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飲食店営業許可証の名義変更はできる?
知人が営んでいたレストランやカフェなどの飲食店を譲り受けるといった場合、名義変更はできるのでしょうか。
飲食店を譲り受けた場合、経営者が変わる場合の名義変更届などはありません。
では、名義を変更したい場合はどうすればよいのでしょう。
知人など、他人から飲食店を譲り受けた場合は、飲食店営業許可などを取り直す必要があります。
飲食店営業許可は店の設備に対する条件をクリアするだけでなく、経営者の条件もクリアする必要があるため、名義だけを変更するだけでなく、新規で営業許可を取り直さなければいけません。
まずは前の経営者名義で申請されている飲食店営業許可について廃業の届け出を申請。
その後、新しい経営者名義で飲食店営業許可を新規で取ります。
廃業届は営業を停止した日から10日以内に提出する義務があるため、期日が過ぎないようにしましょう。
飲食店営業許可の申請手順
飲食店営業許可は申請してすぐもらえるものではなく、以下のような流れを踏まなければもらえません。
- 保健所へ事前相談
- 書類提出
- 施設の検査
- 許可証交付
- 営業開始
以下で詳しく紹介します。
保健所へ事前相談
書類を提出する前にまずは保健所へ事前相談に行きましょう。
現在の内装デザインと雰囲気を変えてから飲食店を始めようと思っているなら、図面を持参して確認してもらうと安心です。
問題があるまま工事を進め、工事完了後に改善を求められても簡単には対応できません。
修正しなければオープンできない事態に陥ると、開店時期も大幅に遅れてしまいます。
そのため、書類の作成前には保健所で相談するのが大切です。
事前相談ではすぐ予約できてスムーズに進めればよいですが、担当者とのスケジュールが合わないとなかなか先に進めないことも考えられるため、なるべく早めに予約するのがおすすめです。
相談して問題なければ内装工事を進めましょう。
必要書類の提出
事前相談を終えたら、工事の着工に合わせて以下の必要書類を準備し提出します。
・営業許可申請書
・営業設備の大要
・店の平面図
・所在地の図面
また、必要に応じて以下の届出が必要な場合もあります。
・水質検査成績書
・深夜酒類提供飲食店営業の届出
・風俗営業許可など
いくつかの書類が必要になるので、漏れのないよう用意しましょう。
以下に必要な書類を詳しく解説します。
営業許可申請書
保健所で用意されている用紙に必要事項を記入します。
用紙はホームページからもダウンロード可能です。
難しいことではありませんが、住所や店舗名を間違えないよう正しく記入しましょう。
営業設備の大要
店の面積・内壁の材質など設備や構造の詳細を記入する書類です。
この用紙も営業許可申請書と同様に保健所の窓口やホームページからダウンロードできます。
分からない部分は前の経営者に聞くなどし、それでも分からない部分は適当に書かずに空欄にしておきましょう。
店の平面図
出入口や厨房、トイレなど店のレイアウトを記載した書類です。
決められた用紙はなく、既成の図面のほか、手書きで作成したものでも大丈夫です。
手書きで書類を用意する場合は、誰が見ても分かりやすく作成するのがポイント。
所在地の図面
店の所在地がわかる地図です。
地図も特に規定はなく、印刷した地図でも手書きでも問題ありません。
この地図は後に担当者が検査で来る際に使われるため、簡略的なものでも道順が分かれば大丈夫です。
水質検査成績書
店で利用する水が、貯水槽や井戸の水なら水質検査成績書が必要です。
ビルの中の店舗の場合、一般的に水道水を貯水槽に貯めてから供給します。
この場合、ビルのオーナーや管理会社に水質検査成績書が必要である旨を伝えれば入手可能です。
店で使う水が水道から直結の場合は、この書類は必要ありません。
深夜酒類提供飲食店営業の届出
午前0時過ぎに酒類を提供するバーなどの飲食店の場合は、警察署に深夜酒類提供飲食店営業の届け出が必要です。
この届出も変更届はなく、一度前の経営者の廃止届を提出し、新しい経営者で届け出る必要があります。
風俗営業許可
キャバクラやスナックなどを営業する場合は警察署に風俗営業許可が必要です。
風俗営業許可も深夜酒類提供飲食店営業の届出や営業許可申請と同様に名義変更のシステムはありません。
前の経営者の風俗営業許可についての廃業の届け出を提出し、新しい経営者が風俗営業許可を申請します。
新規の申請を行う場合、申請してすぐに許可が下りるわけではなくある程度の時間がかかります。
◆飲食店営業許可:14日程度
◆風俗営業許可:55日程度
もちろん申請中で許可が下りるまでは営業はできません。
知人から店を譲り受けてから、申請許可が下りるまで時間がかかることを頭に入れておき、申請が下りるまでにオープンに向けての備品の買い出しやスタッフの募集など準備に有効活用しましょう。
営業に食品衛生責任者の有資格の証明
食品衛生法第51条に基づく「公衆衛生上必要な措置の基準」により、営業者は食品衛生責任者を定めることとされています。
食品衛生責任者になるためには、食品衛生責任者になるための講習を受講した人や栄養士・調理士などの資格を有している必要があるため、食品衛生責任者になるための講習を受けて交付された修了証、あるいは栄養士や調理士などの免許証を提出します。
施設の検査
店の内装工事などが終了したら施設基準に達しているか、図面通りに完成しているかなどの確認が入ります。
この時点で問題があった場合は改善をし、再検査が必要です。
検査が問題なく終わると保健所で営業許可書が交付されます。
交付されるまでには1週間程かかるのが一般的です。
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営業許可申請にかかる費用
営業許可申請にかかる費用は自治体ごとに異なります。
東京都新宿区の場合、新規飲食業の場合は18,300円、飲食店(移動・臨時)は5,600円となっており、多くの自治体で16,000〜19,000円程度で申請できるようです。
行政書士事務所などに手続きをお願いすると、上記の費用に加えて手数料も発生します。
自分で資料を用意して申請するのが一番費用を抑えられますが、手続きを行う時間がない、資料をそろえるのが大変と感じるなら、代行業者を利用するとよいでしょう。
名義変更を行わなかったら
前の経営者名義で新しい経営者が営業を続けると、風営法第11条「名義貸しの禁止」に違反することになり2年以下の懲役、200万円以下の罰金に処せられます。
たとえ知らなかったとしても、違反は取り消せません。
知人などから飲食店を譲り受けた場合は、違反にならないよう新しい経営者が営業を始める前に名義を変更することが必須です。
まとめ
友人や知人から飲食店を譲り受けた場合は、名義の変更届というものはなく、前の経営者に飲食店営業許可の廃業届を出してもらい、新しい経営者が飲食店営業許可を行う必要があります。
また、飲食店の業態によっては、ほかにも必要な申請があるため、申請漏れがないように提出書類の管轄に相談するのがおすすめです。
飲食店営業許可などの申請を終え名義上問題なく飲食店を譲り受けたら、営業に向けて内装デザインなども決めなくてはなりません。
現在の内装デザインを変えて新たに営業したいという人もいるでしょう。
まとまった資金がないと言う場合、500万円の内装費用を初期費用0円で行える内装工事リースの利用をぜひご検討ください。