店舗のトイレは1日に多くのお客様が利用するため清潔に保つことが大切です。
また女性はメイクやヘアを直すこともあるので、照明にこだわりがあったり、おしゃれな雰囲気や癒しの空間が感じられたりするとお店の印象もアップします。
店舗の外観や店内の内装と同じぐらいトイレはお店の集客にも影響する場所です。
ここでは、トイレの内装工事に必要な設備や費用、またトイレの内装工事で失敗しないための空間作りについて解説します。
失敗しない!トイレの内装工事のポイント
トイレの内装工事は、1度完成すると簡単に変更はできません。
また、お客様目線だけでなく、掃除のしやすさなど従業員目線でトイレの内装を考えることも必要です。
居心地のよいトイレ作り
店舗に行くと、ごくまれに男女同じトイレのところがありますが、知らない異性とトイレを共有することに抵抗を感じる人がほとんどです。
必ずトイレは男女別で設置してください。
また、狭すぎるトイレも居心地が悪いですよね。
ある程度の広さを確保しましょう。
壁紙や床は落ち着いた色味がおすすめです。
白は清潔感を感じる色ですが、汚れが目立ちやすいというデメリットもあります。
木目調でもダークブラウンなど濃いめの色や黒いタイルなどは店舗のトイレで人気がある素材です。
照明も明るすぎず、蛍光色よりは電球色の方が好まれます。
掃除のしやすさも大切
スタッフの掃除のしやすさもトイレの内装には欠かせないポイントです。
トイレ内に掃除道具を収納できるスペースを作る、汚れがつきにくいものや自動清浄機能があるトイレを使う、床は水洗いできるようにする、水垢がつきにくい鏡や洗面台を使うなど、トイレの設備にこだわると、トイレの掃除が楽になります。
幅広い世代が使いやすいトイレに
ある程度のターゲット層が店舗にはありますが、特に家族連れや幅広い世代をターゲットとした店舗なら、どの年齢層でも使いやすいトイレ作りが欠かせません。
そのため、トイレも赤ちゃん連れのママでも使いやすいよう、乳幼児用の椅子やおむつ替えのスペースを設置したり、ご年配の方にも使いやすいように便座の高さや手すりを設置したりなど配慮が必要です。
また、トイレ入った時に、水を流すボタンの位置や機能に戸惑った経験がある方もいると思います。
トイレのボタンや機能はわかりやすいものを選びましょう。
いい内装業者選びを
トイレの内装工事は、排水工事や電気工事をともなう場合があるので、店舗のトイレ内装工事の経験が豊富な業者に依頼することが大切です。
詳しくない業者に依頼してしまうと、完成後保健所の調査に通らなくてさらに改修しなければいけない部分が出て、開業が遅れてしまうなんてこともあり得ない話ではありません。
トイレの材質を何にするのかも重要なポイントなので、プロ目線でアドバイスをくれる信頼できる内装業者を選びましょう。
トイレに必要な設備について
次に、トイレの内装で必要な設備について詳しくみていきましょう。
トイレ本体
トイレの本体には、大きく分けて「組み合わせトイレ」、「一体型トイレ」、「タンクレストイレ」、「小便器」の4種類があります。
組み合わせトイレ
…組み合わせトイレは、タンク、便座と便器が別々になっていて組み合わせになっています。
そのため、便座だけやタンクだけなどパーツごとの交換が可能なトイレです。
組み合わせトイレは、3種類の中でも価格が1番安くもっとも普及しています。
便座だけの交換ができるので故障した時も費用が安く済むのもメリットです。
デメリットとしては、便座と便器の間が掃除しにくい、また水がタンクに貯まる時間を要するために、連続して使用すると水が貯まるまで待たなくてはいけない点です。
一体型トイレ
分離型に対して、一体型トイレはタンク、便座、便器が一体になっているトイレです。
すべてのパーツが一体化しているので、隙間などが少なく見た目がすっきりとしていて何よりも掃除がしやすいのが1番のメリットです。
ただ、パーツごとに交換ができないため、一部故障した場合でもトイレ全体を交換しなければいけなくなるのがデメリットです。
見た目がスタイリッシュなため、ここ数年一体型トイレを採用する店舗が増えています。
タンクレストイレ
ここ最近注目を集めているのが、タンクレストイレです。
タンクレストイレは、水を貯めるタンクがなく電気を使って水を流すトイレです。
タンクがないのですっきりとしていて広いスペースを確保することができます。
また、便座と便器が一体となっているため、掃除もしやすくタンクがないことで掃除する面積も少なくなるのでお手入れが簡単です。
また、タンクに水をためる場合、1回のトイレで約12リットルの水を使用しますが、タンクレストイレは電気で水を流すので1回3~4リットルほどで済みかなりの節水効果があります。
デメリットとしては、便座と便器が一体型なので、故障した場合一部を交換することができず、全て交換となり費用がかかります。
また、タンクレストイレは水道管から直接水をひく必要があるので、高層階など水圧が低くなる場所では設置できないこともあります。
小便器
広いトイレにできるなら、男性用トイレには小便器の設置をおすすめします。
小便器があればトイレの回転率をあげることができてお客様にストレスを感じさせるリスクを軽減できます。
手洗い場
飲食店では、必ず従業員用とお客様用の2つ手洗い場を設置しなければいけません。
そのため、お客様用のトイレには必ず手洗い場を設置しましょう。
また、手洗い場の大きさも各自治体によって決められていることがあるので注意してください。
固形石鹸は雑菌がつく可能性があるためポンプ式、またはセンサー式のハンドソープならびに消毒液も置く必要があります。
保健所の基準を満たさないと飲食店は営業許可をもらえません。
いい手洗い器を用意しても使えないこともあるので、必ず設置前に保健所に確認しましょう。
ハンドドライヤー
店舗のトイレにはハンドドライヤーとペーパータオルのどちらかがおいてあります。
どちらにするか悩んだ場合には、初費用はかかりますがランニングコストを考えるとジェットタオルの方がおすすめです。
ペーパータオルの場合、定期的に発注しなければいけない手間がかかったり、万が一在庫切れになるとお客様に迷惑がかかってしまいます。
またハンドドライヤーはゴミの削減にもつながります。
トイレの内装費用について
トイレの内装費用は、一般的にトイレ面積に比例して高くなっていきます。
また、天井や床材などはグレードによってかなり値段が変わってきます。
どんなクロスを使用するかは、しっかりと内装業者と話し合って選びましょう。
トイレの壁紙のおすすめ素材と平均費用
トイレの壁紙は、安い壁紙ほどはがれやすく劣化が早い傾向にあります。
また、多くの人が利用するため掃除のしやすさ、汚れの落ちやすさも重要です。
おすすめなのは、ダイノックシートやメラミンなどの塩化ビニール素材です。
塩化ビニール素材は水や汚れに強く、種類が豊富でお好みの雰囲気の壁紙を見つけることができます。
また、ここ最近は消臭効果や防カビ効果など機能がついた壁紙も人気です。
費用は高くなりますが、その分機能的でお手入れも楽になります。
壁紙の平均費用
トイレの壁紙は1帖ほどで20,000~50,000円ほどが平均的な金額です。
機能付きの壁紙になると、これに、5,000円前後追加されます。
トイレの床材のおすすめ素材と平均予算
床材は、水洗いができるタイプのものが店舗のトイレに適しています。
また、水やアンモニア、また洗剤などの薬品に強い床材がおすすめです。
水洗いできる床材は、モルタルや大理石、磁器タイルが代表的なものです。
モルタルや大理石は高級感が出るので、お客様の印象もアップします。
壁紙と違って床材は簡単に張り替えることができないため、予算と機能性をしっかり考えて充分に検討して決めてください。
トイレの床の平均費用
磁器タイルやモルタルは、1㎡3,000円~5,000円程度が平均的な価格です。
大理石になると15,000円~20,000円とぐっと高くなります。
トイレ本体の平均費用
上でも説明した通り、トイレには分離型トイレ、一体型トイレ、タンクレストイレの3種類あります。
店舗に置くなら、ウォシュレット機能はあった方がいいでしょう。
分離型の場合、一般的な機能を兼ね備えているもので、1台あたり平均10万円前後です。
一体型トイレは10万~20万円、タンクレスになると、20万~30万円と高額になります。
ただ、タンクレスは高い節水効果があるため、長く使えばその差額分の元は取れるでしょう。
ハンドドライヤーの平均費用
ハンドドライヤーには壁掛けタイプと据え置きタイプがあります。
どちらも非接触で衛生的、またペーパーの発注やゴミの削減もできるため、設置をおすすめします。
壁掛けタイプで安いものなら5万円以下でも見つかります。
据え置きタイプだと10万~20万円ぐらいが平均的な価格です。
トイレの工事費用
トイレの内装費用には、トイレ本体やハンドドライヤーの本体費用、壁紙や床材などの費用の他に工事費用がかかります。
内装業者によっては、すでに工事費込みの金額で提示しているところも多いですが、工事費用の平均は一般的に5万円~、場合によっては20万円以上かかることも。
トイレの面積が広かったり、別途電気工事や排水工事が必要になると高額になります。
トイレの処分費用
居抜き物件やリフォームの場合、前のトイレの処分費用がかかります。
1台につき5,000~1万円別途費用が必要です。
トイレの内装の工事費用はメリハリをつけてイメージアップにつながる空間作りを
トイレは思っている以上にお店のイメージアップにつながる重要な場所です。
初期費用を抑えるために低グレードのもので揃えてしまうと、汚れが目立ちやすくなったり、落ちにくかったりとお手入れも大変で、お客様にいい印象を与えづらくなってしまいます。
ただ、機能や見た目を追求しすぎると、トイレの内装費用がかさみ簡単に予算オーバーになってしまいます。
トイレの内装費用で1番大きな差が出るのは、やはりトイレ本体です。
分離型、一体型、タンクレス型、それぞれメリットデメリットがあるので、どの本体にするか充分に検討しましょう。
また様々なメーカーからトイレ本体は出ているので、内装業者に相談しながら予算内で居心地のいいトイレ作りを成功させましょう。