【税理士】試験科目の免除制度|科目や免除対象の大学院とは?
2020年11月18日
税理士は、基本的には難関の試験5科目をパスしないとなれない超難関国家資格です。
学生や社会人など、多くの人が税理士を目指して受験しています。
なかには、どれか一つの科目に合格しても、他の科目に受からず、なかなか税理士資格がとれない方もいることでしょう。
特に、仕事をしている忙しい社会人にとって、働きながら5科目も試験をパスするのは非常に難しいです。
しかし、必ずしも5科目をパスしないと税理士になれないわけではありません。
大学院に通うことで、一部の科目の受験を免除してもらえることがあるのです。
今回は、税理士を目指す社会人の方向けに、大学院の科目免除制度について紹介します。
Contents
大学院の科目免除ってどんな制度?
そもそも、大学院の科目免除とはどんな制度なんでしょうか。
通常の税理士試験は?
通常の税理士試験は、会計学に属する科目である簿記論、財務諸表論、の2科目に加え、所得税法、法人税法、相続税法、消費税法または酒税法、国税徴収法、住民税または事業税、固定資産税などの税法に属する科目から3科目を選択した合計5科目に合格しなければなりません。
各科目の科目合格率は平均して14,15パーセントとなっており、一科目一科目が非常に難しい試験であることが分かります。
税理士になるためには、10人に一人受かるか受からないかの試験を5科目合格しなければならないのです。
大学院に通うことで試験科目が免除される
一方で、大学院に通い、必要な科目を履修して単位を取得すれば、税理士資格に必要な5科目のうち、会計学に属する科目であれば1科目、税法に属する科目からであれば2科目受験を免除してもらうことができます。
免除を認めてもらうためには、国税審議会へ科目免除の申請を行う必要があります。
また、申請時点で税理士試験に1科目以上合格していることが条件です。
逆に言えば、税理士試験にすでに1科目合格している人が、大学院に進学して単位を習得するだけで、一気に残り2科目まで追い上げることができるということになります。
どんな人に向いている制度なの?
税理士の科目免除制度は、もちろん全ての人に門戸が開かれた制度ではあるものの、特に以下のような人にお勧めです。
働きながらの資格取得を考えている人
「一旦就職したものの、もともとの目標だった税理士を目指したい」「現状の職場の労働環境が悪く、資格をとって転職したい」など、転職を目標に働きながらの資格取得を考えている人には、大学院を利用した科目免除制度はオススメです。
税理士の科目免除が適用される大学院には、夜間のコースがあるところも多く、働きながらでもしっかりと仕事と勉強を両立できる環境が整っています。
また、大学院に進学するためには学費を支払う必要がありますが、学生よりも社会人の方が金銭的な余裕があるため、大学院を目指しやすいです。
知識を体系的に理解したい人
大学院の授業は、試験のための勉強とは異なり、法律の歴史や解釈など、体系的な知識を身につけることができます。
このため、「税理士という資格をために会計や税法の勉強をするんだ」と割り切って考えている人には、大学院への進学はあまりオススメできないかもしれません。
一方で、「税理士という資格を得るための勉強ではあるものの、しっかりと背景知識を含めて体系的に理解したい」と考えている人に関しては、大学院の科目免除制度を利用して税理士になるのに向いていると言えるでしょう。
科目免除制度を利用するメリットとは?
ここからは、科目免除制度を利用するメリット・デメリットを紹介します。
まずはメリットからです。
科目免除制度を利用するメリットとしては、以下のようなものがあります。
時間をかけずに税理士試験に臨める
大学院の科目免除制度を利用する一番のメリットは、なんといっても時間をかけずに税理士試験に臨めることです。
科目免除制度を利用すれば、会計科目であれば1科目、税法科目であれば2科目の免除を受けることができるため、一気に合格に近づくことができます。
試験一発勝負であれば問題との相性やその日のコンディションなど、不確定な要素に左右されて何回も試験に落ちてしまう可能性がありますが、大学院であれば、試験は当然あるとはいえ、日々の授業で学んだことをしっかりと復習したり、しっかりと授業に出席したりしていれば、単位を取得できる可能性は高いです。
このため、試験を2科目一気にパスできて時間をかけずに税理士試験に臨めるというのは、科目免除制度の非常に大きなメリットです。
大学院でコンスタントに勉強できる
税理士試験は当然ながら数週間の勉強で合格できるものではなく、計画をたててコンスタントに勉強し続けなければなりません。
しかし、コンスタントに勉強を続ける、というのは意外に難易度が高いものです。
特に、日々の業務に忙殺されがちな社会人の方の中には、「また明日やろうかな」とずるずる勉強を先延ばしにしてしまいがちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、大学院に通えば、決まったスケジュールで授業を受け、コンスタントに試験や論文の準備をしなければなりません。
つまり、大学院が半ば強制的に勉強のロードマップを敷いてくれるのです。
また、「学費を支払っている以上勉強しなければ」という心理も働くかもしれません。
つまり、大学院に通うことで、コンスタントに勉強する習慣がつきやすくなり、科目免除制度で免除にならない科目の勉強計画まで整う可能性があるのです。
実践的なスキルを身に着ける時間が作れる
時間をかけずに税理士試験に臨めるということは、その分税理士になってからの実践的なスキルを身につける時間が作れるということです。
すでに合格した科目に関連するスキルを必要とするアルバイト・副業をするなど勉強に止まらず、勉強して得た知識を実際にアウトプットする場を作りやすくなります。
こうした実践経験は、実際に税理士として税理士法人に就職する際にも有利に働きます。
科目免除制度を利用する際の注意点
一方で、科目免除制度を利用する場合には、以下のような点に注意が必要です。
転職や就職に不利になる可能性がある
1科目1科目がボリュームの非常に多い税理士試験において、最大で2科目も免除される制度は、税理士という資格をとる上では非常に大きなメリットです。
しかし、だからこそ実際に税理士として就職する際に、「税理士としてのしっかりとした基礎知識があるのか」という点を疑われてしまう可能性があります。
つまり、税理士として就職、または転職する際に、不利になってしまう恐れがあるのです。
実際には大学院でしっかりと勉強していても、科目免除の制度を活用して税理士になった、という理由だけで税理士としての知識が浅い、と判断されかねません。
こうした事態を防ぐためには、科目免除によって余裕が生まれた時間を、しっかりと実践的なスキルを身につける時間に当て、「税理士試験で学んだことを生かしてすでに何かしらのアウトプットを出した」ことをアピールすることが大切です。
大学院の学費がかかる
大学院に通う場合、当然ながら学費がかかります。
学費の目安は120万〜200万円くらいが相場です。
かなり高額であるため、学生や若い社会人にとっては非常に痛い出費です。
税理士試験の科目免除のための大学院の選び方
科目免除のために大学院進学を考えている場合、以下のような観点で選ぶのがオススメです。
学費の安さ
なんといっても、学費の安さは非常に重要です。
いくら科目免除があるとはいえ、「学費を払ったらまともな生活ができない…」という状態になってしまっては、勉強する精神的余裕が生まれません。
自身の経済力と相談しつつ、なるべく学費の安い大学院を探しましょう。
出席や論文の甘さ
大学院で学ぶメリットとしては、会計や税法について体系的に学べる、という点がありますが、進学の目的はあくまでも科目免除です。
大学院の単位取得要件が厳しすぎたり、必要以上に出席を強いられたりすれば、他の科目の勉強に支障が出かねません。
出席や単位に関して融通の効きやすい大学院を選ぶのもポイントです。
大学までの交通の便
税理士試験に合格するためには、少しでも無駄な時間を削減して、効率的に勉強をすることが大事です。
このため、あまりにも遠く、交通の便が悪い大学院に進学することは、大きな時間的ロスになってしまうのでオススメしません。
まとめ
いかがでしたか。
5科目の合格が必要な難関試験である税理士試験ですが、大学院をうまく活用することで、効率よく合格できる可能性があります。
忙しく勉強する暇があまりない社会人にもオススメの方法です。
このように、税理士に限らず、社会人であっても効率よくスキル・知識を身につけることで、キャリアアップできる可能性は大いに残されています。
皆さんも、ぜひキャリアアップ転職を考えてみてはいかがでしょうか。
例えば、経営サポートプラスアルファであれば、会計業界初でベストベンチャーに選ばれた成長性のある会社です。若く挑戦的な人も多いので、学びになることは間違えありません。
ぜひ転職やキャリアアップに関しては、まずご相談いただければ幸いです。