税理士の年収は本当に低い?平均年収や低いと言われる理由、他の国家資格との比較について
2020年10月5日
税理士の年収が低いという噂を聞いたことはありませんか?
難関である国家資格を取得した税理士が、どうして年収が低いと言われているのか気になる方も多いことと思います。
今回は税理士の年収が本当に低いのか、その実態について解説していきます。
税理士の実際の年収や低いと言われてしまう理由、他の法律系の国家資格別の平均年収との比較、年収を増やす方法について触れていますので、この記事で情報を集めましょう。
税理士年収の現実
年収が低いと言われている税理士ですが、実際の年収はいくらなのでしょうか?
全体の平均年収に加え、開業税理士や雇われ税理士・所属税理士の平均年収についてもご紹介していますので、確認してみてください。
全体の平均年収
税理士の平均年収としては、男性が766万円で女性が509万円となっています。
平成30年の国税庁の民間給与実態統計調査によると一般的な平均年収が441万円だと言われていますので、税理士の年収は十分に高いと言えるでしょう。
税理士(男) | 税理士(女) | |
---|---|---|
全体平均 | 766万円 | 509万円 |
※賃金構造基本統計調査(令和元年)より、企業規模計(10人以上)の税理士と公認会計士の年収を算出。
「きまって支給する現金給与額」×12ヶ月+「年間賞与その他特別給与額」(端数切り捨て)
開業税理士の平均年収
経験を積んだ税理士が、40代頃から独立して開業税理士になることが多いと言われています。
40代から徐々に人数が増えていく開業税理士ですが、定年がないこともあり60代の人数が1番多いです。
平均年収は700万円~1,000万円程度だと言われています。
開業税理士は税理士の中でも特に年収における二極化が激しくなっており、成功者とそうでない方に分かれてしまうのが現状です。
実際に1,000万円以上稼ぐ方がおよそ2~3割いる一方で、平均年収を大幅に下回る300万円以下の年収の方も2~3割ほどになっています。
雇われ税理士・所属税理士の平均年収
税理士事務所や会計事務所、税理士法人に勤務している方々の年収は規模別に以下のようになっています。
基本的には開業税理士よりも平均年収が低いですが、独立に失敗して大幅に年収が減るということはありません。
安定的に収入を得られるのが雇われ税理士・所属税理士の特徴の1つだと言えます。
5~9人 | 10~99人 | 100~999人 | 1000人以上 | |
---|---|---|---|---|
年収 | 694万円 | 576万円 | 1196万円 | 836万円 |
※賃金構造基本統計調査(令和元年)より、税理士と公認会計士の年収を算出。
「きまって支給する現金給与額」×12ヶ月+「年間賞与その他特別給与額」(端数切り捨て)
税理士の年収が低いと言われる理由
実際には一般的な年収よりも多い平均年収を獲得している税理士がどうして年収が低いと言われているのでしょうか?
税理士の年収が低いと言われる理由について解説していきます。
定年がない
勤務先の意向で定年を定められていることはありますが、基本的に税理士は一生涯働き続けられる職業です。
同じ職場に幅広い年代の方が揃っていることも珍しくなく、様々な世代と関われます。
60代や70代の方々が若いときのように長く働くこととは考えにくいです。
ですが、仕事が好きで短時間であっても働きたいという方は一定数います。
そのため税理士の年収が低いと言われる一因になっていると考えられます。
多様な働き方
税理士業界は男性も女性も活躍している職場になります。
特に女性は出産や育児などを担当する方が多く、それらと仕事を両立しようとすると勤務する時間はやはり短くなります。
時短勤務で正社員だったりパートなどで非正規雇用だったりと様々な働き方があることで人によって勤務の仕方が異なり、年収も時間によって左右されやすいです。
そのため、全体的な年収としては引き下げられるという結果になっています。
年収が二極化している現状
税理士の中には数千万円を稼ぐ税理士はたくさんいます。
一般的に年収の高いと言われる開業税理士であれば1,000万円以上の収入を得ている方が開業税理士全体の4分の1を占めています。
また、社員税理士であっても役職などに就いている方は1,000万円を越している方もいるのです。
しかしそれらは一部の税理士の話であり、平均年収以下の税理士も多数存在しています。
どちらかと言えばそこまで稼げない税理士の方が多く、彼らから受ける印象として年収が低いと感じる層が一定数いることも原因の1つだと考えられています。
法律系の国家資格別の平均年収
税理士資格は法律の国家資格であり、その他の資格と比べて年収を知りたい方も多いのではないでしょうか?
法律系の国家資格別に平均年収をご紹介していますが、各々が取り巻く環境は違いますので参考程度にしてご覧ください。
平均年収と取得難易度の比較
以下の表では年収と取得難易度に関して簡単にまとめています。
年収に関しては勤務規模や自分のキャリアなど様々な事柄によって左右されるため、あくまでも目安として参考にしてみてください。
基本的には司法試験を合格した方が一番年収が高いです。
それ以外の職業ではそこまで大幅には年収が変わらず、自分の能力などによってはさらに稼ぐことも可能になっています。
転職などを考える際には、年収ではなく何がしたいかで選ぶのが良さそうです。
平均年収 | 取得難易度 | |
---|---|---|
税理士 | 約600~700万円 | 5位 |
※取得難易度は合格率や受験資格取得の難関度合いなどを総合的に判断し、独自にランク付けしたもの。
難しい順。
税理士
顧客の税務代行や税務書類の作成・提出などを手掛ける税務に関する専門家が税理士です。
一般的には税理士試験に合格することに加え、2年の実務経験を積むことで税理士登録を終えて税理士として働いています。
税理士資格は科目取得制度が導入されており、合格条件の5科目の合格を一度に受験する必要がありません。
受験資格はあるものの、学識・資格・職歴など様々な項目で1つ以上満たしておけば良いとされています。
公認会計士
会計に関する幅広い知識を持ち、監査業務を独占的に認められているのが公認会計士です。
公認会計士は税理士登録をすることで税理士としても働くことができます。
しかしその分、広い範囲の知識を身に着ける必要があります。
公認会計士試験に受験資格はなく、どなたでも受けられるのが特徴的です。
しかし令和元年の合格率は10.7%と低く、難易度が高いことがお分かりいただけるのではないでしょうか。
司法試験
司法試験は裁判官や検察官、弁護士になるための知識を持っているかを判断するものです。
受験資格は法科大学院課程の終了又は司法試験予備試験合格という厳しい条件が定められています。
試験は毎年1回で、論文式試験3日間と短答式試験1日の計4日間で行われています。
法律系の国家資格の中では最難関と言うべき試験であり、これに合格した方々は高い年収を維持している方が多いようです。
弁理士
特許権や実用新案権、意匠権、商標権などの知的財産に関するエキスパートが弁理士です。
弁理士試験は5月に短答式試験、7月に論文式試験、10月に後述式試験が行われ受験資格はありません。
門戸が開かれている分、合格率は低くほぼ毎年10%以下になっています。
ここ数年は志願者数が減少傾向にあるの対して弁理士数自体は増えているという現状になっているようです。
司法書士
法律知識を用いて権利や財産に関する様々な業務を行うのが司法書士です。
税理士とよく比較される職業の1つですが、税理士の行う税務より法律全般を扱う傾向にあります。
受験資格はなく誰でも受けることが可能であり、7月の筆記試験と10月の口述式試験に合格する必要があります。
合格率は5%未満とも言われる超難関資格の1つです。
税理士が年収を増やす方法
一般的に年収1000万円以上が成功者だと言われていますが、税理士で成功者になるためにはどうしたらよいのでしょうか?
税理士が年収を増やすコツについてご説明していきます。
今の職場で役職に就く
税理士はキャリアを積むことで徐々に年収が上がります。
そのため、今の職場でスキルを磨きキャリアアップすることで安定的に高収入を得られる可能性は十分にあります。
特に役職に就くことができれば大幅な年収アップも臨むことができ、年収1000万円により近づけるでしょう。
開業税理士になる
20代や30代でキャリアを積んで独立することも年収アップする方法の1つです。
開業税理士の中には2000万円や3000万円、1億に手が届く収入を得ている人もいて、夢が広がる選択肢かもしれません。
ただし、相応のリスクもありますので綿密な計画を練る必要がありそうです。
転職する
手っ取り早く好条件の就職先を探すなら転職するのがオススメです。
給料や人間関係など、どうしても我慢できない状況になってしまうことがあります。
そのまま働き続けても自分のためにならないのであれば、思い切って転職するもの1つの手段です。
自分のキャリアや意欲などを示すことでより条件の良い職場と出会えることもあり、年収を増やすことにも繋がる可能性があります。
まとめ
今回は税理士の年収が低いと言われている現象について、実態をまとめてきました。
基本的に税理士の年収は、一般的な年収と比べて大幅に上回っており年収が低いというわけではありません。
また、法律系の国家資格と比べてみても、最上級の難関さを誇る司法試験を除いて他の資格との年収の差はあまりないと言えます。
ただ、定年がなかったり多様な働き方をしていたりと、税理士の年収が低く見える理由は存在しています。
加えて、年収が高い人と低い人との振り幅が大きいのも税理士の年収が低いと言われてしまう原因になっていると考えられています。
税理士は今の職場でキャリアを積み役職に就いたり、開業税理士になったり転職したりすることで年収がアップできる可能性があります。
税理士として働く方は自分の目標とする年収を獲得するためにも、キャリアプランを明確にしておく必要がありそうです。
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