資金調達の融資支援というのは、銀行などの金融機関から融資を受けるとき、専門家である税理士などに申し込みのサポートや資料、提出書類を準備する手助けをしてもらうサービスのことです。
税理士の融資支援では費用について、多くの場合成功報酬の形式になっています。
税理士による融資支援の成功報酬は、ケースによりお得になりますが、その相場や注意することもいくつかあります。
そこで今回は、こうした融資支援における成功報酬とその相場について、融資を取り扱う銀行員の視点で解説していきます。
Contents
融資支援と成功報酬 1.融資支援とは?
成功報酬を詳しく説明する前に、まず銀行融資の支援など基本的事項について触れることにします。
融資支援とは?
冒頭のとおり、資金調達の融資支援とは、銀行などの金融機関から融資を受けるとき、専門家である税理士などに、申し込みのサポートや資料、提出書類を準備する手助けをしてもらうサービスのことです。
特徴をまとめると以下のとおりになります。
<融資支援とは?>
- 金融機関や日本政策金融公庫などの融資申し込みから融資を受けるまでのサポート
- 税理士だけでなく、ほかの士業や専門業者もサービスを取り扱っている
- 費用は成功報酬の形式が多い(融資の成功報酬については後半で詳しく説明)
なお融資支援は税理士だけの専門業務ではないので、他の業者(司法書士、行政書士などの士業やコンサルティング会社など)でも、同様のサービスを取り扱っています。
しかしながら、融資支援は税理士が取り扱うものが代表的ですので、この記事では税理士が融資の支援をする場合を例に解説しています。
では次に、融資支援の具体例を3つ紹介します。
融資支援3つの具体例~なにをどこまでサポートしてくれるか?
ひとくちに融資支援と言っても、そのサービスは多岐にわたります。
そこで、なかでも代表的な3つの例を紹介します。
<融資支援3つの具体例>
- 融資の選定と種類の準備
- 申し込み面談時のサポート
- プロが支援するという「信頼感」「安心感」
融資支援3つの具体例1.融資の選定と書類の準備
事業資金の融資にはいろいろな種類があります。
自社が必要としている資金調達に最も適した融資は何か?
これは一般の人にはなかなかわかりにくいところです。
しかし税理士は専門家として知識豊富であり、また定期的に金融機関と交流もあるため、常に最新の情報を保有しています。
こうした専門家のサポートがあれば、数多くの融資商品から最適なものをチョイスしてもらえるのです。
さらに、金融機関との交流を通じて人的パイプを持っている税理士なら、融資の実現性が高い金融機関に紹介してもらえます。(人的パイプについては後半でも触れます)
また、融資商品に詳しく専門知識も有している税理士なら、チョイスした融資に必要な資料を教えてくれますし、資料作成の支援も見込めますので、税理士に融資支援を依頼すれば最初のステップからワンストップで完結するというわけです。
融資支援3つの具体例 2.申し込み面談時のサポート
金融機関に融資を申し込むと、審査担当者と面談することになります。
この面談ではさまざまな質問があり、その質問に対してうまく答えることができないと、その後の審査がスムーズに進まなくなりますし、審査で否決される場合もあります。
面談はそれくらい重要なステップですが、税理士によっては面談のサポートも可能です。
想定される質問とその模範的な回答、そしてお仕着せではに自分の言葉と聞こえる海洋方法などをレクチャーしてもらえますし、模擬面談で練習もできます。
また、必要に応じて金融機関の面談に同席もしてもらえるので心強い限りです。
融資支援3つの具体例 3.プロが支援するという「信頼感」「安心感」
融資の審査では、金融機関の求めに対し的確に回答しなければいけませんし、資料も金融機関に認められる水準のレベルで作る必要があります。
金融機関と人的パイプのある税理士なら、担当者のことも良く知っているので、こうした銀行好みの文書も上手に作ることができます。
そもそも銀行員は、専門家の作った資料には一目置きますので、自分で作った資料とは受け止め方が段違いで、これがプロが支援する「信頼感」といえます。
また税理士は人的パイプがある金融機関へ優先的に紹介しまが、これは決して不正や癒着ではありません。
金融機関も良質な新規取引先は欲しいので、付き合いのある税理士などには、常に優良顧客の紹介を依頼しているのです。
金融機関と人的パイプのある税理士であれば、銀行の求める顧客層もわきまえているので、(酷な表現ですが)「いい加減な客を紹介すれば、税理士として自分の立場が危うくなるのだから、今度のお客も問題はないだろう」という論法です。
これは実際にそのとおりで、いわば「持ちつ持たれつ」「winーwinの関係」なので、税理士が紹介している客なら問題ないだろうと、銀行員の私も考えています。
融資支援と成功報酬 2.成功報酬と料金の相場
成功報酬とは、仕事が成功した場合にのみ支払われる報酬のことです。
目的が達成されなければ、支払は発生しないのが原則ですので、請け負った側(ここでは税理士)は成功しなければ「タダ働き」になると言う意味です。
ちなみに成功報酬の対義語は「成果報酬」で、こちらは「目的を達成するための成果、プロセス(作業工程のこと、融資支援では申し込みや各種サポートが該当)に対して報酬をもらうこと」です。
成功報酬は目的が達成した場合の対価として報酬を支払い、成果報酬は目的を達成するための成果(プロセス)に対して報酬を支払うといった違いがあります。
では、本当にタダ働きなのでしょうか?本当に成功しなければ報酬を支払わくても良いのでしょうか?
この項では成功報酬について解説し、さらに報酬の相場についても触れていきます。
融資の成功報酬とは?
「成功報酬とは、仕事が成功した場合にのみ支払われる報酬のこと」(前述)
融資の成功報酬は、融資が実現しお金を借りることができたら支払うのが原則です。
あらかじめ契約時に、融資を受けることができた場合に、融資を受けてから〇日後までに所定の報酬を支払うと契約するのが一般的です。です。
この所定の報酬が成功報酬のことですが、成功報酬にもいくつかのパターンがあります。
成功報酬・ケース1.「着手金あり、なし」の違い
融資支援では、まず着手金のあるなしという違いがあります。
着手金とは、融資支援を開始することに対して最初にお金を支払うもので、通常は成功しても失敗しても返還されません。
「着手金〇万円、成功報酬は別途」といった契約形態で、これは過払い金請求などで良くあるものです。
成功報酬・ケース2.「顧問契約あり、なし」の違い
税理士は事業者と税務における顧問契約を結ぶことで定期的な報酬を得ます。
これはいわば税理士の本業であり、融資支援はこの本業を勝ち取るためのサービスと位置づけている税理士もいます。
「完全成功報酬制、着手金なし!」
税理士がこういって宣伝している場合は顧問契約が必須ではないか?確認が必要です。
成功報酬・ケース3.その他の契約が必要場合も
これは上記ケース2に通じるものですが、顧問契約以外でもまったく別の契約や商品購入などが代償になる場合もありますので、注意が必要です。
税理士以外の専門業者(コンサルタント業者)などのサイトに目立ちますが
「健全成功報酬、失敗した場合はいっさい支払不要です!」
こういった記載を見受けますが、ではこうした業者はいったいどこで儲けを得ようとしているのか疑問を感じます。
「自信があるからこその完全成果報酬」
「顧問契約の縛りなし!」
「万が一、融資が下りなかった場合は弊事務所への支払等は一切ございません。」
これはある税理士法人サイトの記述ですが、顧問契約は必須でなく、かつ完全成果報酬とあります。(赤文字部は筆者 注意喚起例なので引用せず)
そうですね、成功ではなく成果つまりプロセスに対しては料金が発生するというわけです。
このように、表現に注意しないと思わぬ費用が必要になりますので、ご自身でしっかり確認してください。
融資の成功報酬~2つの料金体系と実際の料金相場
ここからは、融資の成功報酬が具体的にどういった料金体系で、またその料金相場はいくらくらいなのか?について解説していきます。
融資の成功報酬相場を見ていく前に、ここまで説明してきた内容を整理しますので、参考にしながら読み進めてください。
<融資の成功報酬について整理>
- 融資が成功した場合に払うのが成功報酬、プロセスに支払うのは成果報酬
- 着手金のある、なしの違いがある
- 顧問契約のある、なしの違いがある
- 完全成功報酬制! 失敗したら支払は不要! といった記載には注意が必要
また、成功報酬は原則として5%以上受け取ってはいけないという決まりもありますので、このポイントも覚えておいてください。
融資成功報酬の料金体系1.従量制~融資額の〇%
融資が成功した場合、その融資額に応じて報酬が変わるのが従量制で、融資の成功報酬では主流となっています。
報酬は融資額の〇%といった決まり方なので、融資額が100万円と1,000万円と10倍違えば、融資の成功報酬も10倍違うことになります。
また着手金のあるなし、顧問契約のあるなしでも料金(相場)は変わってきます。
前述の通り、着手金は支払ったら返還されないのでいわば固定した収益です。
また顧問契約があれば、長期的な報酬も見込めます。着手金も顧問契約もなければ、税理士からすれば報酬がもらえないリスクは高まるわけで、成功報酬の相場(料率)は高くなっています。
ここでは参考までに、いくつかの税理士事務所サイトから料金体系を紹介します。
(事例のみで引用せず)
【A税理士】
成功報酬は融資実行額 1,000万円以上の場合手数料 2%、 1,000万円未満 は 22万円(税込)
着手金、顧問契約の記述なし
【B税理士】
顧問契約の有無で、成功報酬と着手金が変わる
また最低報酬額も設定されており、こちらも顧問契約次第で料金に差がある
<一例>
顧問契約なし・資料を事務所が作成する場合の成功報酬は5%(最低報酬は15万円)かつ着手金が別途10万円必要
【C税理士】
成功報酬は融資額の3%(最低報酬は10万円)
着手金、顧問契約の記述なし
本来なら表形式でわかりやすくするところですが、あえてこのように記載したのには理由があります。
一読して感じられたかも知れませんが、税理士により料金体系や表示方法がまちまちで、非常にわかりにくくなっているのが実態なのです。
また報酬は5%以上という原則は融資を媒介、あっせんする場合のきまりであり、例のなかには5%以上と思われる内容もあります。
しかし税理士が仕事の一環として融資の支援をしているのでこの5%制限には抵触しないという解釈のようで、この点からもグレーな部分があり、引用せず例示にとどめました。
筆者が調べた限りですが、成功報酬は着手金と合わせて融資額の5%以内が相場のようです。
融資成功報酬の料金体系2.定額制~基本料金とオプション料金
成功報酬は基本的に同じですが、料金体系をさらに細かく区分している場合もあります。
【D税理士】
<基本料金>
着手金:3~5万円
成功報酬:融資額の2~5%、
<オプション料金>
事業計画書など資料の作成:3~5万円
資金調達の個別相談:1万円/1時間~
細かく料金が表示されているので良心的にも見えますが、反面3~5万円など料金に幅があるので明朗とまでは言い切れません。
融資成功報酬の料金体系3.顧問契約~顧問契約に含まれる場合
融資支援だけで報酬はもらわずに、顧問契約の一環とする形態です。
当然ながら顧問契約が必須になります。
【E税理士】
顧問契約した顧客のみ融資支援サービスあり
着手金:不要
成功報酬:融資額の3%(最低報酬は10万円)
*顧問料:年間56万円(月額顧問料3万円+決算書作成料等 売上1億円・法人の場合)
【E税理士】
顧問契約した顧客のみ融資支援サービスあり
着手金:不要
成功報酬:融資額の1.5%(最低報酬の記載なし)
*月額顧問料27,500円(最多価格帯と記載あり)
まとめ~融資支援の成功報酬は、相場だけでなくメリット、デメリットも考える
ここまで融資支援の成功報酬とその相場について解説してきましたが、税理士による融資支援の成功報酬は、ケースによりお得にもなりますが、その相場や注意することもいくつかある点をわかっていただけたのではないかと考えています。
銀行員としてお伝えしたい結論は、
融資支援の成功報酬は相場だけにとらわれず、長く付き合える税理士を選択すべき
というものです。
「税理士がついている」ということが金融機関にとってアピール効果大であり、融資支援だけで終わらせるのではなく、融資支援をきっかけとして信頼できるパートナーになり得る税理士を探すべきです。
たとえばお金さえ払ってくれればどんな客でもいいといった税理士なら、その後のサポートやアドバイスは望めないでしょう。
そういった意味ではやはり「完全成果報酬」などと記述する税理士とは付き合うべきではないと考えます。
たとえば個人事業主でこれから創業を考えている、あるいは会社員から独立して起業しようと考えている人なら、『税理士法人経営サポートプラスアルファ』をおすすめします。
「会社設立の代行費用0円」と記述していても、顧問契約をして顧客の成長を後押しするためだと無料である理由がしっかり説明されていますので、安心できます。
また、
<お支払いいただく顧問料(費用)は、お客様の不断の努力による事業活動で生み出された大切なお金そのものです。
だとすると、お客様が潤わない限り、私たちが潤うことはありません。
ですから私たちはお客様の「真のパートナー」になることを決断しました。
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このように高邁で熱い気持ちの税理士なら銀行員も自信を持ってオススメできます。