税理士事務所の給料って?税理士事務所の実態や企業規模・年代別の給料などを紹介
2020年10月5日
税理士の主な職場である税理士事務所の給料がいくらかご存じですか?
税理士業界で働く前に税理士事務所の給料を把握しておきたいと思っている方は多いのではないかと思います。
今回は税理士事務所の給料について情報をまとめます。
また、税理士事務所で働く方の中には、「税理士補助」「事務」などがいると思いますが、今回は「税理士」に絞ってお伝えさせていただきます。
企業規模や年代別の給料に加え、税理士事務所・会計事務所の実態や給料を上げる方法についてもご紹介していきますので、確認してみてください。
税理士事務所・会計事務所の実態、特徴
仕事内容
税理士事務所・会計事務所のメイン業務は、税務申告書の作成、顧客の税理代行、税務相談などの税務関係の業務です。
税理士の独占業務である税務業務を中心に、個人から企業まで幅広い顧客を担当しています。
税理士事務所・会計事務所でも、相続や国際税務など分野に特化するなど税務業務の中でも特色がある場合があります。
また、税務業務から派生して記帳代行などの会計業務やコンサルティング業務なども扱うことが多いです。
税理士の独占業務は、税理士が行っていきますが、その他の業務は税理士でなくも請け負えるため、独占業務以外のものを、資格のない人が税理士事務所で請け負っている場合もあります。
残業・繁忙期
税理士業界は基本的に残業が多いと言われています。
業務量が多いわりに人手が少なく、顧客からの急な要望なども相まって就業時間が伸びる傾向にあるようです。
特に繁忙期である12月~5月はそれがより顕著になります。
決算の時期は法律で定められているわけではありませんが、日本の企業は主に12月と3月に決算を行う所が多く、そこから2ヶ月が申告の期限です。
また、年末調整などとも重なることでより忙しくなります。
6月~11月は比較的閑散としているため、この時期の過ごし方が繁忙期の明暗を分けることにも繋がるでしょう。
税理士事務所の給料はいくら?
実際に税理士事務所勤務の方々はどのくらい給料をもらっているのでしょうか?
税理士全体の給料や賞与、年収に関して見ていきましょう。
企業規模別の税理士の平均給料
平均年収になると人数の関係で差が分かりにくいですが、基本的には規模の大きい税理士事務所や税理士法人の方が年収が高い傾向にあります。
賃金構造基本統計調査(令和元年)より、それぞれの規模の税理士と公認会計士の平均年収は以下の通りです。
きまって支給する現金給与額 | 年間賞与その他特別給与額 | 年収 | |
---|---|---|---|
10~99人 | 39万円 | 97万円 | 576万円 |
100~999人 | 90万円 | 104万円 | 1196万円 |
1000人以上 | 55万円 | 168万円 | 836万円 |
※「きまって支給する現金給与額」と「年間賞与その他特別給与額」は千円単位以下切り捨て、年収は千円単位込みで計算
※年収は「きまって支給する現金給与額」×12ヶ月+「年間賞与その他特別給与額」(端数切り捨て)
短時間労働者の給料
税理士は比較的復職しやすい環境にあり、育児をしながら働きたい女性などが短時間勤務を利用しています。
賃金構造基本統計調査(令和元年)より、短時間労働者の税理士と公認会計士の給料は以下の通りです。
1日当たり所定内実労働時間数 | 1時間当たり所定内給与額 | 年間賞与その他特別給与額 | |
---|---|---|---|
企業規模計(10人以上) | 6.1時間 | 2,102円 | 60,100円 |
給与体系と給料・年収の傾向
税理士事務所の給与体系は、所長に依存している傾向にあります。
そのため固定給や歩合給、ボーナスの頻度なども税理士事務所によって様々です。
また、税理士の給料・年収は二極化しています。
数千万円を稼ぐ税理士がいる一方で、平均年収を大きく下回る税理士もいるのが現状です。
基本的には他の職種と比べて年収は高い傾向にありますが、働く場所や自分の能力次第と言わざるをえないでしょう。
所属税理士の年代別の給料
税理士は年齢が上がるとともに経験を積み、給料が上がるのが一般的です。
賃金構造基本統計調査(令和元年)より、企業規模計(10人以上)の公認会計士と税理士の値を参照しながら所属税理士の年代別の給料を確認しましょう。
20代
税理士は難関な試験を合格し、2年の実務経験が必要なため20代の税理士は少ないと言われています。
そのため優秀な20代税理士の給料は、同年代の平均であるおよそ300万円よりも相応に高いです。
きまって支給する現金給与額 | 年間賞与その他特別給与額 | 年収 | |
---|---|---|---|
20~24歳(男) | 30万円 | 53万円 | 417万円 |
20~24歳(女) | 24万円 | 70万円 | 365万円 |
25~29歳(男) | 37万円 | 83万円 | 528万円 |
25~29歳(女) | 27万円 | 68万円 | 393万円 |
※「きまって支給する現金給与額」と「年間賞与その他特別給与額」は千円単位以下切り捨て、年収は千円単位込みで計算
※年収は「きまって支給する現金給与額」×12ヶ月+「年間賞与その他特別給与額」(端数切り捨て)
30代
税理士数も多くなりつつある30代は、勤務税理士として実務経験を積む方が多い年代です。
しかし、定年がない税理士業界においてはまだ若い方でもあり、30代でも税理士試験合格に向けて励む方も比較的いる傾向にあります。
きまって支給する現金給与額 | 年間賞与その他特別給与額 | 年収 | |
---|---|---|---|
30~34歳(男) | 52万円 | 133万円 | 766万円 |
30~34歳(女) | 40万円 | 69万円 | 557万円 |
35~39歳(男) | 53万円 | 137万円 | 780万円 |
35~39歳(女) | 35万円 | 95万円 | 527万円 |
※「きまって支給する現金給与額」と「年間賞与その他特別給与額」は千円単位以下切り捨て、年収は千円単位込みで計算
※年収は「きまって支給する現金給与額」×12ヶ月+「年間賞与その他特別給与額」(端数切り捨て)
40代
キャリアを積んで役職に就く方も多くなる40代では、1,000万円以上の年収を獲得する方も出てきます。
また、これまでのキャリアを活かして開業税理士としての道を歩み始める方もいるようです。
きまって支給する現金給与額 | 年間賞与その他特別給与額 | 年収 | |
---|---|---|---|
40~44歳(男) | 57万円 | 209万円 | 899万円 |
40~44歳(女) | 40万円 | 103万円 | 594万円 |
45~49歳(男) | 43万円 | 107万円 | 624万円 |
45~49歳(女) | 41万円 | 81万円 | 578万円 |
※「きまって支給する現金給与額」と「年間賞与その他特別給与額」は千円単位以下切り捨て、年収は千円単位込みで計算
※年収は「きまって支給する現金給与額」×12ヶ月+「年間賞与その他特別給与額」(端数切り捨て)
50代
より経験を積んでベテランになる50代でも、役職に就いたり独立したりする人がより多くなります。
成功者になると、2,000万円や3,000万円などの高収入を得られる可能性もあります。
きまって支給する現金給与額 | 年間賞与その他特別給与額 | 年収 | |
---|---|---|---|
50~54歳(男) | 45万円 | 257万円 | 800万円 |
50~54歳(女) | 25万円 | 46万円 | 357万円 |
55~59歳(男) | 51万円 | 132万円 | 746万円 |
55~59歳(女) | 22万円 | 41万円 | 310万円 |
※「きまって支給する現金給与額」と「年間賞与その他特別給与額」は千円単位以下切り捨て、年収は千円単位込みで計算
※年収は「きまって支給する現金給与額」×12ヶ月+「年間賞与その他特別給与額」(端数切り捨て)
60代以上
税理士に定年はなく、60代を超えても働き続けることが可能です。
しかし、職場の意向で定年を定めている所もあります。
そのため、前の職場を退職したとみられる60代の方の開業税理士登録数が、最も多いという結果になっているようです。
きまって支給する現金給与額 | 年間賞与その他特別給与額 | 年収 | |
---|---|---|---|
60~64歳(男) | 100万円 | 58万円 | 1,263万円 |
60~64歳(女) | 45万円 | 68万円 | 614万円 |
65~69歳(男) | 40万円 | 40万円 | 523万円 |
65~69歳(女) | 51万円 | 255万円 | 867万円 |
70歳以上(男) | 24万円 | 0万円 | 295万円 |
70歳以上(女) | 25万円 | 20万円 | 323万円 |
※「きまって支給する現金給与額」と「年間賞与その他特別給与額」は千円単位以下切り捨て、年収は千円単位込みで計算
※年収は「きまって支給する現金給与額」×12ヶ月+「年間賞与その他特別給与額」(端数切り捨て)
税理士事務所で給料を上げる方法
税理士はどのようなキャリアを積めば年収を増やせるのでしょうか?
税理士事務所で給料を上げる方法をご紹介します。
税理士科目を取得する
税理士事務所で税理士補助として働いている方は、税理士科目合格に向けて励みましょう。
職場によってはサポートをしてくれたり昇給したりすることもあります。
今の会社で働きながらスキルを磨く
実務経験を積んだりスキルを磨いたりして、より能力のある人物として認められれば自ずと給料は上がります。
特に重要なポストを任せられると、その分収入も増えるでしょう。
開業税理士になる
成功すれば大きく年収を上げられるのが開業税理士です。
数千万円の年収を得られる可能性がある一方で、相応のリスクもあるため綿密なキャリアプランの元で独立した方がいいと言えるでしょう。
転職する
今の環境をまるごと変えたいのであれば、転職するのもオススメです。
税理士事務所は所長の意向が強く相性が悪ければ長く働くことに抵抗感を感じる方もいることでしょう。
これまでの実務経験や自分の能力などによっては給料アップも望めますので、条件の良い転職先を探すのも1つの手段です。
まとめ
今回は税理士事務所の給料に関してまとめてきました。
税理士事務所は税務・会計・コンサルティングなどを行い、12月~5月にかけて忙しくなる職場です。
一般的な年収は他職業に比べて高いものの、税理士の中でも高い年収と低い年収の方が入り交じっているのが実態です。
ただし、順調にキャリアを重ねていけば40代や50代で年収1,000万円以上を稼ぐこともできるため、自分次第でどこまでも年収を増やすことができます。
給料を上げるためには、まずは税理士科目を取得したり自分のスキルを磨いたりして自分の価値を上げましょう。
その上で開業税理士や転職などの選択肢を選ぶことで、自分の成長にも繋がるはずです。
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