創業するには計画が重要ですが、その中でも事業に必要な設備投資の資金調達がポイントになります。
そこで今回は、設備投資で銀行融資を受けるために、設備投資の融資における審査のポイントや注意事項を、融資を審査する銀行員の視点で解説します。
創業を考えている人、設備投資を検討している人は参考にしてください。
この記事では、銀行の設備投資融資について、そして設備投資で融資を受けるときの注意向を解説していきます。
まずおさらいの意味もこめて、設備投資の融資について基本事項からお話します。
Contents
銀行の設備投資融資1.設備投資融資とは?
最初は設備投資融資とは?こちらをいくつかの項目に分けて説明します。
基本事項
企業が経営を続けていくために設備投資は欠かせません。
これは製造業や建設業など大規模な設備(工場、機械、車両など)を使う業種に限ったことではありません。
飲食業なら店舗や什器、販売業なら内装や店内レイアウト、IT関連ならPC機器やソフトウエアも設備になり、それらを維持更新する設備投資は起業の存続に必須となっています。
このため設備投資の融資は他の使いみち、たとえば運転資金と比べて対応が柔軟になっています。
企業の存続に欠かせない設備投資なので銀行も特別扱いで対応するのが、設備投資融資なのです。
そのほか、銀行の設備投資融資の基本事項は下記のとおりです。
<銀行の設備投資融資>
特別扱いとは、普通なら事業資金融資を受けられない会社(業績不振、赤字、債務超過など)でも、設備投資融資に限り融資してもらえる場合もあるという意味
ケースによってはリスケ(業績不振などで返済を減額または猶予してもらうこと)している会社でも、設備投資融資なら融資を受けられることもある
対応が柔軟でも審査が甘いという意味ではない
したがって設備備投資の目的、内容、返済の目途などの計画は厳格にチェックされる
金利や返済年数も運転資金などと比べると優遇されている(金利と返済年数は、このあと詳しく説明)
言ってみれば「設備投資融資は銀行としても基本的には貸す方向で審査している」ので、審査は厳しいのですが、ただ厳しいだけではありません。
たとえば見通しの甘さや計画の不備などを指摘し、直すように銀行員がアドバイスをしてくれるなど、経営コンサルタントに近い部分もあります。
このあたりが特別扱いだが審査は甘くないということなのですが、その反面お金の使いみちや計画などで虚偽、つまりウソがあると厳格なペナルティを受ける恐れがあります。(後半の注意点で触れます)
金利
銀行の事業資金融資では、プロパー融資なら金利は銀行が個別に決めます。
融資を申し込んだ会社の業績や銀行取引など多角的に判断して、会社ごとのケースバイケースになるので、一律で何%といった表現はできません。
ただし柔軟な対応のため、おおむねその会社に対し運転資金などで適用されるものより低金利で対応してくれる傾向があります。
また国や県の制度融資(公共団体が制度設計し、低金利で利用できる銀行融資)でも低金利で利用できます。
たとえば東京都の制度融資では最下限1.5〜2.2%という低金利もあります。
ただし金利の適用には条件があり、また制度融資は原則として信用保証協会保証付きの融資で保証料も必要になります。
利用を検討する場合は、必ずご自身で確認して下さい。
国や県、または各県の信用保証協会の公式サイトで概要を見ることができます。
【参考出典】
東京都/産業労働局/東京都制度融資一覧/新たな事業展開/設備投資(設備)
返済年数
運転資金の返済年数なら、1年未満の数か月単位から、長くても10年くらいです。
いっぽう設備投資の融資では10年以上15年以内が主流になっています。
たとえば日本政策金融公庫も最長20年までとなっていて、制度融資も10〜15年までが主流で中には20年返済というものもあります。(筆者調べ)
また銀行プロパー融資の場合は、20年を超える返済期間となるケースもあります。
ただし設備投資の融資における返済期間は「償還年数」と密接に関係しているので、この点はのちほど触れるとして、全般的に10年以上の長期で返済できることがわかります。
【参考引用】
日本政策金融公庫/融資のご案内/融資制度検索
担保
運転資金などの融資では、日本政策金融公庫でも銀行でも無担保が主流です。
これは担保に限らず保証人も不要な融資が増えてきたように、お金を借りる負担を減らすという時代の流れによるものです。
しかし設備投資の融資では担保が必要になるケースの方が多くなっています。
設備投資の融資は金額は大きく、返済期間も長期になることより、融資する金融機関にとってみるとリスクが増大することになります。
そのため設備の対象となるものを「融対(ゆうたい)物件」と呼び、つまり融資の対象となる物件(不動産が多い)は融資金を回収できるまでの押さえ(押さえのことを「保全」とも)とするのです。
なお担保になるのは不動産(新工場の土地や建物など)だけでなく、工場の生産ラインなどの機械や車両、船舶も担保にする場合があります。
銀行の設備投資融資2.設備投資融資の注意点
注意点1.償還力、返済原資など必須知識は押さえておく
設備投資の融資では、借りたお金をしっかりと返済していくことができるか?を「償還力(償還年数)」という尺度で測ります。
簡単にいうと、設備投資の融資は会社の利益など返済の元となるお金(返済原資)で返済するもので、その原資がいくらくらいになり、融資は何年で返せるのか?を計算するのです。
このように、設備投資の融資を受けることで利益がどのくらい見込まれ、融資を受けても返済できるんだという絵が描けないと審査では苦戦しますし、これが事業計画なのです。
設備投資の融資では計画が重要で、そのため返済原資、償還力といった言葉はぜひ覚えておいてください。
注意点2.「ウソ、あやふや」はNG
設備投資の融資は長期の返済で、企業に欠かせないものと特別扱いされています。
そのため「ウソやあやふやなこと」は審査で最も嫌われます。
まず事業計画がしっかりしていることが大前提なのですが、資金使途が実際に必要としているものとは違っていたり、数値や表現度があやふやな状態では審査に通るのはまず無理です。
ひとつの例として、〇〇というメーカーの▲▲という営業用車両を購入するといって申し込んだが、実際は違うメーカーで買った場合も指摘される恐れがあります。
「営業用車両には違いないんだからいいじゃない!」という理屈は銀行には通用しませんので、この点はぜひ覚えておいて下さい。
とはいえ上記は極端な例であり、このように資金使途の検証は厳しいのですが、現実には計画と結果が違ってしまうこともあるでしょう。
その点は銀行もある程度は許容してくれるものですが、それとは別に絶対やってはいけないこともあります。
注意点3.「流用」は絶対ダメ!
設備投資の融資で絶対にやってはいけないこと、それが「流用」です。
これは文字通り、設備投資で融資を受けたお金を、その目的以外に流用し使ってしまうことです。
銀行融資では、申込みした際のお金の使いみちとは違うことにお金を使った場合「資金使途違反」として厳格に対応します。
原則として融資したお金の残額は即返済を求められますし、最初から意図的で悪質だと判断された場合は、詐欺など犯罪に問われる恐れすらあります。
特に柔軟で特別扱いする設備投資の融資では、この流用を最も厳しくチェックするのです。
ですから設備投資の融資で、当初の目的以外に使えば資金使途違反になります。
しかしながら「予定通りの設備には使ったが、資金が余ってしまった」場合はどうでしょうか?
この場合は銀行に申し出て、余ったお金(「余剰金」という)を設備投資の融資に一部返済するのが大原則です。
まとめ~銀行の設備投資融資は
上記した「お金が余った場合は銀行に申し出て返済するのが原則」についても、銀行側の考えにより、そのまま運転資金などに使える場合もあります。
この場合はお金を貸した銀行が了解しているわけですから、当然ですが流用にはなりません。
しかし、銀行に申し出ることが重要で、黙って使ってしまえば流用になるかもしれず、このあたりが金融機関との付き合い方のコツとも言えるものです。
とはいえ一般の人がこういった金融機関との上手な付き合い方をするには、やはり金融機関を熟知しているプロの力を借りることが重要になってきます。
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