今回は長期の契約を組む際に利用する”リース”に焦点を当てていきます。
事業を営んでいる方であれば、”リース”という言葉を一度は聞かれたことがあるのではないでしょうか。
このリース契約にはメリットやデメリットがそれぞれあります。
また、リース契約自体を把握できていないうちに契約を交わしてしまうのは非常に危険なことでもあり、後々のトラブルにも繋がりかねません。
今回はリース契約とは何かを踏まえた上で、リース契約を交わすメリットやデメリット、どのような商材でリース契約をできるのかについてご紹介していきます。
Contents
リースとは
そもそもリース契約とは、企業が設備投資などを行う際に物件を購入するのではなく、リース会社から長期間借りて利用する契約のことです。
レンタルとの違い
リース契約は世間的にレンタルと同じように認識されていることもありますが、実はレンタルとは明確に違う点がいくつかあるのです。
実際にどのような点で違いがあるのか、簡単にご紹介していきます。
◆リース物件の選定
不動産などの賃貸やレンタルでは、貸す側が元々保有している土地や建物、もしくは商品を取引の対象としています。
一方、リースの場合は物件や商品を借りて使用する人が選んだ物件を、リース会社がその物件のサプライヤーから取得して契約の対象とします。
◆解約ができない
リース契約では、リース物件の代金はリース開始時にリース会社からサプライヤーに全額が支払われます。
リース会社は、リースの期間を通じて、物件代金や取引の際にかかった費用をリース料で回収します。
そのため、リースの期間中にリース契約を解約をしようとすると、リース料金の残金や、それに相当する違約金を一括で支払わなければならない契約になっています。
リースの種類とは
リースの契約には大きく分けると「ファイナンスリース」と「オペレーティングリース」の2つがあり、それぞれ特徴が異なるのでご紹介していきます。
ファイナンスリース
ファイナンスリースとは、ユーザーが選んだ物件をリース会社が代わって購入し、貸与する取引です。
一般的に「リース」と呼ばれる契約は、ファイナンスリースであることが多いです。
また、ファイナンスリースの中でも更に2つに分けられ、「所有権移転ファイナンスリース」と「所有権移転外ファイナンスリース」の2つがあります。
「所有権移転ファイナンスリース」でリース契約を行うと、リース期間が満了した後にはその物件の所有権がユーザーに移ります。
それに対して、「所有権移転外ファイナンスリース」でリース契約を結ぶと、リース期間が満了しても物件の所有権はユーザーに移りません。
リース期間が満了した後も物件を引き続き使用するためには、再リース料や買取り費用を別に支払う必要があります。
ファイナンスリースでは基本的にリース期間中で途中解約することができないことや、物件の保守・修繕義務がユーザーにあるという点が特徴として挙げられます。
オペレーティングリース
オペレーティングリースとは、リース期間満了時点で価値( 残存価値)が見込まれる物件であれば、その物件代金からその価値を差し引いた部分をリース料として支払うスキームのことです。
オペレーティングリースの特徴としては、ファイナンスリースよりも短い期間のリース契約ができるという点です。
ファイナンスリースでは物件の法定耐用年数の60%から70%のリース期間を設定する必要があるのに対して、オペレーティングリースでは借り手に合わせてリースの期間を設定することができ、途中解約も可能なのです。
なお、オペレーティングリースの場合、リース期間満了後は物件の所有権はユーザーには移りません。
物件の保守・修繕義務はリース会社にあります。
リース料に関しては、物件価格の90%未満に設定しなければいけないので、物件価格が100万円だとしたら、リース料の総額は最高でも90万円となります。
リース契約のメリットとは
リース契約を結ぶ際のメリットはいくつもあります。
それでは、リース契約を結ぶ際のメリットについて代表的なものを挙げていきます。
常に最新の設備を使用することができる
リース契約の最大のメリットが、常に最新の設備や物件を利用できるという点です。
OA機器やIT機器などの設備は次々に新しい機種や製品が開発されているため、数年で古くなってしまいます。
しかしリース契約の場合、リース期間が終了すれば最新の設備や機種を導入ことができるのです。
少ない資金で設備を導入できる
一般的に企業が設備投資や新しい製品を導入する際には多額の費用を支払って導入することがほとんどですが、リース契約では毎月の支払いで費用を支払う契約となるため、多額の初期費用は必要ありません。
そのため、毎月のリース料として支払いをしながら、余った資金に関しては別の事業投資に回したり、その使い道の幅を広げることができるのです。
リース料を経費にできる
通常、設備や製品を導入した際には減価償却のみが損金となり、全額を経費として扱うことはできません。
しかし、リース契約で設備を導入することで、毎月のリース料を全額経費として扱うことができるのです。
また、リース契約では月々の料金が一定の金額であるため、毎月発生するランニングコストの管理がしやすくなるというメリットもあるのです。
リース契約のデメリットとは
さきほどリース契約のメリットとしていくつかご紹介しましたが、メリットがあればデメリットも当然ながら生じてしまいます。
そのため、次はメリットと比較しながらリース契約のデメリットについていくつかご紹介していきます。
所有権が無い
リース契約をする物件の所有権は基本的にリース会社が持っています。
リース期間中に物件や製品を使用する際には特にデメリットは生じませんが、リース期間が満了した後に再度物件を使用する場合は、再リースとして費用を支払わなければいけないのです。
途中での解約ができない
リース契約の最大のデメリットが、リース期間中の縛りです。
オペレーティングリースでは途中での解約が可能ですが、ファイナンスリースでは途中での解約ができません。
どうしてもリースの契約を途中で終わらせたいという時には、その時点で残っているリース料金の全額を一括で返済する必要があるのです。
支払い総額が高めになってしまう
ファイナンスリース契約を結ぶ際には、リース料金の内訳の中にリース会社の手数料や保険料、金利、固定資産税などが含まれているため、リース契約を組んだ際の総額は購入するよりも高めになってしまうのです。
リース契約ができるもの
リース契約の種類や、リース契約を組む際のメリット・デメリットについてご紹介してきましたが、実際にリースの契約を組める物件と組めない物件があります。
次は実際にリース契約を結ぶことができる物件はどのようなものがあるかについて、いくつかご紹介していきます。
情報関連機器
情報関連機器とは、主にパソコンやコピー機、複合機、ルーターなど通信関係の機器の物件を指します。
主にオフィスなどの事務所で使用するコピー機や複合機、ネットに繋ぐWi-Fiなどをリースで契約している企業が多くあります。
セキュリティ対策用の機器をリースで組んでいる企業もあります。
産業機械
産業機械とは主に製造業などの企業が利用する特殊な機器のことであり、製造業などが利用している機器は専用の大型機械となるため、購入となると基本的にかなりの高額になってしまいます。
そのため、多額の資金を確保することが難しいような企業であれば、リース契約で専用の特殊機器を導入することがあります。
輸送用機器
輸送用機器とは、主にトラックやフォークリフトのことを指します。
運送業のトラックや輸送業の軽トラックなどがであり、フォークリフトの場合は輸送業や輸送業の倉庫で使用する車が当てはまります。
運送業のトラックは高いものだと一千万以上かかるものがあるので、多くの企業が購入ではなく毎月のリース契約をしていることが多いのです。
店舗設備
飲食店の場合、業務用の冷蔵庫など厨房の設備をリース契約で使用することがあります。
特に開業したばかりのときは手元資金が潤沢ではないことが多いので、手元資金を残すために新品の厨房機器をリースで導入するケースはよく見受けられます。
ちなみに中古機器のリースもあるようですが、やはり故障しやすいなどといったデメリットもありますので注意してください。
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<最後に>リース契約を結ぶ時には注意が必要
リース契約の種類やメリット、デメリットなどについて紹介していきました。
デメリットの部分で記述しましたが、リース契約では基本的に途中で解約ができない契約がほとんどであるため、契約を結ぶ前にはしっかりとリースの契約を結ぶべきかどうかを確認する必要があります。
リース契約自体を把握していない状態で契約を結んでしまうと、リース会社や販売店とのトラブルになる可能性もあります。
最悪の場合、裁判沙汰になってしまうということもあります。
そのため、少しでも気になることや不安があるときには、焦って契約を結ばずに、しっかりと契約内容を把握したうえで進めるようにしてください。