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フランチャイズ融資とは?~基本事項や注意点から利用可能な融資まで銀行員が解説

フランチャイズ融資とは?~基本事項や注意点から利用可能な融資まで銀行員が解説

フランチャイズとフランチャイズ融資について

まずフランチャイズと、フランチャイズ融資について解説します。

フランチャイズとは?

フランチャイズとは、一方が商号を使用する権利や開発した商品の権利、そして営業のノウハウなど(これらを「フランチャイズパッケージ」と言います)を提供し、もう一方他方が、これに対する対価(ロイヤルティー)を支払う契約形態です。

提供する側を「フランチャイザー」(略して「ザー」)提供を受けて営業する側を「フランチャイジー」(略して「ジー」)となります。

またフランチャイズを展開する事業者を「フランチャイズチェーン(Franchise Chain)」とよび、英略である「FC」という呼び名が知られています。

代表格はコンビニエンスストア、ラーメン店や弁当店、ファストフードから、不動産販売、自動車車検まで幅広い業種に渡っています。

フランチャイズの現状

フランチャイズ全体の動向は、コロナ禍と不況の影響で苦しい状況が続いています。

《全体動向》

① 日本国内のフランチャイズチェーン数は、1,308 チェーンで、昨年より 16 チェーン減(△1.2%)となった。

② 国内の総店舗数(直営店と加盟店の合計)は 25 万 4,017 店舗で、昨年より 8,852 店舗減(△3.4%)となり、昨年度に続き減少となった。

③ 売上高は 25 兆 4,204 億円で、昨年より 1 兆 2,276 億円減(△4.6%)と、2009 年度以来の減少となった。

一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会/フランチャイズチェーン統計調査/2020年度

フランチャイズ融資とは?

フランチャイズ融資という、独立した融資はありません。

とはいえ、フランチャイズの特色、注意点に即した融資が存在しますので、以下詳しく説明していきます。

フランチャイズ融資3つのポイント

フランチャイズ融資のポイントを以下の通り3つ説明します

 <フランチャイズ融資のポイント>

  1. フランチャイズ融資が必要になるのはいつ?
  2. フランチャイズ融資で最低限必要な金額は?
  3. フランチャイズ融資は事業計画が最重要

ポイント1.フランチャイズ融資が必要になるのはいつ?

フランチャイズ融資が必要なのは、基本的に開業のときだけです。

サラリーマンが脱サラして開業したり、他の業種から転身したりとフランチャイズへ乗り出す動機はさまざまですが、資金が必要なのは共通して開業のときに限られます。

もちろん事業をスタートしてからも資金が必要になることはあります。

しかしながら、たとえば飲食店やコンビニエンスストアなどの場合、仕入資金はフランチャイザーとの資金のやりとりで行われます。

したがって仕入などの運転資金は必要ないというのが、銀行など金融機関での共通認識だからです。

店舗の改装や2号店の開店などは純粋な設備資金として、特にフランチャイズ融資とは言えません。

また、売上げ不振で赤字補填の融資を申し込んだとしても、こちらもフランチャイズ融資の範疇には含まれないのです。

ポイント2.フランチャイズ融資で最低限必要な金額は?

フランチャイズ融資で最低限必要な金額も、業種によりさまざまで、300万円程度から1,000万円を超える場合もあります。

必要な資金としては、以下のような内訳になります。

<フランチャイズ融資の資金使途>

  1. ・加盟金:フランチャイズを契約する際に、フランチャイズパッケージ(前出)の対価として支払うものです。Franchiseパッケージの具体例はノウハウの開示、開店前の研修・指導、開店前・開店時の指導員の派遣などがあります。
  2. ・保証金:フランチャイズの契約期間中に、フランチャイズ本部との資金のやり取りなどを補償するために差入れるものです。
  3. ・ロイヤルティ:加盟店が継続的に受けるノウハウ、システム、商標などの使用料などの対価として支払うものです。ロイヤルティーの計算方法は以下のようなものがあります。

 ①売上金に対し一定の比率(売上×〇%)
 ②売上総利益(粗利)に対し一定の比率(売上総利益×〇%)
 ③契約で定めた一定の固定水準(例:毎月30万円)
 ④規模(座席数や店舗敷地坪数)に対し一定の比率(例:一1坪あたり〇円)

Cタイプの特徴(土地・建物をお持ちでない方)

加盟金(成約預託金)※消費税込260万円

(内訳)
・研修費 55万円(消費税額等5万円を含む)
・開業準備手数料 55万円(消費税額等5万円を含む)
・開業時出資金 150万円※1
※1 開業時出資金は消費税がかかりません。
※別途引っ越し代、生活費の予備として150万円程度の資金をご用意ください。

本部へお支払い頂くのは成約預託金(加盟金)のみとなります。

<株式会社セブンーイレブンジャパン/オーナー募集/Cタイプの加盟条件・契約タイプ・加盟資金について>

ポイント3.フランチャイズ融資は事業計画が最重要

創業融資では事業計画が重要で、事業を開始する動機から、経営が軌道に乗るまでの事業経営と資金計画をしっかりと描いたものが必要になります。

これはフランチャイズ融資も同じ、というよりフランチャイズでは事業計画の重要性が他の業種より高く、それはフランチャイズに2つの事業計画が存在するからです。

2つの事業計画とは

  1. フランチャイザー本部が作った事業計画
  2. 自分で作った事業計画

という2種類です。

フランチャイザーは、開業にあたり店舗の立地から客足予想まで、数値を用いて精緻な事業計画を作ってくれます。

しかしながら、あくまでこれは過去のデータに基づく予想であり、どちらかと言えば平均値、場合によっては期待値も盛り込んだポジティブ(悪く言えば「バラ色」)なものになりがちです。

したがって、銀行など融資をする側では、フランチャイザー本部の事業計画はあくまで参考程度であり、経営者自身の作った事業計画を見て融資を判断するからです。

ですから事業計画は自分で作り、フランチャイザー本部作成の計画よりネガティブ(保守的)な数値で作り、その水準でも返済が可能だと結論づけられる必要があります。

事業計画を作成するのがむずかしい場合は、認定支援機関や税理士などプロの力を借りるのもいいでしょう。

フランチャイズで利用できる融資3選

フランチャイズで利用できる主な3つを紹介します。

 <フランチャイズで利用できる3つの融資>

  1. 日本政策金融公庫
  2. 信用保証協会の制度融資
  3. 銀行プロパー融資

フランチャイズで利用できる融資1.日本政策金融公庫

公的融資である日本政策金融公庫の中でも「食品貸付」はフランチャイズ融資に対応しています。


◆食品貸付

日本政策金融公庫 国民生活事業では、「食品貸付」などのご融資を通じて、店舗の新築・増改築、機械設備の導入、フランチャイズへの加盟などを行うみなさまのお手伝いをさせていただいております。
くわしくは、支店の窓口までお問い合わせください。

◆ 食品貸付の概要
ご利用いただける方 次のいずれかの業種の事業を営む方
◆ 食料品小売業
○青果 ○魚介類 ○米穀 ○酒類 ○乳類 ○茶
○パン・菓子 ○料理品
◆ 食品製造小売業
◆ 総合食料品小売業(スーパー、コンビニエンスストアなど)
◆ 花き小売業
◆ 資金のお使いみち
「ご利用いただける方」に該当する方が必要とする設備資金

≪主なお使いみち≫
店舗、事務所、倉庫、従業員宿舎の新・増改築
冷凍(蔵)設備、調理・加工設備などの取得
土地及び無形固定資産(敷金、権利金、保証金など)の取得
創業または創業後の事業に必要な設備の取得

「ご利用いただける方」に該当する方が、他の食料品等小売業者から営業を譲り受けるために必要な設備資金

融資限度額 7,200万円
ご返済期間 20年以内<うち据置期間2年以内>
利率(年) [基準利率]、[特別利率A]、[特別利率B]、[特別利率C]
担保・保証人 お客さまのご希望を伺いながらご相談させていただきます。

※お使いみち、ご返済期間、担保の有無などによって異なる利率が適用されます。
※事業協同組合等のご融資額は1億1,000万円以内となります。
※創業後7年以内で、技術・ノウハウ等に新規性がみられる方のうち、一定の要件を満たす方は挑戦支援資本強化特例制度(資本性ローン)もご利用いただけます。
※審査の結果、お客さまのご希望に沿えないことがございます。

<日本政策金融公庫/融資制度一覧から探す/食品貸付> 
日本政策金融公庫/新企業育成貸付/女性、若者/シニア起業家支援資金

フランチャイズで利用できる融資2.信用保証協会の制度融資

各都道府県の信用保証協会が融資の保証をする「信用保証協会保証対融資(マル保融資)」では、特にフランチャイズに限定した融資はなく個別に対応しています。

しかし中には新規開業資金としてフランチャイズへの加盟を盛り込んでいる制度融資などがありますので、利用を検討すると良いでしょう。

例)起業家育成資金・独立開業貸付(信用保証協会保証付融資・埼玉県中小企業制度融資)

  1. 融資対象者:うちフランチャイズ (一社)日本フランチャイズチェーン協会の正会員であるフランチャイザーと契約していること
  2. 自己資金:開業前の場合、融資額の4分の1以上の自己資金を有していること
  3. 融資額:設備資金3,000万円 運転資金1,500万円
  4. 返済期間:設備資金・1年超10年以内 運転資金・1年超7年以内(据置期間あり)
  5. 金利:0.8~1.0%の固定金利 *別途融資額に応じた保証料が必要

<参考>埼玉県/埼玉県制度融資/起業家育成資金 独立開業貸付

フランチャイズで利用できる融資3.銀行プロパー融資

銀行プロパー融資もフランチャイズ限定の融資を取り扱っているところは少数ながらあります。

以前は筆者の勤務する銀行でも、あるコンビニエンスストアFCと提携した融資などがありました。(現在は取り扱っていません)

  1. ●京銀フランチャイズ応援ローン<千客万来>
    ●ご融資金額 最高5,000万円
  2. ●ご融資期間 (運転資金)最長5年 (設備資金)最長15年
  3. フランチャイジー(加盟店)としてフランチャイズチェーンを経営されている方のためのローンです。
  4. 京都銀行/ 法人・個人事業主のお客さま/ ローン商品

まとめ

フランチャイズ融資について解説してきましたが、注意していただきたい点を最後に繰り返しお伝えします。

銀行などの金融機関では、ともすればフランチャイズ開業への融資には二の足を踏むこともあります。

これは、事業のモデルや契約形態などが固定化し、一般的な業種の事業資金と同様に審査をすることが難しいからです。

その中でも事業計画については上述の通り、フランチャイザー本部の計画と融資審査で考える数値には大きな隔たりもあることが多いので、特に事業計画は自分でしっかり作る必要があります。

まちがっても、フランチャイザー本部の計画を真似て(そのまま持ち込むのは更に論外)楽観的すぎる計画だと、審査の大きなハードルになるかも知れません。

ぜひ、この点は注意してください。