フリーランスをしていて税務調査を受けることがあるのか不安になる人は多いでしょう。
もし税務調査を受けるならばしっかり対策をしなければいけません。
そこで、フリーランスにも税務調査が入るのか、どんな対策が必要なのか解説しましょう。
目次
フリーランスでも税務調査の可能性はある
フリーランスの税務調査の可能性について説明しましょう。
税務調査の対象はフリーランスを含むすべての事業主
税務調査とは申告内容の正しさを確認するために行うものであり、すべての事業者が対象となります。
事業者は個人や法人を問わず含まれており、フリーランスにも当然税務調査が入ることはあるのです。
どのような事業者であっても、申告漏れや脱税をしている可能性はあるため、申告の誤りを見つけるために怪しい事業者に対しては税務調査を厳しく実施します。
強制調査と任意調査の2種類がある
税務調査を大きく分けると強制調査と任意調査の2種類があります。
強制調査はいわゆるマルサが実施するものです。
裁判所の令状を取得して、不正の疑いがある事業者の自宅や事務所などを強制的に調査します。
強制調査を断ることはできません。
一方、任意調査とはあらかじめ事業者の同意に基づいて実施される調査のことです。
任意とは事前に了承を得るという意味のため、調査そのものを拒否することはできません。
ただし、任意調査の場合は、事前に都合の良い日程を調整することができ、不測の事態があれば延期してもらうこともできます。
申告内容が正しいのか実際に調査をする
税務調査では事業者が申告をした内容が本当に正しいものなのか自宅や事務所を訪れて調査します。
帳簿や書類の確認や事業者への質問、在庫や現金などの確認など徹底的に調べられるのです。
誤りが発覚すると追徴課税を受ける
税務調査を受けると過去の申告内容について誤りが発覚するケースは少なくありません。
誤りがあり、税金の額が増えると納めていなかった分の税金を支払う必要があります。
また、申告漏れのペナルティとして罰金も支払わなければいけません。
これが追徴課税であり、申告漏れの金額が大きい場合は罰金の負担はかなり重くなるケースもあります。
不正が発覚すると罰則がある
税務調査を受けて何らかの不正が発覚すれば罰則があります。
たとえば、追徴課税も罰則の1つであり、過少申告加算税や無申告加算税、不納付加算税、重加算税といった4つの加算税があります。
さらに延滞税が課せられることもあるのです。
また、不正の内容によっては刑事罰で懲役刑となることもあります。
脱税はとても重い罪とされているからです。
フリーランスが受ける税務調査の流れ
フリーランスが税務調査を受ける場合の基本的な流れについて紹介しましょう。
事前通知が行われる
税務調査が実施されるまでに事前通知があります。
納税者に電話で口頭による事前通知が行われるのが一般的です。
ただし、現在では事前通知の前に調査通知が行われることが多いです。
調査通知は事前通知の内容の一部を抜き出した内容です。
以前は事前通知を受けてから実地調査までに修正申告をすればペナルティは課せられませんでした。
この制度を悪用する人が増えたため、調査通知が実施されるようになったのです。
調査通知後に修正申告した場合も一定の罰金が課せられるため注意しましょう。
事前通知では調査の開始日時や場所など具体的な内容が伝えられるため、そこでスケジュール的に問題があれば日程の調整を依頼すると良いです。
税務職員が実地調査をする
あらかじめ約束した日時に税務職員が自宅や事務所を訪れて実地調査が行われます。
実地調査では、帳簿を中心にさまざまな書類の内容がチェックされます。
現金や在庫なども確認して、申告内容と照合して誤りがないか確認するのです。
納税者に対して質問も実施されます。
後日、調査結果が連絡される
数日かけて税務調査が行われて、最終的に調査結果の報告を受けられます。
問題がなければ申告是認となり調査は終了です。
指摘事項がある場合は連絡が入ります。
顧問税理士がいる場合は、税理士に対して連絡されるのが一般的です。
もし調査結果に不満があれば税務署に対して反論することもできます。
必要があれば修正申告を行う
税務調査により申告内容の誤りが見つかれば修正申告しなければいけません。
修正申告をした後は追徴課税の納税をします。
罰金を含めて過去に納めていなかった分の税金を支払うのです。
ただし、調査結果に納得できない場合は修正申告をしないという選択肢もあります。
この場合は、税務署から更正通知が来て、税務署が税額を決定するのです。
その内容に納得できない、あるいは納税者が更正通知に応じない場合には裁判で争うことになります。
税務調査の対象となりやすいフリーランスとは?
フリーランスで税務調査の対象となりやすいケースについて紹介します。
急激に売上が増減したとき
売上が激しく増減すると税務調査を受ける可能性があります。
税務署は過去から現在までの売上の推移をチェックしており、著しい増減が見られる場合は怪しいと考えるからです。
たとえば、急激に売上が減少した場合は売上を隠しているのではないかと疑われます。
税務署は多くのデータを持っており、同業種と比較して売上の増減が極端な場合は注目されやすいです。
開業してから何年か経過したとき
フリーランスとして開業してから数年が経過すると税務調査を受ける可能性は高くなります。
税務調査では過去3年までさかのぼって調査をするのが一般的です。
また、税金の時効は5年までとされています。
開業してからずっと誤った方法で会計処理しているケースは少なくありません。
そこで、税務署は税金の時効を迎える前に税務調査でチェックしようとするのです。
税務調査の対象となる具体的な基準は公表されていない
実際のところ、税務署がどのような基準で税務調査を実施するのか具体的な基準は公表されていません。
もちろん、明らかな脱税の疑いがある場合は強制調査が実施されます。
しかし、税務調査のほとんどは任意調査であり、調査をしても軽微な申告漏れが見つかるケースがほとんどです。
何か怪しいと疑うポイントがあって税務調査をするケースは多いのですが、特に不審な点が見られない事業者でも税務調査を受けることはあります。
そのため、基本的にはどんな事業者であっても、税務調査を受ける可能性があることを覚悟しておきましょう。
フリーランスで税務調査を受けるのは全体の1%程度
国税庁のデータによると法人に対しては3%の割合で税務調査が実施されています。
一方、個人事業主が税務調査を受けるのは全体の1%程度です。
したがって、フリーランスが税務調査を受ける可能性はかなり低いといえます。
ただし、常に税務調査に備えることは大切です。
特に売上が高額なフリーランスの場合は、申告漏れの金額が大きくなるため、税務調査を受けやすい傾向にあります。
いつ税務調査を受けてもいいように対策を進めましょう。
フリーランスが税務調査で取るべき対策とは?
フリーランスが税務調査を受ける場合の対策について紹介しましょう。
請求書や領収書などの書類を整理して保管しておく
税務調査では過去の経費について特に注目して調査が行われます。
そのため、経費の根拠となる資料として請求書や領収書などの書類は重要です。
きちんと請求書や領収書を提示できないと経費として認められないこともあります。
過去の取引の証拠となる請求書や領収書などはしっかりと整理しておきましょう。
請求書や領収書などが発行されるたびにきちんと保存しておくことが大切です。
書類を整理する際には紛失したものがないのか確認しましょう。
過去の申告内容に誤りがないか見直しておく
税務調査を受ける前に自分たちで申告内容の誤りを見つけて修正申告をすれば罰金を減らすことができます。
申告漏れによる罰金の負担をできるだけ軽減するためにも、事前に過去の申告内容をしっかりと見直しておきましょう。
売上や経費、消費税などの数値が正しいか、きちんと一貫した方針で会計処理がされているのかチェックします。
自分たちでチェックするだけでは誤りを見つけられないケースがあるため、税理士に確認してもらうことも大切です。
書類を紛失した場合は取引先に再発行を求める
請求書などの書類が紛失しているケースがあります。
この場合は、取引先に依頼をして再発行を頼みましょう。
こちらの都合で依頼することになるため、丁寧な態度で申し出ることが大切です。
ただし、請求書などの再発行に応じる義務が取引先にはないため断られることもあります。
請求書などがなくても、取引の詳細を確認できる他の書類を用意できれば経費として認めてもらえる可能性があります。
クレジットカードの明細やメール、発注書といったものでも代用できるのです。
書類を紛失した場合は代用になる書類がないのか探しておきましょう。
専門家に相談をして対策を練る
税務調査の対策をすべて自分たちで行うことは難しいです。
専門的な事柄が関わってくるため、専門家に依頼することをおすすめします。
税理士であれば、税務調査の対策について総合的にサポートしてくれるでしょう。
税理士に税務調査の立ち会いまで対応してもらうこともできます。
フリーランスは税務調査について専門家に相談しよう
フリーランスでも税務調査を受けるケースは珍しくありません。
税務調査を断ることはできないため、しっかりと対策をして対応することが大切です。
その際にはこの記事の内容を参考にして、さらに専門家にも相談しましょう。
税理士など専門家に依頼することで、税務調査の対策を整えられます。