自宅サロンを経営している人の中には税務調査について不安になる人も多いでしょう。
実際に税務調査に入られることはあるのか、どんな対策が必要なのか気になるものです。
そこで、注意したいポイントについて解説します。
目次
自宅サロンをしていて税務調査を受けるケースがある
自宅サロンの経営をしていて税務調査を受ける可能性があるのか紹介します。
きちんと申告していても税務調査が行われることがある
自分はきちんと確定申告しているため税務調査が入ることはないと油断する人がいます。
しかし、実際には確定申告していたとしても税務調査が実施されることはあるのです。
申告内容に誤りが生じている可能性があります。
また、故意に売上を計上しなかったり、架空経費を計上したりするケースがあるからです。
そのような問題をしっかりと調べるために税務調査が実施されます。
申告の内容が正しいかどうか税務調査で念入りに調べられる
税務調査を実施するのは申告内容の正しさを確認するためです。
確定申告はあくまでも自主申告であり、内容の正しさを税務署が詳しくチェックするわけではありません。
そのため、税務調査を行い、本当に申告内容が正確だったのか念入りに調べる必要があるのです。
すべての事業者について税務調査をするリソースはないため、事業者の中から税務署独自の基準により一部の事業者にのみ税務調査を実施します。
自宅サロンは現金を扱うため予告なく税務調査が入るケースが多い
自宅サロンは比較的税務調査を受けやすいとされています。
その理由は現金を扱う仕事であり、売上が抜けているケースが多いからです。
この場合は事前の予告なく税務調査が入ることがあります。
事前に予告するとあらかじめ対策されてしまうからです。
税務調査は事前予告が必須ではなく、必要があれば予告なく突然やって来るケースがあるため注意しましょう。
犯罪の疑いがあれば強制調査が実施される
もし犯罪の疑いがあるならば、事業者に対して強制調査が実施されます。
強制調査は国税局査察部が担当するのが特徴です。
裁判所の令状を得て強制的に調査します。
脱税が判明すれば刑事事件として扱われるのです。
ただし、強制調査については1億円以上の脱税の疑いがあるようなケースでないと通常は実施されません。
普通の自宅サロンが税務調査を受ける場合は任意調査がほとんどです。
自宅サロンの税務調査で特にチェックされる点
自宅サロンが税務調査を受ける際に特にチェックされる点について説明しましょう。
経営の管理方法
自宅サロンをどのように経営管理しているのか方法について確認されます。
予約対応から役務管理、顧客管理まで細かくチェックされるのです。
管理方法がずさんな場合は帳簿にも誤りが生じる可能性があります。
売上をきちんと計上できていないケースも考えられるのです。
売上漏れ
サロンの売上をきちんと計上できているかどうか細かくチェックされます。
売上漏れが生じていれば所得が減るからです。
帳簿の金額と実際の売上額に相違がないのか確認されます。
伝票やレジのデータをチェックするだけではなく、予約システムも確認してデータに相違がないのかチェックするのです。
また、休業日や閉店時間を操作して売上を少なく見せるケースも考えられます。
特にサロンの場合は現金で会計をするケースが多いため、現金売上の計上漏れは重点的に調べられるのです。
経費
申告で計上している経費の正しさについて確認されます。
プライベートな支出が経費として扱われていないか、生活費と事業費が混同されていないかよくチェックされるのです。
自宅に併設してサロンを経営しているケースもよくあるため、プライベートな費用と経費の区別について追求されます。
家事按分
自宅をサロンとして活用している場合は、家賃や光熱費の家事按分について問題にされます。
家賃や光熱費のうち事業に利用している割合だけ経費として計上できるからです。
基本的には利用している時間で家事按分が行われます。
サロンの営業時間や営業日数から実際に事業で利用している時間が求められるため、実際よりも高い按分率で経費を計算していると厳しく追求されるでしょう。
最長7年間分まで遡って調査される
自宅サロンの税務調査を受ける際には最長で7年前まで遡り調査が行われます。
税務調査できちんとした対応ができず不正を疑われれば、7年分の調査が実施される可能性はあるのです。
税金の時効になるギリギリの部分まで徹底して調査をして不正を暴こうとします。
税務調査で申告漏れが発覚した場合のペナルティ
税務調査で申告漏れが発覚した場合にどのようなペナルティを受けることになるのか説明しましょう。
延滞税
税金には納付期限が定められており、期限を過ぎると課せられるのが延滞税です。
納付期限から実際に納付するまでの日数に応じて延滞税は増えていきます。
税務調査により申告内容の誤りが判明して修正申告する場合も、当初の納付期限からの日数に基づき延滞税が計算されるのです。
そのため、数年前の申告漏れが発覚すると延滞税の負担は大きくなります。
無申告加算税
期限までに確定申告を行っていなかった場合に課せられるのが無申告加算税です。
正当な理由なく確定申告をしない場合には罰則があるのです。
無申告加算税は、本税に対して15%とされています。
ただし、税務調査の前に自主的に申告した場合は、無申告加算税のペナルティは5%に軽減されます。
過少申告加算税
売上の計上漏れなどで本来よりも所得を過少に申告していた場合に課せられるのが過少申告加算税です。
本税に対して10%の追加税額がペナルティとなります。
ただし、期限内確定申告額と50万円のうち多い金額を超える部分については15%の追加税額が課せられるのが特徴です。
税務調査の前に自主申告した場合は、5%に軽減されます。
重加算税
無申告加算税や過少申告加算税などが課せられるケースで、隠蔽など悪質な行為が見られる場合には重加算税が課せられます。
本税に対して重加算税は35%の税率で課せられるため、かなり大きな罰則となるのです。
税務調査が入りやすい自宅サロンの特徴
自宅サロンのうち税務調査が入りやすいケースを紹介します。
売上がサロンの相場よりも少ない
税務署はそれぞれの業種について売上の相場に関するデータを持っています。
その地域の売上相場のデータもあるため、相場と比較してサロンの売上額が少ない場合には税務調査で注目されるでしょう。
あまりにも売上が相場よりも少ない場合には、売上を少なく見せるための不正が行われている可能性もあるからです。
売上と比較して経費が多すぎる
税務署は各業種の売上だけではなく経費に関するデータも持っています。
一般的な相場と比較して売上よりも経費が多すぎる場合には疑われるでしょう。
多くの経費を計上して故意に所得を下げようとしていると疑われるからです。
生活に支障が出るような赤字経営が続いている
自宅サロンの経営で赤字が続くことは珍しくありません。
しかし、生活に支障が出るほどの赤字経営がずっと続いている場合は怪しまれるでしょう。
そのような状況で普通は生活を成り立たせることが困難だからです。
故意に赤字経営の状況を作っていると疑われます。
出所不明のお金の動きがある
税務署は銀行などのデータも常に監視しています。
自宅サロンのお金の動きについては、帳簿や銀行のデータなどで詳しい情報をチェックできるのです。
しかし、出所不明のお金の動きが見られるケースがあります。
この場合は不正行為を働いているのではないかと疑われるでしょう。
税務調査に対応する際のポイント
自宅サロンの経営をしていて税務調査に対応する際のポイントについて紹介しましょう。
任意調査であれば調査を延期してもらうことも可能
税務調査には強制調査と任意調査があります。
このうち任意調査については、税務署に強制力があるわけではないため、都合が悪ければ調査の延期を依頼することが可能です。
たとえば、仕事が忙しい時期であれば延期をして比較的暇な時期に税務調査を受けることができます。
任意調査であれば、税務署はできる限り融通をきかせてくれるため、都合が悪い点があれば何でも気軽に伝えましょう。
オーナーが立ち会いのもとに調査をしてもらうべき
事前に予告なく税務調査が実施されるケースがあります。
しかし、調査官がサロンを訪れた際にオーナーが不在の場合があります。
この場合は、オーナーがきちんと立ち会って調査をしてもらうように頼むべきです。
強制調査でなければ、オーナーが不在の状態で税務調査を勝手に実施することはできません。
任意調査はあくまでも納税者の同意の上で調査を実施するという建前があるからです。
ただし、なぜオーナーが不在なのか明確な理由を説明できるようにしましょう。
質問でよくわからない点については答えなくていい
税務調査では調査官からさまざまな質問を受けます。
質問の内容は多岐にわたり税務調査の一環として行われるものです。
そのため、下手な受け答えをすると不利になります。
質問でよくわからない点については無理に回答するのを避けましょう。
回答を先延ばしにすることも可能です。
事前に税理士に相談をしてアドバイスを受ける
税務調査は事前の準備が大切です。
場合によっては税務調査を受ける前に自主的に修正申告した方が良いケースもあります。
どのような対策を取ればいいのか自分たちで判断するのは困難なため、税理士に事前に相談しましょう。
税理士であれば効果的な助言をしてくれます。
税理士とよく打ち合わせをして税務調査への対応を決めて、実際に調査への立ち会いも頼むと良いです。
自宅サロンで税務調査を受けるときは専門家を頼ろう
自宅サロンを経営していると税務調査を受ける可能性は高いです。
サロン経営は現金を扱うことが多く、税務署からとても注目されています。
税務調査はきちんとした知識を持って対応しないと不利になるケースが多いです。
あらかじめ税理士など専門家の力を借りて、しっかりと準備した上で税務調査を受けましょう。
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