税理士事務所を辞めたいと思ったら、まず確認するべきこと

2020年10月12日

税理士事務所は激務。

特に確定申告など、仕事が集中する時期は徹夜もあります。

規模の小さい事業所が多いので、人間関係で悩むことも。

つい「辞めたい」思うときもあるかもしれません。

しかし、長い仕事人生。

自分のキャリアを大切にするためも少し冷静になりましょう。

税理士事務所を辞める前に確認したいこと

給料は十分か?

税理士事務所によっては専門家の給与にもかかわらず年収200万円、月にすれば18万円というところも。

得意分野を持てば比較的高い給与もあり得ますが、賃金だけでは見えない条件もあります。

ワークライフバランスを考えれば、育児介護休暇は取りやすいのか?テレワークはOKか?などもポイント。

このコロナ禍、熱が出て家に待機した職員に「なんで休んだ!忙しいのに!事務所の評判も下がる!」と叱責する事務所よりも「コロナの疑いありで休んでくれてありがとう。君の意識の高さを尊敬するよ」という文化の事務所ならば最高ですね。

試験時間が十分にとれるか

未経験の人も採用することがある税理士事務所。

実務をこなしつつ、試験に励むのですから、勉強時間確保は必須です。

税理士試験と両立するためには残業が少なく落ち着いた業務量で働ける事務所の方が有利になります。

終業後に誰にも気がねなく資格スクールに通えたり、試験直前期に長期休暇をとれたりする事務所はありがたいですね。

パワハラが度を越えていないか

税理士事務所は従業員数名〜10名以内の「小規模な組織」が多い業界です。

小さな組織ではリーダーの人格がそのまま組織の体質に反映されがちです。

事務所の所長の考え方、やり方次第ではパワハラが横行する環境になってしまうこともあります。

しかし、業界全体としては、コツコツと真面目に仕事に取組む方が多いので、採用時に労働条件をしっかり確認するなど、お互いにトラブルにならないようにすることも大切です。

仕事を教えてくれるか

特に未経験で入社した場合、座学ではない、現場での経験を積めることは何事にも代えがたい財産です。

最初の半年ほどは右も左もわからないのは当然。

所長をはじめ、周囲の職員が快く仕事を教えてくれるか否か、はキャリア形成の上でも極めて重要です。

繁忙期が激務であるか

税理士業界は確定申告などの繁忙期はほぼ一緒で、繁忙期と閑散期の差が激しいケースがほとんどです。

具体的には、12月〜3月、そして5月は繁忙期になり、これ以外の時期はかなり暇なことも。

「忙しい事務所なのか、そうでない事務所なのか」については、繁忙期の業務量をベースに判断することがポイントです。

本当に自分のやりたいことが他にあるか

転職した後に具体的なプランがあることは大切です。

「税の知識とIT技術を融合させるプロジェクトを立ち上げたい。仲間もいる」「税理士としての専門知識をつかってボランティアをやってみたい。福祉にも興味がある」など。

仕事をこなしていく中で自分の世界が広がるのは自然の流れです。

次のステップが見えていれば、さらなる飛躍の機会となります。

今の職場で自分に変えられることはないか

人間関係が嫌、実力不足で評価が低い。

だからといって次の職場が心地よいのか、それは誰にもわかりません。

むしろ、ほかの会社に移る、という環境の変化だけでもストレスになることもあります。

会社に勤める限り、実務を覚えられ、名刺を使っていろいろな人に出会い、給与も出ます。

そんな環境を最大限いかすことを考えてもよいかもしれません。

税理士事務所から転職する場合のキャリアパスの例

事業会社へ行き経営コンサルタントへ

実務をこなしていく中で、経営コンサルタントへつながった例もあります。

ある税理士は、会社の受託した業務を担当する中で経理だけでなく、総合的な企画提案に興味がわきました。

そのタイミングで会社が業務縮小へ。

自分の役割や自身のスキルと給与が見合わないと感じ、話し合いの上、退社。

税務を活かした経営コンサルタントとして再就職しました。

やりたいことをやれる環境に

自分をいかせる環境へ移った税理士もいます。

税理士事務所に勤めるある男性の業務は記帳代行が多くルーティンワークの毎日。

ついに相続税法に合格し、資産税案件に携わりたい気持ちが強くなり、事業承継を得意分野にすることを決意しました。

多くの企業にアプローチし、資産税の強みを法人に活かせる会社に内定しました。

大手税理士補助、事務へ

大手の税理士事務所は、仕事を細分化していることもあります。

税理士の資格がなくても、ジョブシェアで一部の仕事を未経験者やパートタイムの人に任せていることも。

大手事務所の補助職を狙うこともありです。

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税理士事務所を退社する場合には、“円満退社”を選びます。

自然退職は事業所の就業規則(会社のルール)に則り、例えば「1箇月間、連絡が取れない場合は退職とする」など、ネガティブなイメージがつきまとう場合もあります。

この円満退職には4つのコツがあります。

①退職理由に注意

退職理由を「個人的な理由」と説明してしまった場合、その退職は自己都合退職になってしまいます。

「個人的な理由」であった場合でも会社に対して説明する場合「個人的な理由以外の理由」かつ「できるだけポジティブな退職理由」を伝えましょう。

例えば「税理士に加えて社会保険労務士の勉強をし、さらに専門性を高めようと決意しました。勉強時間の確保が今の状況では難しく、皆さまに迷惑をかけると思いますので、一度、チームを離れさせていただき、力をつけたときにはまたご一緒させてください」などとすれば、事務所と感情的にこじれることも少なくなるでしょう。

②転職先は明かさない

「よい条件の転職先がみつかった」と、転職をするために退職を申し出る場合でも、転職先は明かさないことです。

業界の中でつながっていることも多く「従業員を引き抜かれた」といったトラブルに発展しかねません。

また、顧問先を抱えている場合はなおのこと、クライアントを持っていかれた等と無用な誤解を生みます。

不用意な発言で円満退社の道が閉ざされることのないよう、転職先についての発言は控えましょう。

③有給消化

有給休暇については「取得の時期を話し合って合意する」ことがポイントです。

年次有給休暇は労働基準法39条の労働者の権利ですが、退職の際には多くの有給がたまっていることも多々あります。

辞める直前にまとめて長期の有給を申し出ると、事業主とトラブルになることもあります。

できるだけ早く会社に申し出て、仕事に支障のないよう、合意して有給を消化しましょう。

④時期を考える

退職に際して申し出の時期は就業規則では1か月前などになっていることが多くあります。

まずは会社のルールに則るのはもちろん、引継ぎがスムースにいくよう、会社と十分に話し合うことが重要です。

退職を申し出るタイミングを失し、会社とこじれて「退職させてくれない」などともめごとになれば、その後の転職にもマイナスに響きます。

次の職場での目標を決める

会社を移る、ということはその先にやりたいことがあるはずです。

大きな決断をもって変化を受け入れたのですから、さらに資格をとる、新たな人脈を開拓する、苦手と思って他分野に挑戦する、などの目標をできるだけ具体的に決めておきましょう。

まとめ

一つの会社を去ることは辛いこともありますが、同時に新たな扉を開けることでもあります。

人生のチャレンジは大胆に、そして慎重に進めたいですね。

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