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副業で会社設立する事例まとめ!会社員が副業をする理由、方法、注意点

近年、副業で会社を設立する方が増えてきています。

これには、どのような背景があるのでしょうか。

また、会社員に適した副業や、個人事業主になる方法やメリット・デメリット、会社設立の方法などをご紹介いたします。

副業が増えてきている理由

近年、副業をする人が増えてきていますが、これには社会の変化・働き方の変化など、さまざまな背景があります。

副業が増えてきている理由について、少し考えてみましょう。

以前は副業はタブーとされていた

終身雇用の時代だった

以前は、副業をすることはタブーとされる風潮がありました。

従来、日本社会の雇用制度は終身雇用が基本であり、会社に就職したら、定年までその会社で勤め上げることが美徳とされていました。

そして、その会社で勤め上げるということは、もちろん副業をすることなど許されません。

労働者は、終身雇用のひとつの会社のみに所属していることが美徳なのです。

しかし、近年では終身雇用制度は崩れつつあります

終身雇用制度の時代から見ると、働き方も、労働に対する考え方も、大きく変化してきています。

メンバーシップ型の考え方だった

雇用についての考え方は、ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用に大きく分けることができます

ジョブ型の雇用は、「人を仕事につける働き方」とあらわすことができるでしょう。

ジョブ型雇用では、求人の時点で仕事内容や勤務地、給与などが明確に定められています。

労働者はその内容に自分のスキル・希望が合っていれば、その仕事に応募します。

一方、メンバーシップ型の雇用は「仕事に人をつける働き方」と言われます。

仕事内容や勤務地などは限定せず、候補者のポテンシャルや人柄を考慮に入れて選考・採用されます。

メンバーシップ型での採用は、“就職”というより“就社”に近いのではないか、といわれることもあります。

以前の日本企業の多くは、終身雇用・年功序列と合わせて、人に仕事をつける、典型的なメンバーシップ型雇用を採用しつづけてきました。

しかし、「人を仕事につける働き方」であるジョブ型雇用は、雇用のミスマッチを防ぐことができる、人材の流動性が高まる、など、企業にも労働者にもメリットが多いため、近年、とくに注目されています。

日本の終身雇用制度も崩れつつあり、従来のメンバーシップ型雇用では無理が出てくるケースもあり、経団連や大手企業を中心に、ジョブ型雇用が普及しはじめています。

メンバーシップ型雇用は「仕事に人をつける働き方」ですが、これは「会社に人をつける」という側面もあり、副業のような会社以外での仕事はタブーとされやすい傾向があります。

対して、「人を仕事につける働き方」であるジョブ型雇用が社会に広がってくると、その人の持つスキルや能力を、副業を含む仕事に活かすことは当然である、と捉えられるようになります。

従来のメンバーシップ型雇用からジョブ型雇用への意識の変化も、副業が増えている原因のうちのひとつと考えることができるでしょう。

情報漏洩にうるさかった

従来、会社では、あらゆる書類が紙で管理されていました。

紙の書類の処理をして、書類に印鑑を押すためにも、会社員は会社に出向く必要がありました。

「書類やデータは会社にあるもの」ということが常識であり、データの持ち出しには非常にうるさく、データや書類を外部に持ち出すことは危険な行為であるとみなされていました。

そのため、日本ではリモートワークなどの導入は、他国に比べて大きく遅れていました。

しかし、2020年のコロナ禍で、リモートワークなどの新しい働き方が社会に浸透しました。

こうしたコロナ禍での変化もあり、印鑑や書類の処理のための出社や、労働者が会社に縛られることも減ってきている、と言えるでしょう。

副業が浸透してきている

フリーランスが増え、転職も活発になった。

以前のような終身雇用制度はほぼ姿を消し、そのかわりに、会社に所属しない働き方であるフリーランスが増えたり、転職が活発になったりしています。

終身雇用の時代には、労働者には「定年まで会社が面倒を見てくれる」という意識と、「会社に所属している」という強い意識もありました。

しかし、現代の会社は、定年まで面倒を見てくれるという保証はありません。

「会社に所属している」という意識も、以前に比べると弱くなり、労働者がそれぞれ自立して、自分の将来は労働者自身が考えないといけない、という時代になったのです。

また、以前のような、年齢が上がれば自然に給与が上がっていく、ということも見込みにくくなっています。

同じ会社で働き続けて給料の上昇が見込めないとなると、将来的に収入を増やすためには、会社をやめてフリーランスになるか、条件のいい会社へ転職するか、もしくは会社ではたらきながら副業をするかです。

ジョブ型の考え方になった

前述のように、以前の日本では、メンバーシップ型雇用が主流でした。

しかし、現代の日本社会は、ジョブ型雇用に移行しつつあります

といっても、まだまだメンバーシップ型雇用のまま、という企業も少なくありません。

しかし、労働者の意識は、以前とは大きく変わりました。

自分のスキルをより必要とされるのならば、ひとつの会社に留まっている必要はないというような、スキルで仕事を選ぶジョブ型の考え方になってきています。

スキルが高い人ほど、転職やフリーランスとしての仕事のオファーは多くなるために、スキルが高い人ほどジョブ型の考え方を持っているという傾向があります。

老後2000万円問題

2019年6月3日に金融庁が公表した、金融審議会の市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」によると、現代を生きる日本人は、老後の生活に必要な資金がおよそ2000万円足りなくなることが指摘され、大きな話題になりました。

以前なら、老後の生活資金は年金で賄うことができましたし、終身雇用と年功序列制度のおかげで、将来的には昇給していくのだ、という安心感が労働者にありました。

しかし、現代の、とくに若い世代では、国の年金はどうなるかわからないし、終身雇用も年功序列も見込めない、会社で働いてもリストラされるかもしれないし大きな昇給も見込めない、という意識を持つ人が増えています。

若い世代は、国にも会社にも頼ることができません。

つまり、2000万円を個人で稼いで貯めることが必要になってきます。

会社だけに任せていても、おそらく収入増は見込めないので、副業や資産運用など、「個人で稼ぐ」ということへの意識や関心が高まり、活発になってきているのです。

どの程度の人が副業しているのか?

それでは、実際にはどの程度の人数が、副業をしているのでしょうか?調査の方法などによって誤差がありますが、会社員全体の、だいたい15%程度が副業をしている、といわれています。

また、現在は副業をしていなくても、将来的に副業をはじめたいと考えている人を含めると、その割合は、なんと会社員の50%にものぼるそうです

過去と比べて、副業をしている人がどの程度増えているかを、実際の数字を調査したデータとして、総務省統計局の「就業構造基本調査結果」があります。

「就業構造基本調査結果」のデータによると、2012年には副業をしている人の数は約192万人でした。

それに対して、2017年には約267万人となっています。

5年間で、かなり多くの人が副業を始めたことがわかります

これは、インターネットの普及によって副業がしやすくなったこと、副業についての知識を得やすくなったことなどが原因と考えられています。

スマートフォンの普及によって、インターネットは2017年と比べてもさらに身近になり、コロナ禍でテレワークが普及したことで、インターネットを利用して仕事をする、という働き方に対しても、抵抗はさらに小さくなっています。

スマートフォンやコロナ禍がもたらした社会の変化によって、副業を始めることのハードルが大きく下がりました。

副業をする人は以前から増加傾向にありましたが、今後はさらなる増加が見込まれます。

以前はタブーとされていた副業ですが、現在では副業をする人も増え、社会的にも受け入れられるようになってきています

会社によっては「副業禁止」という規定を定めていることがありますが、労働者自身ができるだけ収入を増やしたいと思っているために、副業禁止であれば会社がその分多くの給与を支給できないと、スキルの高い労働者には転職されてしまいます。

企業側としても終身雇用・年功序列を保てなくなっているために、従業員を縛り付けることは難しくなり、労働者に対してある程度の自由を認めないといけなくなりました。

そんな背景からも、副業禁止の規定をもつ企業はだんだん減ってきています。

今後は、社会的な背景からも、労働者自身の意識からも、副業をする人はさらに増えていくだろうと考えられています

多くの会社員の人がやる副業とは?

①資産運用系

多くの会社員が行っている副業として、資産運用が挙げられます。

具体的には株式投資や仮想通貨、FXなどです。

こうした資産運用では、たとえば本業のトレーダーなどであれば一日中チャートの動きを見ている場合があるでしょう。

しかし、元手となる資金を準備して、空いた時間で作業をすれば、付きっきりでなくても資産を増やすことができる、というのが資産運用の利点です。

こうしたことからも、資産運用は副業として始めやすいものと言うことができるでしょう。

現在では、スマートフォンからもチャートの確認や取引ができるようになったので、会社の休み時間に作業することができる、という気軽さも加わりました。

空いた時間でできることからも、資産運用系の副業は会社員に人気です。

②インターネット系

多くの会社員がやっている副業として、インターネットを利用した副業が挙げられます。

具体的には、アフィリエイトやブログなどで広告収入を得るという方法です。

会社員の場合、企業によっては副業禁止の規定がある場合もありますし、副業が禁止されていなくても、以前の副業がタブーとされていた時代の名残から、副業をしていることをあまり公にしたくない、後ろめたく感じてしまう、という人が少なくありません。

インターネットを利用した副業は、会社やまわりの人に発覚しにくい点からも、会社員の副業として人気があります。

アフィリエイトなどでは、インターネット上で集客することが必要になりますが、多くの会社員はそれぞれ専門的なスキルや知識を持っています。

これまでの経験や知識と絡めて集客・権威付けがしやすいという点は、本業を持つ人の副業ならではの利点、と言えるでしょう。

インターネットを利用した副業も、空いた時間で作業ができることから、副業として始めやすい仕事です。

③クラウドソーシングでの仕事の受注

こちらもインターネットを利用した仕事と呼ぶことができますが、前述のインターネット系の仕事と異なる点としては、仕事の受注はインターネットで行いますが、仕事自体はインターネット上に限らないところが挙げられます。

これは、インターネットのクラウドソーシングを通じて仕事を受注し、スキルや作業時間を提供する仕事、と考えることができます。

会社を通じて受けた仕事では、仕事量が増えても収入は増えないかもしれません。

しかし、クラウドソーシングを利用して仕事をすれば、仕事をした分だけ収入を得ることが可能です。

職種にもよりますが、本業で使っているスキルをそのまま利用して仕事をすることができ、仕事を受けた分だけ収入を増やすことができるでしょう。

自身の持っているスキルを活かして、帰宅後の時間などに作業することができるため、会社員でも始めやすく、人気の副業のひとつです。

これらの副業が選ばれる理由

時間を選ばずできるから

多くの会社員がしている副業を3種類ご紹介しましたが、これらの仕事が副業として人気なのには、いくつかの理由があります。

人気の理由のひとつに「時間を選ばずできる」ことが挙げられます。

副業をはじめたいという人には、当たり前ですが本業があって、本業のために多くの時間を使わなければいけません。

基本的には本業を最優先する必要があり、突然の残業などにも対応する可能性がありますので、「副業」として考えるなら、拘束されず、時間の融通が利くもののほうが好ましくなります。

前述の仕事は、どれもインターネットを利用し、基本的には自分の都合に合わせてすることができる仕事です。

休日や帰宅後、場合によっては休憩時間や移動時間を利用して稼ぐことができるようになる、という意味で、時間を選ばずできる仕事は、副業には最適といえるでしょう。

場所を選ばずできるから

こうした仕事は、パソコンとインターネット環境さえあればできる、という特徴があります。

株やFXなどの資産運用の場合には、スマートフォンさえあれば可能なこともあります。

会社や事務所が無くても、家にあるパソコンとインターネット環境を利用して始められること、また、出先などでも作業できることからも、本業との両立が容易であると言えるでしょう。

スマートフォンでできる副業なら、電車やバスでの移動時間などに作業することも可能です。

テレワークなどの働き方が定着してきましたが、テレワークでは通勤の時間がなくなります。

これまで通勤に使っていた分の時間を、そのまま副業に充てる、という副業で働き方をしても、家からの移動は必要ありません。

収入を増やす柱になるから

資産運用、とくに株は、持っているだけでも資産を増やすことができるため、貯金と同じような感覚で始めることができます。

貯金のような感覚の株から長期的に収入を得ることができる、という意味では、株式投資は収入を増やす柱にすることができます。

銀行に貯金をしても、そこから収入を得ることができる、という時代ではありません。

ある程度のお金があるのなら、それを元手に増やすことができる株式投資を行うことは、現代では当たり前のようになってきています

リスクも作業量も少ないところから、貯金のような感覚からの運用を始めることもできますし、より多くの収入が得られるように力を入れていくことも可能です。

また、株や資産をいくつかに分け、一部を収入を増やすための柱として安定した運用をし、ある程度の知識や経験ができたら、一部をより収益の高い運用へシフトしても良いでしょう。

副業するときに個人事業主になった方がいい人

副業が軌道に乗ってきたら、なるべく個人事業主になったほうがいいと言われています。

それでは、どんな人が、どんなタイミングで個人事業主になるといいのでしょうか。

個人事業主を選択するべき人

年に20万以上売り上げている人

副業の所得が年間20万円を超えると、会社員でも確定申告が必要になってきます。

所得とは、副業で得た売り上げから経費を引いた金額のことです。

個人事業主にならなくても罰則等はありませんが、確定申告で節税効果の高い青色申告を選びたい場合には、個人事業主になり、青色申告承認申請書の提出が必須となります。

副業の年間の売り上げが20万円を超えたのなら、個人事業主を選択するべきでしょう。

利益がだいたい800万円未満の人

個人事業主に課せられる所得税は、所得が増えるほどに税率の上がる累進課税となっています。

一方、法人の場合には法人税が課せられ、法人税の税率は23.4%となっています。

個人事業主としての所得が増えすぎると、累進課税で税率が上がり、法人税よりも多くの税金を納めることになります。

所得税の税率が法人税よりも高くなってしまうタイミングは、一般的には所得が800万円を超える程度と言われており、所得が800万円を超える場合には、個人事業主よりも法人を選択するほうが節税ができ、大きなメリットがあります

このため、所得800万円程度が個人事業主から法人化する目安とされ、800万円未満であれば個人事業主を選ぶと良いでしょう。

経費があまりない人

事業にかかる経費が少ない場合には、法人よりも個人事業主を選ぶケースが多くなります。

事業にかかっている費用を、より多く経費で落としたい、という場合にも、法人化したほうがメリットがあります。

法人化すれば、個人事業主よりも経費で処理できる項目が増えるために、事業に使う費用を少しでも多く経費として計上したい、という場合は、法人化を検討することになります。

事業にかかる経費がそれほど多くないという場合には、経費のために法人化する必要はないため、無理に法人化するよりも個人事業主を選ぶと良いでしょう。

個人事業主になる手順

副業で個人事業主になるためには、どのような手順が必要なのでしょうか。

ここでは、個人事業主になるまでの具体的な方法と、個人事業主になってからするべきことの手順をご紹介します。

開業届を出す

個人事業主になるには、税務署に開業届を提出する必要があります。

開業届の用紙は、税務署の窓口や、国税庁のホームページからダウンロードして入手することができます。

税務署に開業届を提出すると、最短の場合、当日中に受理され、個人事業主になることができます

もしも手続きに時間がかかってしまった場合でも、長くても1ヶ月ほどで開業届が受理されます。

開業届は、個人事業主向けの補助金申請の際に必要になる場合があります。

大切な書類なので、しっかりと保管しておくと良いでしょう。

事業開始等申告書を出す

「事業開始等申告書」とは、事業の開始を知らせるための届出のことです。

事業所を置く場所や、事業開始日などを記載して、都道府県税事務所および市区町村役場へと提出する必要があります。

「事業開始等申告書」としてご説明していますが、「事業開始等申告書」は、各都道府県が管理している書類のために、都道府県によって名称や提出期限などが異なる場合があります。

ここでは東京都の「事業開始等申告書」の名称に統一して説明をしています。

東京都では「事業開始等申告書」という名称で提出期限は開業日から15日以内、神奈川県では「個人事業開業・休業・廃業届出書」という名称で提出期限は開業日から1ヶ月以内、埼玉県では「事業開業・休業・廃業報告書」という名称で提出期限は開業日から15日以内となっています。

名称・提出期限は異なりますが、基本的には同様の手続きです。

提出期限も異なりますが、なるべく早く提出すれば問題ありません

もしも不安な場合には、都道府県の税務署へ提出期限の確認をしましょう。

事業を行う

開業届を受理されて事業開始等申告書の提出を済ませたら、個人事業主として事業を始めることができます。

個人事業主になる方は、年間の収入が20万円を超えている方が多いはずで、また、今後さらに売り上げを伸ばそうとお考えかもしれません。

副業であっても、ある程度の所得もあり、個人事業主としての届を出したからには、これまで以上に責任をもって事業を行っていく必要があります。

確定申告も必要になるので、お金の管理をしっかりするようにしましょう。

確定申告する

節税対策を行うためにも、税務署に「青色申告承認申請書」を開業後2ヶ月以内に提出しましょう。

青色申告は、確定申告の際の申告制度で、青色申告が認められると「最大で65万円の控除」「赤字損失繰越3年間」などの控除を受けることができます。

確定申告の申告書の記入には、ある程度の簿記の知識が必要になります。

会計ソフトなどを利用すれば、簿記の知識がほぼゼロでも確定申告書が作成できますし、会計業務を効率化することができますので、会計ソフトの利用がおすすめです。

会計ソフトを利用すれば簡単に確定申告書の作成ができますが、確定申告は毎年行う必要がある仕事です。

余裕があれば最低限の簿記の知識をつけておくと、会計や税務への理解が深まり、よりスムーズに確定申告書の作成ができるようになるでしょう。

個人事業主のメリット

前項では、個人事業主になる手順をご説明しました。

個人事業主になるためには、特別な資格などは必要ないので、行動さえ起こせば今すぐにでも個人事業主になることができます。

では、個人事業主になると、どのようなメリットがあるのでしょうか。

気軽に始められる

個人事業主は、法人設立に比べると、開業までの手続きが簡単です。

税務署や都道府県税事務所、市町村に開業届を提出するだけで開業することができ、開業の手続きには費用もかかりません。

法人設立の場合には、法人登記の煩雑な手続きや、登録免許税などの多額の費用が必要になります。

本業があったとしても、個人事業主の開業は手続きも費用も負担が少なく、法人に比べてずっと気軽に始められます。

この点は、大きなメリットと言えるでしょう。

法人税を払わなくていいので固定費がない

個人事業では所得税、法人では法人税を支払う必要があります

法人の場合は毎年、法人税の申告書を作成し、法人税の申告・納付が必要になりますが、個人事業主の場合、所得がなければ所得税もありません。

所得税は法人税のような固定費ではないため、固定費が無いために自由度も高くなると言えるでしょう。

また、所得が少ないうちは所得税の税率が低く、法人より個人事業主の方が、納入する税金は少なくなります。

事業が軌道に乗るまでは個人事業主で、利益が増えてきたら個人事業主から法人化する、ということも可能です。

自由度が高い

個人事業主で自分ひとりで事業を行う場合には、従業員がいないため、従業員への給与の支払いや社会保険加入なども必要ありません。

また、前述のように法人税という固定費も必要ありません。

法人のような固定費がないために、「個人事業主としての事業を行わない」という選択肢をとることも可能です。

収入から必要経費を引いた金額が、個人事業主としての所得となります。

事業を行ってもいいし、行わなくてもいい、という意味では、法人と比べるとずっと自由度が高い働き方ができると言えるでしょう

個人事業主のデメリット

メリットがあれば、当然ですがデメリットもあります。

個人事業主のデメリットについても確認していきましょう。

信用力がないので取り組めない案件も出てくる

個人事業主には、法人のような登記は必要ありません。

法人よりも簡単に設立や運営ができるために、社会的な信用という面では、法人よりも大きく劣ってしまいます。

そのため、法人としか取引を行わず、個人事業主とは契約をしない、という企業も少なくありません。

信用力のある法人でしか受けられない案件もあるために、この点は個人事業主の大きなデメリットです。

事業拡大しにくい

前述のとおり、個人事業主は法人に比べて信用力が低いため、金融機関からの融資を受けにくいとされています。

法人は個人とは別人格であり、会計も個人と法人は別となります。

それに対して、個人事業主の場合は会計も一体になるために、事業資金と個人の生活費の境目があいまいになりがちです。

運転資金の融資の審査は、法人よりも厳しくなりやすいでしょう

このように融資が受けにくい点から、個人事業主は法人と比べて事業拡大しにくいと言えます。

また、人材の採用においても、個人事業主は法人よりも信用力に劣るため、不利になりがちです。

個人事業は求職者にもあまり人気がなく、人材採用面で不利になることからも、事業拡大は法人に比べて難しいと考えられるでしょう。

所得が増えると税率が上がる

個人事業主に課せられる所得税は累進課税で、所得が増えると、税額は法人よりも多くなる場合があります。

所得が少ないうちは税率が低くてメリットがありますが、所得が増えるほどに税率が上がってメリットも小さくなり、所得が800万円を超えると法人税よりも高い税率になります。

急激に事業拡大して所得が増えた場合、想定していたよりも税率が高くなること、場合によっては法人税を超える税率になる可能性があることは、デメリットとも考えることができるでしょう。

副業するときに会社設立した方がいい人

副業で個人事業主を選んだほうがいい人や、個人事業主のメリット・デメリットなどをご紹介してきました。

しかし副業といっても、それぞれに仕事内容も違いますし、副業の業績などの状況もそれぞれに違うでしょう。

副業で稼いでいる人のなかには、個人事業主よりも会社設立をして法人化するほうが向いている、というケースもあります。

この項では、どのような人が会社設立・法人化を選択すべきか、法人化の手順、法人化するメリット・デメリットなどについてご紹介します。

会社設立を選択するべき人

利益がだいたい800万以上の人

個人事業主に課せられる所得税は、所得が増えるほどに税率の上がる累進課税です。

対して、法人の場合には法人税が課せられ、法人税の税率は一定で、23.4%となっています。

個人事業主としての所得が増えてくると、累進課税のために税率が上がり、法人税よりも多くの税金を納めることになる可能性があります。

所得税の税率が法人税よりも高くなってしまうタイミングは、一般的には所得が800万円程度と言われています。

所得が800万円を超える場合には、個人事業主よりも法人を選択するほうが節税できるため、所得800万円程度が個人事業主から法人化する目安とされています。

副業の所得が800万円を超える方は、法人化を検討してみるべきでしょう。

経費が多い人

事業にかかっている費用が多く、より多くの費用を経費として計上したい、という場合には、法人化したほうがメリットがある場合があります。

法人化すれば、個人事業主よりも経費で処理できる項目が増えるために、法人化を検討してみると良いでしょう。

ただし、前述のとおり個人事業主は所得が増えるほどに税率が増える所得税が課せられ、法人の場合には税率が固定の法人税が課せられます。

所得が800万円未満の場合には、法人税よりも所得税のほうが税率が低くなります。

所得税と法人税の差分を考慮して、それでも経費として計上できる項目が増えたほうがメリットがあるという場合には、法人化したほうが都合がいいでしょう。

経費のために法人化を検討する場合には、法人税と所得税の差分、経費をいくら使う予定なのかを計算し、よりメリットの多いほうを選択しましょう

売上高が1,000万円を超える人

個人事業主でも、2年前の課税売上高が1,000万円を超える場合、または2年前の課税売上高が1,000万円以下であっても前年の前半6カ月の課税売上高が1,000万円を超える場合には、消費税の課税事業者となり、消費税を納める義務が生じます。

2年前の課税売上高が1,000万円を超えて、消費税の納税義務が生じる場合には、そのタイミングに合わせて法人化すれば、消費税の納税義務が免除されます。

新設法人は、個人事業主とは別人格とみなされるので、個人事業主の過去の売上高の影響を受けることはありません。

新規に法人を設立した場合には、設立後2年間は消費税の納税義務が免除される可能性が高く、税負担を減らすことができるでしょう。

個人事業主として売上高が1,000万円を超えて消費税を納める義務が生じた場合には、法人化すれば消費税が免除される可能性が高く、このタイミングを法人化検討する良いチャンスととらえることができます。

実際に、このタイミングで法人化をするケースは少なくありません。

副業で会社設立をする人の目的

節税したいから

収入が800万円を超えると、所得税よりも法人税のほうが税率が低くなるため、法人化による節税効果が見込めます。

また、売り上げが1,000万円を超えると消費税を納める義務が生じますが、新規法人を設立すれば、2年間は消費税を免除される可能性が高く、ここでも節税が見込めます。

そのほかにも給与所得控除や相続などに関わる税金について、個人事業主よりも多くの節税の方法があります。

事業継承しやすいから

個人事業主では、相続などによる事業継承が困難ですが、法人の場合、そのまま事業継承することができます。

人を集めやすいから

法人のほうが外注化しやすいことや、人を雇いやすいことなどから、法人化したほうが人を集めやすくなります。

また、法人のほうが社会的信用が高く、よりレベルの高い人材が集まりやすく、採用もうまくいきやすくなるでしょう。

会社設立する手順

会社設立の手順は、個人事業主になるよりも複雑です。

しかし、その分、節税効果や高い社会的信用が得られるなど、大きなメリットもあります。

前述の「会社設立をしたほうがいい人」に当てはまる場合には、会社設立のための手続きにかかる手間と費用を上回る価値があります。

基本事項の決定

会社設立にあたって、会社の基本事項である商号(会社名)や役員報酬、資本金額など、基本事項を事前に決めておく必要があります。

定款の作成・認証

会社の基本原則となる「定款」を作成します。

この「定款」には、必ず記載すべき事項である「絶対的記載事項」というものがあります。

絶対的記載事項の記載がない場合には、定款は無効になってしまうので、記載漏れがないように注意が必要です

定款の作成を済ませたら、公証役場で「定款認証」を行います。

定款は、第三者による「認証」を受けることではじめて公式な書類としての効力を持ちます。

資本金の払込

基本事項で決定し、定款に記載した資本金額を、代表者個人の名義の銀行口座へ振り込みます。

会社名義の口座は、会社設立後に開設できるようになるので、会社設立後には資本金を個人名義の口座から会社名義の口座へと移行させます。

資本金額は、制度的には「1円」から会社設立することができますが、資本金の目安は一般的に100万円~1,000万円程度と言われています。

登記書類作成

必要な資料をそろえ、登記書類を作成します。

登記申請に必要な書類は、法務局のホームページよりダウンロードすることができます。

法人登記申請

設立する会社の本店所在地を管轄する法務局の窓口へ出向き、法人登記申請を行います。

原則として、会社設立登記の申請は代表取締役が行いますが、司法書士だけは登記申請の代行をすることができます。

また、法人登記申請は、郵送でも行うことが可能です。

法務局の窓口へ登記申請書を提出した日が会社の設立日になります。

郵送の場合には法務局に到着した日が会社の設立日となります。

会社設立のメリット

信用力が高まる

会社は法人登記を行っているため、一般的に、法人登記を行わない個人事業主よりも高い信用力が得られます。

法人としか取引を行わない企業もあるために、受けられる仕事の幅を広げることができるでしょう。

節税効果が見込める

法人税と所得税の税率の差、消費税の免除、経費の幅が広がること、給与所得控除が使えることなどから、会社設立によって、節税効果が見込めます。

資金調達しやすい

個人事業主よりも信用力が高まることからも、法人化すると金融機関からの融資が受けやすくなります。

また、個人事業主では事業資金と個人の生活費を明確に分ける必要がありませんが、法人は個人とは別人格となるため、生活費などの個人の資金と、法人として事業に使う資金を明確に分ける必要があります。

この点も、個人事業主に比べて金融機関からの信用が得やすい理由と言えるでしょう。

人材が集めやすい

これも信用力が高まることに関係がありますが、個人事業主よりも法人のほうが優秀な人材が集まりやすい、というメリットがあります。

個人事業主は信用力が低いために求職者に敬遠されがちですが、法人であればそうしたデメリットが無くなります。

会社設立のデメリット

会社設立・運営に時間・費用がかかる

会社設立の手続きは複雑で手間がかかりますし、登録免許税や定款認証費用など、手続きのために最低でも20万円程度の費用がかかります。

これとは別に、資本金も準備する必要があります。

また、毎年税務申告を行う際に、会社が赤字であっても法人住民税の均等割を支払う必要があります。

個人事業主であれば、これらの費用は発生しないため、この点は会社設立をするデメリットと見ることができるでしょう。

社会保険への加入義務がある

会社設立して法人化すると、社会保険(健康保険と厚生年金保険)への加入が義務づけられます

社会保険の保険料は、国民健康保険と国民年金に加入する場合に比べると高額になります。

従業員を雇った場合にも社会保険への加入義務があり、社会保険加入による費用負担はより増えていくことになります。

事務負担が増える

法人化すると、個人事業主よりも厳密な会計ルールに従った会計処理が求められます。

また、社会保険への加入や、株主総会の開催・役員変更登記などの法律上求められる手続も必要となり、個人事業主の場合に比べて格段に事務負担が増加します。

自由度は下がる

個人事業主の場合、事業によって得たお金は自由に使うことができますが、法人化すれば会社の財産と個人の財産は明確に区分されるために、会社のお金を自由に使うことはできません。

当社が支援する会社設立の事例

当社では、副業で会社設立する方の支援を行っています。

副業での会社設立支援として、当社への依頼実績のある具体的なケースをいくつかご紹介します。

アフィリエイトで安定して売り上げているので会社設立

インターネットを利用した副業で稼いでいる人は、会社員のなかにも少なくありません。

こうした仕事をする方は、はじめは自分ひとりで作業を行っていますが、安定した売り上げを作るためには、コンテンツを増やしていく必要があります。

今後、コンテンツ作成を外注することを考えたなら、人を雇う際に有利になるという意味でも、法人設立することがおすすめです。

資産管理で会社設立

預貯金や株式、不動産などの資産がある場合には、資産管理会社を設立して節税する、という方法があります。

資産は法人でなく個人でも管理することはできますが、法人化することによって、税制上などのさまざまなメリットがあります。

たとえば法人の税制優遇を活用しての節税や、所得の分散効果、相続対策としても活用することができます。

また、法人化することによって経費を使っての不動産取引などもできます。

ある程度の資産がある場合には、資産管理会社を設立することで得られるメリットは小さくありません。

副業でフリーで働いている場合の会社設立

会社員をしながら、副業でフリーランスの仕事、たとえばライターやクリエイター、プログラマーなどをしている人は、年々増えてきています。

こうした場合、副業での収入額や本業の都合など、それぞれの状況は大きく異なるために、会社設立が向いている人、個人事業主が向いている人など、人によってさまざまです。

どういった人が個人事業主/会社設立に向いているかをご説明しましたが、それでも迷っているという場合には、税理士に相談してみると良いでしょう。

また、会社員をしながらの副業では、会社には内緒で副業をしている、という方が少なくありません。

そうした方は、「会社設立をしたら会社にバレてしまうんじゃないか」と考えて会社設立をしない、というケースがあります。

しかし、会社設立したら大きく節税できていたところを、個人事業主のままで続けることは、大きな損失につながるでしょう。

当社では、会社員の方がバレないように会社設立するための支援もしています。

「会社にバレやすいルート」というのがいくつかあるので、それぞれ対策をとって、会社にバレることなく副業での会社設立をすることができます。

まとめ

以前はタブーとされていた副業ですが、働き方の変化にともない、社会的にも受け入れられるようになってきました。

以前よりも多くの人が副業を持ち、副業で会社設立をする人も増えてきています。

しかし、副業の場合、実際に会社設立するのは難しい、というのも事実です。

理由として、1つ目は会社にバレたくないということが挙げられます。

副業が社会に受け入れられてきた、といっても以前はタブーとされていたため、現在でも快く思わない人は少なくありません。

副業をしていることを会社に知らせたところで、本業にも副業にもメリットがないのなら、会社に知らせないこと、バレないことが得策と言えるでしょう。

2つ目の理由としては、会社設立に際して、会社をどうしていくかを最初に決める必要があることです。

今後についての具体的なビジョンを持っていない人が多く、ほとんどの人が適当に決めてしまう、というのが現状で、もしも後から変更するなら、変更にはお金がかかります。

3つ目の理由として、合同会社と株式会社、どちらの形態の会社を設立するのが適切かわからない、ということが挙げられます。

それぞれのメリット・デメリットと、どちらが自分に合っているか、普通はわからない人のほうが多いかもしれません。

こうした問題や疑問を解決し、副業での会社設立につなげるには、代行会社に依頼するのがおすすめです。

当社では、会社設立の支援を行っており、とくに副業の会社設立支援を得意としています。

副業での会社設立は、本業とは多少異なるところがあり、副業での会社設立支援のノウハウが必要になります。

副業で会社設立をしたい方、本業の会社にバレずに会社設立をしたい方、個人事業主と会社設立でどちらのメリットが多いか迷っているという方は、ぜひお問い合わせください。