働きながら税理士の資格を取る効果的な勉強法とは?科目免除制度などを解説
2020年10月18日
5科目の試験科目をクリアする必要がある税理士資格は、非常に難易度の高い資格です。
このため、社会人として働きながら、毎年1〜2科目ずつの合格を目指す人も多いです。
しかし、働きながら税理士を目指す場合、非常に大変な上、一緒に勉強をする仲間もいないことからなかなか苦労してしまう人も多いです。
今回は、社会人として働きながら税理士合格を目指している人、これから税理士を目指そうと思っている人向けに、「働きながら税理士資格をとる」際のポイントについて紹介します。
働きながら税理士資格を取る人は多い
社会人として働きながら、税理士資格を目指す人は非常に多いです。
もちろん税理士資格が難しいため、合格するために長い期間がかかりやすい、という理由もありますが、やはり働きながら税理士を目指す人が多い一番の理由は、「税理士が転職先として人気だから」です。
転職先としての税理士の魅力
転職先としての税理士は、非常に魅力的なポイントが多いです。
収入が安定している
税理士の平均年収は、30代で、500万円程度、40代で700万〜800万円程度となっており、日本の平均年収と比べてかなり高いです。
また、30代、40代以降の税理士では独立・開業する人も多く、その場合年収がさらに跳ね上がります。
もちろん独立にはリスクも伴いますが、こうした可能性も開かれている、というのは非常に魅力的な点であると言えます。
雇用が安定している
この世に存在する全ての企業は、税務・財務などの会計処理をする必要があり、それらは全て税理士の顧客です。
このため、景気などに左右されることなく、非常に安定した職業であるといえます。
AIが税理士の仕事を奪う、というような話もありますが、AIが奪うのはあくまでも単純作業の部分です。
逆に、単純作業をAIに代替してもらうことによって、税理士本人はより戦略的な提案を考えることや、顧客とのコミュニケーションを構築することに時間を使うことができるようになります。
AIは税理士の仕事を奪う敵ではなく、税理士の仕事をよりクリエイティブにしてくれる味方なのです。
社会的地位が高い
税理士資格は難関国家資格であり、社会的信頼が非常に高いです。
このため、家族や友人などに誇れる転職先として、人気が高いです。
社会人の税理士試験の受験者数と合格率
次に、社会人の税理士試験の受験者数と合格率を見てみます。
社会人の税理士試験の受験者数
「社会人」「学生」で分けたデータは存在しませんが、年齢別の受験者数をみてみると、社会人の受験者数が概算できます。
毎年の税理士試験受験者数は約3万人ほどですが、そのうち25才以下の受験者は3,000〜4,000人です。
つまり、25才以上の受験者を社会人とすると、受験者の8割〜9割が社会人であると推定できます。
社会人として働きながら税理士試験を受けることは、非常に当たり前の選択肢なのです。
社会人の税理士試験の合格率
同じく、年齢別の税理士試験の合格率をみてみると、以下のようになります。
(令和元年)
▼年齢別合格率
25歳以下 | 32.70% |
26〜30歳 | 23.00% |
31〜35歳 | 19.70% |
36〜40歳 | 16.20% |
41歳以上 | 11.50% |
年齢が上がるにしたがって、合格率が下がっているのが分かります。
年齢が上がるほど社会人であれば勤めている会社での役割も増え、勉強との両立が難しくなっている場合や、年齢を重ねるにしたがって暗記が苦手になっている、などの理由があるかと考えられますが、それでも10パーセント以上の合格率は40歳以上でも維持しています。
社会人の税理士試験の勉強法とは?
社会人が税理士試験に合格するためには、仕事と勉強を両立するスケジュール管理と、それを実行する強い意志が大切です。
税理士試験の合格ライン
税理士試験の合格ラインは、勉強時間でいえば約4000時間、社会人として勉強をするのであれば5科目合格までの期間の目安は約6〜7年と言われています。
もちろん社会人として税務・経理に携わっていた人であればもう少し早く受かる可能性はあります。
逆に、社会人になってからまったく法律や会計に触れず、勉強の習慣もなかった、という人にとっては目安の勉強時間ではまるで足りない可能性もあります。
このように、合格までに長い道のりが必要となる税理士資格ですが、勉強方法としては、以下のようなものがあります。
夜間の資格学校に通う
社会人が税理士資格をとる場合、当然ながら日中に勉強をすることはできません。
このため、夜間の資格学校に通うのが一般的です。
もちろん業務終了後に行くことになるため、頭がすでに疲れている中、さらに難しい内容を頭に詰め込まなければならず、非常に大変です。
実際に、受講を始めてから数ヶ月後には、多くの生徒が辞めていることも多いです。
こうした厳しい環境の中で勉強を継続するためには、「税理士になる」という強い意志はもちろんのこと、「自分にあった資格学校を選ぶ」「会社や家から近いところに校舎がある資格学校を選ぶ」などの工夫も大切です。
大学院に通う
大学院に通い、特定の単位を履修すると、税理士試験の科目が最大2科目免除されます。
このため、社会人が税理士資格を取得する場合、大学院に通うというのは非常に人気のプランです。
2科目分も試験の重圧から逃れられるだけでなく、大学院で法律や会計の基礎を含めしっかりと学ぶことができます。
もちろん、社会人の場合は、夜間に通える大学院を選ぶことが大切です。
大学院に通う、というのは税理士を目指す社会人にとっては非常に人気の選択肢ですが、デメリットもあります。
一つは、学費がかかることです。
大学院の学費は往々にして予備校よりも高いことが多く、経済的な負担は大きいです。
さらに、「大学院に通った=試験をパスしていない」というイメージから、実際に税理士資格に合格した後の就職・転職において、不利に働いてしまう可能性もあります。
独学で勉強する
社会人が税理士資格をとるためには、夜間の資格学校や、大学院に通うのが一般的です。
資格学校や大学院の学費を払いたくない場合には独学で勉強することになりますが、膨大な試験範囲を独学で学ぶのは、かなり難易度が高いです。
独学で学ぶ際は、参考書選びやスケジュール管理を徹底することが大切です。
働きながら税理士を目指す際の注意点
働きながら税理士を目指す場合には、以下のような不安点もあります。
勉強時間の確保が難しい
大学院や夜間の資格学校など隙間時間をつかって勉強をするとはいえ、仕事が終わった後に安定した勉強時間を確保するのは非常に難しいです。
突然残業になってしまうこともあれば、上司との付き合いで飲みに行かなければならないこともあるかもしれません。
こうした突発的な予定が発生する社会人が、安定した勉強時間を確保して計画的に勉強を進めるのはかなりの強い意志が必要です。
モチベーションの管理が難しい
社会人は、安定した給料をもらって、仕事をしている状態です。
このため、そうした仕事の隙間をぬって税理士資格をとらなければならない絶対的な理由はありません。
現職に甘んじよう、と思ってしまう瞬間もあるかもしれません。
こうした弱さを克服し、税理士試験に合格するためには、「税理士試験に合格したあとのビジョン」「税理士試験に合格しなければならない理由」をあらかじめ自分の中で明確にしておき、モチベーションを保つことが大切です。
合格後の転職活動をする必要がある
税理士試験に合格したからといって、即転職が決まる、というわけではありません。
税理士はあくまで資格であり、合格後は転職活動をしなければなりません。
転職活動がうまくいかなければ、せっかく税理士資格をとったのにやりたい仕事ができなかったり、年収が上がらなかったりするリスクがあります。
まとめ
いかがでしたか。
上記のように、社会人として働きながら税理士を目指すのは非常に大変です。
しかし、社会人として働く中で税理士の知識が自然に身につく、となったらどうでしょうか。
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