こんな会計事務所は危険?転職を避けるべき求人の見方、失敗事例も
2020年10月12日
「会計事務所に就職したが、ブラック過ぎて後悔している」「以前勤めていた会計事務所の待遇が悪かったので別の事務所に転職したが、似たり寄ったりだった」このような、会計事務所への就職、転職に関する失敗談は決して珍しくありません。
中には「よく求人の条件を見て選んだのに失敗した」というケースもあります。
実は、転職・就職を避けるべき会計事務所を見抜くには、注目すべきポイントがあるのです。
今回は、転職を避けるべき会計事務所の求人の見分け方を詳しく紹介します。
会計事務所の求人を見る際の注目点
はじめに、会計事務所の求人を見る際、どこに注目すべきかを解説します。
求人にマイナスなことを書く事務所はありませんが、転職を避けるべき事務所は特徴があるのです。
繁忙期の忙しさ
会計事務所には年に何回か繁忙期があります。
繁忙期は忙しくて当たり前なのですが、以下にご紹介するような働き方が当たり前になっているような事務所は避けた方がいいでしょう。
長時間残業が長時間続く
繁忙期は残業が当たり前ですが、事務所に何日も泊まり込んだり、休日出勤が当たり前になっていたりする事務所は、仕事の量に対して職員の数が足りていない可能性があります。
このような事務所は、職員の教育なども満足に行えないかもしれません。
閑散期も忙しいかどうか
会計事務所は8月~11月が閑散期にあたります。
この時期は、有給休暇が取りやすかったり、勉強会などにも参加しやすかったりするでしょう。
しかし、この時期も残業が当たり前の事務所もあります。
このような事務所は、慢性人手不足であり、常にオーバーワークになる可能性もあるでしょう。
離職率を見る
会計事務所は転職者が多い職場でもあります。
離職率が20%以上の事務所もあるでしょう。
しかし、あまり離職率が多い職場は以下のような理由がある可能性もあります。
なお、離職率を後悔している会計事務所はほぼありませんが、平均勤続年数を出しているところはあるでしょう。
平均勤続年数が短ければ、離職率が高いということです。
30代、40代の職員がいない事務所は所長がワンマンの可能性がある
50代、60代の所長と20代の職員、アルバイトやパートだけという事務所は、所長にものを申せる職員がいない可能性があります。
所長がワンマンで周りにイエスマンしかいなくなったかもしれません。
そのような事務所は所長がパワハラ気質のこともあります。
所長が若くスタッフが少ない場合は一斉離職した可能性がある
所長が30代、40代とわかいのに事務所の歴史が長く、スタッフが少ない場合、親から子へと事務所が受け継がれ、古参の職員と新しい所長の間でぶつかり合いがあった可能性があります。
古参の社員と新しい所長を軽んじることもある一方、新しい所長が職員の意見を聞かずにワンマンぶりを発揮していることもあるでしょう。
そのような事務所は、職員がいつきにくく、事務所の雰囲気も落ち着かずに働きにくいかもしれません。
所長の人柄
事務所の雰囲気は、所長の人柄によって左右されると言ってもいいでしょう。
傍目からみるとワンマンに見えても、事務所の職員からは「決断力があって安心してついていける人」と思われているかもしれません。
反対に周囲からは「優しくて穏やかな人」という評価を受けていても、職員には横暴で威圧的なケースもあります。
所長の人柄を短時間で見抜くのは難しいですが事務所の職員の年齢、男女比などである程度推測することができます。
前述したように、職員が若手ばかりだと所長がイエスマンしか欲していない可能性があるでしょう。
また、女性スタッフばかりの事務所は男性職員を所長が育成できないせいかもしれません。
福利厚生や年収
会計事務所の9割が職員10名未満の小規模な事務所です。
大企業と同じような福利厚生はのぞめないところが多いでしょう。
しかし、以下にご紹介するような事務所は、正社員としてがんばるメリットが少ないかもしれません。
給与が平均に比べて極端に安い
会計事務所の給与は、資格の有無や会計事務所に勤めた経験などで変わってきます。
未経験、無資格の場合、平均は200万~280万円、3年以上の事務所勤務経験があり、日商簿記や税理士試験に3科目以上合格している場合は、260万~400万が平均年収です。
都市部かそれ以外の地域でも違いがありますが、平均より極端に安い給与しか出ない事務所は将来性がないと言えるでしょう。
労働保険にも入っていない
労働保険とは雇用保険と労災保険を併せた保険です。
従業員を1人でも雇っているのなら、加入が義務づけられています。
しかし、いいかげんな事務所の場合は労働保険にも未加入なところもあるかもしれません。
これは明らかな法律違反です。
社会保険に未加入という事務所はありますが、労働保険に関して質問をしてみて答えを濁された場合、その事務所は転職候補から外した方がいいでしょう。
残業代などが支払われない
社会保険や労働保険に加入していても、残業代や休日出勤の手当てがなく、すべてサービス残業扱いという事務所もあります。
このような事務所は、資金繰りに余裕がなく将来性もない可能性があるでしょう。
会計事務所のほとんどが零細企業
日本の会計事務所はほとんど職員が5~10名程度の小さい事務所です。
経験が少ない人ほど、大きな会計事務所に転職して手厚くい教育を受けたいと考えやすいでしょう。
しかし、大きな会計事務所は転職の競争もはげしいものです。
大きな会計事務所にこだわり過ぎても転職活動はうまくいきません。
小さくても優良な事務所を探す努力をすることも大切です。
会計事務所への転職で失敗、後悔している事例
この項では、会計事務所への転職での失敗例を具体的に解説します。
転職活動の参考にしてください。
零細事務所を選んでしまい、人と合わなかった
人数が10名未満の零細事務所は、良くも悪くも人間関係が密です。
事務所1つ1つに独自の雰囲気があり、それに合わないといくら給与がよく福利厚生が手厚くても働きにくいことでしょう。
特に、所長と経営方針が合わないと、早々に再転職を考えたくなるかもしれません。
このようなことを防ぐためには、面接での第一印象を重要視しましょう。
深く話し合わないと分からない人柄もありますが、「この人とは話しや考えが合わない」ということは、第一印象である程度推測ができます。
繁忙期に転職してしまい、仕事についていけなかった
前述したように、会計事務所は繁忙期と閑散期がはっきりと分かれています。
会計事務所に勤務経験があれば、繁忙期に転職しても問題ないかもしれません。
しかし、税理士試験に1~2科目合格し、全く別の職種から会計事務所に転職する場合は注意が必要です。
繁忙期の会計事務所は、所長からパートの事務員まで目の前の仕事で手一杯になってしまい、ほかの職員に仕事を教える余裕がありません。
最低限の説明をするのが精一杯で、後は自分で覚えてくれと放り出されることもあるでしょう。
それでついて行ける人もいますが、仕事がまったく分からずに、「使えない人」と思われてしまうと一気に仕事がしにくくなります。
会計事務所に転職したい場合は、可能なれば閑散期を選び、じっくりと教育してもらえるように自分で調節しましょう。
そうすれば、このような失敗は防ぐことができます。
昇格の基準がきっちり決まっていない事務所だった
会計事務所の昇格の基準は、長い間経営者(所長)の胸先三寸で決まっていました。
現在では、雇用契約書に昇給の条件が記されているところも増えています。
しかし、まだ経営者の裁量で昇格の基準が決まるところも珍しくありません。
特に経営者が50代以降の場合、「昇給の基準は自分で決めるもの」と考えている人もいるでしょう。
このようなところは、事務所の経営が順調ならば昇給も早いのですが、経営が苦しかったり、経営者との相性が悪かったりすると、いつまでも昇進しないままという事もあります。
雇用契約に昇格や昇給の条件がきっちりと記載されていれば、それを盾に交渉することもできるでしょう。
しかし、条件が曖昧なままだと、話し合いも難航します。
このような事務所で働き続けても将来性が感じられず、再転職を考えるようになるでしょう。
ブラックかどうかを見極める裏ワザはある?
この項では、転職を考えている会計事務所がブラックかどうか見分けるポイントを解説します。
転職サイトの口コミを確認する
転職サイトの口コミは匿名な分、事実が赤裸々に書かれていることが多いものです。
職場の生の声が聞こえるので大いに参考になるでしょう。
ただし、strong>会計事務所の口コミはそれほど多くありません。
前述したように会計事務所のほとんどが職員10名未満の小さい事務所なので、匿名とは言え誰が書いたか推測がつきやすいのです。
口コミがあれば幸運だと考え、よく確認しましょう。
求人広告での写真を参考にする
会計事務所の求人広告には、職員全員の写真が掲載されていることもあります。
そこから、職員の平均年齢、男女比、所長のおおよその年齢が分かるでしょう。
求人広告に都合の悪いことはかけませんが、写真は嘘をつきません。
前述したように、男女比が偏っている場合や、年齢の比率がいびつだった場合、クセが強い事務所の可能性があります。
結局は自分で足を運ぶことが大事
しかし、実際に自分の目で事務所を見て、人に接しないと分からないこともあります。
入りたいと思っている会計事務所が就職説明会を開いている場合は、ぜひ参加してみましょう。
そこで、職員同士の雰囲気や所長の仕事への考え方などがある程度分かります。
また、事務所に足を運んでみたら、オフィスの状態や雰囲気も分かるでしょう。
なんとなくギスギスしている事務所は、ブラックの可能性があります。
転職活動は慎重に行おう
今回は、転職してはいけない会計事務所の特徴などを紹介しました。
会計事務所は転職者が多い業界ですが、あまり頻繁に転職していると、条件のいいところへの転職は難しくなります。
転職に焦る気持ちは分かりますが、転職活動はじっくりと行いましょう。