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排煙ダクトの必要性
ダクトは室内の排気や換気を行い、きれいな空気に保つために欠かせません。
飲食店などを開業する際に必要なダクトは種類が以下のようにいくつかあります。
◆排気・換気ダクト:室内の排気・換気を行う
◆排煙ダクト:火災時、煙を建物の外に排出する
◆厨房排気ダクト:調理時の煙や油を建物の外に排出する
◆空調ダクト:室内を快適な温度に保つ機能があります。
そのなかでも排煙ダクトは、火災が発生した際に有害な煙を建物の外に排出する機能を持つため、人的被害を最小限に抑えるために非常に大切なダクトです。
厨房排気ダクトと排煙ダクトは一見同じ役割のようですが、厨房排気ダクトは焼肉店で肉を焼いた時や中華料理店で調理で発生する煙や臭いを外に排出する役割。
排煙ダクトは火災時の煙を排出する役割を担うため、別の用途です。
排煙設備の種類
排煙設備は自然排煙設備と機械排煙設備の2種類があります。
以下に解説します。
自然排煙設備
自然排煙設備は、煙の上昇する性質を利用し天井付近に設置された窓から煙を排出します。
防炎区画の床面積は最大で500㎡以下です。
動力が必要ないため、停電時でも排煙機能は維持されます。
ただ、屋外の風や温度差によって機能に差が出るため、安定性には欠けます。
また、煙の流れをコントロールするのが難しいため、高いビルでは採用されません。
機械排煙設備
機械排煙設備は機械的な動力を利用する設備です。
煙の流れや排煙風量などをコントロールできます。
排煙ダクトは機械排煙設備に必要で、ほかに排煙口・手動解放装置・排煙機などで構成されています。
ただ、停電になると稼働しなくなるため、もしもの時のために予備電源などの準備が必要です。
また、構造上工事のコストがかかります。
排煙ダクトなどの排煙設備は、建築基準法により対象となる建築物への設置が義務付けられています。
飲食店の場合、特殊建築物に分類されており、延べ面積が500㎡を超える建築物の場合は排煙設備を設置しなければなりません。
排煙ダクトは建築物の規模や用途によっても設置が必要か不要かが変わってきます。
排煙ダクトの設置方法の種類
ダクトの設置方法はいくつかあります。
設置方法により工事費が大きく変わるため、事前に確認しておきましょう。
壁面にダクトを通す方法
ダクトの設置方法のなかでも簡単な工事で、工事費も抑えられる方法です。
建物や周辺環境によっては設置できない場合があるため、事前に確認をしましょう。
天井に換気扇を設置する方法
天井に穴が開けられる場合に利用できる方法で、トイレや厨房でよく取り入れられています。
屋上までダクトを通す方法
5階以上の高いビルなどの室外機は、屋上に設置するのが基本です。
そのため、高い建物でダクトを設置する場合には屋上までダクトを伸ばす必要があります。
上記2つの方法と比べて工事が大掛かりになるため費用も高額です。
屋上までの階数が1階増えるごとに約20万円高くなることが一般的です。
足場を設置したり、外壁にダクトを補強するなどの作業が加わればその分費用が増額されます。
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ダクト工事をおさえるなら居抜き物件も検討
ダクト工事が必要かどうかは開業する物件によっても変わります。
新築のスケルトン物件を選んだ場合、ダクト工事のほか、壁紙や照明、インテリアなどの内装を全て手掛けることになるため、理想通りの店を開業できる一方で費用は高くなります。
少しでも費用を抑えたいと考えている場合は居抜き物件を選ぶのもひとつの方法です。
居抜き物件とは、前に開業していた店の設備を利用して開業できる物件です。
前の店が同業種の場合、利用できる設備が多く費用を大きく抑えられるのがメリット。
ただ、以前がカフェで、今回開業するのが煙や油が多く出る焼肉屋さんだった場合、ダクトのパワーが足りないと使い物にならず結局取り換えなければならないということもあります。
また、同業種だとしても設備が古すぎると不具合が出て、すぐにメンテナンスが必要になることも。
居抜き物件を選ぶ際には、故障がなく引き続き使える状態かどうかなど設備の状態を確認しておくと安心です。
また、建築基準法改正以前の建物場合は、排煙ダクトの基準が満たされていない可能性もあるため、確認が必要です。
業者選びのポイント
ダクト工事は建物の規模や状態、業態により適切な機材の種類なども異なります。
また、工事後に不具合が起きないようしっかりとした工事を行う必要があるため、後悔しないためにも適切な業者選びは必要です。
しかし、優良なダクト工事の業者を選ぶのは慣れていないと難しいと感じるでしょう。
そこで、ここでは排煙ダクトの工事業者を選ぶポイントをいくつか紹介します。
複数の業者に見積を依頼
排煙ダクトの業者は、開業する店の近くにもいくつかあるでしょう。
その中からなんとなく一社を選んですぐに工事を依頼するのは危険です。
一社に見積もりを出してもらうだけでは相場が分からず「こんなものか」と依頼してしまいがち。
後から高額だったと知っても手遅れです。
まずは何社かに見積もりをお願いしましょう。
いくつかの見積もりを比較することで相場がわかります。
また、同時に業者の対応も比較できるため、いざ依頼する際も安心です。
排煙ダクトの工事を失敗しないためにも、面倒がらずに数社からの見積もりを依頼することをおすすめします。
アフターフォローの充実度
排煙ダクトの工事業者を選ぶ際には、費用や工事の施工技術はもちろん大切です。
業者のなかには飲食店のダクト工事に不慣れな業者もいるでしょう。
工事を終えて何事もないことが一番ですが、不具合を起こす場合もあります。
業者によって保証期間やアフターサービスの充実度は異なります。
工事を終えてからどこまで保証してくれるのか、どのようなサービスがあるのかなどを業者を選ぶ段階からしっかりと確認しておくといざというときに慌てずにすみます。
まとめ
排煙ダクトは飲食店を開業する際には確認しておく必要があります。
建築基準法により排煙ダクトを設置しなければならない建築物の場合は排煙設備を整えなければなりません。
居抜き物件の場合、前の店が利用していた排煙ダクトが使える状態なら工事費を抑えられるでしょう。
開業するための物件を探す際は、排煙ダクトの工事が必要かどうかも確認しておくとのちのち費用が上乗せして驚くことも防げます。
ダクトの工事など開業にはさまざまな費用がかかります。
内装工事にまでまとまった費用が用意できないという人には手元に資金がなくても内装工事が可能な内装工事リースという選択も。
まずはお気軽にお問い合わせください。