「起業したい!」
女性がそう決心してから、やらなければいけないことはたくさんあります。
そして創業を考えた女性がぶつかる、最大のハードルがお金です。
「起業したい!けれど、今はお金がない」
「起業するお金は、どこでどうやって借りるの?」
今回は、女性が起業融資を受けるためにクリアすべきステップを、銀行員が解説します。
直感的で創造的、そして感性を大事にする女性に向けて、わかりやすく説明しますので、起業、起業融資を考えている女性は、ぜひ参考にしてください。
Contents
ステップ1. 起業までのスケジュールを決める
最初のステップとして、起業する日までのスケジュールを決めます。
といっても、いきなり緻密な計画を立てるのではなく、最低限スタート位置を定めるのです。
起業する日を決める
まずは、起業する日を決めましょう。
とは言っても、まだこの時点ではとりあえず、仮の予定で構いません。
それでも具体的な起業日を決めると、
「起業日までになにをすべきか?」
「次はなにをしなくてはいけないか?」
と、具体的にイメージできるようになります。
ちなみに起業する日は、自分なりに自由に決められます。
たとえば自分の誕生日や、何かの記念日でも構いません。
また暦や占星術から、縁起がいい日を選ぶのもいいでしょう。
ただしここで大事なのは「どうしてその日に決めたのか?」という理由です。
つまり、その日が自分(自社)にとって意味のある日だとアピールすることで「起業する日についてまで、真剣に考えている」と融資審査でプラスに作用するかもしれません。
ちなみに銀行員の私が起業融資の相談を受けるとき、起業する日を決めていない人が、実は意外と多いのです。
これは、いろいろと準備ができて起業するのであって、最初から日程だけ決めても意味がないと、いう理由です。
それもある意味では理解できますが、銀行員の目から見るとゴールも定めずにとりあえず走りだしているので、息切れしないか心配に感じることがあります。
ゴールを決めればペース配分もできる
起業する日が決まると、その後のペース配分も考えやすくなります。
起業というゴールは決まっているので「どのタイミングで、何をすべきか」というペース配分もできるようになるのです。
ただし、ここで注意すべきなのは無理をしないという点です。
起業日を決めたとはいえ、なにがなんでもその日に起業しなくても構いません。
計画はあくまで計画であって、いつでも変更していいのです。
無理なペース配分をしていたら、結局は自分で自分を苦しめることになります。
事業計画
金融機関が起業融資を審査するときに重要視するのが「事業計画」です。
これは銀行員として私の経験ですが、事業計画がしっかりしていれば、たとえば自己資金が多少不足していても、あるいは知識や経験が充分とは言えなくても、起業融資を実現できた例はいくつもあります。
税理士などに依頼すれば事業計画書の作成をサポートしてくれますし、公的な起業支援もありますので、役所や商工会などに相談するのもいいでしょう。
ただしこうした他者の支援を受けるときでも、事業計画書を丸投げしてはいけません。
他人に計画をすべて作らせた、とマイナス評価される可能性もあるからです。
ステップ2. 起業までのお金を考える
起業に向けてスタートしたら、当然ですが資金が必要になります。
何をするにもお金で、資金がなければ起業できませんが、この資金を準備する方法が起業融資を受けられるか?の成否に大きく影響してきます。
自己資金を準備する
理想的なのは、必要な資金をすべて自己資金で準備することですが、それができる人は多くありません。
そこで、現実には日本政策金融公庫や、銀行、信用金庫などの金融機関から起業融資を受けるのが一般的です。
起業融資では、自己資金の有無を問われます。
融資を審査する銀行員の立場から申し上げると、自己資金ゼロで起業融資を受けるのは無理だと考えます。
「お金がないから起業融資を借りる」のではなく、「自己資金だけでは不足する金額を起業融資で資金用達する」という考えでないと、基本的に起業融資はむずかしいでしょう。
そして自己資金が多ければ、当然ながら審査の心象はよくなり、逆に少なければ不安視される可能性があります。
また自己資金とひとことで言いますが、そこには自分の生活費も含まれます。
仮に起業融資を受けられたとしても、経営が安定するまでいろいろお金は必要です。
一般には起業するための資金とは別に、1年分の生活費はプールできているのが理想です。
クレジットカードやローンカードは事前に作っておく
会社員から独立して起業する形式が一般的ですが、クレジットカードやローンカードは在職中に作っておきましょう。
起業するということは、当然ですが勤続年数や年収などが空白、つまりリセットされてしまいます。
そうなってからクレジットカードやカードローンを申し込んでも、審査を通過するのはまず無理です。
ですから、万一の不足に備え、会社員時代にカードローンやクレジットカードはある程度作っておいたほうが無難です。
ただし、ここでも注意点があります。
まず、クレジットカードやカードローンの利用は慎重に考えなければいけません。
起業融資の審査では、キャッシングやカードローンの利用残高があればマイナス要素となってしまいます。
致命的とまではいかないまでも、審査には大きなハードルとなってしまいますので、たとえば「事業に必要で、やむを得ず借りた」
と説明できるように、利用明細と支払の請求書などを保管しておくべきでしょう。
次に、やむを得ず利用したとはいえカードローンやキャッシングの返済が延滞していた場合は審査落ちになりますので、やはり利用は慎重にする必要があります。
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ステップ3.起業するための自助努力
起業を決意したなら、自助努力が重要になります。
経営者として備えるべき知識やスキルなど起業までの「自分磨き」が必要です。
経営知識は最低限でも、レベルアップが必要
起業しても、すべての人がうまくいくわけではありません。
一説に3割程度は1年以内で廃業し、また3年以内で5割は廃業するとされています。
統計による正式なデータではないにせよ、起業してから数年間のうちに廃業する人が多いのは事実です。
一つの要因として、経営知識が足りず、まちがった方向に舵を切ってしまい廃業するというパターンがあげられます。
起業するには、最低限の経営知識が必要です。
もちろん、いきなり経営知識を完璧に習得するのは無理ですし、実際に経営者となってから経験することが経営知識になります。
これはロールプレイングゲームで、主人公が初期武装で出発し、経験を積む中でレベルアップすることに似ています。
「経験値」が重要
起業融資の審査では、その業界における経営者の経験が重視されます。
これは、まったく経験のない業種で起業した場合は事業が失敗する確率が高い、と金融機関は考えているからです。
やはり自分が経験をかさねてきた業界でスキルや経営知識、そして人脈を作ったうえで起業するのが理想的なパターンです。
<例>
- ◆申込者は〇〇大学卒業後、IT大手のA社にシステムエンジニアとして入社
- ◆その後社内で大型プロジェクトのリーダーを任され成功、その後も大プロジェクトをいくつも成功に導く
- ◆申込者の能力を高く評価してB社からヘッドハンティングにより転職、さらに大きな仕事を手がけるようになる
- ◆A社、B社での経験から自分で起業したいと決意し、起業融資の申し込みに至る
- ◆申込者の経歴と実績を総合的に判断すると、起業の成功が見込まれる
これは、実際に起業融資審査で私が稟議文書に記載している内容ですが、このように「経験値」が重要視されるのです。
生きた人脈
起業を成功するためは人脈、それも「生きた人脈」が欠かせません。
ビジネスも時代とともに変化していますが、人脈の重要さは普遍的なものです。
ですから生きた人脈、たとえば
- ◆顧客になってくれそうな人
- ◆他の顧客を紹介してくれそうな人
- ◆信頼できる同業の先輩
- ◆将来ビジネスパートナーになりそうな人
といったように自分にとって意味のある人脈を作っておけば、必要なときにその人脈が生きてきます。
そのためには、意識して交流していくことが必要です。
たとえば今はまだ会社員として勤務中でも、いろいろな人と交流はできます。
しかし、ただ漫然とながしていたなら、それは「名刺コレクター」でしかありません。
起業しようと考えているなら、将来を見据えて関係性をつないでおく必要があります。
まとめ
女性の社会進出が進んだ現在では
「女性だから〇〇」
「女性ならではの▲▲」
といった想定自体が意味を失いつつあり、そうした点ではこの記事もむずかしい立場ですが、それでも女性だからできること、女性だから乗り越えなければならない障壁などが残っているのも事実です。
- ☆ステップ1. 起業までのスケジュールを決める
- ☆ステップ2. 起業までのお金を考える
- ☆ステップ3.起業するための自助努力
この記事で述べた内容が、起業を志している女性の参考になれば幸いです。