監査法人から税理士法人への転職!転職理由や業務内容の違いを解説

2021年01月5日

 公認会計士の資格を取得した人の多くが、まずは監査法人に入職し経験を積みます。

しかし、しばらくして転職を考え始める人もいるのではないでしょうか。

転職の理由は、人間関係やワークライフバランスの問題、キャリアの幅を広げたいなど様々ですが、公認会計士としてしっかりキャリアを積んでいれば、会計系コンサルティングファームや事業会社など幅広い選択肢があります。

その中に、実は税理士法人に転職するという選択肢もあるのです。

そこで、この記事では監査法人から税理士法人への転職について紹介します。

監査法人から税理士法人に転職する理由と傾向

 
監査法人にしばらく勤めていると、ルーティンワークになりがちだと感じることもあるでしょう。

そのため、公認会計士の転職は、スキルアップしたいという前向きな理由が多いようです。

  

将来的な独立を考えている

将来的に独立を視野に入れている人であれば、独立後をイメージして監査以外の経験を身に付けるために転職を考えるという場合も多いようです。

特に会計業界で独立するには税務の知識は必須なので、税理士法人への転職はその後の独立に生かせる経験となるでしょう。

このようなケースで税理士法人に転職する場合、税務を行うだけの税理士事務所ではなく、コンサルティングにも力を入れている税理士事務所へ転職する傾向にあります。

  

幅広い知識を身につけたい

上の理由とも重なる部分がありますが、監査だけでなく幅広い知識を身に付け、今後のキャリアの幅を広げたいというモチベーションで転職する場合もあります。

税理士法人であれば、税務申告から相談業務まで、幅広い業務に携わることができるので、スキルの幅を広げることができるでしょう。

  

クライアントと関わりのある仕事がしたい

監査の仕事は「法の番人」と言われるように、第三者として公正な立場から行うことが重要であるため、クライアントとの距離感を保つ必要があります。

また、特に大手の監査法人であれば、案件が大きくなり仕事が細分化されるため、自分の業務が全体にとってどのような意味合いがあるのかわかりにくいということもあります。

そのため、会計知識を生かしてクライアントに寄り添った仕事がしたい、クライアントの役に立つことでやりがいを感じたいなどといった理由から税理士法人への転職を考える人も多いようです。

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会計士・税理士の業務内容と独占業務の違い

このように税理士法人は監査法人からの転職に適した職の一つです。

では、会計士と税理士の仕事にはどのような違いがあるのでしょうか。

  
会計士も税理士も国家資格ですが、両者にはそれぞれ独占業務があります。

大きなカテゴリー分けすると、会計士は監査に関する業務を担い、税理士は税に関する業務を専門としており、それぞれを細かく見ていくと以下のようになります。

  
  

会計士の独占業務

監査証明業務

監査業務は会計士の最も重要な業務であり、公認会計士法によって会計士の独占業務であることが定められています。

監査業務とは、上場企業など監査の義務がある企業の財務諸表が公正であるか、第三者の立場から証明する業務です。

財務書類作成や相談業務

このように会計士は財務諸表など関連の書類をきちんと確認することが業務の一環であるため、企業内の決算書などの財務書類作成に関する相談なども業務として行うことができます。

  

税理士の独占業務

税務代理

税務代理は、企業や個人など納税者の代わりに確定申告を行う業務です。

また、税務調査への対応を代理で行うこともあります。

税務書類代行

申告書などの税務書類を代理で作成し、提出することも税理士の業務の一つです。

また、そのための日々の会計書類の記帳など、企業の経理部門が行うような業務を代行することも可能です。

税務相談

経費の計算や収支の会計上の処理といった税務上の問題についての相談も税理士の業務になります。

  

クライアントの違い

会計士のクライアントは大企業が多いです。

これは一定以上の規模の企業にのみ監査が義務付けられているからです。

そのため、一つの案件は大きくなり、チームで仕事に当たることになります。

一方税理士は納税を行う全ての個人や団体がクライアントとなり得ます。

ただし、全体的な割合としては中小企業が多い傾向にあります。

   

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会計士の税理士登録について

先に説明したように、会計士と税理士の仕事は異なりますが、公認会計士の資格を持っていれば税理士登録をすることが可能です。

ここではその手続きについて見ていきます。

  

登録の流れ

税理士の登録には約3ヶ月かかります。

まず書類が月末締め切りで、その翌月に審査・面接が行われ、さらにその翌月に税理士登録が完了します。

また、準備する書類も多いため、余裕を持って書類集めにも2〜3週間見ておくと安心です。

申請書類に関してはダウンロードできるものもありますが、税理士会に直接もらいにいくほうが確実に書類が集められ、手引き書などももらえるのでおすすめです。

  

必要なもの

税理士登録に必要な費用は約18万円、その後税理士資格を維持するための維持費は年間10〜15万円と言われています。

その他に申請のための書類を準備する必要があります。

以下がその代表的なものです。

その他にも必要に応じて提出する書類があるので、必ず税理士会などで確認しましょう。

税理士登録申請書

正本1通、副本4通の計5通必要。

登録免許税領収書

登録免許税6万円の納付領収書。

銀行や郵便局の窓口のみ対応。

顔写真

税理士証票に使われるもの。

タテ2.8センチ、ヨコ2.4センチで裏面に撮影日と氏名を書く。

日本税理士会連合会差出のハガキ

申請書受け取りの際に同封されているもの。

履歴書

氏名、住所、学歴、職歴、資格などを書いたもの。

戸籍謄本

原本で3ヶ月以内取得のもの。

世帯全員の住民票の写し

原本で3ヶ月以内取得のもの。

マイナンバーの記載はなし。

自宅住所地等に関する確認について

賃貸契約書など。

税理士となる資格を証する書面

公認会計士の場合は「登録証明書」の原本を提出。

直近2年分の住民税課税証明書

原本。

確定申告をしている場合は、確定申告書のコピー。

身分証明書

区役所などで発行される。

原本で3ヶ月以内取得のもの。

登記されていないことの証明書

法務局で発行される。

原本で3ヶ月以内取得のもの。

日本税理士会連合会会長宛の誓約書

税理士登録できない状態ではないことを誓約する書面。

念書

登録した後6ヶ月以内に申請情報を変更しないという同意書。

事務所付近の略図

事務所の場所の地図。

手書きまたは印刷した地図を貼り付け。

登録手数料

5万円を申請時に現金で渡す。

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税理士法人入社後のキャリアプラン

 
税理士法人に入社した後も多様なキャリアの選択肢があります。

その後のキャリアプランを見据えて税理士事務所を選ぶと良いでしょう。

  

会計事務所を開業

上述したように、独立志向のある人にとって、税理士法人はうってつけの転職先です。

会計業界で独立するためには税務の知識が必要になりますが、税理士事務所へ転職すれば働きながら知識を蓄えることができます。

  

コンサルティングファームに転職

公認会計士の資格をもち、税理士としての勤務経験もあれば、コンサルティングファームへの転職も可能です。

中でも会計系のコンサルティングファームであれば、これまでのキャリアを生かしつつ、会計系コンサルタントとしての専門性を高めることもできます。

一方で、クライアントのスケジュールに合わせて仕事をすることになるので、ワークライフバランスを重視する人にはあまり向いていないと言えるでしょう。

  

ベンチャー企業のCFO

CFO(Chief Financial Officer)は、日本語で「最高財務責任者」を指し、日本ではまだあまり馴染みがありませんが、欧米ではCEO(最高経営責任者)に次ぐポジションと言われています。

その名の通り、会社の財務に関する戦略に責任を持つ、会社の財務のトップポジションです。

社内の人物が就任することもありますが、経験豊富な公認会計士を招くという場合も少なくありません。

監査法人や税理士法人での経験は、CFOを目指すには有利な武器となるでしょう。

中でもベンチャー企業であれば、経営者との距離がより近いため、短期間でも大きな仕事を任されるので、より深く経営に携わることができるというメリットもあります。

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この記事では監査法人から税理士への転職について紹介しました。

将来独立を考えている、幅広い知識を身に付けたい、クライアントと関わりのある仕事をしたいなど、監査法人から転職する理由は様々ですが、公認会計士の資格を持っていれば、手続きをすると税理士としても登録できるので、税理士法人も公認会計士にとって有利な転職先になります。

公認会計士と税理士にはそれぞれ独占業務があり、税理士法人で働くと会計業界での独立に必要な税務関係の知識を身に着けることができます。

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