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廃業しても税務調査は行われる?何をすればいい?注意点を解説!

廃業しても税務調査は行われる?何をすればいい?注意点を解説!

たとえ個人事業主や法人を廃業したとしても税務調査は行われます。

過去に申告した内容について税務署は徹底的に調査をして、疑いがあれば調査する必要があるからです。

そこで、廃業した後で税務調査を受ける際の対策や注意点について解説します。

廃業しても税務調査は実施される

廃業しても税務調査が実施されるケースがあることについて詳しくみていきましょう。

事業をしていた期間について廃業後にも税務調査が実施される

廃業したとしても、過去の申告内容について税金の時効を迎えるまでは常にチェックされます。

税務署は時効が来るまではできるだけ多くの申告漏れや不正を見つけて税金を徴収しようとするからです。

廃業後に税務調査をするのは法律で認められている行為です。

廃業後も時効が来るまでは常に税務署から監視されていると意識しましょう。

廃業後も帳簿や取引に関連する書類を一定年間保管する義務がある

廃業後も過去の帳簿や取引に関連する書類などは保存しなければいけません。

法律によって保管の義務が定められているからです。

会計帳簿や請求書、領収書といった書類は会社法では10年間、法人税法では7年間の保存期間が定められています。

それぞれの書類ごとに保存期間は異なるのですが、基本的には10年保存する義務があると考えれば良いです。

そのため、廃業しても10年は会計帳簿などの書類をしっかり保管しましょう。

廃業後の税務調査で過去の申告内容の誤りが発覚するケースはよくある

廃業後に税務調査を受けた結果、過去の申告に誤りがあることが発覚するケースはよくあります。

誤りがあれば修正申告をして罰金を含めて納税しなければいけません。

廃業した後も過去の申告の責任が問われるため油断をしてはいけないのです。

税金の時効は5年、脱税など悪質なケースは7年

税金の時効は5年とされています。

そのため、廃業後も5年間は税務調査の可能性があると意識しましょう。

また、脱税など悪質なケースの場合には税金の時効が7年に延びます。

悪質な脱税などは常に税務署が目を光らせており、疑いがあればすぐ税務調査を実施するのです。

ほとんどのケースでは時効を迎える前に申告の誤りや不正を指摘されます。

廃業する際に注意しておきたいポイント

これから廃業するときに注意しておきたいポイントを解説します。

廃業した年度の確定申告が必要

年度の途中に廃業したとしても、その時点までの所得について翌年に確定申告が必要です。

場合によっては、廃業した時点で当該年度の所得が赤字になるケースもあります。

この場合は所得がマイナスになるため確定申告は不要です。

ただし、他に事業をしている人やサラリーマンなどは損益通算ができるため、赤字の場合でも廃業した翌年に確定申告した方がメリットがあります。

所得がプラスなのに確定申告を怠ればペナルティがあるため注意しましょう。

廃業後の経費の取り扱いに注意する

廃業する際にもさまざまな費用がかかるため、経費の取り扱いに悩むケースがあります。

基本的には廃業する際に生じた費用も必要経費として計上可能です。

たとえば、事務所の清掃費用や設備の処分費用などは事業に関連した費用として認められます。

ただし、事業に関連のないものを経費にしてはいけないため注意しましょう。

廃業するために必要な手続きはたくさんある

廃業するためにはさまざまな手続きが必要です。

個人事業主の場合は廃業届を提出します。

それ以外にも青色申告や消費税、給与支払いなどの廃止の届け出も必要です。

それぞれの状況によって必要な手続きは異なるため注意しましょう。

会社を廃業する場合は個人事業主よりも手続きは複雑です。

株式会社であれば、株主総会で解散決議を行い清算人の選定をします。

そして、解散登記と清算人選任登記を行い、解散届を提出して、さらに官報で解散広告する必要もあるのです。

法人税や住民税、事業税、雇用保険、社会保険などについてもそれぞれ手続きが必要になります。

廃業のために必要な手続きは複雑なため専門家に相談すると良いでしょう。

廃業後も税務調査に備えて帳簿などの書類をしっかりと保管整理しておく

廃業した後も税務調査の可能性があるため、きちんと帳簿などの書類を保管しましょう。

紛失すると保管義務に違反するため注意してください。

事前にきちんと書類を整理して、絶対に紛失しない場所に厳重に保管しましょう。

廃業後に帳簿や書類が紛失した場合

万が一、廃業した後で帳簿や書類が紛失した場合は大変です。

この場合にどのような対応を取るべきなのか説明しましょう。

書類の紛失について正直に伝えることが大切

もし税務調査を受けることになり、過去の書類の紛失に気がついた場合は、税務署に正直に伝えることが大切です。

再発行や別の書類で代用できるケースもあるのですが、どうしようもない状況の場合には、正直に申告するしかありません。

税務調査では過去の書類をすべてチェックするため、嘘をついてもバレてしまいます。

調査官への心象を悪くしないためにも、書類の紛失については正直に打ち明けましょう。

領収書は取引先に再発行してもらう

領収書や請求書などの書類については、以前の取引先に再発行してもらえるケースがあります。

ただし、取引先が領収書などの再発行に応じる義務はありません。

また、書類の紛失は取引先には無関係のことであり、再発行の依頼は相手に迷惑をかけます。

もし再発行を依頼するならば、丁寧な態度で頼みましょう。

過去の取引のメールやLINEのやり取りなどをできるだけ集める

過去の経費の根拠を証明できる書類を紛失した場合は、メールやLINEなどのデータを調べてみましょう。

取引の詳細を確認できるやり取りの記録が残っていれば、領収書などの代用として活用することができます。

経費の根拠を示すための情報として日付や金額、取引先、商品名などの情報が必要です。

クレジットカードの明細やメモ書きでも経費にできるケースがあります。

帳簿書類の多くを紛失した場合はペナルティを受ける可能性がある

帳簿書類の一部を紛失しただけならば、ペナルティが課せられないケースが多いです。

他の書類の情報を確認すれば、紛失した部分の内容を補うことができます。

それほど大きな影響を与えないとみなされるからです。

しかし、帳簿書類の多くを紛失した場合は注意しましょう。

この場合は、過去の申告内容を証明する書類が紛失したことになります。

情報を復元するのにも限度があるため、最終的には過去の利益について推計するしか手段がなくなるのです。

帳簿書類の大部分が失われた場合は、大きなペナルティが課せられると覚悟しましょう。

廃業後に税務調査を受ける際の注意点

廃業後に税務調査を受けた場合の注意点を説明します。

過去に無申告の期間があれば申告しておく

税務調査を受ける際に過去に無申告の期間があることがわかったならば、自主的に申告しましょう。

確定申告は期限を過ぎた分についても申告することは可能です。

税務調査で指摘される前に自主的に申告することでペナルティを軽減できます。

もちろん、自主的に申告した場合もペナルティはあるのですが、税務調査で指摘されるケースよりも罰金を減らせるのです。

経費の根拠などを説明できるように準備しておく

税務調査でよく指摘されるポイントは経費に関することが多いです。

経費が多く計上されていると所得を減らすことができます。

そのため、故意に税金を減らすために経費を架空計上する場合もあるからです。

過去の経費について、税務署は一つ一つ入念にチェックしていきます。

そして、事業の関連性が疑われるものについては徹底して質問してくるでしょう。

前もって経費の根拠などをしっかり説明できるようにすることが大切です。

特にチェックされるのは交際費です。交際費はプライベートの支出と混同して計上されるケースが多いため注意しましょう。

また、従業員を雇っている場合は福利厚生費にも気をつけるべきです。

本来は給与として計上するものを福利厚生費として処理してしまうケースはよくあります。

個人事業主を廃業して法人成りしても個人時代の税務調査が実施されるケースがある

法人化するために個人事業主を廃業するケースがあります。

この場合も、個人事業主時代の税務調査は実施されるため注意しましょう。

法人化すれば個人事業主時代の申告内容が調査されなくなるわけではありません。

実際に法人成りしてから個人事業主時代の申告漏れを指摘されてペナルティを受けてしまい、会社経営に影響を及ぼしたというケースもあります。

法人化した後も個人事業主時代の書類はしっかりと保管して、いつ税務調査を受けても大丈夫なように対策を立てておきましょう。

廃業後も税務調査の対策のために税理士に相談することは大切

事業をしていた頃は顧問税理士がいて、定期的に相談をして税務調査の対策をしていた人は多いでしょう。

しかし、廃業後は税理士が必要ないと考えて、税務調査への対策もまったくしていない人はたくさんいます。

それでは税務調査を受けたときに慌ててしまうでしょう。

廃業後も税務調査を受ける可能性は存在するため、不安なことがあればいつでも税理士に相談すると良いです。

税務調査が決まったならば、税理士に立ち会いを依頼しましょう。

廃業後の税務調査について悩みがあるなら専門家に相談しよう

廃業すれば過去の申告内容に責任を持たなくてもいいわけではありません。

税金の時効が成立するまでは、税務署は税金の徴収をする権利があり、いつでも税務調査を行えます。廃業後も油断をせず、税務調査を受ける可能性があることを意識しましょう。

万が一、税務調査を受けることになったならば、すぐに税理士へ相談してください。

税理士と一緒にしっかりと対策を練ることで税務調査を問題なく切り抜けられます。

記事監修者の情報

税理士法人
経営サポートプラスアルファ

代表税理士 高井亮成

保有資格:税理士・行政書士

税理士の専門学校を卒業後、会計事務所に入社。
その後、税理士法人に転職をして上場企業や売上高数十億円~数百億円規模の会計税務に携わる。

現在は税理士法人の代表税理士として起業・会社設立をする方の起業相談からその後の会計、決算、確定申告のサポートを行っている。