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創業と設立の違いについて
起業をすると、会社の概要や沿革を紹介する機会が増えてきます。
、自分の会社の創業・設立の時期を説明する際に、曖昧に答えることだけは避けなければいけません。
そこで創業と設立の違いについて詳しく解説していきます。
「創業」とは?
「創業」とは、具体的には事業活動を開始し始めた時期のことを指します。
例えば、人員を雇い入れて事業活動を行なうといった誰もが描く会社のイメージとは少し異なり、一人で始めたとしてもそれは創業になるのです。
現代において起業する人たちがいう事業とは、営利目的での経済活動を行なうことを意味することが多いでしょう。
そのため起業しようと考えていた人が、営利目的でなにかしらの事業を始めた時点でそれは創業になります。
また登記などを行なう前の段階で、法人の会社として開業の為の準備行為を行なうことも創業になり、この時期を創業期として説明することもあるのではないでしょうか。
つまり登記をしない個人事業主であっても、営利目的の活動を行なったという客観的な事実さえあれば、その状態を言い表す最適の言葉は創業になるのです。
「設立」とは?
創業に対して「設立」という言葉はどういった意味を有しているのでしょうか。
設立とは、個人としてではなく会社という法人としてなど組織や機関を立ち上げることです。
例えば、会社などの法人として定款作成を行い、取締役などの内部機関を決定することで、公証人による認証を受けて、会社法上の登記申請を行なった状態のことを指します。
※会社法上の登記申請とは
→会社法49条で定められた登記申請に必要な要件を満たした書類を法務局に提出すること。
必要な要件とは、以下のような情報が書類に記載されていることです。
- 資本金の額
- 取締役の指名
- 代表取締役になる人の氏名と住所
- 発行株式総数
会社設立に際して必要な法人登記は、手続きを間違えなければ誰でも登記申請を行うことが出来るので、特別な行政からの許可などは必要ないのが特徴です。
その為、会社として設立はしていないが創業しているという会社も存在します。
ここで注意していただきたいのが設立とは、あくまでも組織や機関を立ち上げることであるということです。
確定申告など税金を節約するために、個人として開業届を出したとしても、それは設立を意味しないので注意が必要でしょう。
創業 | 設立 | |
---|---|---|
意味 | 個人とし事業、つまり営利目的の経済活動を始めたこと | 個人としてではなく組織や機関を立ち上げること |
特徴 | 個人でも事業をおこなえばそれが創業となる | 取締役などの内部機関を定めて、登記申請を行い認められる必要がある |
注意点 | 特になし | 個人で税金の節税の為に開業届を出したとしてもそれは設立とはいわない |
他にもある、「創立」とは?
創業や設立と似たような言葉として「創立」という言葉があります。
創立とはいったいどういった意味を有しているのでしょうか。
創立とは、事業を組織や機関を定めて始めた日のことを指します。
そのため設立のように登記などは必要ないです。
開業届けも必要なく、サークルや同好会などの団体などにも当てはまるのが特徴になります。
あくまでも組織や機関で事業活動を始めたことを創立というので、個人で事業を始めたことは上記でも触れた創業になるので注意してください。
他にもある似た言葉との語句整理
創業・設立・創立のほかにも、起業を行なう際などに良く耳にする言葉が存在します。
例えば、開業・起業・独立・発足などです。
そこでこういった似た言葉の意味について以下で簡単に表でまとめるので、それぞれの言葉の意味を理解しつつ整理して覚えましょう。
意味 | 特徴 | |
創業 | 個人とし事業、つまり営利目的の経済活動を始めること | 個人でも事業をおこなえばそれが創業となる |
設立 | 個人としてではなく組織や機関を立ち上げること | 取締役などの内部機関を定めて、登記申請を行い認められる必要がある |
創立 | 個人だけではなく組織として、事業を開始すること | 事業を開始した際に個人では創業、組織では創立という |
開業 | 新しくお店や事務所など、営利目的の経済活動を始めること | 創業と似ているが、開業は新しくお店などを始める際に使われるので創業と時期がずれる場合もある |
起業 | これから事業を起こすこと | 今後事業を起こすという意味で使われる、創業はすでに活動しているという点で異なる |
独立 | 会社を辞めて、会社と同じような分野などで独り立ちをする事を指す | 今まで仕事などを行なっていた状態から、その知識を活かして事業を始めることをいう |
発足 | 新しく組織や機構をつくり、活動を始めること | 活動を始めるということを意味するので、必ずしも事業を伴わない。
OB会を発足するなどのように使われる |
創立年や設立年に違いが生まれてしまうのはなぜか?
ここまで創業と設立の違いについて中心に様々な意味の言葉を紹介してきました。
そこで疑問に思われることが多いのは、創立と設立の年月日に違いが生まれることがあるのはなぜなのかということです。
これはビジネスを始めた時期と、会社として法人化される時期が異なることが原因になります。
他にも創業と設立が同時の場合と、創業が先におこなわれてしばらく事業を行なってから設立を行なうという場合があるので注意が必要です。
違いが生まれる例
創業と設立の年月日に違いが生まれる具体例などを以下で紹介していきます。
副業していて後から会社設立した場合
まずは副業をしていて後から会社を設立した場合です。
この場合、まず副業としてなにかしらの事業を継続して行ない始めた時期が「創業」のタイミングとなります。
その後組織や機関を定めて、会社として法人化した日が設立になるので、創業と設立の年月日に違いが生まれるということになるのです。
個人事業主で開業していたが後に法人化した場合
個人事業主として開業していたが、後に法人化した場合なども代表的な違いが生まれる例です。
なにかしらのお店などを開業ししばらく事業を行なった後に、組織や機関を定めて法人化するというケースも違いが生まれる場合としてよくあります。
実際の企業の例
創業や設立年月日に違いが生まれる例を上記で紹介してきましたが、実際の起業の例を見てみましょう。
会社名 | 創業 | 設立 | なぜ違うのか? |
株式会社虎屋 | 室町後期に京都で創業(1500年前後) | 1947年に会社設立 | 実際に事業は室町から行なわれていたが、会社として登記を行なったのは1947年のため |
株式会社大戸屋ホールディングス | 1958年 | 1983年 | 1958年に大戸屋食堂として創業、その後会社として登記を行なったのが1983年 |
本田技研工業(HONDA) | 1946年 | 1948年 | 本田総一郎が本田技術研究所として創業、その後株式会社として1948年に設立 |
上記で紹介した企業はほんの一例になります。
その企業ももともとなにかしらの事業を個人で行なっており、規模が大きくなるにつれて会社として組織や機関を定めることで設立を行なうといった流れが比較的多いようです。
会社を設立する日付はどうやって決まる?
会社を設立する日付はどのように決めるのでしょうか。
会社の設立は通常株式会社の場合であれば、定款作成を行い、公証人による認証を受けて、法務局に登記申請をするという流れになります。
登記の申請が問題なく認められれば、登記申請を実際に行なった日が会社を設立した日になるでしょう。
そのため会社を設立する日付というのはある程度自由に決めることが可能です。
もっとも以下の日にちは法務局がお休みなのでその日にち以外の設立日を選ぶ必要があります。
- 土日祝日
- 大晦日
- お正月の三が日
会社設立するタイミングはどうやって決める?
会社を設立するタイミングはどのよう決めればいいのでしょうか。
事業を行なっており、設立のタイミングというのは決めるのはなかな難しいでしょう。
そこで会社を設立するタイミングについて以下で解説していきます。
個人事業主が会社設立するならどのタイミングがいいのか?
個人事業主が会社を設立タイミングをどのように決めるかについては、以下のようなポイントを考慮するといいでしょう。
- 事業資金は個人でまかなうことができるか
- 経営は個人のノウハウ、現存知識でできるのか
- 将来的に事業拡大を考えているか
- 事業内容が特別な認可必要でなく個人事業主でもできるか
個人事業主が会社を設立しようと考えている場合、まずは事業資金を賄う必要があります。
事業資金がなければ会社を設立しても意味がないので、金融機関からの借り入れや投資家からの資本が集められるか検討しましょう。
事業を経営するとなると、異なる知識が必要になる場面が多くなります。
自身が個人で行なっている事業で他の知識や経験を必要となり始めたら、会社設立をする良いタイミングです。
会社設立を自分足りない側面を従業員や共同経営者に補ってもらうことができます。人材採用ができるのです。
個人事業主で将来的に事業拡大を狙っている方は、会社設立を行ったほうがいいでしょう。
事業拡大を行なうには会社という形で行うほうが有利な制度が整えられており、人の手なども必要となります。
また個人事業でおこなうことができない許認可が必要な事業を行なう場合も会社設立を行なう必要があるでしょう。
このように様々な側面で会社設立が必要となる場面がありますが、自身が設立を行なう際にはこういったポイントを考慮して慎重に行なうことをおすすめします。
まとめ
今回は創業と設立やその他類似している言葉の違いと意味を中心に、会社を実際に設立したほうがいいタイミングまで解説してきました。
実際に会社を設立する、起業するといった際にはこういった細かい知識も必要になってきます。
そのため創業と設立の違いがあいまいで分からないといったことが無いように、入念な準備と必要な知識を用意して、起業や会社設立を進めていきましょう。