社ごとに社会保険の届出をします。
この場合、それぞれの法人で得た報酬を合算して標準報酬月額が算出されるルールです。
また、保険料については、それぞれの会社の報酬月額によって按分します。
親子会社において監査役兼務の規制に注意する
親子会社において役員を兼務する際には特に監査役に注意しましょう。
親会社で監査役をしている人は子会社で取締役にはなれません。
親会社の監査役は子会社の監視も行うからです。
親会社の監査役と子会社の取締役を兼務すると、適正な監視行為ができないとみなされます。
ただし、監査役の兼務については親子会社の場合でのみ規制があります。
関連会社の場合は特に規制がないため、親会社の監査役が関連会社の取締役になっても問題ありません。
困ったときは専門家にサポートしてもらうと良い
別会社設立で取締役を決める際には法的なトラブルを避けなければいけません。
専門的な知識が関係するため判断が難しいでしょう。
困ったときには専門家に相談することをおすすめします。
専門家であれば、それぞれに最適なアドバイスや提案が可能です。
経営サポートプラスアルファならば、別会社設立で取締役などをどうするべきか対応できます。
会社設立の専門家がアドバイスを行い、最適な会社作りの仕方を提案できるのです。
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別会社設立で取締役について悩んだならば専門家に相談しよう
別会社設立では取締役についてよく考える必要があります。
取締役を兼務するといろいろなトラブルの原因となるからです。
取締役に関する法的な規制を理解して、正しく選ぶことを意識しましょう。
そのためには専門家への相談をおすすめします。
経営サポートプラスアルファでは別会社設立についてさまざまな悩みや不安を解消できます。
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