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子会社を設立するメリットとは?設立時の費用や手続きの方法もご紹介

会社を設立して事業を大きくしてきた方の中には、事業の整理や節税目的で子会社の設立を検討している方もいるのではないでしょうか。

しかし、目的を明確にできていない状態で、子会社を設立することは避けた方が良いでしょう。

今回は、子会社の設立を検討している方に向けて、子会社を設立することのメリットやデメリットをご紹介します。

子会社とは

子会社とは、親会社となる会社、一定割合以上の資本を出して設立された会社のことです。

親会社が子会社の株式を100%保有している場合には完全子会社、過半数を保有している場合には連結子会社と呼ばれます。

子会社を設立するメリット

まずは、子会社を設立するメリットを紹介します。

事業ごとの損益計算がスムーズになる

1つの会社内で複数の事業を運営していると、各事業ごとの収益、費用、利益を整理するのが難しくなってきます。

特に、ややこしいのが費用です。

例えば、事業Aで使うシステムを全社で導入した場合、事業Bではほとんど使われていないにも関わらず、社内の事業ごとの利益を計算する際には、事業Bの費用としても一部計上され、事業Bの利益が実際よりも小さく見える、というケースがあります。

また総務部や経理部などの間接部署の費用も事業ごとに適切に振り分けるのが困難です。

事業ごとに収益、費用、利益を明確にしづらい状況が続くと、どの事業に注力すべきかが見えづらくなり、会社の成長に支障を来します。

このような場合、事業ごとに会社を分けることで事業ごとの収益、費用、利益が明確になり、成長事業とそうでない事業を見極めやすくなります。

節税の効果が期待できる

社内の実態は、大きく変わらないとしても、子会社を設立することで節税効果が期待できます。

例えば、資本金1億円未満の会社の場合、年間で経費計上できる交際費の上限は800万円です。

しかし、子会社を設立すれば、親会社の分と子会社の分を合わせて1600万円を経費計上できることになります。

また、親会社から子会社に社員が異動する際に退職金などを支給することで、税制上の利益を抑えることも可能です。

人材の育成に繋がる

1つの会社の場合、経営層は代表取締役、取締役をはじめとする数人であることがほとんどです。

その他、経営層ではないものの、経営に近いポジションとして執行役員がいる会社もあるかもしれませんが、同じく数人であることがほとんどでしょう。

しかし、子会社を設立すればその分、経営陣の数は2倍になり、今まで事業部長のポジションだった人材が子会社の社長を担うことができます。

このため、経営人材を育成しやすく、層の厚い組織を作りやすいのも、子会社設立のメリットです。

事業を失敗した際のリスクが減る

複数の事業を運営している会社の場合、どれか1つの事業で問題を起こして行政から業務停止命令を受けてしまうと、他の事業も含め、会社全体として業務を停止しなければなりません。

一方で、事業ごとに子会社を分ければ、1つの子会社で業務停止命令を受けても他の子会社は業務を継続することができます。

このように、子会社設立によって事業を失敗した際のリスクを軽減することが可能です。

ポイント

・子会社を設立すると、事業ごとの損益計算がスムーズになる。
・経営層のポジションが増え、経営人材を育成しやすい。
・事業に関わるリスクを分散することができる。

子会社を設立するデメリット

続いて、子会社を設立するデメリットを解説します。

設立する際のコストがかかる

会社を新しく設立することになるため、設立する際の手続きや初期費用など、コストがかかります。

大企業であればそこまで影響はないかもしれませんが、リソースに余裕がない中小企業にとっては一時的に負担になる可能性が高いでしょう。

グループ全体の損益計算ができない

完全子会社である場合を除いて、親会社と子会社で損益通算を行うことができません。

つまり、親会社で1億円の黒字、子会社で2億円の赤字があったとしても、親会社は1億円の利益に対して法人税を支払う必要があるということです。

1つの会社であれば、合算して1億円の赤字となるため、均等割を除いて法人税は発生しません。

このため、子会社を設立することで税負担が増える可能性は否めません

子会社が多いほど管理が難しい

子会社が多く、事業ごとに分かれていると、会社全体としての状況を把握するのが難しく、子会社ごとに分断されやすいです。

このため、1つの会社の中で事業を複数運営するよりも、事業を跨いだ相乗効果を起こすのが難しいでしょう。

ポイント

・子会社を設立する際も、通常の会社設立と同様に手間とお金がかかる。
グループ全体での損益通算ができないため、逆に税負担が増える可能性もある。
・子会社が多いと管理のコストがかかり、相乗効果を起こすのが難しい。

子会社の設立費用を負担するのは親会社?

子会社の設立に関わる諸々の費用は、親会社の費用になるのでしょうか。

それとも子会社の費用になるのでしょうか。

子会社の設立が決まるまでの費用

子会社の設立が決まるまでの費用は、親会社が負担します。

例えば、新規事業を扱う子会社設立を検討するにあたって市場調査などを行った場合、この調査費用は、子会社の事業に関するものですが、実際は親会社の費用に計上します。

子会社の設立が決まった後の費用

子会社の設立が決まった後の費用は、基本的には子会社が負担します。

設立時にかかる登記費用から、子会社が負担します。

ポイント

・子会社の設立が決まるまでの費用は、親会社が負担する。
・子会社の設立が決まった後の費用は、子会社が負担する。

子会社を設立する際の手続きと設立時の注意点

子会社を設立する際には、様々な手続きが必要です。

これ以外にも、設立する際の注意するべき点があるため、事前に確認しておきましょう。

最後に、子会社を設立する際の注意点をご紹介します。

基本的には通常の会社設立と変わらない

子会社を設立する手順は、基本的には通常の会社設立と変わらず、子会社ならではの特別な手続きはありません

発起人や所在地、定款などを作成した後、登記資料にまとめて提出し、登記を完了します。

会社設立の詳細の流れは、以下のページで説明しています。

親会社と子会社に共通の事業目的を記載する

親会社が完全に新しく子会社を設立する場合、発起人は親会社となります。

この場合、親会社の定款の事業目的と子会社の定款の事業目的がある程度同一性を持っている必要があります。

なぜなら、子会社の事業目的が親会社と全く関連がない場合、親会社が「自身の事業目的と異なることをしている」ということになるからです。

関連性が認められない場合は、定款の認証ができないため、注意が必要です。

併せ持つことができない役員がある

親会社の取締役と子会社の取締役を併せ持つことは可能です。

しかし、親会社の監査役と子会社の取締役を兼任することはできません

このように、兼任することができない役員があるため、事前に会社設立の専門家や知識のある人に確認しておくと良いでしょう。

会社設立の専門家に確認する

ポイント

・子会社であっても設立せる手順は、通常の会社設立と同じである。
・親会社と子会社の事業目的が、ある程度共通していないと設立できない
・親会社と子会社で兼任できない役員のポジションがある。

子会社をスムーズに設立するために

子会社の設立は、基本的には普通の会社設立と大きく変わりありません。

しかし、実際は親会社と子会社の事業目的を共通させる必要があったり、兼任できない役員があったりと、細かい規則があります。

また、設立自体はスムーズにできたとしても、実は子会社を設立しないほうが良かったと後悔する可能性もあります。

このように、子会社設立でつまづいたり、後から後悔しないためにも専門家を活用することが大切です。

経営サポートプラスアルファでは、子会社設立に関して設立手続きの代行から事業戦略のサポートまでワンストップで支援いたします。

「子会社を設立するべきかどうか、わからない」などのご相談に関しても、24時間受け付けていますので、子会社設立を検討している方は、ぜひ一度お問い合わせください。

記事監修者の情報

税理士法人
経営サポートプラスアルファ

代表税理士 高井亮成

保有資格:税理士・行政書士

税理士の専門学校を卒業後、会計事務所に入社。
その後、税理士法人に転職をして上場企業や売上高数十億円~数百億円規模の会計税務に携わる。

現在は税理士法人の代表税理士として起業・会社設立をする方の起業相談からその後の会計、決算、確定申告のサポートを行っている。